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真「マッキー」

1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:11:25.97 ID:ztJSs/pAO

※短編

※口調に違和感あり


2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:12:12.38 ID:ztJSs/pAO

真「うあー、あっつー…」

ミーンミンミンミン

真「蝉は元気だなー」

夏休みのある日の事、親友と遊びに行く予定だったのがドタキャンになり、何だか夏休みの宿題にも手が伸びずに街中をウロウロと目的無く歩く事にしました。

あ、おはようございます、こんにちは、こんばんは。
最近は休みも少なくなってきた、765プロ所属のAランクアイドル、菊地真(乙女)です。

あ、どっかのお店からボクの曲が…好きだー♪って、ちょっと恥ずかしいなあ…

で。

今日は久しぶりのお休みで、親友の同じくAランクアイドル、今では確かな演技力で舞台やドラマに引っ張りだこな萩原雪歩と遊びに行く…ハズだったんだけどなー。

朝、突然電話が掛かってきて…

雪歩『ま、真ちゃん!ごめん…前から予定があったの、忘れてて…』

真「そっかー、残念」

雪歩『うぅ…ごめんなさいぃ…』

真「あはは、いいよ。そんなに気にしないで」

なんて事があって、1日予定していた事やら何やら、ぜーんぶ真っ白。

お互い忙しいから、久しぶりに重なったオフに遊びに行こうと思ってたんだけどねー…いやはや、残念。

ま、こんな風に街中をブラブラするのも、たまにはいっか。


3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:12:48.57 ID:ztJSs/pAO

真「…あれ?」

んむむ?
前方に、なーんか見たことある人が…むむむ。

真「あ、雪歩だ」

急用とやらに向かう途中かな?

真「にしても…うん、あれは雪歩かどうか分からないなぁ、普通は」

アイドルですからね、変装は必要ですよ、そりゃ。

キャップを目深に被り、髪の毛を1つに纏めて縛り、Yシャツに黒のパンツにスニーカー、サングラスまでしちゃって…
普段の服装と全く違うから、あれじゃ他の765プロの皆が見たって、絶対分からないだろうなぁ…ま、付き合いの長いボクは解るけど。

変装ならボクもしてるけど…キャップに伊達眼鏡…後はTシャツにダメージジーンズ…あれ?何かファンの子に求められてるスタイルと大差ない気が…
ワンピースとかは、美希に

美希「真クンに求められてるモノと違うの!それじゃ変装なの!」

とか言われて、カッチーンと来たので止めたんだっけ。

ふと、お店のショーウィンドウのガラスに映る自分に、溜め息が出てしまった。
何でわざわざシルバーアクセまで…はぁ

っと、そういえば雪歩は~…あ、いたいた、信号待ちしてる。

真「そうだ、良いこと思い付いたぞ」

ふっふっふ、これはいい暇つぶしになるな。


4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:13:21.81 ID:ztJSs/pAO

このまま雪歩を追っかけてみよう。
もし知ってる人に会うなら…

真「雪歩、昨日○○といたでしょー?」

雪歩「ふえぇ!?な、何で分かるの!?」

真「ふっふーん♪ボクは最近超能力に目覚めたのさ。雪歩の事ならなーんでも分かるよ!」

なんて、明日事務所でからかえるな…ふっふっふ♪

よし!そうと決まれば…追跡開始だー!
ヤバい、亜美真美の気持ちが何だか分かる気がする…楽しいかも♪

えーっと、エージェント?スパイ?どっちか分からないけど、菊地真…いっきまーす!
…Tシャツにジーンズのスパイか…何かカッコ悪い。





こちらマコト、ターゲットは人混みから外れた方に移動している模様!

…誰への通信だっての…伊織辺りがいたらツッコミが飛んできそうだ。

でも、雪歩は何でこんな表通りから外れた方に…誰かの家でもあるのかな?

あれ?立ち止まった…何かキョロキョロしてるな…待ち合わせ?

も、も、もしかして、か、かか彼氏とかっ!?

いやいやいやいや、落ち着きたまへよ、菊地真(乙女)。
雪歩といえば男が苦手、そんな雪歩に彼氏なんかいる訳が…


ティン!


いや…1人だけ当てはあるけど…まさか、そんな、ねえ?


