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喪黒福造「これは、呪いの武者人形です」 女性警察官「呪いの武者人形……」

1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:07:22.967 ID:xeb3y55eD

喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで『笑ゥせぇるすまん』。

    ただの『せぇるすまん』じゃございません。私の取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。

    この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり。

    そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。

    いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます。

    さて、今日のお客様は……。

    藤島夏希(28) 女性警察官

    【呪いの武者人形】

    ホーッホッホッホ……。」


2: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:09:24.346 ID:xeb3y55eD

テロップ「東京都、黒鳥市――」

黒鳥駅と周辺の市街地。道路を行き交う多くの車。車の列の中に、パトカーが紛れ込んでいる。

パトカーには、運転席に男性警察官A、助手席に女性警察官・夏希がいる。夏希は、若くて一見さわやかそうな女性だ。

テロップ「藤島夏希(28) 女性警察官、黒鳥警察署・巡査」


市内を走るパトカー。警察官Aが、無線機で警視庁に連絡をする。

警察官A「黒鳥3から警視庁」

警視庁関係者「警視庁です。どうぞ」


黒鳥警察署。夏希が、年配の警察官たちにお茶を配る。

夏希「お茶です」

警察官B「おお、気がきくな」


3: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:11:16.157 ID:xeb3y55eD

署長室。部屋の中で、警察署長と会話をする夏希。

星野「藤島君。再来週の休日、君は暇かい?」

テロップ「星野正一(58) 黒鳥警察署長」

夏希「何のことですか、署長?」

星野「決まってるだろ。そろそろ、俺と一発をヤらないか?」

夏希「署長!!」

星野「いいじゃないか、別に減るもんじゃないし……」

夏希「…………」

嫌そうな顔をする夏希。

星野「どうした?嫌か?君は俺のおかげで、今までいい思いができたんだろ」
   「綺麗な服も、ブランド物のバッグも、俺が君に買い与えたんだぞ」

夏希「……分かりました」


4: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:13:16.733 ID:xeb3y55eD

星野「それでこそ君だ。いやぁ、藤島君は物分かりがいいなぁ」

夏希(私が警察官になって間もないうちから、この男との腐れ縁が続いている……)


回想する夏希。

温泉旅館、宴会場。黒鳥警察署の関係者たちが、浴衣姿で宴会を開いている。宴会に加わる夏希。

ある客室。 部屋の中には、星野署長と夏希が2人いる。酒に酔った顔で、獲物を狙うような目つきの星野。

星野「署長、話というのは一体……?」

夏希の身体の上に覆いかぶさる星野。必死に抵抗する夏希。

夏希「嫌っ……!!やめて!!」


夏希のモノローグ「あの事件の後、いつの間にか私は署長と愛人関係になっていた」

とある夜。2人でホテルの中に入る星野と夏希。


5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:15:17.252 ID:xeb3y55eD

夏希のモノローグ「署長のおかげで、私に数々の贅沢を味わうことができた」

ある休日。デパートの中を私服姿で歩く星野と夏希。レストランで一緒にフランス料理を食べる星野と夏希。

夏希のモノローグ「しかし、私はこの男のことを愛しておらず、むしろ憎いとさえ思った」

夜。アパート。部屋の中に座り込み、泣きじゃくる夏希。


夏希の回想が終わる。黒鳥警察署。憂鬱そうな表情で、一人で廊下を歩く夏希。

夏希(私はもう、我慢の限界だ……)


