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冬馬「岬ちゃんに会いたい……」 P「日本萩原雪歩協会へようこそ!」

1: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 00:29:22.79 ID:rdtZ2VlP0

とある昼下がり 紀伊國屋書店

冬馬「おっ、ニセコイ最新刊出てたんだっけか。買わないとな。ん? なんだこれ」

『NHKにようこそ!』

冬馬「チッ、本を出したんならちゃんと元の場所に戻しやがれよ。つーかNHKってなんだ? 日本放送協会にようこそ?」

冬馬「いや、意外と日本北斗協会……んなワケないか」

冬馬「……この子、可愛いな」

冬馬「あっ、すんません。この本全巻欲しいんですけど……、えっ? 小説もある? じゃあそれもお願いします」

冬馬「まあ暇つぶしにはちょうどいいだろ」


2: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 00:33:01.53 ID:Wpz4QutA0

数日後

黒井「どうなっているんだ!」

翔太「クロちゃん荒れてるね」

北斗「仕方ないだろ。冬馬が急に連絡付かなくなったんだからな」

黒井「冬馬のやつ、どういうつもりだ?」

翔太「ノロウイルスにかかって動ないとか?」

黒井「何?」

北斗「そう言えばあいつは1人暮らしをしているんだっけか。それはまずいな」

黒井「翔太、北斗! 今すぐ冬馬のところに行くぞ!」

翔太「クロちゃん心配?」

黒井「ふん! 違うわ! あいつには休んだ分きっちり働いてもらわないといけないからな。行くぞ!!」


3: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 00:35:41.04 ID:JvkSfdii0

冬馬宅前

翔太「おーい、冬馬くーん」

北斗「いないのかー?」

黒井「いるなら返事をしろ!!」

翔太「うーん、大家さんに頼んで鍵借りて来た方がいいかな?」

北斗「それが良いな。ちょっと待っててくださいね」

黒井「私だ! 開けろ冬馬! 冬馬あああああ!!」

翔太「クロちゃん。流石にうるさいよ」

北斗「大家さんから借りてきました!」

黒井「開けるのだ北斗!」

北斗「はいはいっと」


4: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 00:38:58.63 ID:JvkSfdii0

黒井「な、なんだこの部屋は!」

北斗「酷い有り様だ……。しかもこの部屋臭うぞ」

翔太「冬馬君! 生きてる!?」

冬馬「なんだ? 岬ちゃんが来たのか?」

翔太「何言ってるの!? どうしたの冬馬君! そんなにやつれて」

冬馬「岬ちゃんじゃない?」

北斗「岬ちゃん?」

黒井「何をしている冬馬! そんな所に引きこもって! 貴様には仕事が」

冬馬「おっさん、俺は動かねえぜ」

黒井「何を言っている!? どういうつもり」

冬馬「岬ちゃんを、待ってるんだよ」

黒井「だから誰だそれは!」


5: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 00:43:18.29 ID:JvkSfdii0

冬馬「岬ちゃんは岬ちゃんだろうがああああああ!」

黒井「ほわっ!」

翔太「あっ、滅茶苦茶元気だ」

北斗「ノロってことはなさそうだな。しかし岬ちゃんとはいったい……」

冬馬「岬ちゃんはな……天使なんだよ」

翔太「は? 天使?」

冬馬「英語でエンジェルだ」

翔太「いや、そう言うの聞いてないから」

北斗「イタリア語じゃアンジェラだよ」

翔太「対抗しなくていいよ!」

黒井「ならばアンジェラアキは天使アキだと言うのか!? あれが天使だと!?」

翔太「クロちゃんも過剰反応しないでよ!」


6: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 00:49:05.71 ID:JvkSfdii0

翔太「ん? なんだろこの漫画。NHKにようこそ?」

黒井「日本放送協会がどうかしたのか?」

冬馬「岬ちゃんはな、そこにいるんだよ」

北斗「は?」

冬馬「岬ちゃんはな、非現実なんだよ……」

翔太「漫画のキャラ? だったら何で待っているとか言うのさ。ちゃんと分別ついてるじゃん」

冬馬「違う! 岬ちゃんは! 岬ちゃんはダメ人間の前にしか姿を現さない、天使なんだよおおおおお!」

隣『うるせーよボケっ!』

翔太「近所迷惑極まりないよ冬馬君」

黒井「ダメ人間の前にしか姿を現さない? まさか冬馬! 貴様」

北斗「わざとダメ人間になろうとしてる?」