5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:13:54.83 ID:ztJSs/pAO

誰かに意見を求めるように否定するけど、勿論周りには誰もいない訳でして。

気持ちはどんどんザワザワして、何だか分からない焦りとか、不安とか、そういうのに支配されていく。

ブロック塀に寄りかかって、でも視線は親友から外せなくて…ああ、ブロック塀って冷たい。

本当なら身体の熱を奪っていくから気持ち良いのかもしれないけど、今は熱と共に冷静さが奪われ、冷たさが逆に不安になってくる。

後悔していた。
こんな風に嫌な気分になるなら、適当に可愛い服とか買って、冷房の効いた部屋でアイスでも食べながら寝てれば良かったかな?

親友をこっそりつけ回してからかってやろうなんて、そんな事を考えた罰が当たったのかな?

雪歩から目を離し、冷たいブロック塀に体重を預けて、天を仰ぐ。

真「晴れてるなぁ」

相変わらず太陽の日差しは強く、アスファルトからの照り返しもかなりキツい。
相当気温は高そうだけど…おかしいな、暑さとか分かんないや。

はぁ…

つい溜め息がこぼれ出る。

ここにいてもしょうがないな…溜め息を合図に帰ろうと思った時、車の排気音が後ろから聞こえた。
雪歩のいる方向だ。

真「…確認だよ。うん、確認」


7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:14:33.52 ID:ztJSs/pAO

そーっと、ブロック塀の影から雪歩のいた場所を見た。


心臓を、鷲掴みにされた気がした。


真「あれ…あの車…」

「いやー、ついに自分の車を買ってな」

「俺は自分の車で送り迎え出来るようになったし、会社の車が1台、緊急時用に回せるようになったのはデカいな」

最近した会話が、思い出そうとしてないのに頭に浮かんだ。

真「プロデューサーの…車だ…」

一昨日送ってもらったばかりだ、忘れる訳がない。

運転席が見える…もしかしたらなんて思ったけど、当然プロデューサーが乗ってる。
雪歩が、何か話してる…楽しそうだな。

真「…本当、何やってるんだろう、ボク」

この場所から離れよう、離れたい、離れなくちゃ…脳からの命令を、身体が無視する。

どうしよう。

ボクの葛藤なんか関係なく、夏の日差しは照りつけ、蝉は歌い続け、ブロック塀は冷たくて、視線の先の2人は楽しそうで。

プロデューサーの顔は見えないけど、雪歩が笑ってるんだからプロデューサーも笑顔なんだろうな。

不意に、雪歩が運転席のに更に近付いて、此方に完全に背を向けて、ちょっと背伸びをした。




それはまるで…2人がキスをしているように見えた。


8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:14:59.63 ID:ztJSs/pAO

ほんの数秒だったと思う。
けど、ボクに時間を計る余裕なんか無くて。

全身から力が抜けて、隠れていたブロック塀の影から、ついふらふらと出てしまった。

彼の車の助手席に乗ろうとしていた彼女と、目があった。

その瞬間、ボクは全速力で後ろに走り出していた。
脱げたキャップも気にせず、僕を呼ぶ2人の声も聞こえないフリをして、ただ走り出していた。




どこをどう走ったかなんて覚えていない。
人にぶつかったかもしれない、ごめんなさい。

でも今は…わざわざ戻って謝る余裕も、そもそもぶつかったかも分からない。

気が付くと、さっきまでいた街中に1人、立っていた。

辺りを見回す、そんな簡単な動作1つが億劫だった。

丁度良さそうなガードレールが視界に入ったので、そこに向かって歩き出す。

ほんの1、2メートルの距離が、長い。
足を引き摺るようにしてやっとガードレールに辿り着くと、身体の力は抜け、寄りかかるようにガードレールに腰を落とした。

はは、良くコケなかったなぁ。




ただ、地面を眺めていた。
眺めていた、すらしていなかったかも。
ただ、視線がそっちに向いていただけ。
ただ。荷物のようにそこにいた。


9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:15:38.88 ID:ztJSs/pAO

ぽた…

地面に水滴…さっきまで晴れてたのに、雨が降ってきたのかな?

ははは…初恋の相手は親友に取られてて、帽子は無くし、天気にも見放されて…散々な日だな。

違う、雨じゃない。

ああ、ボク、泣いてたんだ。
そんな事すら気付かなかった。

真「ふっ…ぐす…う、うぅ~…」

気付いたら、止まらなくなっていた。
そういえば、伊達眼鏡も無くなってるや…あれは確か、雪歩と一緒に選んだんだっけ。

真「うぇぇぇん…」

雪歩…雪歩…どうしてボクに言ってくれなかったの?
ボクだってプロデューサーが好きだと知ってたはずなのに。

ボクとの約束を嘘付いてまでドタキャンして、あんな変装までして、ボクの初恋の人と密会して…親友なのに何も話してくれないなんて酷いよ。

真「ぐすっ…う~…」

親友。
初恋の人。

たった1日で、大切な人を2人も失った。

また雪歩と笑える日は来るのかな?
いつかプロデューサーへの想いを忘れられる日が来るのかな?