とある歓楽街。ホストたちと酒の一気飲みをする夏希。

一同「イッキ!!イッキ!!イッキ!!」

酒を飲み終える夏希。彼女はベロンベロンに酔っ払い、上機嫌だ。

店内で、一人のホストとともに静かに酒を飲む喪黒福造。

喪黒「これがホストクラブですか……。それにしても、にぎやかな店ですねぇ」


6: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:17:13.731 ID:xeb3y55eD

喪黒は、店の遠くにいる夏希とホストたちの姿を指差す。

ホスト「確か、あそこの席にいるお客様は現職の女性警官だそうです」


ホストクラブを出て、夜の街を歩く夏希。彼女の側に喪黒が近寄る。

喪黒「もしもし……」

夏希「何の用ですか、あなた?」

喪黒「私、さっきのお店であなたを見ましたよ。ずいぶん、派手に騒いでいたようですねぇ」

夏希「もしかして、あなたもあのホストクラブにいたんですか?あなた、男性でしょ」

喪黒「ええ。ホストクラブとはどんな店なのだろうと気になって、私はあの店を訪れました」

夏希「そうですか……。好奇心が旺盛なんですね、あなた……」

喪黒「ところで、あなた……。普段は警察のお仕事でストレスがたまっているでしょう」
   「だから、ホストクラブに通って憂さ晴らしをしているのですよねぇ」

夏希「ど、どうしてそれを……!?」


7: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:19:30.775 ID:xeb3y55eD

喪黒「お店の人から聞きました。私の仕事柄、今のあなたを放っておくわけにはいきませんよ」

喪黒が差し出した名刺には、「ココロのスキマ…お埋めします 喪黒福造」と書かれている。

夏希「ココロのスキマ、お埋めします!?」

喪黒「私はセールスマンです。お客様の心にポッカリ空いたスキマをお埋めするのがお仕事です」

夏希「あなた、カウンセラーか何かなのですか?」

喪黒「私のやっていることは、ボランティアみたいなものです」
   「心に何かしらのスキマを抱え、人生が行き詰まった人たちを救うための仕事ですよ」
   「ほら……、あなたにも心にスキマがおありのはずでしょう?」

夏希「ええ。おっしゃる通りです……」

喪黒「よろしかったら、私があなたの相談に乗りましょうか?」


BAR「魔の巣」。喪黒と夏希が席に腰掛けている。目に涙を浮かべる夏希。

喪黒「ほう……。あなたもずいぶん辛い過去を背負っているようですねぇ」


8: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:21:21.127 ID:xeb3y55eD

夏希「はい……。私はあの署長のせいで、自分の人生を狂わされてしまいました」

喪黒「藤島さん。あなたは署長が憎いでしょう?」

夏希「ええ……。あいつの死を何度願ったかしれません。私がこの世で最も憎んでいるのは、あいつなんです!」

喪黒「……分かりました。あなたにいいものをあげましょう」

喪黒は鞄から何かを取り出す。机の上に置かれたのは、鎧兜を身につけた小さな武者人形だ。

夏希「何ですか、これ?」

喪黒「これは、呪いの武者人形です」

夏希「呪いの武者人形……」

喪黒「そうです。藤島さん。この人形に向かって、署長が死ぬことを祈ってください」
   「そうすれば、彼は間違いなく悲惨な形で死を遂げますよ」

夏希「その話、本当なんですか?」


10: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:23:37.953 ID:xeb3y55eD

喪黒「本当です。武者人形に祈りを捧げれば、憎い相手を確実に死へ追いやることができます」

夏希「もし、それが本当だとすれば……。非常に気味が悪くて、手にしたくないものですね……」

喪黒「今さら、何を言うんですか?藤島さんは、無意識の奥ではこう思っているでしょう」
   「『自分の人生をメチャクチャにした署長に、自ら手を下してやりたい』……と」
   「この人形を使いさえすれば、あなたは合法的な形で署長を消すことができるんですよ」

夏希「で、ですが……」

喪黒「それとも、藤島さんはこのまま署長のペットでいたいのですか?あなたがこの世で最も憎んでいる彼の言いなりになって……」

夏希「それは嫌です……!!そんな人生を送り続けるよりも、この人形を使ってあいつを消すことを選びますよ!!」

喪黒「いいでしょう。武者人形を藤島さんにあげますよ。その代わり、あなたには約束していただきたいことがあります」

夏希「約束!?」

喪黒「はい。この武者人形で呪いをかける人間は、たった一人だけにしておいてください」
   「署長が死んだ後は、すみやかに人形を処分するべきなのです。いいですね!?」

夏希「わ、分かりました……」


11: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:25:25.722 ID:xeb3y55eD

夜。アパート。机の上に武者人形を置く夏希。彼女は目を閉じ、手を合わせながら祈りを捧げる。

夏希「黒鳥警察署長の星野正一が、悲惨な死を遂げますように……」


数日後。黒鳥警察署、署長室。何食わぬ顔で、夏希の胸を触る星野。

夏希「署長、何をするんですか!!やめてください!!」

星野「ハッハッハッ!!」


夜の街。警察官Aと夏希が乗ったパトカーが、市内を走っている。

夏希(やっぱり、武者人形に祈ったくらいじゃ何も起きやしないか。『憎まれっ子世にはばかる』が世の常だから……)