7: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 00:55:15.33 ID:Sf6A+xL70

冬馬「悪いか! 俺だって、俺だって! 岬ちゃんみたいに可愛い女の子が家に来て欲しいんだよ!! 分かるか!?」

北斗「冬馬?」

翔太「冬馬君、君って人は……」

冬馬「だから俺は頑張らないことにした。どこまでも墜ちて行けば、岬ちゃんに会えると信じているんだ」

北斗「こりゃ重症だな」

冬馬「あまがせさん@がんばらない」

翔太「語呂悪いよ、それ」

冬馬「とにかく俺は、岬ちゃんがやってくるまでこの部屋を出ない。この部屋こそ、冬馬王国(トウマキングダム)だ」

翔太「新しい国が生まれちゃったよ!」

北斗「冬馬、流石にそれは無理が」

冬馬「夢は叶うもの! 私信じてる!」

黒井「さぁ位置についてレッツゴーって言わせるんじゃない!」

翔太「乗ったのクロちゃんだよ……」


8: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 01:00:00.88 ID:g1a2Q+xL0

黒井「ぐぬぬ……梃子でも動かないとなると、その岬とか言う小娘をどうにかするしかないな」

翔太「それ正気で言ってる!? 漫画の中のキャラだよ!? 非実在うんたらかんたらだよ!」

冬馬「初出は小説だスカタンポン!」

翔太「何のこだわり?」

北斗「しかし、あれだけ突っ張ってた冬馬が夢中になったんだから、よほど魅力的な女の子なんだろうな」

翔太「折角だし読んでみる?」

黒井「だいたい漫画のキャラクターに感情移入し過ぎるなんて、愚かにも程がある! まぁ冬馬が墜ちたぐらいだ、興味はあるな」

冬馬「岬ちゃんに会える、会えない、会える……」

翔太(花占いし出したよこの人……)


9: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 01:03:45.49 ID:XBlQ77zW0

数日後 765プロ

翔太「765プロのプロデューサー!」

P「のわっ! 君はジュピターの御手洗翔馬!」

翔太「いや、翔太です」

P「ああ、悪い。天ヶ瀬君と被ってしまってね。ってどうしたんだ? わざわざ765プロまで来て」

翔太「冬馬君たちを助けて欲しいんだ! こういうこと頼めるの、765プロしかないし」

P「助ける? どういうことだ?」

翔太「その、恥ずかしい話だけどさ」

翔太「冬馬君とクロちゃんが引きこもっちゃってさ」

P「は? 引きこもった?」

翔太「2人とも冬馬君の部屋から一歩も出ないんだよ! 北斗君が今部屋の前にいるけど、多分出てこないと思う」


10: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 01:08:39.18 ID:LKQ1HPMb0

P「ごめん、全然話が読めないんだけど」

翔太「いやさ、実は……」

P「NHKにようこそ? なんだそりゃ?」

小鳥「あら、懐かしい名前ですね」

P「小鳥さん知ってるんですか?」

小鳥「サブカル界隈じゃ結構有名ですよ。ところで、NHKって何の略だと思います?」

P「へ? 日本放送協会じゃないんですか?」

小鳥「この小説じゃ日本引きこもり協会なんですよ」

P「日本引きこもり教会ですか。なんというか、非生産的な教会ですね」

小鳥「といっても、日本引きこもり教会は主人公の妄想の産物なんですけどね。無職で引きこもりの主人公が、その組織の陰謀だと妄想しちゃってるんです」

P「それはまた痛いですね」


11: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 01:13:36.69 ID:LKQ1HPMb0

小鳥「で、その引きこもりの主人公の前に、引きこもり更生を目的としたプロジェクトかっさげて美少女が現れるんですよ」

P「ラノベですか?」

小鳥「まあ似たようなものです。最初はネット小説だったんですけど、後々書籍化されて漫画化とアニメ化とメディア展開してきました」

P「SAOみたいなもんですね」

翔太「それは今かんけーし」

P「まさかとは思うけど、冬馬と黒井社長はその美少女とやらを待っているのか?」

翔太「うん。なんか情けなくなってきた……」

小鳥「まぁ仕方ないですよね。岬ちゃん、天使ですから」

P「天使なんですか?」

小鳥「比喩表現ですよ。まぁ読んだらわかります。ただ、場合に寄っちゃ岬ちゃんが実際にいるものと錯覚して、引きこもりたくなりますけどね」

P「んなアホな」


12: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 01:18:17.58 ID:LKQ1HPMb0

