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【艦これ】初月「き、今日は……提督の所にいかないのか」

1: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 15:44:34.84 ID:GdMRmGzI0

前作の続きとなります。

【艦これ】初月「長10cmを返してくれ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455370950/

バレンタインと関係のないお話ですが……

もしよろしければ、ごゆっくりどうぞです。


2: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 15:47:18.41 ID:GdMRmGzI0

長10「……」コクッ

初月「ど、どうしたんだっ」オロオロ

初月「菓子が食べたかったら行ってもいいんだぞっ」

長10「……」ブンブン

バサッ

初月「……これは虫歯の絵本か」

初月「虫歯になりたくないから、菓子は食べない」

初月「そ、そういうことだな……」

長10「」コクコク


3: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 15:54:06.41 ID:GdMRmGzI0

初月(……至極正論だ)

初月(なにも、言い返すことはできない)ガクッ

初月(…………まったく情けない話だ)

初月(長10㎝と質素な生活を心がけてきた僕が……)

初月(……僕が、昨日の菓子の味を……)

初月(忘れられなくなるなんて……)シュン


4: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 16:08:18.79 ID:GdMRmGzI0

初月(僕ごときが菓子をまた食べたいなんて……っ)

初月(卑しすぎる、言っていいはずが……ない)

初月(何よりこれ以上は、姉さん達に申し訳が立たない……!)

初月(が、我慢するんだ……)

初月(我慢だ……!)


5: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 16:15:55.66 ID:GdMRmGzI0

提督「いらっしゃい!」

提督「今日は一人?」

初月「あ、あぁ……そ、そうだ……」



初月(あーもうっ!)

初月(何をやっているんだ僕はっ)

初月(無意識にここに来てしまうなんて……!)


6: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 16:26:38.24 ID:GdMRmGzI0

初月(長10cmが来てないのに、僕が来るなど不自然だ……)

初月(とにかく、なにか話をして誤魔化そう……!)


初月「な、なぁ、提督……」

提督「ん?」

初月「は、腹……」

初月「……減ったな」

提督「お腹かぁ」


初月(……しまった!これじゃあ……)ガーン

初月(暗に何か食べたいと言ってるようなものじゃないか……!)


7: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 16:38:19.63 ID:GdMRmGzI0

初月(お、おしまいだ……)ガクッ

初月(提督にも姉さんにも、僕は……)

初月(もう卑しい奴だとしか思われなくなってしまう……)ガタガタ

オヨヨ…


提督「え、どうしたのっ」

提督「急に地べたに膝なんかついて」

初月「…………」ジワ…

初月「ていとく……」


8: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 16:51:54.72 ID:GdMRmGzI0

提督「wwwwwwwwwww」

初月「……」シュン


9: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 16:59:46.61 ID:GdMRmGzI0

提督「だからこの間も言ったじゃん」

提督「こういう事には正直になってもいいんだって」

初月「だ、だが……」

初月「ここは内地じゃなくて、外洋の泊地だ」

初月「僕には、菓子を手に入れる手段がないじゃないか……」

提督「え、酒保で売ってるじゃん」

初月「えっ」

提督「えっ」


11: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 17:06:36.42 ID:GdMRmGzI0

初月「し、知らなかった」

初月「今まで、酒保を利用することがなかったから……」

提督「…………」

提督「むしろ今までのお給料、何に使ってたの?」

初月「報酬は……全て貯金している」

提督「貯金?」

初月「あぁ」

初月「戦争が終わっても……」

初月「姉さん達が少しでも楽できるように」


提督(え、なにこの子すごい健気なんだけど)


13: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 17:15:12.27 ID:GdMRmGzI0

初月「だが、僕は菓子の魔力に取りつかれてしまった……」ガクッ

初月「提督、僕はどうすればいいんだ?」

初月「どうすれば、この気持ちを落ち着けることができる?」

初月「教えてくれ……」


提督(たかだかお菓子で、ここまで頭を抱える子を見たことないんだよなぁ)


14: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 17:22:07.53 ID:GdMRmGzI0

提督「……まぁ、事情は分かったよ」

提督「ちょっと公平じゃないけど、力を貸そう」

初月「どういうことだ?」

提督「君が滞りなく貯金ができる程度には報酬に“色を付けよう”ってことだよ」

初月「そんな!僕はそんなつもりで言ったわけじゃない!」バッ

提督「分かってるよ」

提督「ただ僕も……君の前いた艦隊の悪い噂を、ちょくちょく耳にしてるんだ」

初月「!」


16: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 17:34:52.53 ID:GdMRmGzI0

提督「あそこは消耗率の高い、最前線任務をすすんで引き受けているらしいね」

提督「でも、その戦闘に伴う莫大な予算を計上しておきながら……」

提督「その実、割り当てられた資金のほとんどが、艦隊の上の連中の懐に入っていたとか」

提督「……そうだね?」

初月「…………」コクッ

提督「君を救助したときも、艤装の発砲の痕跡すらわずかだった」

提督「弾薬なんかほとんど無い状態で、殿を務めさせられたんだろ?」

初月「……殿を務めたことは僕の意志だ」

提督「そうか、それは失礼したね」


17: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 17:44:58.92 ID:GdMRmGzI0

