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考古学者「いくら掘ってもなんも見つからないからもう捏造するしかねえ!」

2019/10/04 21:01 | その他 | コメント(0)
1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 22:30:03.488 ID:pteLeE/60

ザクッ… ザクッ…

助手「見つかりませんね……オンヴォーロ文明があった証拠」

学者「ああ……」

助手「どうしますか? もう少し発掘しますか? それとも場所を変えてみます?」

学者「……いや、どちらも却下だ」

助手「どういう意味です?」

学者「捏造しよう」

助手「は!?」


4: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 22:34:30.131 ID:pteLeE/60

助手「捏造って……ようするに自分で作っちゃうんですか?」

学者「そうだ」

助手「そうだって……。もしバレたらどうすんですか! 人生終わりますよ!」

学者「もう終わってんだよ!!!」

助手「!」

学者「このオンヴォーロ保護区の発掘を認めてもらうまで、どれだけの手間暇がかかったことか!」

学者「政府への根回し、申請から認可まで一年以上かかり、資金だって借金してまで作った!」

学者「それだけじゃない。私は考古学に熱中するあまり、妻とも別れたし」

学者「必ず文明跡は見つかるからと、すでにテレビや新聞にも宣伝しまくってしまっている!」

学者「これでなにも見つからなかったら、私はどちらにせよ終わりなんだよ!」

学者「だったら捏造に賭けてみるってのがロマンだろうが……!」

助手「ロマンって言葉が泣きますよ……」


5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 22:37:57.115 ID:pteLeE/60

助手「ていうかなんで、そんなに宣伝しちゃったんですか。見つけてからすればよかったのに……」

学者「注目を集めたかったし、絶対見つける自信あったからさぁ……」

助手「結果はこのザマですけどね。二人して穴掘りの達人になっただけです」

学者「ぐぐぐ……」

助手「予算不足で発掘は二人でやるはめになるし、先生は肝心なところでいつも詰めが甘いんだから……」

学者「うるせえなぁ! 過去のことなんざ振り返ってもしょうがないだろ!」

助手「考古学者のセリフじゃないですね」

学者「で、どうする。君はやるのか? やらないのか?」

助手「いいですよ、やりますよ」

助手「ただし! もしバレた時は先生に付き合わされてやったっていいますからね!」

学者「分かってるって! なんなら脅されたことにしてもかまわんから!」


6: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 22:40:40.412 ID:pteLeE/60

学者「じゃあさっそく捏造を始めるか。レッツ・メイキング!」

助手「んな軽いトーンで始めないで下さい」

学者「文明跡というと、まずなにを作ればいいかな?」

助手「うーん、やはり器とかじゃないですかね?」

学者「器か……。石器や土器、というやつだな」

助手「はい、やはり物を食べる時の器ぐらいないと文明とは呼べませんからね」

学者「ようし、材料を集めて器作りに挑戦だ! オーッ!」

助手「……」

学者「拳を上げろよ」

助手(誰がやるか)


7: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 22:43:16.963 ID:pteLeE/60

助手「粘土を買ってきました」

学者「ご苦労」

ペタペタ… コネコネ…

学者「土いじりというのも楽しいものだな」

助手「捏造じゃなきゃもっと楽しかったんでしょうけどね」

学者「うるさい、黙ってやれ」

ペタペタ… コネコネ…


8: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 22:46:11.207 ID:pteLeE/60

学者「ただの器じゃ味気ないよなぁ」

助手「そうですね。なにしろオンヴォーロ文明は幻の文明といわれてますから」

学者「だったらもっとこう……装飾みたいなのを施すか」ペタペタ

助手「お、かっこいいですね!」

学者「そうか?」

ペタペタ… コネコネ…

助手「先生、なかなかお上手じゃないですか!」

学者「これでも美術の成績はいつもよかったからな」フフンッ


10: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 22:49:18.993 ID:pteLeE/60

学者「火で焼いて……出来た!」

ジャン!