読破後

P「はぁ、ダメ人間になれば岬ちゃんに会えるのかな……」

翔太「プロデューサー!? ちょっとー!?」

小鳥「ほら言わんこっちゃない」

P「だってさ、岬ちゃん可愛すぎるもん。引きこもってた時にさ、こんな女の子目の前に現れた日にゃ、天使と見紛うのも仕方ないぜ」

翔太「いやいや! 女子に囲まれて仕事している人が何を言うの!!」

P「でもさぁ、うちのアイドル達って、岬ちゃんじゃないじゃん?」

翔太「あーあ、これはもうだめかもしれない……」

小鳥「うーん。プロデューサーさんまでこうなったら、事務所がつぶれちゃいますね」

翔太「961は今にも潰れそうだよ……。社長と稼ぎ頭があの有り様だよ? 仕事はキャンセルせざるを得ないし、961の信用がた落ちだよ」

P(元々信用なんかないだろ)


13: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 01:22:27.83 ID:LKQ1HPMb0

小鳥「こうしている間にも、引きこもり組は堕落への道を突き進んでるんですよね」

翔太「何とかならないの!?」

小鳥「岬ちゃんが実際に来て、2人に現実を与えれたらいいんですけど……」

雪歩「おはようございますぅ」

P「……岬ちゃん?」

雪歩「へ?」

P「岬ちゃんじゃないか! 俺を、俺を迎えに来てくれたんだね!!」

雪歩「ふぇえええ!?」

P「さぁ! 今すぐ君を救ってみせる! ほら、手りゅう弾持ってるし! BGMが聞こえて来たじゃないか! アババアババって!」

翔太「えっと、似てる?」

小鳥「いや、そこまで似てると思いませんけど……」

雪歩「た、助けて真ちゃーん!」


14: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 01:26:37.89 ID:iQswlBkW0

P「」←真に瞬獄殺食らった

翔太「髪の色違うけど」

小鳥「でもイメージは近いかも知れませんね! 雪歩ちゃん、この服着て貰える?」

雪歩「は、はい」

翔太「プロデューサー、生きてる?」

P「あ、ああ。眼鏡を掛けていなかったら死んでいたところだったよ。おかげで目が覚めた」

小鳥「これ、真ちゃんに直接殴ってもらった方が早いんじゃ?」

翔太「いや、流石にどうかな? 2人とも、眼鏡かけてないし」

雪歩「えっと、これで良いですか?」

翔太「うん、それっぽいかも!」

小鳥「これで髪を黒に染めたらなんとかなりますね」

雪歩「え、えっと。話が読めないんですけど……」


15: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 01:30:45.79 ID:U/oS9pMZ0

P「おお、岬ちゃんだ……」

雪歩「岬ちゃんって誰ですか?」

小鳥「天使ですよ、天使!」

雪歩「どういうことですか?」

P「あー、実はだな……」

雪歩「ええええ!? ジュピターを救うために、その岬ちゃんになって欲しいってことですか!?」

翔太「お願い! こんなこと頼むのも悪いと思うけど、それでも2人を助けられるのはお姉さんしかいないんだ!」

雪歩「む、無理ですぅ! わ、私みたいなひんそーでちんちくりんな女の子が来ても嬉しい人なんていません!」

P「ここにいるぞ!」

雪歩「えっ、そうですか? じゃあプロデューサーの家になら……」

P「いや、それ意味ないし」

翔太「むしろあの2人が知ったら傷つきそうと言うか……」


16: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 01:36:38.64 ID:vyLyJ9jz0

雪歩「お、男の人はまだ怖いですぅ。プロデューサーは特別なんです」

翔太「あんまり無理強いするのも可哀想だしなぁ……」

小鳥「でもこのままじゃ、取り返しのつかないところまで墜ちちゃいますよ」

P「頼む雪歩! 俺からもお願いしたいんだ。961プロは因縁ばっかり吹っかけてくるところだけど、なんだかんだ言いつつうちのライバル事務所なんだ。そのライバルたちが自滅していっても面白くないだろ?」

