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喪黒福造「まずは、一人暮らしでも始めてみたらどうです?」 女性ニート「一人暮らしですか……」

1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:28:24.068 ID:P5Vw1u1MD

喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。

    ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。

    この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。

    そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。

    いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。

    さて、今日のお客様は……。

    黒沢葉月(25) ニート

    【一人暮らし】

    ホーッホッホッホ……。」


2: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:30:21.536 ID:P5Vw1u1MD

昼。インターネットカフェ。室内には、漫画の詰まった本棚とパソコンが並んでいる。

時間帯のせいもあってか、店内のテーブルや個人用スペースはどこも空席が目立つ。

とあるスペース。倒した座席の上に寝そべりながら、漫画を読む一人の女性。

女性がいるスペースのテーブルには、パソコンと山積みの漫画本がある。

テロップ「黒沢葉月(25) ニート」

葉月(一人のままでいるのは、本当に気楽でいい。……できればこのまま、ずっとここにいたい)

夕方。漫画を読み終えた葉月が、スマホで時刻を確認する。

葉月(もう、こんな時間か……。仕方ないけど、家に帰るしかないな……)


夜。住宅街、黒沢家。居間で夕食を食べる黒沢一家。葉月をなじる黒沢夫妻。

葉月の母「葉月と同じ年の子たちは、みんな働いているというのに!この子は……!」


3: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:32:17.735 ID:P5Vw1u1MD

葉月の父「お前は、おとなしくてしっかりした子だと思ってたんだけどな……!どうしてこうなったんだ!」

葉月(また、私に対する説教か。もう親なんて、顔を見るのも嫌だ……。父親も、母親も……)

部屋。ベッドの上に寝そべり、小型のゲーム機を操作する葉月。

葉月(一人ぼっちのままになることができたら、どんなに気楽だろう……。私は一人になりたい)


翌日、昼。市街地の中を歩く葉月。

葉月(いつも通り、ネットカフェに行くか……)

彼女の前に、自転車に乗った二人組の外国人が現れる。彼らは白人で、ヘルメットにスーツ姿だ。

外国人たち「ハローー!!」

葉月「ハ、ハローー……」

外国人A「スミマセン。チョットイイデスカ?」

葉月「は、はい……」


4: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:34:15.341 ID:P5Vw1u1MD

外国人B「アノ……。実ハ、アンケートニ答エテイタダキタイノデスガ……」

葉月「アンケートですか……」

人当たりのいい外国人たちの頼みに、素直に応じかける葉月。次の瞬間、葉月の側に喪黒福造が姿を現す。

喪黒「お待ちください!!」

葉月「あ、あなたは……」

喪黒「お嬢さん、いいですか!?この人たちは、ある新興宗教の布教活動をしているのですよ!!」

葉月「ええっ!?そうなんですか!?」

外国人A「イエース。私タチハ神様ヲ信ジテ……」

喪黒「お嬢さん、早くここを立ち去りましょう!」

外国人の二人組から、一目散に逃げ出す喪黒と葉月。喪黒に言われるまま、後をついていく葉月。

喪黒「こっちです、こっち!!」


5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:36:19.038 ID:P5Vw1u1MD

BAR「魔の巣」。喪黒と葉月が席に腰掛けている。

喪黒「いやぁ、さっきはとんだハプニングでしたねぇ。黒沢さん」

葉月「え、ええ……。よりによって、あの二人組が新興宗教の関係者だったなんて……。私もうかつでした」

喪黒「生き馬の目を抜く都会ですから……。お人よしの人や弱い人は、カモにされやすいんですよ」
   「でも、ご安心ください。私は、そういった人たちを助けるのが目的ですから……」

喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。

葉月「……ココロのスキマ、お埋めします?」

喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」

葉月「そんなお仕事、初めて聞きましたよ……」

喪黒「私のやっていることは、ボランティアみたいなものです」
   「心に何かしらのスキマを抱え、人生が行き詰まった人たちを救うための仕事ですよ」

葉月「そうなんですか……。じゃあ、私の行き詰まった人生を何とかしてくださいよ!」


6: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:38:09.131 ID:P5Vw1u1MD

喪黒「どうやら、黒沢さんの心にもスキマがおありのようですねぇ」

葉月「はい……。実は私、大学卒業以来ずーっとニート生活をしているんです」

喪黒「おそらく……。あなたは大学4年のころ、就職活動に失敗したのでしょう」

葉月「そうです。そのため、今の私は実家で暮らしているんですけど……」
   「毎日のように両親から責められ、精神的に追い詰められているんです」

喪黒「おそらく、あなたのご両親は過干渉な育て方をしてきたのでしょう」

葉月「はい。それに、私がニートになったのも理由がありますから……」

喪黒「黒沢さんがニートになったのは、就活の失敗のせいだけではないでしょう」
   「たぶん、あなたは昔から人間関係を築くのが苦手だったのではないですか?」

葉月「おっしゃる通りです。私は学校時代は浮いていましたし、いじめに遭ったこともありました」
   「まあ、どちらかと言うと私は……。人と群れるよりも、一人になる方が昔から好きでしたし……」