提督「まぁそんな所に、君の姉さん達は今いるんだ」

提督「そりゃ、お菓子一つで頭を抱えるのも無理はないよね」

初月「……」シュン

提督「だから、君にはもっと働いてもらうことにしたんだ」

提督「それなら、色のついた分もまっとうなお金でしょ」

初月「?」

初月「……要領を得ないな」

初月「つまり……?」

提督「つまり……」



提督「初月、君は今日から僕の秘書官だ」


18: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 17:47:42.46 ID:GdMRmGzI0

初月「秘書官……?」

提督「よそじゃ“秘書艦”って言うらしいけどね」

初月「僕がかっ!?」

提督「そう、君」

初月「し、しかし……っ」オロオロ

初月「僕にそんなノウハウはないぞっ」

提督「へーきへーき、今までうちに秘書なんていなかったんだから」

提督「それに、君は見ていて面白いからなぁ」

初月「な……!」ムカッ


19: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 17:49:50.54 ID:GdMRmGzI0

初月「それはどういうこっ」

提督「初月」

初月「……っ」

初月「な、なんだ……」

提督「秘書としての初仕事だよ」



提督「お茶と菓子を出してくれ」

提督「二人分ね」ニコ

初月「……わかった」


25: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 18:43:17.18 ID:GdMRmGzI0

その日から、僕はこの泊地における提督の秘書となった。
もちろん、着任間もない艦娘が秘書艦になるなど、異例のことだ。

右も左も分からないそんな状況で、提督の秘書としての生活が始まった。


26: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 18:49:14.01 ID:GdMRmGzI0

初月「報告書か……」

提督「ここ、今日の戦闘は二回だから」

提督「派遣した艦隊の概要を二回書くんだ」

提督「時間は報告にあったのを正確に記入してね」

初月「分かった」カキカキ

提督「与えた損害は、たぶん報告も正確じゃないから……」

提督「まぁ、この中の一番高い数字にしておいて」

初月「そんな適当でいいのか……」

提督「現場判断だよ」

提督「小競り合いだったし、上もそんなに気にしないさ」


27: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 18:58:19.82 ID:GdMRmGzI0

初月「提督、こっちは終わったぞ」

提督「お疲れ様ー、ありがとね」ジュー…

提督「こっちももうすぐ出来上がるから……」ジュゥー…

提督「長たん、起こしてきて」カチャッ

初月「あぁ、分かったよ」


初月(良いにおい……)

初月(何を作っているんだろう)ワクワク


28: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 19:11:18.58 ID:GdMRmGzI0

提督「さぁ、めしあがれ!」

初月「こ、これは……!」

長10「」パクパク

提督「エッヘン」



初月「これは、一枚肉じゃないかっ!」

提督(そっちかぁ)ガクッ

提督「これはカツレツっていうんだ」

初月「かつれつ……っ」ジー…

提督「さ、食べて食べて」


29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/14(日) 19:20:33.65 ID:GdMRmGzI0

「「いただきます」」


初月「ハムッ……」サクッ

初月「……」モグモグ…

初月「…………おいし……グスッ……なぁ……」ポロ…ポロ…

初月「生きて……て……」

初月「……よかっ……た……ぁ……!」ポロ…ポロ…

提督「それはよかったよ」ホッ


提督(やっぱこういうの食べられなかったのかな)

長10「」ガツガツ


30: 酉消してたorz ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 19:28:41.12 ID:GdMRmGzI0

「「ごちそうさまでした」」


提督「ホントはとんかつ食べさせてあげたかったけど……」

提督「残りのサラダ油が少なくてね」

初月「いや……美味しかった」グスッ

初月「はーっ……」

初月「…………」ゴシゴシ

初月「提督は料理上手……だったんだな」

提督「いや、褒められたのははじめてだよ」


31: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 19:33:29.14 ID:GdMRmGzI0

初月「今度からは、僕も手伝うぞ」

提督「はは、麦飯もたまにはいいかもね」

初月「むぅ」

初月「麦飯を炊く以外のことだって……できるようになるさ」


32: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 19:40:12.39 ID:GdMRmGzI0

初月「提督、美味しい食事をありがとう!」ペコッ

初月「洗い物は僕に任せてくれ……」

提督「じゃあ、お願いしようかな」

初月「その間に、シャワーでも浴びてくるといい」

初月「あとは僕に、全部任せてくれ」フフッ

提督「うん、ありがとう」


33: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 19:44:56.12 ID:GdMRmGzI0

ジャージャー…
キュッ

初月「洗い物は終わりだな……」

長10「」スースー

初月「あはは、こんなところで寝たら牛になるぞ」

初月「……ん、書類の片付けをしていなかったか」

初月「机の上は綺麗にしておかねばな……」

ガラッ

初月「!!」

初月「こ、これは……!」カァー…


34: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 19:56:43.23 ID:GdMRmGzI0

初月(あいつは何故、こんなところに成人雑誌を……!)

