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大臣「やっべえウチの王様が占い師にハマって政治やり始めた……この国終わりですわw」

2019/10/06 15:03 | その他 | コメント(0)
1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 20:54:23.504 ID:XHdmtwX/0

― 宮殿 ―

料理人「どうぞお召し上がり下さい」

国王「…………」

国王「なんだこれは」

料理人「陛下のご注文通り、肉料理を……」

国王「俺はっ! やっぱり魚料理が食いたいの! 作り直せ、こんなもォん!」ガシャーンッ

料理人「は、はいっ!」



大臣「あーあ、またあんなワガママを……」

大臣(どうしてこうなった)


2: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 20:57:22.308 ID:XHdmtwX/0

大臣(昔の陛下は……)



王子『やめろやめろーっ! この子をいじめる奴らは俺が許さないぞ!』



大臣(石を投げつける悪童どもに立ち向かうような、正義感と勇気を持った御方だったのに)

大臣(苛烈な帝王教育、過度な期待、若くしての即位、国王という重責)

大臣(諸々の環境が、開花するはずだった名君という植物を腐らせてしまったのだろうなぁ……)


3: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:00:14.282 ID:XHdmtwX/0

ある日――

占い師「はじめまして」ニタァ…

大臣(妙なのが城門に来てるというから会ってみたら……)

大臣(なんだこのあからさまに怪しい女は)

占い師「私は旅の占い師……ぜひ陛下を占いたいのですが」

大臣「陛下を? まぁ、かまわんが……」

大臣「ただし、占いなどしょせん遊びだ。陛下を惑わすようなマネをしたら許さんからな」

占い師「分かっておりますよ、ウフフフフ……」

大臣「…………」


5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:04:22.229 ID:XHdmtwX/0

国王「俺を占う? 面白い、やってみせよ!」

占い師「ではさっそく……むむむ……」

国王「ほう、水晶玉で占うのか」

占い師「陛下……あなたには悩みがありますね?」

国王「えっ! す、すごい! なんで分かったのだ!?」

占い師「それと……今日はニンニク料理を食べましたね?」

国王「当たってる! すごい、すごいぞ!」

占い師「さらに……むむむ……」

国王「また当たった!」


6: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:07:19.463 ID:XHdmtwX/0

国王「……というわけだ。俺はこいつを気に入った」

国王「これからはこの占い師の意見を国政に取り入れる!」

大臣「陛下、お待ち下さい!」

大臣「悩みがあるなんて、そんなもの悩みがない人間なんていやしませんし」

大臣「ニンニク料理を当てたのも、そりゃあなたの口が臭かったからでしょう!」

国王「俺が臭いだと!?」

大臣「あ、いや失礼! しかし陛下! あのような者に政治を託せば間違いなく国は傾きます!」

大臣「どうかお考え直しを……」

国王「もう決めたのだ! 逆らうのなら大臣、お前とてただでは済まさんぞ!」


8: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:10:22.746 ID:XHdmtwX/0

大臣「あーあ……ついに来るとこまで来たって感じだな」

大臣(君主が女やら占い師に傾倒するって、典型的な国家の末期症状じゃないか)

大臣(私は元々大工の息子だし、国がやばくなったらすぐ辞任できるよう、また修行始めよっかな)

大臣「……いやいやいや! まだ諦めるな!」

大臣(あの不気味な占い師……なんとしても追い出してやる!)


