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【ぼく勉】文乃 「相談女」

115: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:44:14 ID:joxzYPf2

先に断っておきますが、アホな上にキャラ崩壊もしています。
読まない方がいいかもしれません。


116: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:45:40 ID:joxzYPf2

書き忘れました。
明確な同性愛的表現があります。
性行為を連想させるような言い回しや表現もあります。
閲覧注意です。


117: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:46:20 ID:joxzYPf2

………………ラーメンうめえん

うるか 「でね! その男の子ったらたらひどいんだよー!」 ズルズルズル……

うるか 「友達はもうこれでもかってくらいがんばってるのにー!」

うるか 「成ゆ――じゃなくて、その男の子は全然気づかないのー!」

文乃 「うんうん。それはちょっと、さすがにねぇ……」 ズルズルズル……

文乃 (今日も今日とてうるかちゃんの愚痴を聞いてるけれど)

文乃 (いつも通り友達の話の体だけど、もうボロが出てるってレベルじゃないよ……)

文乃 (っていうかわたしダイエット中なんだけどな……)

うるか 「聞いてる、文乃っち!?」

文乃 「うんうん。ちゃんと聞いてるよ」

文乃 「……あっ、店員さん、替え玉おかわりお願いします」

文乃 「あと追加でチャーシュー盛りとチャーハンも」

文乃 (困ったなぁ……。また太っちゃうよ……)


118: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:47:02 ID:joxzYPf2

うるか 「……大体、その男の子は鈍すぎるんだよ」

文乃 「うんうん」

うるか 「何であんなに色々してるのに気づかないのかなぁ……」

うるか 「でも、自分から告白して、いまの関係性を壊すのはいやだし……」

うるか 「成幸の――じゃなくて、その男の子の勉強の邪魔になるのはもっといやだし……」

うるか 「ねえ、文乃っち! あたし……の友達はどうしたらいいのかな!?」

文乃 「う、うーん……。どうしたらいいかなぁ……」

うるか 「……成幸がもっと鈍くなかったらな」

文乃 「そうだねぇ。成幸く――じゃなくて、その男の子がもう少し鋭かったらねぇ……」

文乃 (なんでわたしがうるかちゃんのうっかりをフォローしてるんだろう……)

うるか 「……こんな苦しくなるなら、もっと……」

うるか 「べつの人を好きになればよかった……」

文乃 (……ふぁぁああ……) キュンキュン (うるかちゃん、いちいち台詞が乙女すぎるよ。かわいいなぁ……)


119: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:47:38 ID:joxzYPf2

文乃 「そうだね。もしわたしがその男の子だったら……」

ニコッ

文乃 「うるかちゃんの友達にそんな辛い思いはさせないんだけどね」

うるか 「えっ……」 キュン

文乃 「……?」

うるか 「あっ……」 カァアア…… 「そ、そうだね……」

文乃 (おや……?)

うるか 「相手が、文乃っちだったら、きっと……」

ドキドキドキドキ……

うるか 「……あたしのこと、もっと分かってくれるよね」

文乃 (お、おやおや……?)

うるか 「そっか……。文乃っちだったら……」

文乃 (な、なんか雲行きがおかしいな……?)

ギュッ

文乃 「えっ……?」 アセアセ 「な、なんでわたしの手を握るのかな、うるかちゃん?」


120: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:48:20 ID:joxzYPf2

うるか 「……文乃っち」

文乃 「は、はい!」

うるか 「文乃っちって、実はあたしの憧れる女の子そのものなんだよね」

文乃 「えっ……えっ?」

うるか 「……文乃っちだったら、成幸と違って、あたしのことわかってくれるもんね」

文乃 「えっえっえっ」

うるか 「ふ、文乃っち……ううん。文乃」

文乃 「ふぇっ……」

うるか 「この後、時間ある? うちで一緒に勉強していかない?」

文乃 「……へ?」

うるか 「安心して。今日、親、帰ってこないから……」

文乃 「ち、ちょっと? うるかちゃん?」

うるか 「……えへへ。行こ、文乃っ」


121: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:48:57 ID:joxzYPf2

………………翌朝

チュンチュンチュン……

文乃 「………………」

文乃 (なんてこった、だよ……)

文乃 (朝起きたら、知らない天井が目に入った。そしてすぐ隣に、素っ裸のうるかちゃんが寝転んでいた)

文乃 (そしていま、目覚めたうるかちゃんがわたしの身体にすり寄ってきている……)

うるか 「えへへ、文乃……」

スリスリ

うるか 「愛してるよ。えへへっ」

文乃 「………………」

文乃 (……ま、うるかちゃんかわいいし、うるかちゃんも幸せそうだし)

文乃 「わたしも愛してるよ、うるかちゃん……っ」

文乃 (これはこれで、いっか)


うるか編おわり


122: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:49:27 ID:joxzYPf2

………………緒方家 理珠の部屋

理珠 「……ふぅ。だいぶ進みましたね。少し休憩にしましょうか」

文乃 「そうだね。最近はわたしたちふたりだけでも勉強がしっかり進むようになってきたね」

文乃 「これも何もかも、成幸くんのおかげだね」

理珠 「そうですね。成幸さんのおかげで、基礎が身についてきたからだと思います」

文乃 「でも、今日はごめんね。急に泊まりで勉強したいなんて言い出して……」

理珠 「構いません。家に帰りたくないのでしょう?」

文乃 「……うん」 (今日はお父さんが一日中家にいるから……)

理珠 「……そんな顔しないでください。以前のパジャマパーティみたいなものですよ」

文乃 「ふふ、あのときは楽しかったね」

文乃 「今回は急だったから、うるかちゃんも紗和子ちゃんも来られなくて残念だけど……」

理珠 「また今度、ふたりもまじえてやりましょう」

文乃 「そうだね。ふふ、楽しみになってきちゃった」

理珠 「……さて、では休憩ついでにお茶でもいれてきます」

文乃 「あっ、わたしも行くよ」


123: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:50:04 ID:joxzYPf2

………………台所

理珠 「緑茶でいいですか?」

文乃 「うん。カフェインで眠気もすっきりだね」

理珠 「では、緑茶に最適な80度程度のお湯を、っと……」

コポポポポ……

文乃 (手慣れてるなぁ……。さすがはうどん屋の娘だよ)

