TOP > ぼくたちは勉強ができない > 【ぼく勉】 紗和子 「あら、奇遇ね」

【ぼく勉】 紗和子 「あら、奇遇ね」

659: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:21:38 ID:.1QY/f6c

………………放課後 一ノ瀬学園

理珠 「すみません、成幸さん。母が急用で店を開けなくてはならないそうなので、今日は帰ります」

文乃 「わたしも、荷物を受け取らなくちゃいけないから帰るね。ごめんね」

うるか 「あたしも、ママ……じゃなくて、お母さんからお遣いたのまれちってさ。ごめん」

成幸 「おお、そうなのか。じゃあまた明日だな」

文乃 「うん。ごめんね、成幸くん。また明日!」

うるか 「じゃーねー、成幸ー」

理珠 「さようなら、成幸さん。また明日」

トトトトトト……

成幸 「………………」

成幸 (んー、あの三人が帰ってしまったということは、俺ひとりか)

パァアアアアアア……!!!

成幸 (久々にひとりで伸び伸びと勉強できる!? やったー!)


660: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:22:19 ID:.1QY/f6c

………………図書室

ザワザワザワ…………

成幸 「わぁ……」

成幸 (今日は混んでるなぁ。うーん、座れないことはないけど……)

成幸 (せっかくひとりなんだから、静かに勉強したいところだな)

成幸 (……ん、そういえば)


―――― 『あっ そういえば一箇所心当たりが!』


成幸 「………………」

成幸 (もし空いてそうだったら、あそこを借りてもいいかな?)


661: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:23:03 ID:.1QY/f6c

………………生物室

成幸 「………………」

カリカリカリカリ……

成幸 (案の定、誰もいないから勉強にうってつけだ)

成幸 (家に帰ったら和樹と葉月がいるし、ここでがっつり勉強して帰るとしようかな)

標本 「………………」


―――― 『ねーねー知ってる? あのウワサ』

―――― 『放課後になるとね…… あそこの骨格標本がひとりでに生物室内を徘徊し始めるんだって……』


成幸 (……い、いやいやいや、大丈夫、大丈夫。あんなのはただの噂だ)


―――― 『あれ……変ね 電池が入ってないわ』


成幸 (あれは……うん、まぁ、説明はつかないけど……でも……――)

――――ガラッ

成幸 「ヒッ……!?」 ビクッ


662: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:23:37 ID:.1QY/f6c

紗和子 「……? あら、唯我成幸じゃない。奇遇ね」

成幸 (な、なんだ。関城かよ……) ドキドキドキドキ……

紗和子 「どうかしたの? 床に座り込んだりして……」

成幸 「い、いや、何でもない。ちょっとこけちゃってさ……」

成幸 (言えない……驚いて椅子から転げ落ちたなんて……!)

紗和子 「まったく、そそっかしいわね。大丈夫?」 スッ

成幸 「あっ……」 ギュッ 「わ、悪い……」

紗和子 「図書室が混んでいたからここで勉強しようと思ってきたんだけど、あなたも同じ考えだったようね」

成幸 「ああ。ここは静かに勉強できるからな」

紗和子 「緒方理珠たちは?」

成幸 「今日は急な用事で帰ったよ。だからこそ余計に静かに勉強したかったんだけど……」

成幸 (この生物室が怖くて、逆に集中できてなかった……なんて言えないよな)

紗和子 「えっ……」 ガーン

紗和子 「あっ、じ、じゃあ、私もお邪魔よね? ごめんなさい。失礼するわ」

成幸 「!?」


663: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:24:22 ID:.1QY/f6c

成幸 「ま、待ってくれ!」

ガシッ

紗和子 「ふぇっ……!?」

成幸 「い、行かないでくれ。お前が来てくれてすごく嬉しかったんだ。だから……」

成幸 (関城がいなくなったらまたこの生物室にひとりきりになってしまう!)