11: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:13:43.921 ID:XHdmtwX/0

国王「…………」ボケー…

国王「いたっ!」ゴンッ

国王「なんでこんなところに柱があるんだ!」ゲシッ



国王「今日は俺から提案がある」

大臣「これは珍しい。一体どのような?」

国王「この宮殿は狭い、狭すぎる!」

大臣「は……?」

国王「よって、新しい宮殿を建てることにする! より大きく、より広いやつをな!」

大臣「えええ……!?」


13: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:17:16.182 ID:XHdmtwX/0

大臣「お待ち下さい、どこにそんな財源があるのです!」

国王「ちょちょいと税を搾り取ればいいだろうが。市民どもから」

大臣「そんなことしたら暴動が起きますよ!」

国王「黙れ! もう決めたんだ! 暴動が起きたら鎮圧すればよいこと!」

大臣(もうダメだ、この人は……)

国王「なぁ占い師、お前もそう思うだろ?」

占い師「おっしゃる通り、新しく建物を建設するのは吉と出ております」

国王「やはりな」ニヤッ

大臣(くっ、あの占い師め! 早くも陛下を取り込んでいる!)

占い師「むむむ……」

占い師「しかし、私の占いによると……もっと他の建物にした方がいいと出てますねえ」

国王「ほう?」


14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:20:20.025 ID:XHdmtwX/0

国王「なんだそれは」

占い師「たとえば図書館や憩いの場といった公共施設です」

占い師「こういったものを建て、市民に学ぶ機会を与えたり、交流をさせれば経済が活発化し」

占い師「いずれは宮殿を新築するくらいたやすくなるかと」

国王「それいい! それいこう!」

占い師「ウフフ……ありがたき幸せ」ニタァ…

国王「大臣、さっそく手配するのだ! 腕のいい大工を雇うのだぞ!」

大臣「は……はいっ!」


15: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:23:28.092 ID:XHdmtwX/0

ワイワイ… ガヤガヤ…

市民A「図書館に憩いの施設だって?」

市民B「へぇ~、今の王様も洒落たもの作るなぁ。とんだバカ王だって噂だったけど」

市民C「いい仕事をもらえたって大工の奴らも喜んでるぜ」


…………

……


大臣「新しく建設した施設は好評で、市民からも喜びの声が届いております」

国王「よくやったぞ、占い師」

占い師「ウフフ……これも全て占いの力でございます」


16: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:28:07.222 ID:XHdmtwX/0

― 宮殿 ―

家臣A「いやぁ~、陛下はかっこいい! イケメン!」チヤホヤ

家臣B「歴代一の聡明さでございます」チヤホヤ

家臣C「そのままのあなたでいて下さい!」チヤホヤ

国王「むふふふ、お前たちは俺のことをよく分かってくれている」

国王「ほら、金貨をやろう!」



大臣(くっ、あの家臣どもめ……陛下を甘やかしおって)

大臣(あんななんでもかんでも全肯定されたら、どんな人間だって腐ってしまう!)

大臣(しかし、あの三人は陛下のお気に入りだからな。私にもどうすることもできん……)


17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:31:17.707 ID:XHdmtwX/0

家臣A「ククク、あのバカはおだてるとすぐ褒美をくれるからありがてえ」

家臣B「褒めておだてて持ち上げて、このまま甘い汁吸いまくろうぜ!」

家臣C「なまじあいつが賢くなったら、こっちの立場があぶねえもんな!」

アハハハハ… ギャハハハハハ…





占い師「…………」ジロー…


19: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:35:16.180 ID:XHdmtwX/0

占い師「へーいーかー」

国王「おお、なんだ占い師。なにか占いの結果が出たのか?」

占い師「はい、出ました」

占い師「いつも陛下にくっついてるあの三人……クビにしましょ」

国王「な、なぜだ!? あの三人は俺によく仕えてくれてるのに!」

占い師「陛下ァ!」ギョロッ

国王「おわっ!」

占い師「私の占いを疑うと……どうなるか……知りたいですか?」ジロー…

国王「…………!」ゴクッ

国王「わ、分かった……言う通りにしよう。お前の占いは絶対だ!」

占い師「ウフフ……それでいいのです」


20: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:37:05.149 ID:XHdmtwX/0

家臣A「ちくしょう、なんでいきなりクビに……!」

家臣B「もう甘い汁吸えなくなっちまった……」

家臣C「このまま終わってたまるかよ!」

トボトボ…



大臣(私がいくらいってもクビにならなかったあの三人があっさり免職されるなんて……)


