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暴走族「壁にスプレーで落書きしてやろw」美術評論家「素晴らしい作品だ!」

2019/01/13 15:05 | その他 | コメント(0)
1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:09:08.563 ID:ANUVtIcd0

ブォンブォンブォン! ブォンブォンブォン!

青年「イェイイェイイェイ!」

友人「ヒャッホーッ!」

青年「お、こんなとこに白い壁があるぞ」

友人「おお、すっげー落書きしがいのある壁じゃん! スプレーあるしちょっと落書きしてこうぜ!」


3: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:12:07.160 ID:ANUVtIcd0

友人「『喧嘩上等!』『死苦羅面参上!』っと……」ブシュゥゥゥゥゥゥ…

青年「……」ブシュゥゥゥゥゥ…

友人「オメーはなに書いてんだ? ――うおっ、すげえ!」

青年「……これでよし」

友人「なんかすごい絵だな……こんなのスプレーで描いたのかよ?」

青年「へっ、適当に描いただけだよ」


4: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:15:08.451 ID:ANUVtIcd0

評論家(やれやれ、あそこにいる二人組は暴走族か?)

評論家(あんなところに落書きして……まったく迷惑なガキどもだ)

評論家「……」

評論家(ん!?)

評論家(んんん……!? なんだあの絵は!?)

タタタッ…


5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:18:14.584 ID:ANUVtIcd0

評論家「こ、これは……!」

友人「なんだよおっさん」

青年「殴られてえのか? あ?」

評論家「この絵を描いたのは、どっちだい?」

青年「俺だけど。なんか文句あんのか?」

評論家「す、素晴らしい……! これは素晴らしい作品だ!」

青年「!」


9: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:22:08.207 ID:ANUVtIcd0

友人「そんなにスゲェのか?」

評論家「ああ、すごい。構図、色使い、迫力、どれをとっても超一流だ」

評論家「もし、仮にこの絵をカメラで撮ったとして、その写真ですら数万で買いたがる人が出るだろう!」

友人「マジかよ、そんなすげえのかよ!」

青年「くっだらねー、んなわけねえだろ」

評論家「いや、本当だって! 美術評論家である私の目に狂いはない!」


10: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:25:13.733 ID:ANUVtIcd0

青年「……行こうぜ」

友人「え、行くの? 写真撮ってかないの?」

青年「そんなおっさんのヨタ話信じるのかよ?」

友人「信じたわけじゃないけど、この絵がすげえってのはマジで思うし……」

青年「ほら、行こうぜ!」ブオオオオオオ…

友人「ま、待てよ!」ブオオオオオオ…

評論家「ああっ、せめて名前だけでも――」


11: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:28:28.014 ID:ANUVtIcd0

暴走族“死苦羅面”集会場――

ブォンブォンブォン……

友人「野郎ども! 今夜はいよいよ“クレイジートカレフ”との抗争だ!」

友人「奴ら全員、地獄に落としてやるぞ!」

仲間A「うおおおおおおおおおっ!」

仲間B「よっしゃあ!」

仲間C「鉄パイプで頭カチ割ってやるぜ!」


14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:31:40.787 ID:ANUVtIcd0

青年「今日は俺も連れてってくれ!」

友人「ダメだ」

青年「なんで!? なんでいつも俺だけ外すんだよ!」

友人「オメーはバイクはともかく喧嘩は全然なっちゃいねえ」

友人「オメーを抗争に連れてくと、俺ら全員の恥になんだよ」

青年「足手まといにゃならないって!」

友人「ダメだ! さぁ、野郎ども、奴らのアジトに乗り込むぞ!」

ブォンブォンブォン……


15: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:34:12.354 ID:ANUVtIcd0

青年「くっそー……またミソッカスかよ」

青年(あいつは俺と友達として付き合ってくれてるけど)

青年(総長の時のあいつは、いつも俺をのけ者にしやがる……)

青年(俺だって……俺だってやれるのに……!)


17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:37:35.606 ID:ANUVtIcd0

――

――――

ブォンブォンブォン!

青年「イヤッホーッ!」

友人「ヒャッハーッ!」

青年「バイクはいいぜ!」

青年「こうして暴走してると、嫌なことを何もかも忘れられる!」

友人「だな!」

ブォンブォンブォン……


20: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:40:31.753 ID:ANUVtIcd0

青年「!」

友人「誰か道路にいるぞ!」

キキーッ!