文乃 (お茶をいれるのも手間取っちゃうわたしとは大違いだなぁ……)

ボイン

文乃 (それにしても、どこがとは言わないけど、パジャマだとますます強調されるなぁ……)

文乃 (お茶をいれるとき腋を締めてるから、余計に強調されて今にもこぼれそうだよ)

文乃 (……って、わたしは何で成幸くんみたいなこと考えてるんだろ)

理珠 「……? お茶、いれおわりましたけど、文乃?」

ジトーーッ

理珠 「何か、邪な念を感じたのですが……」

文乃 「へっ!? き、気のせいだよ!?」


124: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:50:36 ID:joxzYPf2

親父さん 「おっ、文乃ちゃん。いらっしゃい」

文乃 「りっちゃんのお父さん。お邪魔してます」 ペコリ

親父さん 「今日泊まってくんだろ? ゆっくりしていってくれな」

キョロキョロ

親父さん 「と、ところで、今日はあのヤロウ――センセイは来ないのかい?」

理珠 「今日は呼んでいません。前回だって呼んだのは関城さんですし」

理珠 「では、私たちは部屋に戻りますが……」 ジロッ 「くれぐれも覗いたりしないでくださいね」

親父さん 「なっ、何を言ってんだ理珠たま」 ギクッ 「そんなことするわけないだろう?」

理珠 「どうだか、です。では文乃、行きましょう」

文乃 「あっ、うん。では、今晩お世話になります、お父さん」

親父さん 「おう。気兼ねせず、自分の家みたいに過ごしてくれていいからなー」


125: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:57:01 ID:joxzYPf2

………………理珠の部屋

文乃 「ふふ……」

理珠 「……? 急に笑い出して、どうしました?」

文乃 「いや、お父さん、良い人だなと思ってさ」

理珠 「どこがですか? 娘の電話の着信に勝手に出たり、急にハグしてきたりするような父ですよ?」

理珠 「成幸さんにも暴力を振るったり脅したりしますし……」

文乃 「それだけりっちゃんのことが大事なんだよ」

理珠 「……べつに、そんなの嬉しくありません」 プイッ

文乃 「……わたしはうらやましいよ」

文乃 「うちのお父さんに比べたら、はるかに優しくて温かい人だから」

理珠 「あっ……」 シュン 「ご、ごめんなさい……」

文乃 「い、いやいや。こちらこそ、急に変なこと言ってごめんね!」

文乃 「りっちゃんの美味しいお茶を飲んで頭も冴えたし、そろそろ勉強を再開しよっか」

理珠 「そ、そうですね。では、あともうひと踏ん張り、がんばるとしましょう」


126: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:57:44 ID:joxzYPf2

………………

カリカリカリ……

文乃 「………………」

文乃 (……りっちゃんに悪いことしちゃったな)

文乃 (せっかく泊めてくれてるのに、気まずくさせるようなこと言っちゃった……)

理珠 「………………」

文乃 (……それにしても、改めて見ると、りっちゃんってとんでもないくらいの美少女だよね)

文乃 (背も小さくてかわいいし、その割には顔もしっかり小さくて子どもっぽくはないし……)

文乃 (……何より、おっぱいめちゃくちゃ大きいし)

ストーーーン

文乃 (ほんと、わたしとは大違い。なんでこんなに差があるんだろ……)

ズーン

理珠 「………………」 チラッ (……文乃、落ち込んでます)

理珠 (私が父を卑下したせいで、嫌な気持ちにさせてしまいました……)

理珠 (せっかく遊びに来てくれたのに、申し訳ないです……)


127: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:58:36 ID:joxzYPf2

理珠 (文乃に元気を出してもらうために、私が一肌脱ぎましょう)

理珠 (あまり自分のことを笑いのネタにするのは気が進みませんが……)

理珠 (文乃に元気を出してもらうためです。がんばります!)

理珠 「……文乃」

文乃 「……? どうかした、りっちゃん?」

理珠 「今日は急に泊まりに来たから、パジャマもないでしょう?」

理珠 「今日は私のパジャマを貸しますね」

スッ

理珠 「……って、私のパジャマは文乃には着られませんね。小さすぎて!」

バーン

理珠 (ど、どうですか。私の一世一代の自虐ネタは!!)

文乃 「………………」

イラッ

文乃 (自分の胸の小ささについて思い悩んでいたら巨乳の友人に煽られたわけだけど)

文乃 (えっ、待って? ひょっとして喧嘩売ってる? りっちゃん?) ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!


128: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:59:15 ID:joxzYPf2

文乃 「……りっちゃん。いい度胸だな! だよ……」

ムニッ

理珠 「えっ……? な、なぜ涙目で私の頬をつねるのですか、文乃?」

理珠 「いまのは笑うところでは……?」

文乃 「笑えると思う!?」 ムニムニッ

理珠 「い、いはいれふ! ふいの!」

文乃 「そっ、そもそもね! こんなに大きい方がおかしいんだよ!」

ムギュッ

理珠 「!? な、なぜ胸を鷲づかみにするのですか!?」

文乃 「このっ……この乳が……この乳が……!!」

理珠 「父!? お父さんのことで私の胸に当たらないでくれませんか!?」

理珠 (なぜ自虐ネタまで披露した私が責められているのですか……!) ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

