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喪黒福造「たまには、山の中で過ごすのも悪くはありませんよ」 女性アナウンサー「つまり、山ガールになれと……」

1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:00:17.423 ID:ubjOgrEsD

喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。

    ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。

    この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。

    そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。

    いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。

    さて、今日のお客様は……。

    峯岸セシリア(30) アナウンサー

    【山ガール】

    ホーッホッホッホ……。」


3: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:02:20.106 ID:ubjOgrEsD

夜。東京、港区。帝国テレビ。スタジオにいるアナウンサーたちが、挨拶をする。

アナウンサーたち「こんばんは。X月X日、『ニュースダイヤモンド』です」

女性アナウンサー・峯岸セシリアが、今日の出来事を紹介する。原稿を読むセシリア。

セシリア「本日お伝えする主な内容はこちらです。では、最初のニュース……」

テロップ「峯岸セシリア(30) アナウンサー、帝国テレビ所属」


あるスーパー銭湯。サウナ室にある大型テレビが、「ニュースダイヤモンド」を流す。テレビを見つめる客たち。

客たち「この女子アナ、なかなか可愛いじゃん」「峯岸セシリアか。変わった名前だな」「彼女、日本人とフランス人のハーフらしいぞ」


テレビの画面には、峯岸セシリアの姿が映っている。

セシリア「台湾から金塊を密輸したとして、警視庁は数人の男を逮捕しました……」


4: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:04:17.964 ID:ubjOgrEsD

帝国テレビ。部屋の中にある時計は、真夜中の0時を迎えようとしている。

アナウンサーたち「……おやすみなさい」

スタッフ「お疲れ様でしたーー!」

撮影を終え、リラックスした様子になるアナウンサーたち。

更衣室へ行き、着替えを始めるセシリア。私服姿となったセシリアが、帝国テレビを退社する。


深夜のホテル街。ある人物を待つ一人の男性。彼は背が高く、がっちりした身体つきだ。

停車するタクシー。タクシーのドアが開き、車の中からセシリアが姿を現す。

笑顔を見せる男性。男性に手を振るセシリア。男性とセシリアが手をつなぐ。何者かが、2人の姿をカメラで撮影する。

ホテルの中に入る男性とセシリア。……ある程度時間が経ったころ、建物から出てくる2人。キスをする男性とセシリア。

またも、何者かが男性とセシリアの姿をこっそり撮影する。2人は、自分たちが写真撮影されていることに気づいていない。


5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:06:20.957 ID:ubjOgrEsD

数日後。『週刊文隆』が、男性とセシリアの不倫を大きく報道する。

週刊文隆「巨神・三橋健吾コーチ、帝テレ人気女子アナ『峯岸セシリア』と度重なる密会」

雑誌には、ホテル街にいる三橋とセシリアの写真がいくつも掲載されている。


帝国テレビ。編成局長に説教されるセシリア。

編成局長「全く、君もバカなことをしてくれたな」

セシリア「す、すみません。編成局長……」

編成局長「読朝新聞と帝国テレビは、プロ野球の読朝ギガンツを商品価値にしているんだ」
      「それなのに、自社グループのアナウンサーがコーチと不倫……」
      「今回の事件は……。帝テレにとっても読朝巨神軍にとっても、対外イメージが傷つく出来事だぞ」