紗和子 「なっ……///」

紗和子 「う、嬉しかったって、あなたには緒方理珠が……」

成幸 「……? 緒方? 緒方は関係ないだろ」 (もう帰っちゃったし)

紗和子 「………………」

紗和子 「……そっ、そこまで言うなら、まぁ」

紗和子 「本当に私がいても邪魔じゃないのね?」

成幸 「邪魔なもんか。一緒に勉強しようぜ、関城」

紗和子 「……え、ええ」 カァアアアア……

標本 「………………」


664: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:25:00 ID:.1QY/f6c

………………

紗和子 「………………」

成幸 「………………」

標本 「………………」

カリカリカリ……

成幸 (ひとりきりなら怖かったものも、ふたり以上になれば怖いも何もない)

成幸 (骨格標本だって、化学部の改造によって電動になっているらしいが、よくよく考えればただの模型だ)

成幸 (噂だって、電動になった骨格標本が動く様を目撃した生徒がいただけのことだろうし、)

成幸 (電池が入っていなくても動いたことに関してはまぁ、説明はつかないけど……)

成幸 (なんにせよ、関城がいてくれれば心強い。静かに勉強ができて何よりだ)

成幸 (……そして、さすがは化学部部長といったところだろうか)

成幸 「……ん? これって……」

紗和子 「……?」

成幸 「なぁ、関城。ここの結合ってこういう風に分解はできないのか?」

標本 「………………」


665: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:25:50 ID:.1QY/f6c

紗和子 「? ……ああ、それだとイオン化ができないからそもそも分解されないわよ」

成幸 「? 教科書のイオン化の例と何が違うんだ?」

紗和子 「……ああ、それは高校レベルじゃやらないから分からないのも無理ないわね」

紗和子 「仕方ないわね。少し長くなるけど、説明する?」

成幸 「本当か? 助かるよ」

成幸 (関城は俺の分からないところを丁寧に説明してくれる)

成幸 (いつも教えている身としては、同級生に教わるのはなかなか新鮮だ)

成幸 (理系科目――特に化学に造詣が深い関城は、やや高度な疑問にもすぐに答えてくれる)

成幸 (本当に、関城が来てくれてよかった……)

ニコニコニコ

紗和子 「……? 何にやにやしてるのよ」

成幸 「へ? ああ、悪い」 クスッ 「表情に出てたか」

成幸 「いや、お前が来てくれて良かったなって思ってさ」

紗和子 「は……?///」


666: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:26:20 ID:.1QY/f6c

紗和子 (なっ……なんなのかしら、さっきから……)


―――― 『「ま、待ってくれ!』

―――― 『い、行かないでくれ。お前が来てくれてすごく嬉しかったんだ……。だから……』

―――― 『いや、お前が来てくれて良かったなって思ってさ』


紗和子 (まったくもう、唯我成幸ってば。あなたには緒方理珠というステディがいるでしょうに……)

紗和子 (なんで、私が来たくらいでこんなに大喜びするのよ……)

紗和子 (そっ、それじゃまるでっ……)

カァアアアア……

紗和子 (あなたが私に気があるみたいじゃない……///)

成幸 「……?」

成幸 「関城、なんか顔赤いけど、大丈夫か?」

紗和子 「はっ……!? あ、赤くなってないけど!?」

成幸 「いや、めっちゃ赤いけど……」

標本 「………………」


667: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:27:10 ID:.1QY/f6c

紗和子 「なってないって言ってるの! ほら、せっかくの勉強時間なんだから、勉強に集中するわよ!」

成幸 「……ああ、それもそうだな」


―――― うるか『成幸ー、勉強飽きちゃったよー。つかれたよー』

―――― 文乃 『………………』 Zzzz……

―――― 理珠 『全然分かりません。成幸さん、ここはどういうことですか?』


成幸 (あいつらもここ最近はここまでひどくはないけど……)

成幸 (……ああ、なんか、いつもとの落差がすごい)

成幸 (いつもだったら、こっちががんばれと励ます方なのに……)

成幸 (関城は俺のことを励ましてくれるんだな……)

成幸 「……あー、ほんと、お前が来てくれてよかったよ」 ホロリ

紗和子 「っ……/// ま、またヘンなこと言って……」

成幸 「? 変じゃないだろ?」

成幸 「なんだったら毎日お前と一緒に勉強したいくらいだぞ?」

紗和子 「あ……う……」 カァアアアア……


668: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:27:44 ID:.1QY/f6c

紗和子 「………………」 プスプスプス……

成幸 「関城? なんか、顔が真っ赤になりつつあるぞ?」

紗和子 (あなたがヘンなこと言うからでしょーがー!)