助手「おお~、いいですねえ。結構それっぽいんじゃないですか?」

学者「だろ?」

学者「そうだ! せっかくだから晩飯はこれで豆や木の実を煮て作らないか?」

学者「ちゃんと使った方がリアルさが増すと思うし」

助手「そうですね、そうしましょう!」


14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 22:52:26.909 ID:pteLeE/60

モグモグ… パクパク…

助手「自分で作った土器で食べる食事というのもなかなかオツですね」

学者「だろう? こうやって昔の生活を体験してみるのも考古学の醍醐味だ」

助手「ところで、先生はどうして考古学者になったんです?」

学者「亡くなった父親も考古学者でな。その影響だろうな」

助手「お父さんも考古学者だったんですか」

学者「ああ、収入こそそこらのサラリーマン以下だったが、そこそこ成果は挙げてたらしい」

学者「考古学の世界では知る人ぞ知る、的存在だったようだ。絵に描いたような簡素清貧の人だったよ」


15: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 22:56:01.192 ID:pteLeE/60

子『お父さんはどうして考古学者になったの?』

父『過去の人々が遺した数々の品から、古代の風景や生活に想いを馳せる……』

父『そんなところにロマンを感じたからさ』

子『ふうん……』



学者「……もっとも考古学の才能ってのは遺伝しないらしく、息子の私はこの有様だがな」

助手「……」

学者「さ、もう寝るぞ。明日も朝から捏造に取りかかるんだ」

助手「は、はい!」


17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 22:59:55.918 ID:pteLeE/60

学者「器はこれでいいとして……他には何を作ろうか?」

助手「文明といえばやっぱり宗教……ではないでしょうか」

助手「他の地域の文明でも、原始的な神を崇拝している跡というのが遺されてますから」

学者「ふむ、たしかに」

学者「作物の豊作や災害の回避、病気の治療など、神の力を借りたいという場面は多かっただろうからな」

助手「ええ、それに神の実在感は今とは比べ物にならなかったことでしょう」

学者「決まりだな。次は宗教的な道具を捏造しよう!」


18: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:01:37.361 ID:pteLeE/60

トンテンカン… トンテンカン…

学者「出来た! ……“神の像”!」ジャーン!

助手「おおっ! かっこいい! こういう神様が本当にいそうですね!」

学者「だろう?」

助手「ついつい拝みたくなっちゃいますよ!」

学者「そうかそうか。で、そっちはどうだ?」

助手「バッチリです。色々と儀式に使いそうな道具を作ってみました」

学者「おおっ、どれもエキゾチックな雰囲気が漂っていていいじゃないか!」

助手「ありがとうございます!」


19: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:04:33.010 ID:pteLeE/60

学者「あとはそうだなぁ……壁画的なものも作っておくか!」

助手「いいですね! 古代文明にも芸術が……なんて話題になるかも!」

ヌリヌリ…

学者「どうだ?」

助手「やるぅ! イカしてますよ、この絵!」



学者「他には狩猟用の武器も……」

助手「住居跡も欲しいところですね……」

学者「祭事用の道具も……」



――――

――


21: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:08:01.468 ID:pteLeE/60

パシャッ! パシャシャッ! パシャッ!

記者「オンヴォーロ保護区の発掘調査はいかがだったんでしょうか!?」

学者「ああ、それはね……とりあえず記者会見でということで」

記者「幻といわれるオンヴォーロ文明をついに発見できたと!?」

学者「ハハ……まあ、なんというか、ハハ」

記者「はぐらかさないで下さいよ~」

学者「とにかく……楽しみにしておいて下さい。アハハ……」


22: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:10:16.059 ID:pteLeE/60

ワイワイ… ガヤガヤ…

司会「まもなく、オンヴォーロ文明発掘調査についての記者会見を始めさせて頂きます」

司会「記者団の方々は所定の位置について下さい」

学者「……」

助手「……」

ザワザワ… ワイワイ…

助手(記者だけじゃなく、色んな業界の大物の姿もある……)

助手(この記者会見について、先生とはなんの打ち合わせもしていない)

助手(どうするつもりなんだ……? 先生……)


24: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:13:29.496 ID:pteLeE/60

記者「おーい、これ見てくれ!」

ザワ…

記者「別室にこんなものが用意してあったぞ! 持ってきちゃった!」

ザワザワ…

「あっ、土器や道具があるぞ!」 「すげえ!」 「オンヴォーロ文明はあったんだ!」

「よっしゃ特番組むぞ!」 「神の掌(ゴッドパーム)だ!」 「なんて美しい……」

パシャッ! パシャシャッ! パシャシャッ!

学者「……!」

助手「な……! 勝手なことを……!」

司会「皆さま、お静かに! まもなく会見が始まります! お静かに! 席について下さい!」


25: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:16:23.328 ID:pteLeE/60

司会「落ち着きましたので、それでは学者さんからご挨拶をどうぞ」

学者「……」

学者(父さん……)



父『過去の人々が遺した数々の品から、古代の風景や生活に想いを馳せる……』

父『そんなところにロマンを感じたからさ』



学者(だよな)

学者(考古学は“ガチ”じゃなきゃ意味がない! あんな捏造品のどこに想いを馳せろってんだ!)