青年「……ふう」

青年「あっぶねえ! てめえ、なに道路に突っ立ってんだ! 死にてえのか!」

評論家「やっと見つけたよ……」

青年「てめえは……!」

友人「こないだの……美術評論家!」


22: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:43:27.728 ID:ANUVtIcd0

評論家「ようやく思い出した……」

評論家「君はかつて日本中を感動させ若くして亡くなった天才画家……その一人息子!」

評論家「その才能は父を遥かに凌駕するといわれたが、すぐに画壇から消えてしまった」

評論家「ほんの僅かしか発表されなかった君の絵は、今でも破格の額で取引されている」

青年「……」

友人(マ、マジかよ……)


24: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:47:30.409 ID:ANUVtIcd0

評論家「君が生きていると分かれば、あらゆる美術関係者が君のもとへ群がるだろう」

評論家「君は美術界の至宝なんだよ! 暴走族なんてやってていい存在じゃない!」

評論家「さぁ、私とともに来るんだ! 私が君をプロデュースしてあげよう!」ガシッ

青年「は、はなせ!」

評論家「はなすものかぁ! 絶対はなさないぞ!」

青年「……殴るぞ!」

評論家「殴る? 本望だよぉ! 君のような天才に殴ってもらえるのならぁぁぁ!」


25: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:50:16.290 ID:ANUVtIcd0

バキィッ!

評論家「あびゃぁっ!」

青年「!」

友人「代わりに俺が殴ってやったぜ」

青年「……」

友人「今の話……本当なのか?」

青年「……ああ」


26: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:54:51.103 ID:ANUVtIcd0

青年「俺は天才だった親父の才能を存分に受け継ぎ、かつて画家としてデビューした」

青年「描いた絵はどれもこれも高く評価され、とんでもない額で売れた」

青年「俺も自分の才能や作品が評価されて嬉しかった」

青年「だけど、ふと気づいたんだ」

青年「最初は絵を描きたかったから描いてたのに、いつしか周囲のいいなりになって」

青年「売れるために、褒められるために、絵を描いてる自分に……」

青年「だから俺は――」

『こんなの違う! こんなの俺が描きたい絵じゃないっ!』

青年「画壇から姿を消したんだ……」


27: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:57:47.087 ID:ANUVtIcd0

青年「そんな時、俺はバイクに出会った」

青年「バイクにまたがって、ぶっ飛ばしてる時だけは嫌なことを忘れられた」

青年「そして、お前と出会って――」

友人「暴走族になった、か……」

青年「ああ、暴走してる時だけは画家だった頃の自分を忘れられるんだ!」

青年「なぁ、俺もっと頑張るから! だからちゃんと“死苦羅面”の一員として扱ってくれよ!」

友人「わ、分かった! 分かったよ!」


28: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 21:59:51.154 ID:ANUVtIcd0

ブォンブォンブォン!

友人「お、おい……飛ばしすぎじゃねえか?」

青年「いいんだよ! 暴走族がスピードの出しすぎ気にしてんじゃねえよ!」

友人「たしかにそうだけどさ……」

青年「ヒャッホーッ! どけどけどけぇーっ!」

友人「……」


29: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 22:03:19.173 ID:ANUVtIcd0

暴走族“死苦羅面”集会場――

ブォンブォンブォン……

ザワザワ… ドヨドヨ…

友人「どうした?」

仲間A「そ、それが……」

友人「なにい!? あいつがたった一人で“駄亜駆寝巣”の本拠地に乗り込んだだと!?」

友人「で、どうなったんだ!」

仲間B「普通なら殺されるとこですけど、弱すぎたから見逃してもらえたとか……」

友人「……!」


30: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 22:06:26.415 ID:ANUVtIcd0

友人「お前、なにやってんだ! 今お前が生きてるのは奇跡みてえなもんだ!」

青年「すまねえ……」

友人「それだけじゃねえ! 危うく“駄亜駆寝巣”と全面抗争になるとこだったぞ!」

青年「本当に悪かったと思ってるよ……」

青年「だけど、俺、あの“駄亜駆寝巣”に一人で乗り込んだんだぜ?」

青年「その度胸は認めてくれよ! 俺を本格的に暴走族にしてくれよぉ!」

友人「……」


32: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 22:10:02.095 ID:ANUVtIcd0