紗和子 (まったく、この男は一体何を考えて……――)

――――ピタッ……

紗和子 「ふぇっ!?」 (手!? おでこ!? え!?)

成幸 「……んー、熱はなさそうだな」

紗和子 (あう……/// 唯我成幸の手、冷たくて、気持ちいい……)

ハッ

紗和子 (って私は何を考えてるの!? 唯我成幸は私の大親友、緒方理珠の想い人!)

紗和子 (そんな相手に、私は、何を……)

成幸 「本当に大丈夫か?」

紗和子 「……あっ、だ、大丈夫。大丈夫だから!」 プイッ

標本 「………………」


669: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:33:29 ID:.1QY/f6c

成幸 「あっ……」

ハッ

成幸 「わ、悪い。急におでこに手を当てたりして……」

紗和子 「それは、まぁ……いいけど」

紗和子 「や、やっぱり私、ちょっと体調悪いみたいだわ」

紗和子 「今日はこれで帰るわね。あとはひとりで集中して勉強したらいいわ」

紗和子 (これ以上ここにいたらヘンになりそうだし……)

紗和子 「それじゃ、またね。唯我成幸――」

成幸 「――あっ、待ってくれ! 俺も一緒に帰るよ!」

紗和子 「ふぇっ!?」 アセアセ 「そ、そんな、いいわよ。あなたはここで勉強していったら……」

成幸 (ここでひとりになったらまた怖くてきっと集中できない! だったら家に帰った方がマシだ!)

成幸 (けど、それを関城に悟られるのはさすがに恥ずかしいし……)

成幸 「た……体調の悪そうなお前をひとりで帰すわけにはいかないだろ。送ってくよ」

紗和子 「えっ……」

標本 「………………」


670: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:34:01 ID:.1QY/f6c

紗和子 「あっ……えっと、その……」 カァアアアア……

成幸 (さすがに苦しいか……?)

紗和子 「じ、じゃあ……お願いするわ……///」

成幸 「……?」

成幸 (なんでまた顔を赤くしてるんだ……?)

成幸 「ん、じゃあ行くか」

紗和子 「え、ええ……」

紗和子 (ち、違うから! 違うのよ、緒方理珠! これは、友達だから送っていってくれているだけで……)

紗和子 (決して、“そういうの” じゃないんだから!)

………………

標本 「………………」

ギギギギ……

標本 「………………」

ギシッ……ギシッ……


671: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:34:34 ID:.1QY/f6c

………………帰路

紗和子 「………………」

ドキドキドキドキ……

紗和子 (ど、どうしたらいいのかしら。胸がすごいことになってるわ……)

チラッ

成幸 「……ふむふむ」

紗和子 (歩きながらも勉強……。本当にガリ勉ね)

紗和子 (でも、そんな横顔が……) カァアアアア…… (なぜか、いつもより精悍に見えるわ……)

成幸 「ん……? どうかしたか、関城?」

紗和子 「えっ? いえ、何もないわ……」

成幸 「……?」

紗和子 (……ああ、どうしたらいいのかしら。今、横にいる男の子は、大親友の想い人だというのに……)

紗和子 (なんでこんなに、ドキドキするの……)

………………

標本 「………………」 コソッ


672: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:42:25 ID:.1QY/f6c

成幸 「おい、本当に顔真っ赤だぞ? 大丈夫か?」

紗和子 「………………」

紗和子 「……ダメ、かも」 ボソッ

成幸 「!? やっぱり体調が悪いのか。もっと早く言えよ」

紗和子 「ご、ごめんなさい……」

紗和子 (体調ではなく精神的なものなのだけど……でも、そんなこと言えないし……)

成幸 「荷物持つよ。教科書とか入ってて重いだろ」 スッ

紗和子 「あっ……」

成幸 「歩けるか? おんぶするか?」

紗和子 「さ、さすがにそこまでは大丈夫よ。歩けるわ」

成幸 (でも辛そうだな……ん?)