学者(私はあなたのようにはなれなかったが、せめて――)

学者「……皆さん」


27: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:20:05.187 ID:pteLeE/60

学者「あちらにある発掘品……あれらは全て……全て……」

学者「私が作ったものです!!!」

ドヨッ…

学者「私はオンヴォーロ保護区を発掘しましたが、なんの証拠も見つけることができず」

学者「とにかく功績が欲しいあまり発掘品を捏造してしまいました!」

学者「大変申し訳ありません!!!」

ドヨドヨ…

学者「ただし一つだけ……嘘まみれの私ですがこれだけは信じて下さい」

学者「横にいる助手は、この捏造に関係ありません! 私が脅して黙らせていました!」

学者「ですから……決して責めないで下さい! 何も悪くないのです!」

助手(先生……!)

ドヨドヨ… ドヨドヨ…


28: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:23:33.915 ID:pteLeE/60

助手「……いえ!」

学者「助手君!?」

助手「僕もノリノリで捏造に参加しました! やってるうちに楽しくなっちゃって……」

助手「僕も先生と同罪です! ですから先生と同じように罰して下さい!」

学者「勝手なことを……!」

助手「ったく、相変わらず詰めが甘いですね、先生」

助手「だけどだからこそ……僕だってあなたについてきたんですよ」

学者「バカモン……!」

ドヨドヨ… ドヨドヨ…

「じゃああれは全部偽物かよ!?」 「インチキか!」 「ふざけんなーっ!」

司会「皆さま、お静かに! お静かに! 席を立たないで下さい!」

記者「……ってちょっと待てよ?」


29: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:26:33.911 ID:pteLeE/60

記者「一つ質問をさせて下さい」

学者「どうぞ」

記者「ということは……あれらは全部あなたがたが作ったんですか?」

学者「そうです。二人で作りました」

記者「特にモチーフやモデルも無しに?」

学者「はい。オンヴォーロ文明はきっとこんな感じだろう、と」

記者「す、すごいですね……」

学者「?」

記者「私は芸術系記事の記者でもあるんですが、どれもずば抜けてセンスがあって……」

「うむ、その通り!」


30: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:29:49.157 ID:pteLeE/60

記者「あ、あなたは!」

芸術家「ワシはしがない芸術家をやってるものじゃが……」

学者(しがないって……私でもあんたの彫刻や絵画は知ってるぞ)

芸術家「君たちが作った偽発掘品、どれをとっても素晴らしい!」

芸術家「ワシの芸術魂にビンビン響いてきおる! こんなことは本当に久しぶりじゃ!」

芸術家「現代美術という言葉があるが、むしろ“未来美術”といっていいぐらいの代物じゃ!」

芸術家「なんとなく来てみた会見じゃが、とんだ掘り出し物に出会えたわい……」

学者「はぁ……」

助手(なんだか話がおかしな方向に――)

――――

――


31: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:32:46.557 ID:pteLeE/60

学者「いやー、ハハハ。まさかこんなことになるとはなぁ」

学者「あの記者会見のおかげで、捏造品はどれもこれも高値で売れて大儲けだ」

学者「調子に乗って新作を作ってみたら好評だし、個展を開かないかなんて誘いもあった」

学者「絶縁状態だった妻とも、たまに会って話すぐらいの仲には戻れた」

助手「人生、何がどうなるか分かりませんねえ」

学者「まったくだ」

助手「どうやら、先生は“過去を掘り起こす能力”より“未来を造る能力”に長けてたようですね」

学者「そうかもしれないな」


33: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:36:00.386 ID:pteLeE/60

学者「とはいえ、これだけのことを仕出かしながら、私はまだ夢を捨て切れてはいない」

助手「!」

学者「再び考古学の世界に足を踏み入ることを許されるのは容易なことではないだろうが」

学者「しかし、いつの日かまた……オンヴォーロ文明の発掘に挑戦したいものだな」

学者「その時はついてきてくれるか?」

助手「もちろんです!」


36: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/02(水) 23:38:23.188 ID:pteLeE/60

…………

…………

…………

『ふぅ~む、あの男、あともう少しだけ掘っていれば我らの遺跡を発掘できたものを……』

『詰めが甘いというかなんというか……』

『しかし、浅はかなところは多々あるが、面白い男であった』

『我々が歴史の脚光を浴びるのは、もう少し先の話になりそうだ……』







~おわり~





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