いつか来るのかもしれないけど、今は考えられないや。

ただただ、悲しい。
涙が、止まらない。

人目もはばからす、沢山の人が行き交う街中で、ボクは独りぼっちで泣いていた。


10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:16:07.05 ID:ztJSs/pAO

出会ってから昨日まで、親友だったボクと雪歩の時間は何だったんだろう?

「『アイドル』と『プロデューサー』の関係だから、恋愛は御法度、ありえん」

ボクが信用し、苦しんできたプロデューサーの言葉は、なんだったんだろう?




「おい、何かあそこで泣いてる奴いんぞ」

どれくらい座っていたか分からないけど、知らない誰かの声が唐突に耳に聞こえた。

「ぶは!こんな街中で泣くとか!マジだせぇ」

「おいおい、やめてやれよ!きっとフラれちゃったんだよ!かわいそーに」

「もしかしたら怖いお兄さん達にカツアゲされたんじゃね?」

「うひゃひゃひゃ!そら泣くわ!仕方ねえ!」

随分勝手な事を言ってくれてる。
段々、悲しみよりもどす黒い何かが湧き上がってきた。

「おい、何なら百円くらい貸してやろうか?」

「やっさしー♪うひゃひゃひゃ」

何も知らない癖に、他人の心に土足でズカズカ乗り込んで、踏み荒らして…どこまで失礼な奴らなんだろう。

「おい、聞いてんのかテメェ」

真「…」

僅かに顔を上げて、無言で睨み付ける。
ああ、やっぱり頭が悪そうな連中だ。
予想外の事ばかり起きてきた今日、やっと予想通りの事が起きた。


11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:16:38.63 ID:ztJSs/pAO

「おい、何だその目つき」

「喧嘩売ってんのか?もっと泣かしちゃうぞ?ボクゥ」

2人組か…楽勝かな。

真「うるさいなぁ。只でさえ頭悪そうなのに、喋るともっと頭悪そうとか、絶望的だね」

「あぁ?ナメてんのかテメェ!」

「イケメンのボクゥ?お兄さん達、怒ると怖いよ?」

真「だからさ、喋らない方がまだマトモなんだから、喋らないで消えてくれないかな?」

「コイツ、やっちまうか?」

「まぁまぁ、口だけで動けないみたいだしよ。苛めたら、また泣いちゃうぜ」

「知るかよ。泣いても許さねーっつーの!」

ヒュッ!