理珠 「こっ、この……! どうせ文乃には小さいことによる苦悩なんてわからないでしょうね!!」

文乃 「それで小さいつもりなの!? とことん喧嘩を売るつもりだねりっちゃん!?」

文乃 「いいよ! その喧嘩勝ってやる!! だよ!!」


129: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 22:59:50 ID:joxzYPf2

文乃 「だいたい! りっちゃんはずるいんだよ!!」

文乃 「そんなにかわいくて!! 男の子に好かれる低身長で!!」

文乃 「しかもおっぱいも大きい!? なんだその魅力的すぎる身体は!」

文乃 「その上飲食店の娘だから家事も大丈夫!? この、いいお嫁さんになるために生まれてきたような娘が! だよ!」

理珠 「い、言わせておけば! 文乃こそ、そんなに美人に生まれて何が不満なんですか!!」

理珠 「私なんて、低身長だから似合う服も少ないし、足が短いのだってコンプレックスですし!!」

理珠 「文乃は胸にこだわりすぎです!! それだけスラリとスタイル良くて何が不満なんですか!!」

理珠 「文乃は人の気持ちに敏感で気遣いができます!! いいお嫁さんになれるのはそっちでしょう!!」

文乃 「なっ……こ、こっちはまだまだ言えるよ!!」

理珠 「こっちだって!!」

文乃 「りっちゃんの分からず屋!! めちゃくちゃかわいくてズルいよ!!」

理珠 「文乃こそ分からず屋です!! それだけ美人で何が不満なのですか!!」

文乃 「だいたい、りっちゃんはねぇ……」

理珠 「文乃はいつもそうです!!」

………………


130: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:00:22 ID:joxzYPf2

………………翌朝

チュンチュンチュン……

文乃 「………………」 (……えっ、待って。ねえ待って)

文乃 (わたし、昨日の記憶があんまりないよ?)

文乃 (あの後、少し口論になって、お互いの胸や身体をもみ合って……)

文乃 (なんか、いつの間にか変な雰囲気になって、そして……)

理珠 「……ふっ、文乃……お、おはようございます……///」

理珠 「昨夜は、その……お世話になりました……」

理珠 「こっ……これからも……」 ギュッ 「よろしくお願いしますね……///」

文乃 (目覚めたら隣でりっちゃんが寝ていて、なぜだかわたしに抱きついてくる)

文乃 (……まぁ、いいか) フゥ (りっちゃんが幸せそうだし、何より……)

ムニムニッ

理珠 「あっ……/// ふ、文乃……」

文乃 (この胸をいつでも揉めると思えば)

理珠編おわり


131: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:01:30 ID:joxzYPf2

………………とあるマンション前

文乃 「………………」

文乃 「……はぁ」

文乃 (お父さんが家にいる日だから、お父さんが寝るまで外にいようと思ったけど……)

ザァアアアアアアアアアアア……

文乃 (天気予報では雨が降るなんて言ってなかったのに……)

文乃 (傘も持ってないし、やむまでこのマンションのエントランスで雨宿りさせてもらおう……)

文乃 「……くしっ」

文乃 (うー、寒いなぁ……。少し雨に打たれちゃったし……)

文乃 (風邪、引かないといいなぁ……)

文乃 (あっ……ひとが来た。このマンションの人かな。邪魔にならないようにしないと……)

?? 「……? あら」

文乃 「……? あっ……。き、桐須先生!?」

真冬 「古橋さん、こんなところでどうしたのかしら?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!


132: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:02:11 ID:joxzYPf2

文乃 「うぅ……」 (相変わらず怒ってるような顔で怖いなぁ……)

文乃 「じ、実は、雨に降られちゃって……。傘もないし、ちょっと雨宿りしてるんです……」

文乃 「へくしっ……」

真冬 「なっ……」

真冬 「あなた濡れているじゃない。雨に打たれたのね」

文乃 「そ、そうですけど……」

真冬 「バカ。もう冬も間近なのに、そんな格好で濡れたまま外にいたら間違いなく風邪を引くわよ」

真冬 「傘を貸してあげるから、すぐに家に帰りなさい」

文乃 「い、いや、それは……」

真冬 「……?」

文乃 「………………」 プイッ

文乃 (桐須先生は怖いから、言うことを聞きたいけど……)

文乃 (でも、それより、お父さんがいる家に帰るのは……)

文乃 「……いや、です」


133: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:02:44 ID:joxzYPf2

真冬 「………………」

ハァ

真冬 「……仕方ないわね。ほら、来なさい」

文乃 「えっ……?」

真冬 「私はこのマンションに住んでいるの。とにかく冷えた身体を温めなさい」

文乃 「えっ……? そ、それって……」

真冬 「……じれったいわね。家に来なさいということよ」

ガシッ

文乃 「あっ……で、でも、先生の家にお邪魔するなんて、さすがに悪いというか……」

真冬 「受験生をそのまま放置できないでしょう。風邪でも引かれたら迷惑だわ」

文乃 「うっ……」 (とても厳しくて怖い言葉……でも……)

文乃 (桐須先生の手、冷たくて……)

文乃 (少し、触れた感じが、お母さんみた――)

ハッ

文乃 (わ、わたしは何を考えてるのかな!?)


134: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:03:30 ID:joxzYPf2

………………真冬の家

文乃 「うわぁ……」

ピカピカピカ……

文乃 「桐須先生の家、きれいですね。先生の家、って感じです」

真冬 「当然よ。大人たるもの、身の回りのことをまず完ぺきにこなさなければならないわ」

真冬 (昨日唯我くんが掃除しに来てくれて助かったわ……)

真冬 「ほら、わたしの着替えとタオルを貸してあげるから、シャワーを浴びてきなさい」

文乃 「……すみません」

真冬 「謝るくらいなら家に帰るべきだと思うけれど」

文乃 「うっ……」

真冬 「………………」 ハァ 「……風邪を引く前にシャワーを浴びてきなさい」

文乃 「……はい」


135: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:04:22 ID:joxzYPf2

………………風呂場

文乃 「……うわぁ、すごい」

文乃 (お風呂場の壁や床はおろか、シャワーヘッドまでピカピカだよ……)