雪歩「でも……」

P「それにこれは雪歩の苦手克服って意味もあるんだ。いつまでも怖いままじゃ終われないだろ?」

雪歩「そ、そうですね……」

P「上手くいったらさ、打ち上げでもしようよ。2人でさ」

雪歩「分かりました。わ、私頑張ってみましゅ!」

P「よし! それじゃあ岬ちゃんになりきる訓練から始めるか!」

雪歩「よろしくお願いします!」


17: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 01:48:18.71 ID:Sf6A+xL70

雪歩「えっと、冬馬君」

P「違う違う! イントネーションはさとうくんだ!」

雪歩「は、はいっ! 冬馬君!」

P「よしっ! 完璧だ!」

雪歩「本当ですか!?」

P「ああ、俺も冬馬って名前になりたいと心から思ったぜ!」

雪歩「じゃあプロデューサーのこと、プロデューサーくんって呼んじゃおうかな? なんちゃって」

P「ああ、天使だ……」

翔太「一体何のトレーニングなんだろ、あれ」

北斗「一種のビジュアルレッスンだな」

翔太「そうなの?」

北斗「しかしこれでうまくいくのか?」

翔太「いってもらわないと困るかな、うん」

雪歩「冬馬君!」


18: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 01:55:47.78 ID:JWpPSvoI0

雪歩(私はプロデューサーの元、厳しいトレーニングを積んできました)

P「そうじゃない! 岬ちゃんならこうするぞ!」

雪歩「う、うん。プロデューサー君!」

P「もう一回行くぞ!」

雪歩(傍目には何をしているか全くわからないと思うけど、岬ちゃんになりきるための訓練らしいです)

雪歩(傘を持つ角度、上目遣いの角度、声のトーン。厳しいレッスンは朝から夜へ続きました)

P「そう! 今俺の目には、雪歩が岬ちゃんに見えたよ!」

雪歩「本当ですか!?」

P「ノン!」

雪歩「あっ、えっと……。本当?」

P「よしよし、ナイス岬ちゃんだ!」

雪歩(そして、作戦決行の日が来ました)


19: ◆CiplHxdHi6 2013/02/16(土) 02:02:35.10 ID:rdtZ2VlP0

P「それではこれより! 天ヶ瀬冬馬、黒井社長両名の引きこもり脱却計画を実行するぞ!」

翔太「色々心配になって来た……」

北斗「だが今の俺達は藁にも縋りたい気分だ。天使ちゃんが、2人を現実に引き戻してくれるよう期待するしかないな」

雪歩「え、えっと! 頑張ります!」

P「このドアの前に立った瞬間から、萩原雪歩は中原岬になる。大丈夫、練習の通りやればうまくいくさ」

翔太(あの練習どう見ても自己満足にしか見えなかったけどなぁ)

北斗(P得なんだろうな)

