1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 21:50:33.466 ID:gzqxPFYi0
殺し屋「ここまでだな……」
社長「ひいっ! ま、待ってくれっ!」
社長「ほら……金だ! 金をやろう! だから命だけは助けてくれっ!」
殺し屋「金で何でも買えるとは思わないことだな」チャッ
パンッ パンッ パンッ
殺し屋「……仕事完了」
殺し屋(しかし……今月はこれ含めてまだ二件しか仕事をこなしてない)
殺し屋(このところ依頼が激減してるよなぁ……なんでだろ)
3: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 21:54:20.635 ID:gzqxPFYi0
ある寂れたストリート――
四人の殺し屋が軒を連ねて事務所を構えていることから、≪殺し屋商店街≫とも呼ばれている。
殺し屋「なぁ、お前ら。近頃、仕事減ってないか?」
ナイフ使い「ああ、たしかに減ってやがる」
アサシン娘「減ったわね~」
糸使い「減ってますね」
殺し屋「やっぱり! お前らもそうだったか……」
5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 21:58:13.944 ID:gzqxPFYi0
ナイフ使い「このままじゃマズイよな」
アサシン娘「うん、廃業まっしぐらだわ」
殺し屋「依頼あっての殺し屋稼業だもんなぁ……」
糸使い「……ん?」
殺し屋「どうした?」
糸使い「もしかしたらこれが原因かもしれませんよ。このニュース記事を見て下さい」
殺し屋「『イオンが殺し屋業界にも参入』だとぉ……!?」
8: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:01:28.957 ID:gzqxPFYi0
アサシン娘「なにこれ? イオンモールで簡単に殺しの依頼をできちゃうの?」
ナイフ使い「しかも、やたら好評みたいだな……」
糸使い「間違いありません。僕らの仕事がなくなったのはイオンが原因ですよ!」
殺し屋「よく商店街がイオンのせいで廃れたなんて話を聞くが……」
殺し屋「俺たちの業界にもとうとう押し寄せてきたってわけか」
アサシン娘「どうする?」
殺し屋「決まってるだろ……行くぞイオンに! 敵情視察だ!」
9: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:05:04.262 ID:gzqxPFYi0
―イオンモール―
殺し屋「ここが、ここらで一番近いイオンモールか」
ナイフ使い「来たことなかったけど、でけえな。まるで要塞じゃねえか」
アサシン娘「わぁ~、キレイ! 私たちがいるストリートとは大違い!」
糸使い「とても殺し屋業界に参入したとは思えませんね」
殺し屋「人は見かけによらないというが、店も見かけによらないってわけか」
10: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:08:13.893 ID:gzqxPFYi0
ナイフ使い「おい、フードコートがあるぜ! メシ食ってかねえか?」
アサシン娘「私、クレープ食べた~い!」
糸使い「僕は銀だこがいいですね」
キャッキャッ
殺し屋「おい、お前ら! はしゃぐな! 遊びに来てるんじゃないんだぞ!」
三人「は~い」
15: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:11:32.713 ID:gzqxPFYi0
殺し屋「これがモール内の案内か……どれどれ……」
殺し屋請負業 『イオンキラーズ』
殺し屋「……これだ」
アサシン娘「3Fだって!」
ナイフ使い「よっしゃ、行こうぜ!」
糸使い「いったいどんな商売をしてるのか、とくと拝見しましょう!」
16: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:16:52.917 ID:gzqxPFYi0
―イオンキラーズ―
ワイワイ… ガヤガヤ…
殺し屋「うわっ、人が一杯いる!」
ナイフ使い「あれ全部、依頼人かよ! 羨ましいぜ!」
アサシン娘「流行ってるわね~、私たちの“商店街”とは大違い!」
糸使い「じゃあ僕らも客のふりして並びましょうか」
17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:22:03.330 ID:gzqxPFYi0
殺し屋(かなり待つと思いきや、意外と早く俺たちの番になったな……)
イオン店員「お待たせ致しました。ではこちらの書類に、必要事項をお書き下さい」
~
ターゲットの名前
日時の希望
希望する殺し方など
……
~
殺し屋「これを書いて、提出したらどうなるの?」