馬鹿の一人が、飲んでたコーヒーの空き缶を投げつけてきた。
本当、常識の欠片も無いらしい。

ぱしっ

わざわざ当たってやる必要も無い。
投げつけられた空き缶を片手で受け止める。

真「はぁ…」

「おいおい、何してんだコイツ」

「握り潰そうとしてんじゃね?」

「スチール缶をか?出来るかよ」

ごしゃっ

「「え」」

真「何が出来ないって?…今、ボクはとっても機嫌が良くないんだ。これ以上ボクにちょっかい出すなら…」

メキメキメキ…

手の中で、握り締めた缶がドンドン潰れていく音がしていた。


12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:17:16.97 ID:ztJSs/pAO

真「怪我…するよ?」

握り締めていた空き缶を離す。
くっきりと、ボクが手を握り締めたそのままの形になった空き缶が、地面に落ちた。

「…ちっ」

「行こうぜ…コイツ危ねえよ」

すごすごと男2人が立ち去っていく。

…何か、全力出したら疲れちゃった。
あれだけあった怒りも、大の男2人が逃げていく背中を見たら、風船の空気が抜けてくみたいに萎んじゃったし…

真「帰ろう…」

足元に落ちていた空き缶を拾う。
ボクの飲んだコーヒーじゃないけど、この場に捨てたままにはしておけない。

真「痛っ…」

握り締めた空き缶のどっかで切ったらしく、手のひらに赤い線が走っていた。

真「うあ…ちょっと深い箇所がある…もう」

溜め息をつきながら、ポケットからハンカチを取り出す。
あーあ、可愛いから気に入ってたのになぁ。

ボヤいても仕方ない。
レースの付いたピンクのハンカチで傷口を抑えながら巻き、空いた手と口でちょっと強く縛る。

真「さて、帰ってちゃんと消毒して…もういいや、寝よう」

日課のランニングをしに行く気にもならない。
怒りは消えたけど、やっぱり気持ちは沈んだまま。

アイドル菊地真は、今ブルーなんです…はぁ。


13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:17:42.42 ID:ztJSs/pAO

家路に付く途中、何度かファンの子に声をかけられた。

皆、声をかけて確認して、それから一様に

「あの…お疲れでしたか?何かごめんなさい」

「手、怪我されたんですか?大丈夫ですか?」

の2つを言われた。
相当酷い顔をしているらしい。
あー…これはファンクラブで話題になるんだろうなぁ。

…女の子のファンしかいないファンクラブという現実は、毎回乙女のハートを抉るのであまり見ていなかったり…音無さん、毎回チェックありがとうございます。



精神的に凄く疲れた身体を引きずりながら、漸く自宅付近にまで辿り着いた。

スパイか…何やってんだろ。
最初の悪戯心が辿り着いた真実…こんなに辛いなら、真実なんて知りたくなかった。
冷静沈着なスパイには向いてないな、ボクは。

こんなに動揺して、悲しんで、自分を応援してくれているファンに心配されて…本当、スパイになんかなれないや。

真「兎に角、家に帰ろう。帰って寝よう。寝て、明日事務所に行くまでに、切り替えよう」

Aランクアイドル菊地真は、プロですから。
だから、動揺を持ち越したりは…

「真ちゃん!」

…ど、動揺を、ど、ど、どうしよう?

真「ゆ、雪歩…」


14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:18:14.08 ID:ztJSs/pAO

家の前には、昼間見た変装のままの雪歩が立っていた。
ボクを見つけると、ぱたぱたと走ってくる。
何でこの娘は走り方も可愛いんだろう、世の中は理不尽だ。

雪歩「ま、ま、まこ…けほっ…ま…」

真「落ち着いて、雪歩。深呼吸」

雪歩「すぅ~…はぁ~…すぅ~…はぁ~…」

真「落ち着いた?」

雪歩「はぅぅ…真ちゃん、ごめんねぇ」

それは今の焦ってた事かな?
それとも、プロデューサーと付き合ってた事かな?
…なんて、自分からは当然聞けないので、少し待ってみよう。

雪歩「あ、あの、まずはこれ。さっき落としていったでしょ?」

真「あ、ボクの帽子…拾ってくれたんだ。ありがとう」

雪歩「どういたしまして♪」

雪歩の微笑みは相変わらず、天使の微笑みなんだなぁ。
メディアで紹介されてる時の「純白の天使」なんて表現は正しい。
本当、優しくて可愛くて清純…そんな感じ。

真「…ねえ雪歩?」

雪歩「ん?なぁに?真ちゃん」

首を傾げてニコニコしている雪歩は、本当に可愛い。
だから…何故か黒い気持ちが湧き上がってきてしまった。
それは自分じゃ止められず、すぐに頭の中を支配され始め、心が凄く痛くなった。
だけど、止まらない。


15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:18:55.33 ID:ztJSs/pAO

真「雪歩はさ、プロデューサーと付き合ってるの?」

雪歩「…ふぇ?」

ポカンとしてる。
でもボクは見たんだ。
変装して、プロデューサーと会って、キスをしている所を。

清純派とか純白の天使とか…!

そんな雪歩はプロデューサーと付き合ってて、街中でキスして…!

頭の片隅で、ボクが「やめて」「そんな事ない」「酷い事言うな」と叫んでる…真っ黒に飲み込まれそうになりながら。

雪歩「わ、わ、私が…ぷ、ぷぷぷろでゅーしゃーと、つ、付き…!?」

真「そんな慌てなくたって大丈夫だよ。ボクは見たんだから」

雪歩「み、見た?え?な、何を…」

真「…帽子を落とした場所で、プロデューサーと会ってただろう?」

雪歩「あ、うん…」

真「その時!雪歩とプロデューサー、キスをしてたじゃないかっ!」

雪歩「…ふぇ?」

雪歩がポカンとしたまま、固まってしまった。
じわーっと顔が赤くなっていく。

雪歩「き、キスぅ!?ぷ、プロデューサーと、わわ私が!?」

真「そうさ!」

雪歩「そ、そんな、私みたいなちんちくりんで貧相で後ろ向きな子が、プロデューサーと、き、キスなんて、出来る訳が…」

真「ボクはこの目で見たんだ!」


16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:19:40.91 ID:ztJSs/pAO

「こら」

(ぺしん)