P「日本萩原雪歩協会、ここに結成だ!」

翔太「新しい協会が出来たよ!?」

北斗「まぁNHKではあるがな」

P「雪歩、行って来い」

雪歩「うん。プロデューサーくん」


26: ◆CiplHxdHi6 2013/02/24(日) 11:05:19.13 ID:Vd0QKzF70

冬馬「……来ない」

黒井「どうして我々の前には岬たんが現れないのだ」

冬馬「ひたすらダメ人間になって待ち続けても、来るのは新興宗教の勧誘のおばさん」

黒井「たまに北斗たちが来るが、そんなもの望んでなどいない」

冬馬「はぁ……、岬ちゃんに会いたいよぉ」

黒井「なんてもどかしい世界なんだ……」

冬馬&黒井「はぁ……」


P「なんだ……、ドアの向こうから伝わってくるこの陰気なオーラは!?」

北斗「日に日に強くなってきてますね」

翔太「このままじゃ2人ともダメダメ人間になっちゃうよ! クロちゃんは元々だけど!」

P「しかしこれは骨が折れるな……。まぁ切り札が無いことは無いんだが」

雪歩「切り札ですか?」


28: ◆CiplHxdHi6 2013/02/24(日) 11:10:31.67 ID:Vd0QKzF70

P「あんまり使いたくはないんだけどね」

雪歩「はぁ……」

P「さてと! 打ち合わせ通りいくぞ岬ちゃん!」

雪歩「うん、プロデューサーくん」

P「よしっ! まずは手紙を投函するところからだな」

雪歩「こんなので良いのかな?」

P「なに。疑い深い黒井社長はともかく、天ヶ瀬君なら騙せると思うぞ」

翔太「冬馬君思考が童貞だからね」

北斗「王様キャラ気取ってる割に、根は純粋だしな」

P「まぁ岬ちゃんに会いたい一心で、プライドも何もかも捨てたぐらいだ。ここは1つ、良い夢を見せてあげるか」

翔太「現実を知ると発狂しそうだね」

北斗「そこは俺らがフォローしないとな」


30: ◆CiplHxdHi6 2013/02/24(日) 11:19:57.76 ID:Vd0QKzF70

P「何。受け入れなくちゃいけないんだよ。岬ちゃんは、自分の弱い心が生み出した偶像に過ぎないってことを」

雪歩「よしっ」

P「さぁ、ショータイムだ!」

翔太(うわぁ、この人絶対楽しんでるよ……)

北斗(でもこれでうまくいくなら、すがるしかないか……)