文乃 (本当にきれい好きなんだなぁ、桐須先生って……)

文乃 (やっぱり、仕事から家事まで、何もかも完ぺきな人なんだなぁ……)

文乃 「………………」

文乃 「……すごいなぁ」

文乃 (あんなに美人で授業も上手で仕事もバリバリこなしてるのに、家事まで完ぺきなんて……)

文乃 (……わたしとまるで正反対だよ)

文乃 「……はぁ。やめよう」

文乃 (考えたって、気が滅入るだけだよ)


136: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:05:17 ID:joxzYPf2

………………

文乃 「シャワーありがとうございました、先生」

真冬 「ええ。制服はエアコンの風を当てているから、すぐに乾くと思うわ」

文乃 「ありがとうございます。何から何まで……」

真冬 「……気にしなくていいわ。教師として当然のことをしているまでのことよ」

真冬 「温かいお茶もいれておいたわ。こっちに来て座って飲みなさい」

文乃 「す、すみません。いただきます……」

真冬 「………………」 カタカタカタ……

文乃 「……え、えっと……家でもお仕事ですか? 大変ですね」

真冬 「大変と思ったことはないわ。仕事だから当然のことよ」

文乃 「そ、そうですか……」

文乃 (やっぱり、冷たくて怖い人……)

文乃 (……でも、わたしをムリに家に帰すわけじゃなくて、家に招き入れてくれた)

文乃 (『教育係』 をしてもらっていたときは、気づかなかった……)

文乃 (先生はひょっとして、優しい人なのかな……?)


137: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:05:58 ID:joxzYPf2

真冬 「………………」

真冬 「……喋りたくなければ喋らなくていいのだけど」

文乃 「は、はい?」

真冬 「どうして家に帰りたくないのか、教えてもらってもいいかしら?」

文乃 「………………」

文乃 「……お父さんに、会いたくなくて」

文乃 「眠る時間まで、外にいたかったんです……」

真冬 「……なるほど。わかったわ」

スッ

文乃 「へっ……? ノートとペンを持って、どうしたんですか?」

真冬 「聞いてしまった以上、見過ごせないわ。どうしてお父さんに会いたくないのか、言いなさい」

文乃 「えっ……そ、それは……ちょっと、言いたくない、です……」

真冬 「ダメよ。あなたは “お父さんに会いたくない” と言ってしまった」

真冬 「子どものSOSの言葉を受けてしまった。教師として、それをそのまま見過ごすことはできないわ」

真冬 「あなたが喋りたくなくても、私は絶対に聞くわ。だから、喋りなさい」


138: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:07:17 ID:joxzYPf2

文乃 「せ、先生……?」

真冬 「………………」 ジッ

文乃 (厳しい言葉。義務感から来るような、堅苦しい、言葉……)

文乃 (でも、どうしてだろう。桐須先生のその言葉から、とてつもない温かみを感じる……)

文乃 「き、聞いてくれるんです、か……?」

真冬 「……ええ。もちろんよ。私はあなたの先生だもの」

真冬 「お願い。話して。子どもの言葉を、私は絶対に投げ出したりしないから」

真冬 「もしあなたがSOSを訴えているなら、教師として……」

真冬 「……いえ。大人として、それを見過ごすことは絶対にできないのよ

文乃 「………………」

グスッ

文乃 「……わたし……わたし……っ」

文乃 「……お父さんのことが、怖くて……」


139: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:08:02 ID:joxzYPf2

………………

文乃 「……すみません、先生。お話聞いてもらっちゃって」

真冬 「気にしないで。これも仕事よ」

真冬 (……話を聞く限り、ネグレクトと呼べるか呼べないかギリギリのラインね)

真冬 (小学生当時から今の生活を続けていたとしたら、間違いなくネグレクトだけれど……)

真冬 (高校生段階の今、明確にネグレクトと言うことはできないでしょうね……)

真冬 (直接的な心身に対する暴力もいまはないようだし)

真冬 (……彼女にとっては本当に心の底からいやなことなのだろうけど、)

真冬 (いまの生活を続けてもらうしかないわね……)

文乃 「………………」

文乃 (……仕事。まぁ、そうだよね)

文乃 (わたしなんて、先生にとってはたくさんの生徒のうちのひとりだもんね……)

グスッ

文乃 (あっ……ど、どうしてまた、涙が出てくるんだろ……)


140: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:08:32 ID:joxzYPf2

真冬 「………………」

ギュッ

真冬 「……つらかったのね」

文乃 「あっ……」 (やっぱり、そうだ……)

文乃 (先生の手、少しひんやりして、でも心地良く包み込んでくれる……)

文乃 (まるで、お母さんの手みたい……)

真冬 「……お父さんが寝るまで家にいてもらって構わないわ」

真冬 「ただし、高校生ひとりで帰れるような時間でないでしょうから、私が送っていくわ」

文乃 「……すみません。ありがとうございます」

真冬 「……ふふ」

文乃 「……? どうしたんですか?」

真冬 「ごめんなさい。『教育係』 をしていたときは、あなたの泣く姿なんて想像もつかなかったから、少しおかしくて」

文乃 「なっ……」

プイッ

文乃 「な、泣いてなんかないです! 少し涙ぐんじゃっただけで……」


141: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:09:25 ID:joxzYPf2

真冬 (さっきまでわぁわぁ泣いていたくせに、まったく、気丈な子ね……)

真冬 「部屋が暖まってきて、少し暑くなってきたわね」

真冬 「涙で水分も減ってしまったようだし、ジュースでも持ってくるわ」

文乃 「あっ、お構いなく……」 ハッ 「……じゃなくて! 泣いてなんかないですってば!」

文乃 (……まったくもう)

文乃 (でも、先生の手……)

文乃 (本当にお母さんみたいだった……)

ドキドキドキドキ……

文乃 (わ、わたし、何考えてるんだろ……)

真冬 「……はい、どうぞ」

コトッ

文乃 「あ、ありがとうございます。いただきます」 ゴクリ 「……?」

文乃 (このジュース、何か変な味がするような……?)