初月(わざわざ内地から取り寄せてるというのかっ)

初月(ふ、不埒な……!)カァー…

初月(……いや、僕はっ)ブンブン

初月(僕は……女らしさなんて、とっくに捨ててきたんだ……)

初月(それに、こういうのは誰もが持っているものなのだろう……)

初月(別に……おかしいことじゃな……)

初月(…………)チラッ


35: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 19:58:36.33 ID:GdMRmGzI0

初月「こ、こんな……凄い」カァー…

初月「……」ペラッ

初月「提督は……こ……」

初月「こんな…………」ドキドキ


ガラッ

提督「さっぱりしたぁー」

初月「ひゃっ!!」ビクッ


41: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:05:27.12 ID:GdMRmGzI0

提督「ん?」

提督「どうしたの……ゴキブリでも出た?」

初月「なんでもないっ!」ドキドキ

提督「でも、手になんか……」

初月「な……」ドキドキドキドキ

初月「なんでもないと言っている!!」キッ



提督「え……」

提督「なんでそんなに怒るの……」シュン


初月(あ、あれっ)


42: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:10:13.96 ID:GdMRmGzI0

提督「……ごめん、そろそろ寝るよ……」

提督「明日、マルロクマルマルにここでね……」

初月「あ、あぁ……」


トボトボ…


初月(ど、どうしよう)

初月(提督を傷つけてしまった……)

初月(どうしてこんなことに……)


43: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:18:31.33 ID:GdMRmGzI0

ゴロン


提督(なんで怒ってたんだろ……)

提督(エロ本がばれたのかなぁ……)

提督(だとしたら気まずいなぁ……)


ガチャン


初月「提督……」

提督「!」

初月「隣……いいか?」


44: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:22:28.63 ID:GdMRmGzI0

ゴソゴソ…


初月「………………」

初月「……すまない」

初月「何かの誤解だと思うが、お前を傷つけてしまった」

初月「……今では猛省している」

提督「……………」




提督(あれ、エロ本バレてない?)


45: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:27:39.98 ID:GdMRmGzI0

提督「僕の方こそ……何か不快な思いさせたかな」

初月「いや……そんなことはない」

提督「そっか」ホッ

提督(やっぱりバレてないみたいだ)


46: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:32:45.09 ID:GdMRmGzI0

提督「じゃあ、よく分からないまま」

提督「こんな気まずい空気になってたのか」

初月「どうやら、そうらしいな」

提督「あははは……」

初月「……はははは」



初月(冷静になったら……)

初月(この同じ布団に入っている状況)


初月(これこそ気まずいじゃないか……っ)カァー…


47: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:39:00.38 ID:GdMRmGzI0

初月(先ほど、あんな本を見てしまった後だ)

初月(そう考えると……)

初月(……提督も……男なんだよ……な)

初月(……だとしたら……)ドキドキ


提督「……初月ぃ」

初月「ひぁっ!」ビクッ

提督「……ひぁ?」

初月「い……いきなり呼ぶからだっ」


48: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:42:57.25 ID:GdMRmGzI0

提督「本当、ごめん」

初月「な、なんだ、改まって」

提督「……今から」

提督「提督命令、使っていい?」

初月「!」ドキドキ

初月(く、来るのかっ!?)カァー…




提督「腕枕……されたい」




初月「…………ん?」


49: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:46:00.99 ID:GdMRmGzI0

初月「…………」

提督「……凄いよね」

初月「……何がだ」

提督「何も文句言わずに腕枕してくれるんだもん」


50: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:49:12.60 ID:GdMRmGzI0

提督「あー……」ゴロリ

提督「安心するなぁ……」

初月(…………)

初月(……なぜなんだ)

初月(何故か半分残念な気持ちで……)


初月(でも、少し……嬉しいぞ)


51: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:51:27.17 ID:GdMRmGzI0

初月「……なぁ」



提督「……」スースー…

初月「……寝てしまったか」フフッ

初月「安心するなぁ、か」

初月「……それはこっちのセリフだ」


52: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:52:13.50 ID:GdMRmGzI0

初月「お前が僕に図ってくれた便宜……」

初月「そして、その気持ち」

初月「この恩は絶対わすれないぞ」


ギュ


初月「お前は最後まで僕が……」

初月「守るからな」


53: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:53:23.27 ID:GdMRmGzI0

初月はこの後長きに渡り

立派に秘書を務めあげることとなる

その誓いを新たにした夜

それは、ただのはじまりでしかなかったのだ




―――――――――――fin―――――――――――


54: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/14(日) 21:55:07.60 ID:GdMRmGzI0

この話は、これで以上となります。

初月のSSは今後も書いてみたいですね。


ここまで読んでくださった方、楽しく書かせていただきありがとうございました。





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