冬馬「今すぐ赤ちゃん人間になりてぇ……」

黒井「バイト仕事ないんだぞ……」

冬馬「最高じゃねぇか……。岬ちゃんに会えるのなら、降り注ぐ火の粉の盾になっても良いぜ」

黒井「同感だ……」

冬馬&黒井「はぁ……」

チャイム「ピンポーン、来客だよー」


32: ◆CiplHxdHi6 2013/02/24(日) 11:25:37.49 ID:Vd0QKzF70

冬馬「……誰だよ」

黒井「……私は寝るぞ」

雪歩「……」

冬馬「岬、ちゃん?」

雪歩「ふふっ」

冬馬「ハッ! み、みさっ! 岬ちゃん!?」

冬馬「だ、誰もいないじゃないか! 今のはなんだ? 幻覚……か?」

冬馬「手紙だ……」

『天ヶ瀬冬馬殿、黒井崇男殿 あなた方は私の「プロジェクト」に大抜擢されました。ですので、今夜9時三田4丁目公園へ来てください』

冬馬「岬ちゃんだ……! おっさん! 岬ちゃんが来たんだ! 岬ちゃんは生きているんだよ!!」

黒井「ふん……、どうせたちの悪い悪戯に決まっている……!」

冬馬「見たんだよ! あの服、あの傘、あの笑顔! ライクアエンジェル! 岬ちゃんそのものだって!」


34: ◆CiplHxdHi6 2013/02/24(日) 11:31:36.52 ID:Vd0QKzF70

黒井「甘いぞ冬馬。公園に行ったところをカメラで撮られて、全世界に配信されて笑われるのがオチだ。そうに決まっている!」

冬馬「確かにそうかもしれねぇ。これは何かの陰謀と考えるのも自然なことだ」

冬馬「だがよ! 目の前に岬ちゃんが現れたら、行くしかないんだよおおおお!」

黒井「好きにしろ!」

冬馬「ひげ剃らないとな……。おっさん意外と会話するのって久しぶりだから、き、緊張してききっ、来たぞ」


雪歩「本当にこれでいいのかなぁ……」

北斗「果たして、本当に来ますかね」

P「来るとも。だって岬ちゃんだぜ? 行かない方がどうかしているよ」

翔太「いやさ、冬馬君はあのお姉さんのこと知ってるんだよ?」

P「甘いな……。キミらには分からないだろうが、岬ちゃんに会いたいなと思った時に雪歩の顔を見るんだ」

P「すると不思議なことに岬ちゃんに見えるわけだ」

翔太「ごめん、全然意味が分からないや」

P「分からんで結構! とにかく、雪歩を岬ちゃんと錯覚してしまうってことだけ理解しておけば問題ないよ」


36: ◆CiplHxdHi6 2013/02/24(日) 11:36:27.81 ID:Vd0QKzF70

翔太「んなアホな……」

北斗「だが心が弱っている時に優しくされたりするとコロッといってしまうだろ? 今の冬馬はまさにそれだ」

翔太「分からなくもないけど、それで岬ちゃんに見えるようであれば病院に行くことをお勧めしたいな」

P「そろそろ時間だ。静かに見守るぞ」

翔太「うーん、いくら冬馬君とはいえ、ホイホイと来る」

冬馬「……」

翔太「来たよ……」

北斗「効果はてきめんだったみたいですね」

P「黒井社長はいないか……。あの人の性格なら仕方ないか? まぁ、あの人には特別メニューを用意しておくか」

翔太「特別メニュー?」

P「最後の切り札だよ」


38: ◆CiplHxdHi6 2013/02/24(日) 12:12:38.27 ID:Vd0QKzF70

翔太「でもなぁ……」

冬馬「……」

翔太「あんな挙動不審な冬馬君は見たくなかったな……」

北斗「引きこもる様になってから、凄いスピードで墜ちて行ったからな」

P「調べたとこによると、外に出るのはコンビニでご飯を買う時ぐらいみたいだ。その時も帽子を目深にかぶって、見られないようにしてたんだとさ」

翔太「絶対キョロキョロしてたよね」

北斗「店員もあの天ヶ瀬冬馬がここまでダメ人間になってると思ってもなかっただろうな」

P「そろそろだぞ、行って来い」

雪歩「は、はい! 今日の私は、中原岬ですぅ!」

P「その意気だ!」

翔太「……本当にこれでいいのかな、ボクら」


40: ◆CiplHxdHi6 2013/02/24(日) 12:16:18.63 ID:Vd0QKzF70

冬馬「うー、寒い……」

冬馬(偉そうなこと言って飛び出してきたが、岬ちゃんに本当に会えるのか?)

「天ヶ瀬、冬馬君だよね?」

冬馬「え?」

雪歩「来てくれたんだ」

冬馬「み、みみっ! ミサキーヌ!」

雪歩「ふぇ!?」

冬馬「会いたかったよ岬ちゃああああん!」

雪歩「え、えええええ!? た、助けてくださーい!!」

冬馬「お、おで! 俺をぷろじぇくとにっげっ!」

P「ふぅ、危ない所だったな。手出しはギルティだぞ」

翔太「冬馬くーん!」

北斗「消火器がダイレクトに当たりましたね」


42: ◆CiplHxdHi6 2013/02/24(日) 12:47:17.61 ID:Vd0QKzF70

冬馬「んっ、んん……」

雪歩「天ヶ瀬君? 目、覚めた?」

冬馬「のわっ! お、お俺は一体何を」

雪歩「空から消火器が降って来て、頭に当たったんだよ?」

冬馬「よ、よく生きてたな俺……。って岬ちゃん!?」

雪歩「良く名前、知ってたね。中原岬だよ」

冬馬「ほ、本当に岬ちゃんはいたんだ……。夢じゃなかったんだ……」

雪歩「助けに来たよ、天ヶ瀬君」

冬馬「た、助けてくれるの、か? 俺を……? 引きこもりでダメダメになってしまった俺を」

雪歩「うん。きっと大丈夫。私、引きこもりの脱出方法知ってるから。それに、天ヶ瀬君のことだってずっと前から知ってるよ」

冬馬「岬ちゃん……」

雪歩「プロジェクトに、ようこそ」


50: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 12:42:26.77 ID:o3o9FqFP0

P「始まったな……」

北斗「これでうまくいけばいいですけど」

P「このプロジェクトはみさ……じゃなくて雪歩のためでもあるんだ」

翔太「しょーなの?」

P「変なキャラ作らなくていいよ! 男の人が大好きです(大嘘)と二次元キャラに恋してしまった俺様アイドル。まぁこれを機に雪歩の男性恐怖症も治ってくれればいいんだけどな」

P「俺に対してはそうでもなくなったけど、今後の仕事に支障が出るなら早いうちに直した方がいいよ」

北斗「なるほど。しかし社長は」

P「あー、今頃『みさき』ちゃんが行ってるから大丈夫だと思うぞ?」

翔太「みさきちゃん?」

P「上手くやってくれるでしょ。さてと、俺達はプロジェクトを見守るか」


52: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 12:51:51.39 ID:o3o9FqFP0

雪歩「……」

冬馬「……」

雪歩(今の私は中原岬、今の私は中原岬……。だから怖くない怖くない)

冬馬(はぁはぁ岬ちゃん……、シスター服で妄想しちゃう岬ちゃん……)

雪歩「天ヶ瀬君?」

冬馬「な、何かな岬ちゃん!」

雪歩(本当に岬ちゃんと勘違いしている……。そんなに似てたかな)

冬馬(このもどかしい世界の上に舞い降りた天使……、それが岬ちゃん!)