文乃 (あ、あれ? なんか心がふわふわする? 周りが回って見える……?)

真冬 (ノドが乾いたわね。私も一杯いただこうかしら) ゴクッ


142: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:10:21 ID:joxzYPf2

真冬 「………………」

文乃 「……? 先生?」

真冬 「……古橋さん」

文乃 「は、はい!」

真冬 「……ぐすっ……えぐっ……」

文乃 「……えっ?」

真冬 「うわぁああああああああああああああああん!!!!」

ギュッ

文乃 (何事!? 桐須先生が急に泣き出して抱きついてきたよ!?)

文乃 (あっ……でも、なんか変な気分。悪い気はしないというか……)

文乃 (なんか、身体が熱いなぁ……)

文乃 「せ、先生? 一体どうしたんですか?」

真冬 「いままでつらかったわね! 大変だったわね……」

真冬 「あなたの苦悩を思うと、涙が止まらないわ……」

文乃 「先生……」


143: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:11:12 ID:joxzYPf2

真冬 「古橋さん、あなたは偉いわね……」

ナデナデナデナデナデナデ

文乃 「………………」 ポワポワ

文乃 (あっ……桐須先生がわたしの頭を撫でるなんて……)

真冬 「いままで、大変なことに耐えてがんばってきたのね……」

真冬 「理系の勉強だって一生懸命がんばってるわね……」

真冬 「偉いわ。本当に偉いわよ……」

ナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデ

文乃 「せ、先生……」 (わたしたちのこと、本心では認めてくれてたんだ……)

文乃 (お母さんみたいな手が、わたしのこと、撫でてくれてるんだ……)

キュン

文乃 「せ、先生……」

真冬 「なぁに? 古橋さん」 ニコッ


144: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:11:48 ID:joxzYPf2

文乃 「わ、わたしも、抱きついてもいいですか……?」

真冬 「ええ。もちろんよ。いらっしゃい?」

文乃 「……えへへ。桐須先生……っ」

ギュッ

真冬 「ふふ。可愛い子ね、古橋さん。良い子よ。偉いわ」

文乃 「せっ……先生!」

ムギュッ

真冬 「甘えんぼさんね。ふふふ、偉いわ。いいこいいこ」

文乃 「えへへー、もっと撫でて?」

真冬 「いいわよ。ほら」

ナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデナデ

文乃 (ふぁ……なんか、車酔いしたときみたいに、視界がグルグル回って……)

文乃 (なんか、すごく幸せな気分……?)

文乃 (ああ、それにしても……) ゴクリ (桐須先生って、かわいいよね……)


145: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:12:18 ID:joxzYPf2

………………翌朝

チュンチュンチュン……

真冬 「………………」

サァアアアアアアアア……

真冬 (青ざめるどころの騒ぎじゃないわ。頭から血が一斉に抜け落ちたかと思ったわ)

文乃 「先生っ。おはようございますっ!」

文乃 「ねえ、先生。朝も撫でてください。お願いします」

真冬 「え、ええ……」 ナデナデ

文乃 「きゃーっ。嬉しいです、先生。えへへ、大好きっ」 ギュッ

真冬 (目覚めたら教え子の少女が裸で隣に寝ていた。しかも目をハートマークにして抱きついてくる)

真冬 (ああ、そうね。これはつまり……)

真冬 「……減俸、停職……いや、懲戒免職……と、いうよりは……」

ガタガタガタガタ

真冬 「……逮捕、かしら」

真冬編おわり


146: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:13:02 ID:joxzYPf2

………………古橋家 玄関前

あすみ 「………………」

あすみ (……まさかまた仕事でここに来ることになるとはな)

あすみ (ったく、古橋の奴。もう一回家事代行呼ぶくらいならあのときやらせろっての)

あすみ (今回も冷やかしだったら許さねーからな……)

ガチャッ

文乃 「……お待たせしました。小美浪先輩」 キョロキョロ

あすみ 「……? 心配しなくても、電話で言われたとおり今日はアタシひとりだよ」

文乃 「そ、そうですか……」 ホッ 「よかった……」

文乃 「さ、どうぞどうぞ。もうおなかペコペコなんですよ」

あすみ 「おう。じゃ、お邪魔しまーす、っと……!?」

あすみ 「ごはっ……!?」 (な、なんだ、この尋常じゃない異臭は……!?)

あすみ (この世のものとは思えないこの臭いは……台所からか!?)

文乃 「……お料理しようと思ったら少し失敗しちゃって……」

文乃 「すみませんが、よろしくお願いします、先輩」


147: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:13:36 ID:joxzYPf2

………………台所

あすみ 「……おい、古橋」

文乃 「はい」

あすみ 「これのどこが、“少し失敗しちゃって” なんだ?」

あすみ (……なんだこの大惨事は)

あすみ (何で魚をまるごと鍋にぶち込んでるんだ?)

あすみ (何で野菜を切らずにそのまま鍋に放り込んでるんだ?)

ゴトゴトゴト……!!!!

あすみ (何で炊飯器から何かが暴れるような音がするんだ!?)

あすみ 「お前この惨状は一体なんだ!?」

文乃 「……うぅ、面目ないです」

あすみ 「これの後始末を人に押しつけられるお前の胆力を恥じた方がいいと思うぞ……」

ハァ

あすみ 「……仕方ねぇ。仕事だしな」

あすみ 「ここは責任持ってアタシがきれいにするから、少し向こうで待ってろ」


148: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:14:16 ID:joxzYPf2

………………

文乃 「……はぁ」

文乃 (結局あれから、先輩は凄まじい速度で台所をきれいにして、)

文乃 (家中の掃除を終わらせ、晩ご飯の準備まで終わらせてしまった……)

あすみ 「いやー、悪いな。アタシまでごちそうになっちゃって」

文乃 「気にしないでください。作ったの小美浪先輩じゃないですか」

あすみ 「にしし、まぁそれはその通りだけどさ」

あすみ 「にしても……」

ゴォォオオオオオ!!!!