深夜。黒鳥警察署。パトロールから戻り、部署がある部屋に入る警察官Aと夏希。

室内にいる警察官たちは、何やら一大事が起きたような表情をしている。

警察官C「藤島君、大変なことが起きたぞ!!さっき、署長の家で……」

夏希「えっ!?」


13: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:27:17.313 ID:xeb3y55eD

夜の住宅街。炎をあげて激しく燃える屋敷。自宅の門の前には、「星野」の表札が見える。

星野家の前には、消防車が止まっている。必死で消火活動を行う消防士たち。さらに、救急車も星野邸の近くに到着する。


場面は黒鳥警察署に戻る。

警察官C「署長の娘さんは精神疾患があって、この間まで病院に入院していた」
      「彼女は自分の両親を刃物で切りつけた上、自宅を放火したんだ」

夏希「何ですって……」

警察官C「署長の奥さんは、幸いにも命が助かった。でも、署長の容体はかなり危ない状態で……」

夏希の頭の中に、喪黒の言葉が思い浮かぶ。

(喪黒「この人形に向かって、署長が死ぬことを祈ってください。そうすれば、彼は間違いなく悲惨な形で死を遂げますよ」)

夏希(まさか、あの人形の効果は本物だったの?そ、そんなはずはない……!あいつの死を確認するまでは、信じられない!)


15: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:29:24.521 ID:xeb3y55eD

ある夜。通夜会場。星野の通夜に参加する参列者たち。喪服姿の夏希も、参列者の中に加わっている。

おごそかな態度で読経を行う僧侶。祭壇には、星野の遺影が飾られている。

夏希(署長は、本当にこの世から消えてしまった。私の祈りを聞いた武者人形が、奴を消してくれたんだ……)

通夜会場を後にする夏希ら参列者たち。彼女に、一人の中年男性が声をかける。

平松「久しぶりだなぁ、藤島。君もあのころに比べると、たくましくなったもんだ」

テロップ「平松隆行(48) 警察学校教官」


回想する夏希。

夏希のモノローグ「私が警察学校いたころ――。教官だったあいつは、何の理由もなく私にいつも暴力を振るった」

警察学校。教官の平松が、夏希に罵声を浴びせる。夏希の顔を何度も殴りつける平松。泣き崩れる夏希。

2人の周囲で、ニヤニヤ笑みを浮かべる警官の卵たち。


17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:31:13.918 ID:xeb3y55eD

夏希の回想が終わる。アパート。夏希は、机の上の武者人形に祈りを捧げる。

夏希「警察学校教官の平松隆行が死にますように……」


ある日。自家用車を運転する平松。平松の車がガードレールを飛び出し、崖の下へと転落する。

地面に激突し、炎に包まれる自動車。運転席にいる平松も、全身が火だるまとなっていく。


黒鳥警察署、女性更衣室。夏希がロッカーを開けると……。中にある警察官用のコートが、何者かに汚されている。

コートの背中側には、ピンク色のポスターカラーで「星野署長の愛人」の文字が書かれている。

年配の警察官たちにお茶を配る夏希。

夏希「お茶です」

警察官B「チッ……」

警察官たちは夏希にお礼を言おうとせず、嫌そうな顔さえしている。


18: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:33:18.552 ID:xeb3y55eD

市内を走るパトカー。運転席にいる警察官Aが、馬鹿にしたような表情で助手席の夏希に話しかける。

警察官A「藤島さん。最近のあなた、みんなからいじめに遭っているでしょ?」

夏希「いいえ……。そんなことはありません……」

警察官A「隠さなくてもいいんですよ。だって、藤島さんは星野署長にえこひいきされていたでしょ」
      「みんなは、そんなあなたが妬ましくて憎く思ってたってわけ。実は俺もその一人なんですよ」
      「藤島さんの後ろ盾だった星野署長は、この世にいませんから……。あなたは何をされても文句が言えませんよねぇ」