友人「今だから話すが、俺はお前と出会った時、“こいつは暴走族になるべき人間じゃない”と思った」

友人「普通に生きてくべき人間だと思った」

青年「!」

友人「だから、抗争には参加させなかったんだが……そこまで本気ならしょうがねえ」

友人「お前を本当の仲間として認めてやる」

青年「ホントか!」

友人「ただし……俺との勝負に勝ったらだがな!」

青年「勝負? どんな? 喧嘩か?」

友人「いや、チキンレースだ!」


33: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 22:13:57.557 ID:ANUVtIcd0

ブォンブォンブォン……

友人「ルールは単純」

友人「俺とお前があの崖に向かってフルスロットルでバイクを走らせる」

友人「先にブレーキかけた方が負けだ」

青年「……!」

友人「もし、お前が勝ったら、お前を本当の仲間にしてやる。抗争も参加させてやるよ」

友人「ただし、お前が負けたら――」

友人「チームを抜けろ」

青年「わ、分かった……」


34: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 22:17:13.709 ID:ANUVtIcd0

ブォンブォンブォン……

友人「いくぜ」

青年「……」

青年(俺は死なんか恐れちゃいないんだ)

青年(絶対こいつより先にブレーキはかけない!)

青年(つまり、どのみち絶対に“負け”はない!)



ブオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!


35: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 22:20:05.899 ID:ANUVtIcd0

ブオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!



友人「……」

青年「うおおおおおおおおおおっ!」

友人「……」

青年(もうそろそろブレーキかけなきゃまずいけど……友人はかけるつもりはないらしい!)

青年(なら俺だってぇ!)

青年(こんなにスピード出すのは初めてだぁぁぁぁぁ!)


36: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 22:23:18.636 ID:ANUVtIcd0

ブオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!



青年「!」ハッ

青年(なんだ……? 暴走してたら、いきなりモチーフが浮かんできた……)

青年(とても斬新で、独創的で……今まで思いもつかなかったモチーフが!)

青年(ああ……描きたい! 急に絵を描きたくなってきた! あんなに描きたくなかった絵を!)

青年(し、死にたくないっ……! 生きて絵を描きたいっ……!)

青年(だけど、もう間に合わな――)

キキーッ!

青年「うわあああああああっ!!!」


38: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 22:26:58.456 ID:ANUVtIcd0

ガシィッ!

ドガシャァァァァン…

青年「ハァ、ハァ、ハァ……」

友人「間一髪、だったな。お前のバイクは落ちちまったけど」

青年「う、ううう……」

友人「さ、引き上げてやる!」グイッ


39: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 22:30:27.167 ID:ANUVtIcd0

青年「ありがとう……」

友人「いいってことよ」

青年「あの……俺……」

友人「分かってるよ」

友人「行けよ……行っちまえ。俺らのことなんざとっとと忘れろ」

青年「ごめん……」

友人「ただしやるからには、絶対すごい画家になれよ!」

青年「ああ……絶対なるよ!」


40: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 22:34:32.352 ID:ANUVtIcd0

――

――――

司会「本日のゲストは『芸術は暴走だ』の言葉でおなじみのこの方です!」

画家「どうも」

司会「先日開かれた個展も、大盛況でしたね。海外からも大勢の方が訪れて……」

画家「おかげさまで、ありがとうございます」

司会「今後の活動の方針などは何かございますか?」

画家「そうですね。これからも作品をたくさん発表して」

画家「自分の道をフルスロットルで突っ走っていきたいと思っています」


41: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/01/02(水) 22:37:45.919 ID:ANUVtIcd0

父「今テレビに出てるこの人、昔俺の友達だったんだぞ! よく一緒に走ったもんだ!」

息子「えー、絶対ウソだよー!」

息子「こんなすごい人が、父ちゃんみたいなバイク野郎なんか相手にするわけないじゃん」

父「いや、マジなんだって……」

母「あんた、またそのホラ話してんの? いい加減やめなさいよー!」

父「マジなんだけどなぁ……」






― 完 ―





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