あすみ 「すげー嵐だな。こりゃ当分やみそうにないな……」

文乃 「天気予報だと、明け方まで続くそうですよ?」

あすみ 「しまったな。嵐が来るってわかってりゃ、スクーターじゃなくて徒歩で来たんだけどな……」

文乃 「すみません、嵐が来るような日に家事代行頼んでしまって……」

あすみ 「あ? いやいや、そんなのお前が気にするようなことじゃねーよ」

あすみ 「仕事受けたのはこっちだからな。ま、なんとか帰るさ」


149: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:15:37 ID:joxzYPf2

文乃 「でも、危ないですよ……」

文乃 「もし先輩さえよければ、今日はうちに泊まっていきませんか?」

あすみ 「えっ……? いや、それは……ありがたいっちゃありがたいが……」

あすみ 「親御さんだっていらっしゃるだろうし、迷惑だろ」

文乃 「大丈夫です。うちは父しかいませんし、その父も今日は帰ってきませんから」

文乃 「寝間着はわたしのを貸しますし……だから先輩、どうぞ泊まっていってください」

あすみ 「あー……」

あすみ 「……じゃあ、悪い。正直言ってすごく助かるし、お言葉に甘えさせてもらってもいいか?」

文乃 「もちろんです!」

文乃 「ごはん食べ終わったら、一緒に勉強しましょう?」

あすみ 「……お前、まさか、アタシに勉強教わるのを期待して泊まってけなんて言ったんじゃないだろうな?」

文乃 「えっ? い、いやいや、そんなこと……まぁ、少しはありますけど……」

あすみ 「……はぁ。ったく、仕方ねーな。ま、いまのお前はアタシの雇い主だからな」

あすみ 「家事代行ついでに、後輩代わりに臨時の 『教育係』 やってやるよ」


150: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:16:41 ID:joxzYPf2

………………

あすみ 「二次不等式は、早い話が二次方程式の応用だ」

あすみ 「単純に考えろ。イコールで結ばれていた両辺が、大なりと小なりで結ばれてるだけだ」

文乃 「ふむふむ……」

あすみ 「イコールがついてりゃ以上か以下、ついてなけりゃ “より大きい" か “より小さい" かだ」

あすみ 「ふたつの式で変数に対しての関係性が暴かれりゃ、あとは数直線で考えれば一目瞭然だろ?」

文乃 「なるほど! 今まで、数学って何が何でも数式で解かなきゃって思ってましたけど、」

文乃 「図を使った方が分かりやすければ図を使ってもいいんですね!」

あすみ 「共通一次はマークシートだ。最終的に答えさえ出りゃいいからな」

文乃 「よーし! 今の感覚を忘れないうちに練習問題解きまくるぞー!」

あすみ 「おう、がんばれ」

あすみ (……ったく。分かった途端目の色変えやがって)

あすみ (なんか、勉強をしはじめた小学生みたいだな、こいつ)

あすみ (……本当に、苦手なことでも、あきらめずがんばろうとしてるんだな)


151: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:17:37 ID:joxzYPf2

………………

あすみ 「風呂、貸してくれてありがとな。温まったよ」

あすみ 「着替えも、助かる。悪いな。雇われた身なのに、何から何まで……」

あすみ 「さすがに古橋のパジャマだから、あたしにはぶかぶかだけど……」

文乃 「いえいえ。気にしないでください、先輩。わたしも勉強を教えてもらって助かりましたから」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

文乃 「それより、ぶかぶかって、わたしが太ってるって意味ですか?」

あすみ 「太ってる太ってない以前にそもそも体格がアタシとお前じゃ全然違うだろ……」

あすみ 「……お前ってさ、そんだけスラリとしてスタイルいい身体に対して、何が不満なわけ?」

文乃 「不満だらけですよ。すぐに体重増えるし、そのくせ……」

文乃 (むねはこれっぽっちも大きくならないし!!)