喪黒「ほう……。あなたは生まれつき、孤独癖があるようですねぇ」

葉月「はい。今の私が心から願っているのは、一人ぼっちのままになることなんです。究極の孤独こそが、私の憧れです」


7: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:40:11.949 ID:P5Vw1u1MD

喪黒「ねぇ、黒沢さん……。人間とは、他人や社会との関わりによって生きている生き物なのですよ」
   「他人や社会との交わりを絶って、究極の孤独になってどうやって生きていくのですか?」

葉月「そ、それは……」

喪黒「今のあなたに必要なのは……。孤独になるよりも、むしろ自立した個人になることです!」

葉月「自立した個人……」

喪黒「要するに、一人前の社会人として生きろってことですよ。まずは、現実と向かい合うべきです」

葉月「それは言えてるかもしれませんね……。今の私は、親元に寄生して甘ったれた状態……」

喪黒「まずは、一人暮らしでも始めてみたらどうです?あなたが自立するための第一歩として……」

葉月「一人暮らしですか……。そういえば私、一人暮らしをしたことが一度もありませんでしたね」
   「大学時代のころも、実家からキャンパスに通っていましたから……」

喪黒「それなら、一人暮らしを実行するいい機会ですよ!未経験の物事にチャレンジしてみるのが、大事なのです!」

葉月「そうですか……。じゃあ私、一人暮らしをやってみようと思いますよ!」

喪黒「そうです!その調子!」


8: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:42:13.914 ID:P5Vw1u1MD

夜。黒沢家。居間で食事をする黒沢一家。

葉月「私、一人暮らしをしようと思ってるんだけど……。アルバイトもやりながら……」

葉月の父「何、その話は本当か?」

葉月「本当だよ。そろそろ、大人として自立しようと思って……。バイトをしながら、就職活動もやるつもりだよ」

葉月の母「ねぇ、葉月……。一人暮らしで生活費が足りないなら、いくらか仕送りするからね」


とある不動産屋。不動産会社社員と、葉月がアパート入居の契約をしている。葉月の隣には、彼女の父がいる。

夕方。アパート。部屋の中には、電化製品、コタツ、布団、クローゼットが並ぶ。玄関で、父を見送る葉月。

葉月の父「一人暮らしは大変だろうけど、頑張れよ」


コンビニ「シックスイレブン」。レジ前にたち、オーナーからレジの操作を教わる新人バイト・葉月。

オーナー「分かったか?これがレジの操作のやり方だぞ」


9: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:44:16.530 ID:P5Vw1u1MD

葉月「あの、すみません……。一万円札のお釣りとか、どうするんですか?」

オーナー「……君なぁ、よく考えて見ろ。一万円札でお釣りを出すと思うか?」

葉月に対し、オーナーがうんざりした表情をする。


ある日。葉月のレジに、大勢の客が並んでいる。もたもたしたレジ対応をする葉月。不機嫌な表情の客たち。

不慣れな手つきで、弁当をレジ袋の中に入れる葉月。控室で、彼女はオーナーから説教を受ける。

オーナー「黒沢さん、君はまたミスをしたそうだな」

葉月「申し訳ありません……」

オーナー「君がレジに立つと、客からクレームが入るんだよ。『何で、あんなのを雇ってるんだ』と」


夕方。落ち込んだ表情で、街を歩く葉月。彼女の前に、喪黒が姿を現す。

喪黒「やぁ、黒沢さん」


10: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:46:17.994 ID:P5Vw1u1MD

BAR「魔の巣」。喪黒と葉月が席に腰掛けている。

葉月「喪黒さん……。ついさっき、私はバイトをクビになったんです」

喪黒「いやぁ……、それはお気の毒ですねぇ」

葉月「コンビニのバイトは簡単そうに見えたのに……。やってみたら、思った以上に覚えることが多くて……」

喪黒「あなたに接客業は重荷ですよ。一人でコツコツやる仕事の方が向いているでしょう。例えば、派遣社員とかどうです?」

葉月「派遣社員ですか……」


とあるビル。人材派遣会社の登録会に参加する葉月。参加者一同に説明をする派遣会社スタッフ。

葉月(楽な軽作業が多くて、シフトや時間は自由。私に向いているかもしれない……)