雪歩「プロジェクトだけど、はい。これが契約書」

冬馬「契約、書?」

消費者金融カリヨーゼ

冬馬「街金?」

雪歩「ま、間違えましたぁ! こっちですぅ」


54: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 12:58:32.65 ID:o3o9FqFP0

冬馬「だ、だよな! 岬ちゃんが街金の勧誘なんてあるわけないよな!」

雪歩「こっちが本物の契約書ですだよ」

冬馬「引きこもり脱出とそのサポートに対する契約書……手書きだ……! 罰金百万円だ……!」

雪歩(プロデューサーの言う通り書いたけどこれで良かったのかな)


北斗「冬馬が単純で良かった」

翔太「カリヨーゼってまた胡散臭い名前だよね」

P「所々雪歩に戻る時が有るけど、天ヶ瀬君はさほど気にしていないみたいだな」

北斗「冬馬の目にはどう見えているんだか」

翔太「見たくないものを見なくて、都合の良いものばかり見るって贅沢な話だよね」

北斗「冬馬はああ見えて繊細なところが有るからな。俺様キャラの反動がああいった形で出たんじゃないですかね」


56: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 13:03:44.11 ID:o3o9FqFP0

雪歩「私天ヶ瀬君を助けてあげたいの」

冬馬「……! 俺みたいな怪しげな人間とこんな時間に会っていいのか?」

雪歩(怪しげ……? 確かに挙動は前見た時よりおかしいですけど……)


P「思いっきり足見てるよな」

翔太「チラチラ見てるつもりだろうけどガッツリ見てるよね」

北斗「冬馬は脚フェチか……。参考になるな」

翔太「ごめん、何の参考にするつもりかな」

北斗「そりゃあアレだよ」

翔太「僕には北斗君との意思疎通がうまく出来る自信が無いよ」

P「ちなみにツーショットを撮られないように周囲は厳重に警備しているぞ」

北斗「最悪社長がもみ消してくれるでしょうね」


58: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 13:10:45.30 ID:o3o9FqFP0

P「でもよくよく考えれば」

北斗「?」

P「冬馬も佐藤君もなんだかんだ言って引きこもりじゃないからなぁ」

翔太「しょうなの?」

P「だからなんだそのしょうなの推しは」

翔太「ほら、僕2人に比べて個性薄いし」

P「口調だけでキャラ付けは止めた方がいいぞ。ソースは禁書」

翔太「今映画やってるよね」

北斗「あれは誰が喋っているかパッとわかるようにしているんだとか。あっ、動きますよ!」


雪歩「それじゃあ天ヶ瀬君。明日からプロジェクト、始めるね」

冬馬「あ、ああ」

雪歩「それじゃあ、ね」

冬馬「ッ!」


60: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 13:14:15.53 ID:o3o9FqFP0

雪歩「ふぅ……。緊張しましたぁ」

P「お疲れちゃん」

翔太「ねぇ、プロジェクトってどういうことするの?」

北斗「まさかデートとか」

雪歩「デ、デート!? そ、そんなの嫌です!」

翔太「『無理』じゃなくて『嫌』なんだね」

雪歩「そ、そう言う意味でも無くて! 男の人がダメなんですぅ!」

北斗「あんまり虐めちゃだめだぞ?」

翔太「そう言うつもりは無かったんだけど……。なんかすんません」

P「さてと。プロジェクトを実行しようか」

北斗「実行と言いますと?」

P「冬馬に現実の厳しさを身を持って教えるんだ」


62: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 13:23:37.96 ID:o3o9FqFP0

北斗「現実の厳しさですか」

P「ちとばかし酷だが、岬ちゃんだなんて都合の良い幻想は無いってことを受け入れなくちゃいけない」

翔太「現実逃避するなってこと?」

P「まあそうなるかな。荒療治になるかもしれないけど、強く生きて貰わないと。この業界を引っ張っていく存在になって欲しいのは俺も同じ意見だし」

雪歩「私も苦手ですけど、今の方がもっと苦手です……」

P「さてと、作戦会議と行こうか」

北斗「まだ決めてなかったんですか?」

P「今日の様子を見て決めようと思ってたところだから良いんだよ。決して思いついてなかったとかじゃないからな?」

翔太「ズバリそれだよね」

P「今頃黒井社長も現実の厳しさを知っているところだろうしな」

雪歩「いったいどんなことを?」

P「ああ、実はさ。黒井社長には……」


64: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 13:27:36.26 ID:o3o9FqFP0