21: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:41:02.519 ID:XHdmtwX/0

……

大臣「近年、隣国からの圧力が急速に高まっている。我が国に対し野心を抱いているのは間違いない」

大臣(これも誰かさんが頼りないせいなのだが……)チラッ

国王「…………」

大臣「万一に備え、我が国も軍を増強せねばならん。なにかいい案のある者は――」

国王「簡単なことだ」

大臣「へ?」

国王「全員兵士にすればいい」ニヤッ

大臣「全員って……そしたら産業はどうなるんです? 働き手がいなくなりますが」

国王「昼は兵士をやらせて、夜働かせればいいだろ?」

大臣(いつ寝んの……!?)

国王「なぁ、いいアイディアだろう? 占い師よ!」

占い師「ウフフ……おっしゃる通りでございます」

大臣(まーたこいつか!)


23: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:45:20.880 ID:XHdmtwX/0

占い師「しかし、頭数ばかり増やしてもあまり意味はありません」

占い師「モチベーションの低い兵士では国防の役には立ちませんから」

占い師「私の占いによりますと、国の現状を国民に明らかにし、志願制にした方がいいと出ています」

占い師「国を守りたいという強い意志を持つ若者を集めるのです」

国王「なるほど」

占い師「あと、軍の総司令官は老将軍様にお願いするのが一番かと」

国王「あんなジイさんをか? もっと若い奴のがいいんじゃないか?」

占い師「あの方は年老いてなお歴戦の勇将。必ずや王国軍を強くしてくれるでしょう」

占い師「……と水晶玉に出ております」

国王「出てるならしょうがない。よし、志願兵を新たに集め、老将軍に調練させるのだ!」

大臣「はいっ!」


24: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:49:27.260 ID:XHdmtwX/0

……

大臣「先日の川の氾濫で、沿岸地域で多大な被害が出ております」

大臣「いかがいたしましょう?」

国王「ほっとけ」

大臣「……へ」

国王「よく分からんが川から水が溢れただけだろ? どうってことあるまい」

国王「むしろ、泳いだりできて楽しいんじゃないか?」

大臣「…………」

占い師「へーいーかー」

国王「お、なんだ、なにか出たか?」

占い師「今日の陛下は、水に近づくと吉があると出ております」ニタァ…

国王「よしっ! 兵を率いて沿岸地域を視察に行くぞ! 浮き輪も持ってな!」

占い師「ウフフ、よぉく現場をご覧下さい……」


25: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:52:28.526 ID:XHdmtwX/0

ザザーン…

国王「これは……ひどい……」

国王(道路も住む場所も、なにもかもメチャクチャじゃないか……泳ぐどころじゃねえ)

住民A「ああっ、陛下自ら来て下さるなんて!」

住民B「ありがとうございます、ありがとうございます! 来て下さるだけで私たちは……!」

国王「あ、いや……」

国王「大臣!」

大臣「はい?」

国王「沿岸地域の復旧を急がせろ、最優先事項だ。住民たちは手厚く保護してやるように」

大臣「――はいっ!」

大臣(まさか、陛下の口からこんな命令を聞けるなんて……)


28: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:56:03.686 ID:XHdmtwX/0

……

大臣「隣国からの贈り物とは……」

大臣(しかも手紙には『王自らの手でお開け下さい』とある)

国王「ようやく我が国と和睦を結ぶ気になったようだな。俺が開けよう」

占い師「お待ち下さい」

国王「なんだ」

占い師「この贈り物、占いでは危険と出ております。私が開けましょう」

国王「危険? たかが贈り物に危険などあるまい」

占い師「占いに従わないのですか? 従わないとどうなるか……」ジロッ

国王「むむ……仕方ない。だが気を付けるのだぞ」

占い師「このマジックハンドで開けますので」ニギニギ


29: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 21:59:18.428 ID:XHdmtwX/0

ガサゴソ… ガサゴソ…

ボンッ!