とあるホール。派遣社員たちにより、コンサート会場の設営が行われている。

派遣社員たちとともに、会場内に椅子を並べる葉月。彼女は顔が汗だくで、疲れた表情をしている。

葉月(肉体労働そのもので、本当にきつい……。何が、ラクラク軽作業だよ……)


11: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:48:18.175 ID:P5Vw1u1MD

とある倉庫で、シール張りをする葉月。葉月の隣には、金髪にピアスの女性がいる。

葉月(うわあ……。ガラが悪そうな人だなあ……)

控室で休憩する葉月。室内では、ヤンキー崩れの若者たちが談笑している。

葉月(仕事中は軍手で分からなかったけど……。この人、掌に刺青入れてる……。こんな連中と働くなんて……)


街の中を歩きながら、スマホを見つめる葉月。

葉月(また、母さんからの着信記録か……。毎日毎日……、本当にしつこい)

公園。ベンチに座り、スマホで母と通話をする葉月。

葉月「あのねぇ、母さん。私は一人で何とかやってるから!何で、母さんは私を大人扱いしないの!」


倉庫。軍手でシール張りをする葉月。あのヤンキー崩れのバイトたちが、彼女を指差してひそひそ話をする。

葉月(やっぱり、私は周りの人間たちに溶け込めなかった。いつもいつも、みんなが私をバカにして……)


12: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:50:20.917 ID:P5Vw1u1MD

BAR「魔の巣」。喪黒と葉月が席に腰掛けている。

葉月「私、派遣の仕事も嫌になり始めているんです。肉体労働がきついし、人間関係もうまくいかなくて……」
   「それに、一人暮らしと言っても私は本当に一人になりきれていません」

喪黒「ほう……。それはどういうことです?」

葉月「毎日毎日、母が私のスマホに電話をしてくるですよ。実にしつこいんです」
   「私は、過干渉の親が嫌でたまらないのに……。そんな親に仕送りで頼っていて……。本当にげんなりします」

喪黒「いやはや……。あなたのご心労、察するに余りあります」

葉月「私は、どうしても一人になりたいんです!周りとのつながりさえも、全て断ち切ってしまいたいんです!」

喪黒「分かりました……。私が何とかしましょう。黒沢さん、私に着いて来てください」

喪黒に誘われ、外に出る葉月。街の中を歩き、小さな山の坂道を登る喪黒と葉月。

山の上には、コンクリートで舗装された広い地面が見える。何かの建物の跡地のようだ。

喪黒「黒沢さん、見ていてください」

喪黒は、鞄から金属の球を取り出す。金属の球に付いた青ボタンを押す喪黒。


13: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:52:44.160 ID:P5Vw1u1MD

すると……。金属の球は次第に、ドーム式の建物へと変形する。ドームには、窓やドアが見える。

喪黒「これは携帯用ハウスです。さあ、中に入りましょう」

携帯用ハウスの中に入る喪黒と葉月。建物の中には、壁掛けテレビ、冷蔵庫、エアコン、机、ベッドなどが見える。

葉月「すごいですね。台所やシャワーやトイレもあるし、電化製品も家具も揃っている……」

喪黒「建物の電気は、水がエネルギー源です。空から雨が降れば、エネルギーを蓄えることが可能です。これも見てください」

喪黒が指をさしたのは、台所に接続された給水機だ。給水機の近くには、扉付きの金属の箱がある。

喪黒「この給水機は、水を入れさえすれば無限にビタミン飲料を製造できます。あと、これも……」

金属の箱のボタンを押す喪黒。箱の扉が開き、中から茶色い固形物が出てくる。

喪黒「これは、ビタミンビスケットです。土と空気を原料に、無限に製造できます」

葉月「食料の問題も、これで解決ですね」

喪黒「いかがですか?携帯用ハウスは、今のあなたの望みをかなえてくれる優れものですよ」

葉月「確かに……。今の私の望みは、完全に一人きりになることですからね。本当にありがたいですよ」


14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:54:20.422 ID:P5Vw1u1MD

喪黒「どうも……。ただし、あなたには私と約束していただきたいことがあります」

葉月「約束!?」

喪黒「そうです。黒沢さんが携帯用ハウスで暮らすのは、せいぜい数日程度にしておいてください」
   「あなたがここで暮らすのはしばらく休むためであり、引きこもりになるためではありませんよ。いいですね!?」

葉月「わ、分かりました……。喪黒さん」

夜。携帯用ハウス。ベッド入り、目を閉じる葉月。

葉月(とうとう、私はたった一人になった。これでゆっくり休める……)