セシリア「申し訳ありません。本当に反省しています」

編成局長「峯岸さん。『ニュースダイヤモンド』の降板はやむを得ない。場合によっては、君は帝テレを退職して貰うことになる」


6: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:08:16.571 ID:ubjOgrEsD

夕方。街の郊外を歩くセシリア。彼女の前に、数人のマスコミ関係者が突然現れる。

記者A「すいません!私、『週刊近代』の者ですが……」

記者B「峯岸さん!私は『週刊新春』の者です!」

記者C「峯岸さん!あなたは、三橋コーチとはどういう関係だったんですか!?」

セシリア「あの……、私は……」

記者D「峯岸さん!」

記者たちに問い詰められ、困惑した様子のセシリア。セシリアの後ろに、喪黒福造が姿を現す。

喪黒「まあまあ……。落ち着いてください、みなさん」

セシリア「あなたは!?」

記者A「何のつもりですか、あなた!?」

記者B「そうですよ!私たちの取材に、ちょっかいを出さないでください!!」

喪黒「そのお言葉、あなたたちにお返ししますよ」


7: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:10:15.278 ID:ubjOgrEsD

記者たち「何だって!?」

喪黒「一人の女性の私生活に、ちょっかいを出すべきではありません。峯岸さんが可哀想ですよ……」

喪黒は記者たちに右手の人差し指を向ける。

喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」

記者たち「ギャアアアアアアアアア!!!」

喪黒のドーンを受け、記者たちが倒れる。気絶した状態で、路上に寝そべる記者たち。

喪黒「さあ、早く逃げましょう!」

喪黒に言われるまま、セシリアは後をついていく。

喪黒「峯岸さん、こっちです!」

無我夢中で走る喪黒とセシリア。


BAR「魔の巣」。喪黒とセシリアが席に腰掛けている。

セシリア「ハア……、ハア……」


8: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:12:17.216 ID:ubjOgrEsD

喪黒「もう大丈夫ですよ、峯岸さん。ここにいれば、マスコミの人たちに見つからずに済むでしょう」

セシリア「あ、ありがとうございます……。それにしても、あなたは一体……」

喪黒「私ですか?私はこういう者です」

喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。

セシリア「……ココロのスキマ、お埋めします?」

喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」

セシリア「人生相談とか、そういうお仕事なんですか?」

喪黒「私のやっていることは、ボランティアみたいなものです」
   「心に何かしらのスキマを抱え、人生が行き詰まった人たちを救うための仕事ですよ」
   「ほら……、峯岸セシリアさんも心にスキマがおありのはずでしょう?」

セシリア「ええ……、おっしゃる通りです……」

喪黒「何なら、私があなたの相談に乗りましょうか?」

セシリア「はい。実は私……」


9: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:14:19.163 ID:ubjOgrEsD

身振り手振りを交え、喪黒に一連の事情を話すセシリア。

喪黒「ほう……、そうですか。それは実にお気の毒ですねぇ」

セシリア「ええ。今回の事件で、私は仕事も名誉も何もかも失い……。心理的にもかなりのショックを受けました」

喪黒「なるほど……。今のあなたは、心に大きな傷を抱えているようですねぇ」

セシリア「そうなんです。私は今、精神的にも追い詰められているんです」

喪黒「峯岸さん。あなたはしばらくの間、休養をとった方がいいですよ」
   「周りと距離を置いて、充電期間を設けることも大事でしょう」

セシリア「はい……」

喪黒「私としては、大自然と向かい合うことをあなたにお勧めしたいのですよ」

セシリア「大自然と向かい合う?」

喪黒「はい。自然が豊かな山の中で1日を過ごすことは、傷ついたあなたの心の癒しとなるはずです」

セシリア「そうかもしれませんね……。でも私は今まで、アウトドアとかは趣味じゃなかったので……」


10: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:16:15.512 ID:ubjOgrEsD

喪黒「大丈夫です。峯岸さん、あなたもアナウンサーならご存知でしょう。ほら、近年流行りの山ガールというものを……」

セシリア「山ガールですか……。もちろん、私もいろいろ耳にしていますよ」

喪黒「女性が山の中に入るのは、決して珍しいことではありません」
   「だから、峯岸さん。たまには、山の中で過ごすのも悪くはありませんよ」

セシリア「つまり、山ガールになれと……」

喪黒「その通りです。峯岸さん、山ガールになってみませんか?」

セシリア「……いいでしょう。たまには、山へ行くのもいいかもしれませんね」

喪黒「そうです!その調子!」


ある大型書店にいるセシリア。本棚には、キャンプに関係した本がずらっと並んでいる。

セシリア(えーーと……。キャンプについて書かれた本は……。ここか……)

とある本を手にするセシリア。彼女は本を開く。


11: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:18:15.597 ID:ubjOgrEsD

夜。自宅マンション。机に向かい、ノートパソコンを操作するセシリア。

パソコンの画面には、アウトドア用の女性の服装が映っている。

セシリア(これが山ガールの服装……。思っていたよりも、意外とおしゃれに見えるねー)


ある朝。とある山。自転車をこいで山道を走るセシリア。彼女は防寒着姿だ。

セシリア「ハア……、ハア……、ハア……」
     (自転車をこぐのって、本当に久しぶり……。しかも、後ろに荷物があるからきつい……)

セシリアの自転車には、キャンプ用具などの荷物が積まれている。


とある林。原っぱの中に、自転車が止まる。自転車から降りるセシリア。

セシリア(よーーーし!ここにしよう!)