真「あいたーっ!?」

P「アイドルが街中でキスしたのしないのと騒ぐな」

真「ぷ、プロデューサー!?いきなり頭叩かないで下さい!」

雪歩「あ、プロデューサー!わ、私、あの、プロデューサーと!」

P「落ち着け雪歩、深呼吸」

雪歩「すぅ~…はぁ~…」

P「落ち着いたか?」

雪歩「は、はい…あ、あの!真ちゃんがキスとプロデューサーで私がキスの帽子でちんちくりんだから」

P「再度落ち着け」

雪歩「あ、穴掘って埋まっ」

P「落ち着けと言うとろうに…で、真」

真「はい…」

P「色々言いたいが、まずは手の怪我を治療しよう。手を出せ」

真「…はい」

P「全く…持ってて良かった、治療セット、と。こっち来い、傷口洗うぞー」

真「う…」

P「こりゃまた随分と切ったな。ちょっと染みるぞ」

雪歩「プロデューサー、何時も車のに中に水とか消毒薬を持ち歩いてるんですか?」

P「思い付く限りの簡単な医療品はあるぞ。消毒薬に各種市販薬、ガーゼに包帯に絆創膏、メンソレータムに綿棒に湿布、虫除けスプレーに傷口洗浄用の水を1リットル…かな?他にもあった気がする」

雪歩「マツキヨ状態ですぅ…」


17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:20:14.90 ID:ztJSs/pAO

P「よし、洗浄終わり、と。消毒薬をシュシュッと…えーっと…後はメンソレータム塗って…」

真「うぅ~…」

P「はい我慢我慢…後はガーゼ当てて、包帯巻いて~…と、はいおしまい」

真「手慣れてますね」

P「うちには怪我する奴多いからな、どんがらする奴とか、穴掘ってる最中に擦り傷作る奴とか、ダンスレッスン中に気合い入りすぎて、ダンスバトルして怪我する奴とか、やりすぎた悪戯で怪我したり、悪戯した後に逃走してコケる奴らとかな…」