イオン店員「ご依頼に応じた暗殺者を派遣し、仕事を完遂させます」
殺し屋「え、それだけでいいのか!」
イオン店員「はい。イオンキラーズのモットーの一つが“お手軽に”ですから」
殺し屋(なるほど、こんな簡単に依頼できちゃうなら、みんな殺到するわけだ……)
殺し屋(俺たちの場合、綿密な打ち合わせが必要だからな……)
21: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:25:23.342 ID:gzqxPFYi0
イオン店員「あと、こちら値段表です」
殺し屋「……!」
殺し屋「安い!」
アサシン娘「こんな値段で請け負ってるの!?」
ナイフ使い「俺らがこんな価格で受けたら大赤字だぜ!」
糸使い「どうりで客が来なくなるわけですね……」
殺し屋「これは……まともに商売で対抗しようとしたら、絶対勝てないな」
殺し屋(こうなったら仕方ない……)
23: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:28:17.964 ID:gzqxPFYi0
イオン店員「あの、お客様? ご依頼はどうされますか?」
殺し屋「悪いが仕事の依頼をするつもりはない」
イオン店員「え?」
殺し屋「実は俺たちは同業者でね」
イオン店員「あ、そうだったんですか!」
殺し屋「忠告する。今すぐこの≪イオンキラーズ≫とかいう店を畳め」
イオン店員「そういうわけには……」
殺し屋「でなきゃお前の額に風穴があくことになる」チャッ
27: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:31:33.009 ID:gzqxPFYi0
イオン店員「そうくるのでしたら、こちらにも手がございますよ」パチンッ
殺し屋「なに?」
犬「ガルルルルルル……」
犬「ワオォォォォォォンッ!!!」ダダダダダッ
殺し屋「番犬!? は、速いッ!」
犬「ワオンッ! ワオンッ! ワオンッ!」
殺し屋「クソ犬がぁっ!」パンッ
犬「ワオンッ!」キィンッ
殺し屋「銃弾が効かない!?」
イオン店員「彼をいくら攻撃しても、WAONポイントになってしまうだけですよ」
殺し屋「な、なんだとぉ!? みんな、撤退! 撤退だぁっ!」
33: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:36:12.173 ID:gzqxPFYi0
殺し屋「ハァ、ハァ、ハァ……」
ナイフ使い「危ないとこだったぜ……」
アサシン娘「あんな番犬を飼ってるだなんて……」
糸使い「とても実力行使で店を畳ませるのは無理そうです」
殺し屋「仮にあの店員を仕留めたところで、また別の奴がやってくるだけだろうしな……」
殺し屋「こうなったら俺たちも独自にサービスを考えて、イオンに対抗するしかないだろう」
殺し屋「“商店街”の意地、見せてやるんだ!」
34: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:38:25.053 ID:gzqxPFYi0
殺し屋「まず、イオンに敵わないまでも値段をできる限り下げて……」
ナイフ使い「スタンプカードも作ろう! 10回依頼したら、一回タダになる的な!」
アサシン娘「あと、なにかイベントを開催しましょうよ!」
糸使い「始末した標的の死体写真展なんてどうです?」
殺し屋「それいいな! あとは武器を展示するとか――」
ワイワイ… ワイワイ…
39: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:43:33.021 ID:gzqxPFYi0
……
殺し屋「……ダメだったよ」
アサシン娘「こんな付け焼刃な対策じゃ、一度離れたお客が戻ってくるわけないわね……」
ナイフ使い「今月はとうとう一件も依頼が来なかったぜ」
糸使い「僕もです……」
殺し屋「資本が違いすぎる……やはり商店街がイオンに挑むのは無謀すぎたんだ」
アサシン娘「どうする? このままじゃ……」
殺し屋「こうなったら、発想を逆転させよう!」
殺し屋「イオンに敵わないなら、イオンに雇ってもらうんだ!」
41: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:47:21.320 ID:gzqxPFYi0
―イオンキラーズ―
イオン店員「おや、あなたがたはこの前の……どうしました?」
殺し屋「あの……このイオンキラーズで俺たち四人を雇ってもらえないだろうか」
ナイフ使い「頼む!」
アサシン娘「お願いするわ」
糸使い「四人とも殺し屋です。即戦力になりますし、雇って損はないかと」
イオン店員「そういうことですか、分かりました。では、テストを受けていただきましょう」
殺し屋(やった!)