あすみ 「ちんちくりんのアタシよりよっぽどいいと思うけどな」

あすみ 「背が低いと大変なんだぞ? この世は身長150cm以下の人間に対して厳しいからな」

あすみ 「図書館なんて、アタシが背伸びしたって届かない位置に本がたくさん並んでるんだぜ? 嫌にもなるよ」


152: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:18:22 ID:joxzYPf2

文乃 「……ないものねだりですよ。わたしだって、背が低い方がいいとは思いませんけど、」

文乃 「わたしにだって、わたしなりの悩みがありますよ」

あすみ 「……ま、そりゃそうか」

あすみ 「でも、後輩はお前みたいな正統派美少女がタイプなんじゃないか?」

文乃 「え……?」

カァアアアア……

文乃 「い、いきなり何を言うんですか、先輩……」

あすみ 「顔真っ赤にしちまって、かわいーなー、古橋?」 ニヤニヤ

文乃 「ま、前も言いましたけどね、わたしはべつに、成幸くんのことなんて、なんとも思ってないですから!」

文乃 「ヘンなこと言うのも大概にしてください!」

あすみ 「へー。なんとも思ってない、ねぇ?」

あすみ 「なんとも思ってない男子のことを、名前にくん付けで呼ぶのかー。すごいなー。恐れ入ったわー」

文乃 「そ、それは……だから、ただの、姉弟ごっこで……」

あすみ 「ほぅ。じゃあ、姉弟ごっこをまだ続けてるのか?」

文乃 「そうではないですけど……」


153: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:19:16 ID:joxzYPf2

あすみ 「にひひ。じゃあお前は、姉弟ごっことやらが終わった後も、後輩を名前で呼びたいわけだ?」

文乃 「ち、違いますよ! なんとなくそうなっちゃっただけで……」

あすみ 「ふーん。まぁ、そういうことにしておこうかね」

文乃 「……むっ。そういう先輩こそ!」

文乃 「成幸くんから聞きましたよ! キス写真を撮ったり、ふたりきりで海に行ったりしたって!」

あすみ 「あん? 仕方ねーだろ。あいつには恋人役をやってもらってるんだから」

文乃 「先輩の事情は知りませんけど、事情があるからって、何とも思ってない相手に恋人役なんかやらせます?」

あすみ 「うっ……そ、そりゃ、まぁ……後輩のことは、べつにキライじゃないし……」

文乃 「嫌いじゃない? それって好きってことじゃないですか!」

あすみ 「なっ……何を言い出すんだお前は。好きなわけないだろ」

文乃 「へー! じゃあ言いますけど、わたし成幸くんにキス写メ見せてもらいましたけどね!」

あすみ (何見せてんだあいつ!?)

文乃 「顔真っ赤にしてる成幸くんに誤魔化されがちですけど!!」

文乃 「先輩の顔もほんのり赤みがかってましたからね!? 恥ずかしそうに!」

あすみ 「なっ……そ、そんなわけねーだろ!!」


154: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:19:58 ID:joxzYPf2

文乃 「っていうかさっきケータイの待ち受け、ちらっと見ちゃいましたけど!!」

文乃 「先輩、成幸くんとのキス写メを待ち受けにしてますよね!?」

あすみ 「なっ……ち、ちがっ、こ、これは……っ」

あすみ 「お、親父を誤魔化すための、小細工、っつーか……その……」

文乃 「………………」

ハッ

文乃 「……す、すみません、先輩。言いすぎました。つい白熱しちゃって……」

あすみ 「いや、こっちこそすまん。アタシも言いすぎた……」

文乃 「………………」

あすみ 「………………」

文乃 「……あ、あの、先輩。これ、絶対、内緒ですけど……」

あすみ 「……ん?」

文乃 「正直言うと、わたし、成幸くんにときめいたこと、一度や二度じゃすまないくらい、あるんです」

あすみ 「えっ……」


155: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:20:36 ID:joxzYPf2

文乃 「好きとか聞かれると、わかりません……」

文乃 「でも、決して、嫌いじゃないというか……」

文乃 「成幸くんだったら、いいかな、なんて思うことも、時々合って……」

文乃 「でも、りっちゃんもうるかちゃんも成幸くんのことが好きだから」

文乃 「……こんな中途半端な気持ちじゃ、ふたりには勝てないって、わかるから……」

あすみ 「……そっか」

あすみ 「実は、アタシもそうなんだよ」

あすみ 「親父を誤魔化すためとか言いつつ、あいつとふたりで過ごす時間が楽しくてさ」

あすみ 「好きとか、そういう言葉にはできないけど……きっと、アタシはあいつを憎からず想ってる」

あすみ 「でも、あの緒方と武元が相手じゃな」

あすみ 「勝てるとも思えんし、そもそも自分に勝つ気があるのかもわからんし……」

文乃 「先輩……」

あすみ 「……アタシたち、似たもの同士だな」

文乃 「で、でも、先輩は家事が大得意だし、気配りもできるし、体力もあるし……」

文乃 「わたしにはないもの、たくさん持ってるから、きっと、成幸くんだって……」


156: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:21:23 ID:joxzYPf2

あすみ 「そんなの、さっきと一緒だろ。お前が持ってて、アタシが持ってないものだってたくさんある」

あすみ 「アタシはお前みたいに綺麗じゃないしさ。お前みたいにおしとやかでもない」

文乃 「なっ……!」 ムカッ 「だから、先輩はキレイですって! すごい美人のくせに、何言ってるんですか!!」

文乃 「わたしなんて、お菓子食べてばっかりのおデブなのに……!!」

あすみ 「なっ……」 カチン 「お前いい加減にしろよ!? あたしみたいなちんちくりんを前にして、自分をまだ卑下するか!?」

あすみ 「お前がデブだと!? それなら人類ほぼ全員デブだよ!!」

ギュッ

文乃 「ひゃっ……/// お、お腹に手を回さないでください!」

あすみ 「こんなに細いウエスト回りのくせに、何がデブだ!!」

文乃 「せ、先輩こそ! 何がちんちくりんですか!! 実は身長に対して脚すごく長いくせに!!」

文乃 「顔だって小さいし、すごい美人さんだし……何より!!」

ムニュッ

あすみ 「なっ……/// き、急に胸を揉むな!!!」

文乃 「先輩細いから目立たないけど、アンダーに対してトップ結構ありますよね!?」

文乃 「カップ的には大したことないかもしれないけど、これ実はかなりの胸ですよ!?」


157: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:22:07 ID:joxzYPf2

あすみ 「な、何をぅ~~~!!」

あすみ 「この正統派美少女! おしとやか!! 黒髪美人!!!」

文乃 「こっちだって負けませんよ!!」

文乃 「かわいいのにキレイ! くびれもある!! 胸もある!!!」

あすみ 「ぬぬぬ……!!!」

文乃 「ぐぐぐ……!!!」

あすみ 「この!! こうなったら夜通しお前のいいところ言いまくってやる」

文乃 「望むところですよ! 先輩のいいところで言い負かしてやります」

バチバチバチバチ……!!!