夜。住宅街。警察の仕事を終え、帰り道を歩く夏希。彼女の顔には、憎しみの表情が浮かんでいる。

夏希(どいつもこいつも、私のことを……。私はあいつらを、絶対に許さない……)

道を歩き続ける夏希。いつの間にか、彼女の前に喪黒が姿を現す。

喪黒「やぁ、藤島さん……。私との約束通り、あの武者人形は処分しましたか?」

夏希「ええ……。もちろん、私は喪黒さんとの約束を守って、私はあの人形を処分しましたけど……」

喪黒「本当にそうですかねぇ?そういえば、この間……。警察学校の教官の人が、交通事故で亡くなりましたけど……」


19: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:35:21.950 ID:xeb3y55eD

夏希「あ、あれは別に何も……!!その……!!」

喪黒「ほう……、図星ですか。藤島夏希さん……。あなた約束を破りましたね」

夏希「ああっ……!!」

喪黒「私は言ったはずですよ。署長が死んだ後は、人形を処分しろ……と。それにも関わらず、あなたは……」

夏希「す、すみません……!!喪黒さん!!」

喪黒「約束を破った以上、あなたには罰を受けて貰うしかありません!!」

喪黒は夏希に右手の人差し指を向ける。

喪黒「ドーーーーーーーーーーーン!!!」

夏希「キャアアアアアアアアアアア!!!」


アパート。机の上の武者人形に祈りを捧げる夏希。

夏希「黒鳥警察署の人間なんか、みんな死んでしまえばいいんだ……」


20: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:37:14.899 ID:xeb3y55eD

ある日の夕方。黒鳥警察署。警察官Aと夏希が、自分たちの部署の部屋に戻ると、そこには――。

夏希「!!!」

室内には、大勢の警察官たちが血を流して倒れている。倒れている警官たちは皆、身体を刃物で切り付けられているようだ。

警察官A「こ、これはひどい……!!」

警察官Aと夏希は、何かの声と音を耳にする。叫び声や悲鳴、銃声、中にある物が倒れる音……。

2人が別の部屋に行くと……。この部屋でも、警察官たちが血まみれになって倒れている。彼らもまた、身体を切り付けられている。

ただ……。警察官Aと夏希が目撃した、前の部屋とは違いがある。この部屋にはあるものがいるのだ。

夏希「あ、あれは……!!あの……!!」

部屋の中には、夏希が保有していた武者人形がいる。等身大の大きさとなり、右手に日本刀を握りしめた状態で――。

鎧と兜に返り血を浴びた武者人形。もちろん、人形が持った日本刀も人の血をたっぷりと吸っている。


21: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/28(水) 20:40:37.816 ID:xeb3y55eD

警察官A「こ……、この化け物め!!」

武者人形に向かって拳銃を何度も発砲する警察官A。パアンッ、パアンッ、パアンッ、パアンッ、パアンッ……!!

しかし、銃弾はどれも命中せず、武者人形の身体を逸れていく。何かの力がかかったかのように――。

警察官Aに飛びかかり、日本刀を振り下ろす武者人形。警察官Aは身体から血を流し、そのまま床へと倒れる。

等身大の武者人形が、夏希の正面の方を向く。睨みつけるような表情で、夏希を見つめる武者人形。

夏希「や、やめて……!!!」

夏希を日本刀で切り裂く武者人形。崩れるように倒れる夏希。彼女が倒れた時、武者人形は元の大きさへと戻っていく……。


黒鳥警察署の前にいる喪黒。

喪黒「人生には、敵との出会いが必ずありますし……。人間は生きている以上、憎んでいる相手とも向かい合わざるを得ません」
   「それでも、人間の我慢には限界がありますから……。憎んでいる相手を心から呪い、死をも願った人は少なからずいるはずです」
   「他人に対する呪いの気持ちは、相手の人生を狂わせる効果を持っていますし……。呪いは、人を殺す力さえも持っています」
   「しかし、昔から今に至るまで伝えられてきたのは……。他人を呪った場合は、自分にも呪いが返ってくるという教訓でした」
   「藤島さんが祈った通り、あの武者人形は黒鳥警察署の人間を皆殺しにしてしまったようです。そう、彼女も含めた上でねぇ……」
   「オーホッホッホッホッホッホッホ……」

                   ―完―





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