占い師「きゃっ!」

シュゥゥゥゥ…

国王「…………!」

国王「大丈夫か、占い師!」

占い師「え、ええ、ちょっとビックリしましたが」

大臣「おのれ、隣国……! こんな露骨に陛下の命を狙ってくるとは!」

「戦争だ!」 「こんなことされて黙ってられるか!」 「開戦の準備を!」

ガヤガヤガヤガヤガヤ…

国王「待て」

大臣「何を待つのです!? 陛下の命が狙われたのですぞ! これは立派な宣戦布告です!」

国王「占い師、意見を聞こう」

占い師「承知しました」


30: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:02:41.254 ID:XHdmtwX/0

占い師「今の爆発、人を殺せるほどの威力ではありませんし、ただの挑発です」

占い師「たとえ正式に抗議してもシラをきられてしまうでしょう」

占い師「それに我が国の軍でははっきりいって、まだ隣国には勝てません」

占い師「そうでしょう?」

老将軍「うむ……その通りじゃ。軍はだいぶ強くなったが、まだ……」

占い師「敵も戦争をしたいのです。しかもできれば先にこちらに仕掛けさせ、口実を得たいのです」

占い師「今は……我慢の時です。私の占いではこう出ております」

大臣「しかし、陛下のお気持ちは……」

国王「我慢すればいいのだろう? そんなことぐらい楽勝だ」

国王「今の爆発、なかなか面白い余興だったぞ。ワッハッハッハ……」

占い師「さすが陛下、ウフフフフ……」


31: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:05:34.825 ID:XHdmtwX/0

市民A「仕事終わったぁ~」

市民B「憩いの施設で酒でも飲んでいこうぜ!」

市民C「俺は図書館で勉強してくかな」



老将軍「槍を構えィ!」

ワァァァァ……! ワァァァァ……!



大臣「…………」

大臣(あの占い師が来てから、国が傾くどころか、少しずつ建て直されてきている)

大臣(市民には笑顔が浮かび、兵力も増強され、そしてなにより陛下が――)