成幸 「公園があるな。ちょっと休んでくか? それとも早く帰った方が楽か?」

紗和子 「公園……?」


673: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:43:14 ID:.1QY/f6c

紗和子 (公園といえば……)


―――― 『は 初デートはどこがいいかしら!?』

―――― 『なるべく金のかからない所が…… 公園とか』


紗和子 「っ……」

紗和子 「あっ……えっと……」

成幸 「ん?」

紗和子 「………………」

紗和子 「……ちょっと、寄っていくわ」

成幸 「ん、分かった。ベンチがあるから、そこで少し休もうか」 ニコッ

紗和子 (わ、私……)

紗和子 (自分で、公園に寄ることを選んで……これじゃ、まるで……)

紗和子 (唯我成幸と、公園デートしたがってるみたいじゃない……///)

………………

標本 「………………」 ジーーーーッ


674: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:43:45 ID:.1QY/f6c

………………公園

成幸 「ほい、関城。自販機でコーヒーと紅茶買ってきたけど、どっちがいい?」

紗和子 「ん……じゃあ、コーヒーをいただくわ。ありがとう」

成幸 「どういたしまして」

紗和子 「………………」 ズズズ……

紗和子 (……ひょっとして、こうしてベンチの隣に座っていると)

紗和子 (傍から見たら、私たちは、恋人同士に見えたりするのかしら……)

紗和子 (なんて……)

紗和子 「………………」

紗和子 (……違う)

紗和子 (違う)

紗和子 (絶対に違う……!)

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!


675: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:44:18 ID:.1QY/f6c

紗和子 (こんなの、何かがおかしいわ)

紗和子 (今まで、私は、大親友のために色々とがんばってきた……)


―――― 『あら! そこにいるのは唯我成幸じゃない! 偶然ね!』

―――― 『ちょうどよかったわ 唯我成幸 緒方理珠の新しいペンケースを一緒に選んでやってくれないかしら』

―――― ((やはり…… せっかく好きな人と2人きりで出かけられるチャンスを 大親友の私が奪うわけにはいかないわよね))

―――― 『じゃッ!! 私はトイレに行ってくるから! 2人ともグッドラック!!!』


紗和子 (そんなこの私が……!)

紗和子 (この、化学部部長、関城紗和子が!!)

紗和子 (大親友にして大恩人、緒方理珠を裏切るようなことをするはずがない……!!!)

成幸 「関城? すごい顔してるけど、大丈夫か……?」

紗和子 (この男を、唐突に奪い取るようなマネをするはずがない!!)


676: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:44:55 ID:.1QY/f6c

………………

標本 「………………」 ギシッ……

標本 「………………」 ギシギシギシッ……

標本 「………………」

ガシャッ……ガシャッ……ガシャッ……――――


    「――そこまでっスよ」


標本 「……!?」

蝶野 「美少女霊媒戦士、マジカルチョーノとミラクルイノポンが相手になるっスよ」

猪森 「いや、君は何もしないだろう、蝶野。というか、勝手に変な名前をつけないでくれ」

猪森 「……またあの骨格標本に変な霊が取り憑いたか。まったく、度し難いな」

蝶野 「どうも唯我成幸さん周りのラブコメの波動に引き寄せられてるみたいっスね」

蝶野 「前回同様、ラブコメ好きの霊が取り憑いてるみたいっスよ」

猪森 「……一体何なんだ、ラブコメの波動とか、ラブコメ好きの霊って」

蝶野 「ツッコんだら負けっスよ、いのぽん」


677: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:45:33 ID:.1QY/f6c

………………

紗和子 「……唯我成幸」

成幸 「ん?」

紗和子 「私とあなたは、友達?」

成幸 「……? いきなりなんだよ」

紗和子 「答えて。お願い」

成幸 「……ん、まぁ、そりゃ……友達だろ?」

紗和子 「……うん」 クスッ 「嬉しいわ」

成幸 「? なんだそりゃ」

紗和子 (……うん。だって、そうよ)

紗和子 (それだけで十分だもの)

スゥ……

紗和子 (好きになんて、ならない。そもそも、好きになる要素なんて、ない)

紗和子 (だから私は、これでいい……)


678: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:46:23 ID:.1QY/f6c

………………

標本 「……!?」

猪森 「どうやら、今回は関城さんと唯我くんのふたりに変な念をおくっていたようだが、」

猪森 「残念だったね。関城さんは、自分の精神力ひとつでお前のラブコメ念波を打ち破ったようだ」

猪森 「なんにせよ、人に迷惑をかけてはいけない。悪いけど、除霊させてもらうよ」

標本 「………………」 フルフル

猪森 「ん? なになに? ラブコメ念波なんて送ってない……?」

猪森 「“ちょっと素直になっちゃうビーム” を関城さんに撃ってただけ……?」

猪森 「………………」

猪森 「ていっ」 ぺしっ

オギャアアアアアアア………………

蝶野 (さすがはいのぽん。無視してそのままおフダをたたき込んだっス)