158: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:22:40 ID:joxzYPf2

………………翌朝

チュンチュンチュン……

文乃&あすみ 「「………………」」 ズーン

文乃 「……あ、あの先輩」

あすみ 「おう……」

文乃 「……昨晩のことは、お互い、忘れましょう」

あすみ 「そうだな。忘れた方がいいな」

あすみ 「お互いのいいところを言い合っていたら、いつの間にか変な雰囲気になって……」

あすみ 「……チョメチョメ……しちゃったなんて……」

文乃 「なっ……/// なんで言うんですか……」 ウルウル

文乃 「せっかく忘れようとしてたのに……忘れられなくなっちゃったじゃないですか……///」

あすみ 「……忘れる気なんてなかったくせに」

ガバッ

文乃 「あっ……せ、先輩……///」

あすみ編おわり


159: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:23:20 ID:joxzYPf2

………………一ノ瀬学園 化学室

紗和子 「……ぐすっ、えぐっ……」

紗和子 「それでね、ひどいのよ、緒方理珠……」

紗和子 「私は、緒方理珠のことを思って、突き飛ばしたのに……」

紗和子 「“キライです” だなんて……」

紗和子 「えぐっ……」

文乃 「よしよし。つらいね。いやだね。大丈夫だよ、紗和子ちゃん」

文乃 「きっとりっちゃんも本心からの言葉じゃないからね……」

紗和子 「うぅ……うわぁああああああああああああああん」 ガバッ

文乃 「……っとと。おー、よしよし」 ナデナデ

文乃 (なんでわたし、紗和子ちゃんの相談受けて抱きつかれてるんだろう……)

文乃 (まぁ、いいけどさ……)

ムラッ

文乃 (……よく見たら、紗和子ちゃんってすごくおとなっぽくてきれいだよね)


160: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:24:03 ID:joxzYPf2

紗和子 「うっ……ぐすっ……」

文乃 「………………」

ゴクリ

文乃 (そんな子が、自分の胸の中で泣いてるって考えると……)

ゾクゾクッ

文乃 「……ねぇ、紗和子ちゃん」

紗和子 「……な、なに?」 ウルウル

文乃 (あっ、涙目で上目遣い。超可愛い。うん。もうむり)

ギュッ

紗和子 「えっ……? ふ、古橋さん……?」

文乃 「今は、“文乃” って呼んで?」

紗和子 「ふぇっ……?」

文乃 「今から、りっちゃんのことなんて忘れさせてあげる」


161: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:24:43 ID:joxzYPf2

………………翌朝

チュンチュンチュン……

文乃 「……ふぅ」

紗和子 「でへ、でへへ……」

紗和子 「文乃様ぁ……でへへ……」

文乃 「紗和子ちゃんの攻略難度、低すぎだよ。チョロいね」

文乃 「でもまぁ、悪くなかったし……」

ニヤリ

文乃 「ほら、起きて、紗和子ちゃん。もう一戦、行くよ?」

紗和子 「あっ……ふ、文乃様……っ」

紗和子編おわり


162: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:25:31 ID:joxzYPf2

………………唯我家

文乃 「あなたはだんだん、わたしのことをお兄ちゃんだと思うようになーる」

水希 「うっ……」

ブラン……ブラン……

水希 (だ、ダメよ。催眠術なんかに負けちゃ……)

水希 (この人はお兄ちゃんをたぶらかそうとする、女……)

水希 (決して、お兄ちゃんなんかじゃ――)

文乃 「どうしたんだ、水希? 俺だよ? 成幸だよ?」

水希 (あっ……)

水希 「………………」

水希 「……えへへ、お兄ちゃん♪」 ギュッ

文乃 「よしっ」

文乃 (……でも、さすがに中学生相手に朝チュンは犯罪だからやめとこう)

水希編おわり


163: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:26:01 ID:joxzYPf2

………………深夜 古橋家

文乃 「………………」

パチッ

文乃 「………………」

ガバッ

文乃 「は、はぁあああああああああああ!?」

文乃 (なんてアホな夢を見たのかな、わたしは!?)

ドキドキドキドキ……

文乃 「ゆ、夢だよね……? 夢でよかった……」

? 「……? どうかしたの、文乃?」 モゾッ

文乃 「いや、ちょっと怖い夢をみちゃって……」

文乃 「……えっ? う、うるかちゃん!?」

うるか 「もー、うるさいなー。ゆっくり寝られないよー」 ギュッ

理珠 「まったくです。ほら、ぎゅってしてあげますから、怖い夢なんかわすれましょう」 ムギュッ

文乃 「りっちゃんまで!?」


164: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:26:37 ID:joxzYPf2

真冬 「……まったく。いつまでたっても子どもなのだから」 ギュッ

あすみ 「ま、そんなところもかわいいんだけどな……」 ギュッ

紗和子 「文乃様ぁ、私の方にも来てください……っ」 ギュッ

水希 「お兄ちゃん。わたしがなでなでしてあげるね」 ナデナデ

文乃 「う、うそ……」

ガタガタガタガタ……

文乃 (全部夢じゃなかったの!? 現実!?)

文乃 (わたしほんとに全員に手を出して全員に惚れられたのーーー!?)

うるか 「えへへ、文乃。あたし、幸せだよ」

理珠 「私もです。幸せですよ、文乃」

真冬 「文乃さん。あなたは私が守るわ」

あすみ 「家事なら任せろ。お前の身の回りの世話は全部アタシがやってやる」

紗和子 「私は文乃様の犬です……はぁはぁ……」

水希 「お兄ちゃんのためだったら、わたしなんでもするからね」

文乃 「た、たたた……」 ブルブルブル 「助けてーーーーーーー!!」


165: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:27:14 ID:joxzYPf2

………………幕間 「全部夢です」

文乃 「ひっ……た、助け……助けて……」

成幸 「………………」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

成幸 「……どんな怖い夢を見てるのか知らないけどな」

成幸 「勉強中に寝るなー!!! 早く起きろ古橋ーーーーー!!!」


おわり


166: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/11/12(月) 23:31:09 ID:joxzYPf2

>>1です。
読んでくださった方、ありがとうございました。

そして本当にごめんなさい。申し訳ない気持ちで一杯です。
まとめサイトの方。まとめていただいても構いませんが、
>>115>>116の注意書きの部分も載せてもらえると助かります。
それから、念のため、桐須先生編で文乃さんが飲んでいるのは気分が良くなるジュースです。お酒ではありません。





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