黒井「やだよー! 岬ちゃん待ちたいんだよおおおお!」

黒井母「アンタ! いい歳して何を言ってんの! 人様にご迷惑かけるんじゃないよ!!」

黒井「あ、助けてー! 岬ちゃあああああん!」

黒井母「母親のことをみさきって呼ぶんじゃないよ!!」


P「と、黒井社長の御袋さんの名前がみさきだったみたいで」

翔太「うわぁ……」

北斗「こ、これが現実……」

雪歩「余りにも残酷すぎますぅ……」

P「で、だ。冬馬に対するプロジェクトは一撃必殺の大技だ。下手すれば心を折られて再起不能になるかもしれない」

翔太「そ、そんなに……!」

P「都合の良いことに、冬馬は岬ちゃんにぞっこんなわけで。プロジェクトもデート気分で臨むだろう」


66: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 13:34:58.19 ID:o3o9FqFP0

P「そこで――」

翔太「えぐっ……。765プロって怖い所だね」

北斗「これドッキリでも性質が悪いんじゃ」

雪歩「そ、それは可哀想すぎます……」

P「色々考えた結果、幻想を打ち砕くにはそれが一番だと思ったんだ」

北斗「それ、自分が得したいだけじゃ……」

P「断じて違う! だからその後のフォローを君らに任せることになると思うが……」

翔太「それは良いとしても、冬馬君ピエロにもほどがあるよ」

北斗「まだ社長へのプロジェクトの方が良かったな」

雪歩「でも後腐れなく現実に引き戻せるかも……」

P「そうそう。今回のNHK、本当の意味はな――」

P「日本北斗協会なんだ」

北斗「お、俺!?」


68: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 13:39:51.81 ID:o3o9FqFP0

翌日!

冬馬「あ、ああ……」


雪歩「それででね……」

P「ははっ、マジか! それは楽しいだろうなぁ」

雪歩「はいっ! だから佐藤君も一緒に行こうよ!」

P「よし、頑張っちゃうか!」

雪歩「もう、佐藤君ってば……」


冬馬「み、岬ちゃんが他の男と、歩いとる……」

~~


P「俺と岬ちゃんがデートしているところを冬馬に見せるんだ」

P「天使なんていない。結局は偶像崇拝だって」

P「あっ、やよいは天使だよ! 雪歩も天使! 岬ちゃんも天使! だけど現実はそうもいかない」

P「助けてくれる都合の良い妄想は現実にはない。それを冬馬に受け入れさせるんだ。俺達は自分たちで選択して、決めなくちゃいけない」


70: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 13:43:49.32 ID:o3o9FqFP0

冬馬「あ、あはは……。俺ってホントに馬鹿だ……。勝手に浮かれて、岬ちゃんだなんて盛り上がって……。良く見れば765プロのアイドルじゃねーか……」

北斗「冬馬、そうしょげ込むなよ」

翔太「そうだよ。冬馬君にはもっといい人、見つかるって」

冬馬「お前たち……」

北斗「日本北斗協会を作ったんだ。入会するか?」

翔太「集会も総会もナッシングだよ。ハッテンはあるかもしれないけど」

冬馬「はっ、今までちょっとおかしかったみたいだ。おかげで目が覚めたぜ」

北斗「冬馬!」

翔太「良かった、これで元通り……」

冬馬「好きになった子が他の男のものになるなんてことが、快感になるなんて」

北斗「は?」


72: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 13:48:07.85 ID:o3o9FqFP0

翔太「冬馬君、今何って……」

冬馬「やべぇ、この胸糞悪いのに気持ちが良いなんて……。こ、これが本当の俺、現実なのか……」

北斗「まさか目覚めたって……」

翔太「そ、そう言う性癖!?」

冬馬「もどかしい世界の上で、俺はパズルを完成させてしまった……。俺の心の中でアババアババと産声を上げている……ッ!」

冬馬「こうしちゃいられねー!!」

翔太「うわっ!」

北斗「こ、これは……」

翔太「冬馬くーん!!!! 帰ってこーい!!」


冬馬「NTRにようこそ!」



74: ◆CiplHxdHi6 2013/03/13(水) 13:50:43.76 ID:o3o9FqFP0

まず長々と待たせてしまい申し訳ありませんでした
加えて途中で全く続きが思い浮かばなくなり、こんな打ち切りに似た終わり方になってしまいました。即興のつもりでしたが、ちゃんと練らないと取り返しのつかないことになると言うのを身を持って体感しました

最後になりますが読んでくださった方、ありがとうございました。





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