679: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:47:06 ID:.1QY/f6c

猪森 「ふぅ。除霊完了だな」

蝶野 「お疲れさまっス、いのぽん」

猪森 「ああ。蝶野も、付き合ってくれてありがとう」

蝶野 「……それにしても、関城さんもよくよく取り憑かれやすい人っスね」

猪森 「そういう体質なんだろう。まぁ、近くに私みたいな人間がいてよかったよ」

蝶野 「……そう言って、ミラクルイノポンは笑う」

蝶野 「人知れず、今日も美少女霊媒戦士の戦いは続くのである」

猪森 「一体何のナレーションなんだ……?」

猪森 (それにしても、“ちょっと素直になっちゃうビーム”か……)

猪森 (不謹慎な話ではあるが、)

クスッ

猪森 (うちのお姫様にも、撃ってくれればいいのにな)


680: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:47:39 ID:.1QY/f6c

………………翌日

成幸 「あっ……」  紗和子 「あっ」 バッタリ

紗和子 「……お、おはよう、唯我成幸」

成幸 「ああ、おはよう。体調は大丈夫か?」

紗和子 「おかげさまでよくなったわ。昨日は手間をかけさせたわね」

紗和子 (……不思議だわ。昨日はあんなに騒がしかった心臓が、今はすっかり鳴りを潜めている)

紗和子 (まるで、昨日は何かの呪いでも受けていたんじゃないかというくらい不自然だったわ)

成幸 「なぁ、関城。また化学で教えてほしいことがあるんだけどさ、」

成幸 「また今度、ふたりで勉強とかできないかな?」

紗和子 「? 何でふたりなの? 緒方理珠たちも誘えばいいじゃない」

成幸 「いや、まぁ、そうなんだけどさ……」 コソッ 「お前とふたりの方が、勉強に集中できるからさ……」

紗和子 「っ……し、仕方ないわね……」


681: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:48:21 ID:.1QY/f6c

紗和子 (ない。絶対ない)

カァアアアア……

紗和子 (昨日考えたとおり、絶対、ない)

紗和子 (この男を好きになったりなんて、そんなこと、絶対ない)

紗和子 (……ない、のに)


―――― 『お前とふたりの方が、勉強に集中できるからさ……』


紗和子 (何で、“嬉しい” なんて思ってるのよ、私……!!)

紗和子 (違うから! 絶対違うからね、緒方理珠!)

紗和子 (あなたの好きな人を奪い取ったりなんて、絶対しないから!)

おわり


682: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/21(木) 23:49:20 ID:.1QY/f6c

………………幕間 「肩こり」

猪森 「前回の霊は緒方さんと唯我くんのラブコメを見るために寄ってきて、」

猪森 「今回の霊は関城さんと唯我くんのラブコメを見るために寄ってきた……」

蝶野 「我々 『いばらの会』 としては、ぜひとも霊に古橋姫に取り憑いてもらいたいものっスね」

猪森 「滅多なことを言うなよ、蝶野。霊になんて憑かれないに越したことはないんだから」

猪森 「それに、古橋姫は多分霊に取り憑かれることはないよ」

猪森 「霊に取り憑かれると肩こりがするようになるんだ。そして、オカルトにおいて、因果と結果は相関関係にある」

猪森 「つまり、逆説的に言えば、“肩こりになりやすい人は霊に取り憑かれやすい”」

蝶野 「あっ……つまり……」

猪森 「ああ。肩がふにゃふにゃなくらい柔らかく健康的な古橋姫は、霊に取り憑かれにくい」

蝶野 「まさか胸のアドバンテージがこんなところでも表れるとは……はっ!?」

文乃 「………………」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

猪森 「ふ、古橋さん!? いつからそこに……?」

文乃 「……なんかしらないけどすごく失礼なことを言われた気がしたから、ふたりともとりあえずつねるね?」

おわり





『ぼくたちは勉強ができない』カテゴリの最新記事

おすすめ記事

コメントの投稿