大きく背伸びをするセシリア。彼女の前の地平の方には、そびえ立つ山が見える。


12: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:20:21.330 ID:ubjOgrEsD

キャンプのやり方の本を見るセシリア。本には、テントの作り方が解説されている。

セシリア(まずは、テントの作り方……。こうやるのか……)

ゆっくりと、テントを組み立てるセシリア。

セシリア「よいしょ……」

テントが完成する。次に林へ行き、枝を集めるセシリア。枝に火がともり、焚き火が出来上がる。焚き火に手を当てるセシリア。

セシリア(あったかい……)

セシリアの頭の中に、喪黒の言葉が思い浮かぶ。

(喪黒「たまには、山の中で過ごすのも悪くはありませんよ」)

セシリア(その通りね。こんな形で休みを取るのも、悪くないよね……)

地平の方にある山を見つめるセシリア。

セシリア(ここにいると、気持ちが落ち着いてくる……)


13: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:22:17.820 ID:ubjOgrEsD

夕方。金属製の飯盒が、焚き火で煮込まれる。器に盛られた米を食べるセシリア。

セシリア(おいしい……!)

夜。テントの近くで、焚き火に当たるセシリア。

高見沢「やぁ……。あなた、ソロキャンプをしてるんですか?」

セシリアに話しかける見知らぬ男性・高見沢。彼は防寒着姿で、顔立ちが整った男だ。

セシリア「は、はい……。もしかして、あなたもそうなんですか?」

高見沢「そうですよ。私もソロキャンプの最中だったんですよ」

高見沢と話をするセシリア。

高見沢「なるほど……。あなたは、帝国テレビのアナウンサーだったんですね」

セシリア「ええ。今の私は、悪い意味で有名人になってしまいましたから……」
     「私のスキャンダルを知って、あなたもさぞ呆れたでしょうね」

高見沢「そんなことはありませんよ。あなたがアナウンサーであることや、この間の例の事件とかは、さっき知りました」
     「何しろ、私はテレビを見ない生活をしていますから……。どうしても、世相に疎くなりがちで……」


14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:24:17.660 ID:ubjOgrEsD

セシリア「そうなんですか……。私が言うのも何ですが、高見沢さんって変わった方ですね」

高見沢「マスコミは大げさなんですよ。不倫をとやかく騒いで何になるんです?」

セシリア「でも、私もそのマスコミにいましたから……」

高見沢「だが……。今のあなたはマスコミの人間ではなく、大自然の中にいる人間でしょう?」
     「人間も動物である以上、動物らしく本能のままに生きるべきなんですよ」

セシリア「ええ、まあ……」

高見沢「峯岸さん、見てください。この雄大な大自然を……」
     「あなたが今まで悩んでいたことは、この大自然に比べるとちっぽけなものですよ」

セシリア「はい……」

高見沢「月が綺麗ですね」

セシリア「ええ……」

夜空に浮かぶ半月を見つめる高見沢とセシリア。半分ほど欠けた月が、林の中を照らす。


15: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:26:18.577 ID:ubjOgrEsD

BAR「魔の巣」。喪黒とセシリアが席に腰掛けている。

喪黒「どうやら、あなたはソロキャンプを満喫できたようですなぁ」

セシリア「はい。精神的に落ち込んでいた私も、大自然の中で癒しを得ることができました」

喪黒「よかったですなぁ、峯岸さん」

セシリア「それに、私は山の中である人物に出会ったんです。実は……」

喪黒「ほう……。もしかすると、あなた……。その高見沢という人に惚れているのですか?」

セシリア「そ、そんなことはないです……。私は高見沢さんとたった1回、出会っただけですし……」
     「それに、私はあの人に対して、連絡先も何も教えていませんから……」