大臣「フフッ、密かに大工修行を始めたのは失敗だったかもしれんな」


32: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:08:10.811 ID:XHdmtwX/0

占い師「むむむ……」

国王「どうだ?」

占い師「今、この国にはさまざまな職人がいますが、彼らのモチベーションを上げてやれば」

占い師「さらに技術が発達し、産業も活性化すると出ています」

国王「ふむ……」

国王「ならば国で≪職人コンテスト≫を開催するのはどうだ?」

国王「腕自慢を集めて競わせ、成績上位者には賞金を出すのだ」

占い師「面白いですねえ……やりましょう!」


33: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:11:12.049 ID:XHdmtwX/0

ワイワイ… ワイワイ…

司会者「第一回大工コンテスト優勝者は……棟梁!」

棟梁「やったぜぇ!」

ワァァァァ…

大工A「くっそー、負けちまった!」

大工B「次回こそいいとこまでいけるよう、腕を上げてやる!」



国王「あいにく観戦することはできなかったが、盛り上がったようで何よりだ」

占い師「よかったですねえ」

大臣「くそう、私の腕もまだまだか……」

国王「おお、大臣も出場してたのか。どうだった、参加賞くらいはもらえたか?」

大臣「三位でした……!」

国王&占い師「すげえ!!!」


35: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:15:28.053 ID:XHdmtwX/0

国王「どうだ、調練ははかどっているか?」

老将軍「これはこれは、陛下自らいらして下さるとは!」



国王「子供の遊び場を造るというのはどうだ?」

占い師「いいですねえ。水晶玉にも大変よろしいと出ておりますよ」ニタァ…



国王「いつだったかはすまなかった。いつもおいしい料理をありがとう」

料理人「こ、光栄です!」ウルッ…



国王「城下で≪甘いスープ屋≫というのが流行ってるらしいな」

国王「なんでも俺がクビにしたあの三人が、店を開いたとか」

占い師「あの三人の逞しさには私もビックリですよ」


37: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:19:03.328 ID:XHdmtwX/0

― 宮殿 ―

占い師「…………」スタスタ

大臣「占い師殿」

占い師「あら、大臣様。どうされました?」

大臣「最初の頃、私はあなたはこの国にとって害になると思っていた」

大臣「しかし、害どころか、あなたには大いに助けられた。本当に感謝している」

占い師「いえいえ、こちらこそ」

占い師「大臣様があの時会って下されなければ、私はここにいることすら出来なかったんですから」

大臣「ところで……あなたはなぜ我々を助けてくれる? あなたは何者なのだ?」

占い師「…………」

占い師「私は旅の占い師ですよ」ニタァ…

大臣「!」

占い師「では失礼します」スタスタ…


38: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:22:25.801 ID:XHdmtwX/0

― 国境 ―

隊長「ちゃんと見張っているか?」

兵士「はい、もちろん――」

兵士「あっ!」

隊長「どうした?」

兵士「大変です! 隣国が……隣国の軍勢が……! 国境に迫ってきています!」

隊長「なんだと!?」

隊長「伝令だ……首都に伝令を出すんだ! わずかな遅れが国を滅ぼすぞ!」


39: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:25:25.006 ID:XHdmtwX/0

― 宮殿 ―

大臣「隣国め……ついに痺れを切らしおったな」

国王「…………」

「どうすれば……」 「我が国は勝てるのか!?」 「降伏した方がよいのでは……」

ドヨドヨ…

「そうだ、こういう時こそ占い師殿に占ってもらいましょう!」

「あの人ならきっと進むべき道を教えてくれる!」

「ピンチの時こそ占いだ! 勝てるか勝てないのか占ってもらおう!」

大臣(重臣たちもすっかり彼女をあてにするようになって……)

国王「……分かった。しばし待て」


40: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:28:39.348 ID:XHdmtwX/0

国王「占い師……」

占い師「陛下」

国王「隣国が攻めてきた。どうすべきか占ってもらいたい」

占い師「陛下……あなたはもう分かっているのでは?」

国王「!」

占い師「この国がここまで立ち直れたのは、私のおかげでも占いのおかげでもありません」

占い師「あなたのおかげです」

占い師「私がどんな占いをしようと、大臣様や老将軍様がどんなにいい仕事をしようと」

占い師「この王国を導けるのは、王であるあなたただ一人」

占い師「今のあなたなら……この国を救えます」

国王「ありがとう、とてもいい占いだ」ニコッ


42: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:31:14.194 ID:XHdmtwX/0

国王「…………」ザッザッザッ

大臣「あ、陛下!」

ザワザワ… ザワザワ…

「結果が出たのか?」 「陛下、教えて下さい!」 「我々はどうすれば……」

国王「老将軍、全軍を集結させよ!」

老将軍「はい!」


43: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:36:02.445 ID:XHdmtwX/0

ズラッ…

国王「勇敢なる王国軍の兵士たちよ」

国王「火急の事態ではあるが、少しだけ時間を頂戴したい」

国王「これより始まる我が軍と隣国軍の戦い……占い師とて勝敗は分からないという」

ザワッ…

国王「しかし! もし占いで勝利すると出れば君たちは慢心して戦に臨むか?」

国王「もし敗北すると出れば全てを諦め、抵抗せず隣国に屈するか?」

国王「占いとはそういうものか? ――断じて違う!」

国王「たとえ、占いがどのような結果であろうと、己と仲間を信じ全身全霊を尽くす――」

国王「それが占いというものだ! いや、“生きる”ということだ!」

国王「兵士たちよ! どうか存分に! 我が国を守るべく! 生きるために戦って欲しい!」

国王「さすれば勝てる! 必ず!!!」



ウオオオオオオオオオオオオッ!!!!!