42: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:51:58.946 ID:gzqxPFYi0
イオン店員「アルバイトの彼を倒せたら、あなたたちを雇いましょう」
青年「よ、よろしくお願いします……」
殺し屋(こんな若造を倒せばいいのか……。人手が足りないのか、サービス問題みたいな採用試験だな)
殺し屋「ところで、こいつを殺しちまってもかまわないのか?」
イオン店員「もちろんです。殺し屋同士の勝負ですから。武器使用もオーケーです」
殺し屋「なるほど。じゃあ誰からいく?」
ナイフ使い「俺がいくぜ!」チャキッ
アサシン娘「私にやらせて!」サッ
糸使い「僕にやらせて下さい!」ヒュルルッ
青年「あ、あの……」
殺し屋「ん?」
45: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 22:56:21.865 ID:gzqxPFYi0
殺し屋「なんだ? もしかして“殺さないようにしてくれ”ってか?」
青年「いえ、そうじゃなくて……」
青年「時間が勿体ないので、できれば四人がかりで来てくれないかな、と……」
殺し屋「……は?」ビキッ
殺し屋「ふ、ふふふ、ふふふふ……」
四人「ナメてんじゃねえぞオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
46: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 23:00:20.163 ID:gzqxPFYi0
イオン店員「では四人とも、不採用ということで」
青年「仕事があるので、失礼します……」
殺し屋「つ、強い……」ボロッ…
ナイフ使い「俺のナイフ術がまったく通じねえとは……」
アサシン娘「う、うぅぅ……」ピクピク…
糸使い「が、がはっ……」ゲボッ
殺し屋(ちくしょう、これがイオンのレベルか……! どんな教育してやがる……!)
49: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 23:03:42.848 ID:gzqxPFYi0
ガラガラガラ… ピシャンッ
殺し屋「これでよし、と」
アサシン娘「シャッター閉めた?」
殺し屋「ああ」
殺し屋「俺らの人生はいつか誰かに殺されて終わると思ってたが……」
殺し屋「まさかイオンに廃業(ころ)されることになるとはな」
ナイフ使い「ま、しかたねえよ」
アサシン娘「相手が悪すぎるもの」
糸使い「時代の流れというやつですね」
52: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 23:07:17.726 ID:gzqxPFYi0
殺し屋「みんな、元気でな!」
ナイフ使い「おう!」
アサシン娘「うん!」
糸使い「はい!」
殺し屋(さよなら……殺し屋商店街!)
イオンに敗北し、殺し屋から足を洗った四人は、堅気への道を歩み出す。
その後、四人とも平凡ながら幸せな暮らしを手にしたという……。
54: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 23:10:27.610 ID:gzqxPFYi0
―イオンモール―
イオン店員(最近、イオンキラーズへの依頼が減ってきてるな……どうしてだろう)
イオン店長「大変なことになったぞ!」
イオン店員「どうしました、店長?」
イオン店長「なんと、Amazonが殺し屋業界に参入した!」
イオン店長「ワンクリックで殺しを依頼できる手軽さをウリにしているようだ!」
イオン店員「なんですってぇ!?」
― 完 ―
55: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/30(日) 23:13:38.237 ID:SzL7d0FI0
乙
殺し屋野放しとか警察仕事しろよwwww
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