翌日。机に向かい、小型のタブレットを操作する葉月。

葉月(このタブレットの中に、あらゆる本が収録されている。読書も好きなだけできる……)


その後――。携帯用ハウス。洗面所で、鏡を見つめる葉月。

葉月(私の髪の毛、ボサボサになってる……。無理もないか、1か月以上もここにいるんだから……)

壁掛けテレビで、アニメを見る葉月。突然、壁掛けテレビの画面が切り替わる。画面に映ったのは、喪黒の顔だ。


16: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:56:18.237 ID:P5Vw1u1MD

喪黒「黒沢葉月さん……。あなた約束を破りましたね」

葉月「も、喪黒さん……!!」

喪黒「私は言ったはずですよ。黒沢さんが携帯用ハウスで暮らすのは、せいぜい数日程度にしておけ……」
   「それにも関わらず、あなたは携帯用ハウスに長いこと留まっているようですねぇ」

葉月「私は、もう二度と社会に戻りたくありません!!ずうっと、この家で暮らすつもりですから!!」

喪黒「いいえ、ダメです!あなたにはどうしても、携帯用ハウスから出て行って貰います!!」

喪黒は葉月に右手の人差し指を向ける。

喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」

葉月「キャアアアアアアアアアアア!!!」

建物の壁をすり抜け、外へ放り出される葉月。彼女の近くには、携帯用ハウスがある。

煙を発し、轟音とともに崩れる携帯用ハウス。ゴオオオオン!!!

葉月「ああっ、携帯用ハウスが……!!」

携帯用ハウスは粉々に砕け、残骸のみが地面に残る。とぼとぼと下り坂を歩く葉月。


17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 19:58:13.064 ID:AsekOMz5D

葉月「あーあ……、やっぱり社会へ戻るしかないか……」

坂道を降りた後、彼女が目にした光景は……。やや変わった街並みのようだ。

葉月(あ、あれ!?こんな街あったっけ!?ビルの形も、歩いている人の服装も、車の形も何か違う……)

不思議そうな表情で、歩道を歩く葉月。しばらくした後、制服姿の男たちが彼女を取り囲む。

男たちにより、黒色の自動車に乗せられる葉月。車の上部には、赤いランプが点滅している。


とある建物の狭い部屋。葉月は男たちから、取り調べを受けている。

男A「我々は、秘密警察の者です。街にあるセンサーによると、どうやらあなたは危険人物のようですね……」

葉月「秘密警察だとか、危険人物だとか……。一体、何のことですか!?」

男B「知らないのですか?全ての市民は、生まれた時から掌にICチップを埋め込むのが義務なんですよ」
   「それなのに、あなたは掌にICチップが埋め込まれていません。これは大変なことなんです」

葉月「掌にICチップを埋め込む!?ど、どうしてそんなことを!?」


18: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/24(土) 20:02:25.710 ID:8QB6TmRHD

男A「条約で、世界的にそう決まってるんですよ。掌のICチップには、その人の個人情報が入っています」
   「全人類に埋められたICチップを通じて、全ての個人情報がAIのもとで管理下に置かれるってことですよ」

葉月「そ、そんなこといつ決まったんですか!?それと、今は西暦何年なんです!?」

男B「このことが決まったのは、2061年ですね。ちなみに、現在は西暦2088年ですよ」

葉月「えーーーっ、2088年!!じゃあ、私が携帯用カプセルにいた期間は……」

男A「掌にICチップが埋め込まれていなければ、市民権は得られませんし……。買い物や居住もできません」
   「従って、あなたはまっとうな市民ではなく危険人物です。当然、あなたは裁判なしで銃殺刑が待っていますよ」

葉月「じゅ、銃殺刑だって!?私は死にたくありません!!嫌です!!助けてください!!」


現代の日本。インターネットカフェの前にいる喪黒。

喪黒「この世で生きている人間は、一人ひとりが皆……。無意識の奥底に、孤独になることへの憧れを持っています」
   「たまには、一人だけになって、内省をすることも人生に必要ですし……。孤独は必ずしも悪いことではありません」
   「しかしながら、人間という生き物は……。他人や社会との関わりなしで生きていくことなど、所詮は不可能です」
   「なぜなら、他人や社会とのつながりを全て断った究極の孤独とは、『人間をやめる』や『死ぬ』に等しいですから……」
   「2088年の日本で、社会から拒絶された黒沢葉月さんがまさにそうでしょう。彼女は、銃殺刑で究極の孤独が得られますよ」
   「オーホッホッホッホッホッホッホ……」

                   ―完―





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