44: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:39:20.138 ID:XHdmtwX/0

老将軍「全軍出撃! 我が国と王に牙をむける恥知らずどもに鉄槌を下すのだ!」



ザッザッザッザッザッ…



占い師「……陛下」

国王「ん?」

占い師「私は諸国を旅してきましたが、こんなに士気の高い軍勢は見たことがありません」

占い師「この戦い……勝てます」

国王「……ありがとう」

大臣「私もハンマーを持って参戦しようかと」

国王「……やめとけ」


45: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:42:40.681 ID:XHdmtwX/0

― 戦場 ―

ワアァァァァァ……! ワアァァァァァ……!

ガキンッ! ザシュッ! ドォンッ! ズバッ! ヒュバババッ! ドシュッ!



兵士A「お前らなんかに好き勝手させてたまるか!」ドスッ

兵士B「こっちにゃちょいと不気味だが頼りになる占い師がついてんだ!」ザンッ

兵士C「あの王様のためだったら命張れるぜ!」ザクッ



ワアァァァァァ……! ワアァァァァァ……!


46: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:46:17.945 ID:XHdmtwX/0

敵将「なにい……? 我が軍が押されているだと!?」

敵将(なぜだ!? 今この国の王はすっかり愚王に落ちぶれ、国力は低下したはず……)

ドカラッ ドカラッ

敵将「!」

老将軍「どうやらおぬしら……ちとこの国と陛下を舐めすぎたようじゃな」

敵将「き、貴様はっ!?」

老将軍「この青二才がァァァァァッ!!!」


ズバンッ!


老将軍「敵将、討ち取ったァァァァァ!!!」



ウオオオオオオオオオ……!!!

ワァァァァ… ワァァァァ…


47: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:50:21.157 ID:XHdmtwX/0

……

…………

大臣「敵は追い払い、優位な講和条約を結ぶことができました」

大臣「宣戦布告もなく攻め込んだ隣国は、もはや国際的孤立は避けられぬでしょう」

大臣「脅威が完全に消えたわけではありませんが、これでひとまず安心です」

国王「うむ、油断はならぬがとりあえず我が国の勝利といったところか」

国王「ところで……」キョロキョロ

大臣「ああ、彼女ならあちらの部屋にいますよ」

国王「誰も占い師など探していない!」

大臣「私も占い師殿とは一言もいってませんが」ニヤニヤ

国王「変わったな……大臣」

大臣「お互い様です」


48: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:53:28.614 ID:XHdmtwX/0

国王「占い師」

占い師「陛下、このたびはおめでとうございます」

国王「ありがとう」

国王「一つハッキリさせておきたいのだが――」

占い師「なんなりと」

国王「お前は占い師でありながら、今までに一度も“占い”をしたことはないだろう」

国王「全て、自分の知恵から出た助言のはずだ」

国王「なぜだ? なぜ俺たちを助けてくれた? お前は何者なのだ?」

国王「どうか……教えて欲しい」

占い師「分かりました」


49: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:56:06.105 ID:XHdmtwX/0

占い師「私は幼い頃、陛下にかばってもらった者です」

国王「え……?」

占い師「私が近所の子供にいじめられてた時、通りがかった陛下が……」



『笑い方がキメェんだよ!』 『石投げつけろ!』 『こっちくんな!』

少女『うっ、うっ、ううっ……』グスッ

王子『やめろやめろーっ! この子をいじめる奴らは俺が許さないぞ!』



国王「あ……! あの時の……」

占い師「はい……あの時の子供です」


50: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 22:59:33.570 ID:XHdmtwX/0