喪黒「それでいいんですよ。だって峯岸さんは、不倫の恋で心に傷を負ったのでしょう?」
   「だから……。あなたが再び誰かと恋愛をするのは、当分の間、控えるべきなんですよ」

セシリア「は、はい……」

喪黒「私は、峯岸さんに山で過ごすよう勧めました。でも、それはあなたを精神的に立ち直らせるのが目的ですから……」
   「あなたが山で誰かと出会って、新しい恋をするためではありませんよ」


16: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:28:18.521 ID:ubjOgrEsD

セシリア「ええ……。それは、もちろん承知していますよ」

喪黒「峯岸さん、私と約束してくださいよ。新しい恋人と出会うために、山へ行ってはいけません。いいですね!?」

セシリア「わ、分かりました……。喪黒さん」


夕方。レストランで食事をするセシリア。彼女の脳裏に、山で出会った男・高見沢のことが思い浮かぶ。

夜。自宅マンションで入浴をするセシリア。この時もなお、セシリアは高見沢のことを考えている。


数日後。とある山。防寒着姿のセシリアが、自転車をこいで山道を走っている。

セシリア(もう1度、あの山に行こう!!そうすれば、私は高見沢さんにまた会えるかもしれない……)

とある林。原っぱの中で、自転車から降りるセシリア。彼女の側に、高見沢が姿を現す。

高見沢「やぁ、峯岸さん」

セシリア「おはようございます、高見沢さん!私、あなたにもう1度会いたかったんですよ!」

テントの組み立てを終える高見沢とセシリア。


17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:30:18.013 ID:ubjOgrEsD

セシリア「高見沢さん。私、焚き火のための枝を集めてきますね!」

林の中に入るセシリア。枝を拾っている彼女の前に、喪黒が姿を現す。

喪黒「峯岸セシリアさん……。あなた約束を破りましたね」

セシリア「も、喪黒さん……!!」

喪黒「私は、峯岸さんに言ったはずですよ。新しい恋人と出会うために、山へ行ってはいけない……と」

セシリア「すみません……。でも、私……。高見沢さんに会いたくて、どうしても……」

喪黒「弁解は無用です。約束を破った以上、あなたには罰を受けて貰うしかありません!!」

喪黒はセシリアに右手の人差し指を向ける。

喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」

セシリア「キャアアアアアアアアアアア!!!」


夜。テント近くで焚き火に当たる高見沢とセシリア。

セシリア「高見沢さん、月が綺麗ですね。ほら、満月……」


19: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/10(土) 16:33:20.773 ID:ubjOgrEsD

夜空の満月を指差すセシリアと、満月を見つめる高見沢。その時……、高見沢の顔や身体に異変が起きる。

獣のような唸り声を上げ、顔や身体が毛深くなる高見沢。

セシリア「高見沢さん、どうしたんですか……?気のせいか、顔が毛深くなってますよ……」

高見沢の顔は、人間の顔から狼のそれへと変化していく。目の前に、兎の姿を見つける高見沢とセシリア。

次の瞬間、高見沢は兎に向かって飛びかかる。一心不乱で兎をむさぼり食う高見沢。表情に不安が浮かぶセシリア。

兎を食べ終えた狼男――高見沢が、じわり、じわりとセシリアに迫りくる。今にも、彼女に襲い掛かりそうな気配で――。

セシリア「い、嫌……。誰か助けて……。キャアアアアアアアアアッ!!!」


夜、とある山の中。テントの近くで、焚き火に当たる喪黒。

喪黒「日本は海洋国家と見られがちですが……。列島をよく見渡すと、山にも恵まれた山岳国家であることに気づきます」
   「昔から……。山は人々に多くの恵みを与えてくれましたし、日本人は山の豊かな自然とともに生活を営んできました」
   「何よりも、山の美しい自然は人間の心を癒してくれますし……。雄大な山の中では、悩みもちっぽけなものにさえ思えます」
   「だから……。たまには山の中でゆっくり過ごすことで、日々の煩わしさから解放されてみるのもいいかもしれません」
   「とはいえ、山には何かと危険がつきものですから……、身の安全にはくれぐれも気をつけるべきですよ。ねぇ、峯岸セシリアさん」
   「オーホッホッホッホッホッホッホ……」

                   ―完―





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