真「響とダンスレッスンするとつい…」

雪歩「はぅぅ…ごめんなさいぃ…」

P「もー慣れた。使い道の殆ど無い給料の有効活用だ…さて、じゃあ落ち着いて話をするか」

真「あ、はい…」

P「まず、誰と誰がキスしてたって?」

真「雪歩とプロデューサー」

P「する訳なかろう、しかも街中で。Aランクアイドルの未来を、プロデューサーの俺が摘み取ってどーする」

真「で、でも!2人は付き合ってるんじゃ…」

P「お前の乙女回路はどーなってるんだ。さっきも言ったが、プロデューサーとしてアイドルの未来を奪ったりはせん」

真「う…だ、だって、今日は雪歩と約束してて、なのに前から入ってた用事って…」


18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:20:48.87 ID:ztJSs/pAO

雪歩「あ、あの…真ちゃん?実はね、前からの用事って言うのは、これなの…」

真「…チケット?」

雪歩「真ちゃん、前に見たい舞台があるって言ってたでしょ?それで、私の方で舞台関係者の人に聞いたんだけど、チケットが取れなくて…」

P「で、俺も色々当たってな。漸く二枚、ゲットしたんだわ」

真「え?あ、え?でも、だって…それならそうと…」

雪歩「サプライズにしたかったの…」

P「その為に、俺もお前たちのスケジュールをこっそり調整した」

雪歩「それでね?プロデューサーがチケット取れたのが昨日だったんだけど…」

P「生憎、俺は明後日からの千早の全国ライブ初日に着いていかなくちゃならん。それで、準備の為に貰った今日の休みでないと渡せないから、雪歩に言って渡しに来たんだ」

真「」

菊地真、17歳。現在Aランクのアイドルで、頭の中は真っ白です、大混乱です、乙女です。

真「で、でもキスを」

雪歩「それ…多分、私がチケットを良く見ようとしたんだと思う」

真「ほへ?」

P「結構字が細かい上に、たまたま太陽の光が当たってな、白地だから反射して見えない。だから、窓から出さないで、運転席の中で雪歩に見せた」


19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:21:37.22 ID:ztJSs/pAO

雪歩「それで、私が運転席を覗き込んだんだけど…確かに顔がちょっと近くて、ビックリしちゃって…」

P「超反応で穴掘ろうとするから、慌てた慌てた」

雪歩「はぅ…」

真「でも、その後助手席に乗ろうと…あれはデートにでも行こうとしてたんじゃ…」

雪歩「まだお昼だったし、用事も済んだから真ちゃんに連絡して、まだ予定が空いてたら遊ぼうかなぁって」

P「それなら、ついでに俺が真のいる場所まで雪歩を送って、昼飯でも2人に奢ってやろうかなぁと思ってな」

真「…は、はは…」

身体から一気に力が抜けちゃった…その場に、ペタンと座り込んだまま、立てない。

雪歩「真ちゃん!?ど、どうしたの!?」

真「ぼ、ボクの空回り…勘違いだったのか…は、ははは…」

は、恥ずかしい!そして情けない!

…それから、たまたま自宅近くだったのを理由に、まさかの家庭訪問という名の近況報告が家族にされ、まだ半ば混乱したままのボクは、雪歩やプロデューサーに連れられて、晩御飯を食べにいく事になった。

真「雪歩、穴の掘り方教えて…埋まりたい…」

雪歩「ふぇえ!?ど、どうして!?」

真「落ち着いてきたら、一気に恥ずかしくなってきちゃった…」


20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:22:11.36 ID:ztJSs/pAO

話をしていると、移動時間のなんと短い事か。
いつの間にか、雪歩の家の近くになっていた。

雪歩「じゃあ、私はここで。ありがとうございましたぁ」

丁寧に頭を下げ、雪歩はボクを見た。

雪歩「真ちゃん、舞台楽しみだね!」

真「うん!…今日はその…ごめん」

雪歩「ううん、気にしないで…私こそ、誤解されるような事しちゃったし…」

P「お互い、誤解は解けたんだ。キリが無いからその位にしとけ…雪歩、明日は現場行く前に事務所に寄ってくれ。今後のスケジュールの打ち合わせしてから送る」

雪歩「はぁい」

雪歩はにっこり笑いながら手を振ると、自宅に帰っていった。

P「んじゃ、次は真だなー」

真「わざわざすいません」

P「気にすんな。お前だって女の子だし、ウチの大切なアイドルだ」

真「あはは」

そう、ボクはアイドルで、この人はプロデューサー。
想いを伝えても、今は絶対叶わない。

いつか…トップになったら、想いは伝わるんだろうか?

P「おーし、着いたぞー」

気が付くと、もう家はすぐ近くだった。

真「ありがとうございました!」

P「おー、真は明日はバラエティーの収録だな。局まで事務所から送ってやるからな」


21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:23:12.56 ID:ztJSs/pAO

真「はーい、それじゃあまた明日、事務所で」

P「ん、早く寝ろよ」

真「子供じゃないんですから、大丈夫ですよ」

P「そりゃそうか。んじゃ、おやすみ」

真「はい、おやすみなさい」

走り去るプロデューサーの車が見えなくなるまで、ボクはその場で見送った。

真「ふう…帰ってお風呂入って寝よう…」

今日は、テレビの収録より、ライブよりも疲れた気がする…
あ、眼鏡もったいなかったなぁ…

真「また雪歩に付き合ってもらおうかな」

玄関の扉をくぐり、ただいまの挨拶もそこそこに、自室へ直行。
ベッドにばたんと倒れ込むと、一気に疲労感が襲ってきた。

マズい…このままじゃ寝ちゃう…お風呂入って…パジャマに着替えて…目覚ましセット…して…あぁ、もう無理だ、逆らえないや…おやすみなさい…ぐう





真「うわぁぁああ!ち、遅刻!遅刻ぅぅぅ!」

やってしまった…
兎に角、急いでシャワーを浴びて、急いで着替えて、荷物持って。

うぅ…駅まで走りながらメールチェックして…乙女ですが、大志を抱く前に遅刻への反省を先に抱かなくては…

さあ、今日もまた、忙しい1日が始まる…ボクはスパイにはなれないけど、アイドルなんだから。

おわり


24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) 2012/11/15(木) 17:28:20.58 ID:ztJSs/pAO

以上。
元ネタは槙原敬之の「SPY」
歌自体は結構ブルーになる内容だけど、ちょっと変えました

html化はまた明後日位に出します


25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/11/15(木) 21:10:02.70 ID:DHb3Cx6/o

面白かった
乙!





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