占い師「私は大きくなった後、さまざまな国を旅して、一生懸命学びました」

占い師「いつか国に戻り、あなたに恩返しするために」

占い師「本当は女官を目指すつもりだったのですが……」

占い師「その頃、陛下のよからぬ噂を耳にしたのです」

占い師「政治を顧みず、ワガママばかりいう、若き暴君となっていると……」

国王「…………」

占い師「もはや、通常の立場では陛下をお諫めすることはできないと悟りました」

占い師「ですから私は占い師として、陛下に仕えることにしたのです」

占い師「占い師という特殊なポジションからなら、陛下に意見することもできると思ったので」

国王「そういうことだったのか……」

国王「お前がいなければ、俺はダメになっていただろう。いや、この国も……」

占い師「そんな、大げさですよ」


51: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 23:03:35.129 ID:XHdmtwX/0

国王「さて話は変わるが、そろそろ俺も王妃をめとっていい年だ」

国王「誰かいい相手はいないか、いつものように占ってみてはくれないか?」

占い師「お任せを」ニタァ…

占い師「むむむ……何人か候補はおりますよ」

占い師「たとえば大貴族様のご長女、美人でとても聡明でいらっしゃいますし」

占い師「南方の大農場を経営する地主様のご令嬢も、大変気立てがよく……」

国王「うーん、どれも気が乗らんな」

占い師「そうですか……では他には……」

国王「たとえば……占い師、お前ではダメかな」

占い師「……は!?」


52: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 23:06:41.967 ID:XHdmtwX/0

占い師「な、な、な、なにおっしゃってるんです!」

占い師「ダメですよ、私など! 家柄も平凡で、容姿だってこの通り……!」

国王「いやいや、愛嬌のある顔をしているぞ」

占い師「それに私などでは、国に貢献できませんし、みんなが認めてくれるわけ――」

国王「そうかな」

国王「国への貢献度、皆からの信頼、どちらをとってもこの国にお前以上の女はいないと思うが」

占い師「えええええ!?」

占い師「いえ、あの、そんな……っ!」

国王「俺が嫌いか」

占い師「嫌いじゃありません! 好きです! で、ですけど……ウフフフフ……」

国王「すごい顔になってるぞ」


55: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 23:10:30.640 ID:XHdmtwX/0

国王「まぁいい、とりあえずこの件は保留ということで」

占い師「は、は、はい! 保留保留保留で!」

国王「前向きに検討してくれるとありがたい」

占い師「も、も、も、もちろん! 前向きに前向きに前向きに!」

国王(面白いなぁ)

国王「さて、お前は占い師を装ってたとはいえ、一応占いのことも多少勉強してるんだよな?」

占い師「もちろんです」

国王「ならば一度、知恵や知識などではない“本当の占い”ってやつをやってみて欲しい」

占い師「ウフフ……いいでしょう」ニタァ…


56: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 23:13:16.787 ID:XHdmtwX/0

占い師「ではなにを占いましょう?」

国王「うーむ、そうだな」

国王「では……ずばり今日の天気を!」

占い師「分かりました!」

占い師「むむむ……」

国王「どうだ?」

占い師「晴れです!」

国王「よし決まり、二人でちょいと散歩でもしようじゃないか。軽食でも持ってさ」

占い師「はいっ! 喜んで!」


57: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 23:16:45.079 ID:XHdmtwX/0

ザァァァァァァ……!

国王「…………」ビショ…

占い師「…………」ヌレ…

国王「どうやら、本当の占いはやっぱりダメだったようだな」

占い師「す、すみません……」

大臣「陛下ーっ! 占い師殿ーっ!」

国王「おお、大臣!」

大臣「あちらに私がトレーニングついでに建てた小屋があります。どうか雨宿りなさって下さい」

国王「助かった!」

占い師「ありがとうございます!」


58: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/04(金) 23:19:10.829 ID:XHdmtwX/0

国王「さ、走るぞ! 俺につかまれ!」

占い師「はいっ!」

バシャバシャバシャ… バシャバシャバシャ…



大臣(私には占いはできないが、今後この国がどうなっていくかは分かる)

大臣(この国の未来は安泰だ)








― 完 ―





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