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聖女「さぁ、懺悔なさい」男「ネット上でゲームのウソ裏技を広めました」聖女「お前か!!!」

2019/10/23 19:01 | その他 | コメント(0)
1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 15:30:30.103 ID:0uViur990

男(あれがウワサの、路上で悩み相談みたいなことやってるっていう聖女か)

男(たしかに神秘的で、どこか人間離れした雰囲気が漂ってるな)

男「あのー、すみません」

聖女「なんでしょう?」

男「こちらでは罪の告白も聞いてくれると聞いたんですが」

聖女「ええ、懺悔をすればあらゆる罪は浄化されます……。さぁ、懺悔なさい」

男「実は、ネット上でゲームのウソの裏技を広めたら、騙されたプレイヤーが大勢出てしまったんです」

聖女「……どのような?」

男「あるゲームでドラゴンを100体倒すと最強の剣“ドラゴンファングソード”が手に入ると――」

聖女「お前か!!!」


9: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 15:34:33.391 ID:0uViur990

男「ひっ!?」

聖女「てんめえええええ!!!」ガシッ

聖女「私がどれだけ“ドラゴンファングソード”が欲しかったか分かってンの!?」

聖女「“正”の字を書きながら、ワクワクしながらドラゴンを倒し続け……」

聖女「100体目を倒して何も起きなかった時のあの気持ち! 分かるかァァァ!?」

男「ひいい……!」

聖女「一体倒すだけでも大変なのに、いったい何時間かかったことか……」

聖女「数え間違えたのかと思って、結局150体くらい倒しちゃったし……」

男「あ、あの……すみませ……」

聖女「右と左、どっちがいい?」

男「へ?」

聖女「どっちの目を潰されたい?」

男「えええええ!?」


10: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 15:37:25.475 ID:0uViur990

聖女「三秒以内に決めなさいな」

男「んな無茶な!」

聖女「3、2、1、はい、両目とも希望ってことね!」

男「あわわわわ……」

男「ま、待ってくれ!」

聖女「なによ」

男「たしかにドラゴンを100体倒すのは大変だっただろう」

男「しかし! ドラゴンを倒しまくった結果、主人公の強さはどうなった?」

聖女「ものすごくレベルが上がって……強くなったわ」

男「そう、その強くなった主人公こそが“ドラゴンファングソード”だったんだよ!」

聖女「な、なんだってー!」

聖女「……ってなんか言いくるめられた気がするけど」

男「気にしない気にしない」


11: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 15:40:25.518 ID:0uViur990

聖女「まぁいいや、とりあえず目は勘弁してあげる」

男(あっぶねえ……)

聖女「だけど、このままじゃ私の気が収まらないわね」

聖女「あ、そうだ! あんた、私の仕事手伝ってよ!」

男「仕事って?」

聖女「私はここで通りがかりの人の悩みを聞いたり、ちょっとした体の異常を癒やしたりしてるんだけど」

聖女「それを手伝ってよ! どうせヒマでしょ?」

男「えぇ~……」

聖女「失明でいいんだ」ボソッ

男「やりますッ! やらせて下さいッ!」

男(この女……いったいどこが聖女なんだ!?)


13: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 15:43:43.332 ID:0uViur990

男「えぇっと、あなたは聖女なんだよな?」

聖女「一応ね」

男「だったらなんかこう、神がかりな力を持ってないんですか? 聖女を自称するくらいなんだから」

聖女「あんたの指、ささくれ出来てるわね。これを治してあげる」

聖女が男の指に手をかざす。

パァァァ…

男(なんだ、この温かい光は……)

男「――ささくれが治った!」

聖女「どう、すごいでしょ」

男「す、すごい! あなたは本物だ!」


14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 15:46:21.889 ID:0uViur990

男「他にも治せる病気はあるの?」

聖女「実績があるのは、ささくれ、あせも、吹き出物、口角炎、ニキビ、あと軽い神経痛とか……」

男「……なんか微妙」

聖女「いやいやいや! すごいでしょうが! なかなか出来る奴いないって!」

男「もっとこう、重病も治せるもんかと」

聖女「そんなん治せたらこんなとこいないで今頃大金持ちになってるわよ。ギャハハ!」

男(ギャハハて)


17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 15:49:55.440 ID:0uViur990

男「他に何かできることはないの?」

聖女「10円玉持ってる?」

男「あるけど」

聖女「これを……ふんっ!」グッ

顔を真っ赤にして、力を込める。

聖女「ぐぐぐ……ぬぬぬ……んぎぎぎ……ぐおおおおっ……!」グググ…

男「~~~~!」

聖女「ハァ、ハァ、ハァ……はい、ほんのちょっとだけ曲がった」

男「えええええ!?」

聖女「すごいでしょ?」

男「あ、だけど、硬貨を曲げるのは犯罪だよ」

聖女「ウソォ!?」

男「残念ながら……これは本当です」


19: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 15:52:28.915 ID:0uViur990

聖女「おっと、迷えるお客さんが来たわ。あんたも接客して! ほれほれ!」

男「は、はいっ!」



聖女「おばあちゃん、今日はどうしたの?」

老婆「腰が痛くてねえ……」

聖女「あら大変! じゃあ腰を癒やしてあげるからね」パァァァ…

老婆「いつもありがとうねえ、聖女ちゃん」



会社員「今日も上司にいじめられて……」

聖女「分かる分かる、すっごく分かる!」

聖女「だけど死ぬのだけはダメよ! 死ぬくらいなら私にいって! 上司をしばいたげるから!」

会社員「はい……」グスッ

聖女「ほらあんた、この人のためにスタミナドリンク買ってきて! 走って走って!」

男「は、はいっ!」



男(なんていうか……本当にご近所の世話焼き女って感じだな)


20: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 15:55:18.614 ID:0uViur990

夕方になり――

聖女「ふぅ~、今日はもうお開きにしよっと」

男「いつもこんなことやってるの? 無償で……」

聖女「まぁね~」

聖女「今日は助かったわ。あんたももう帰っていいわよ」

男「あの……もしよかったら、これからもたまに手伝いに来てもいい?」

聖女「なにそれ、ナンパ?」

男「いや、そうじゃなくて……俺もあんまりやることがないんで……」

聖女「ようするにヒマしてるってこと? 私はかまわないけど」


21: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 15:58:09.097 ID:0uViur990

別の日――

聖女「お、来た来たァ! 待ってましたァ!」

男「おっさんみたいなリアクションだな」

聖女「さ、出かけるわよ!」

男「出かける? どこへ?」

聖女「病院!」

男(病院……?)

二人はある小さな病院に向かった。


23: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:00:20.879 ID:0uViur990

<病院>

聖女「こんにちは!」

少女「あ、お姉ちゃん……いらっしゃい」ニコッ

男「この子は?」

聖女「足を患ってる子なの。だから私が時々癒やしに来るのよ。もちろんお医者さんの許可をもらってね」

男「へえ……」

聖女「さ、足見せて」

少女「うん……」

パァァァァ…


24: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:02:26.625 ID:0uViur990

聖女「どうかな?」

少女「う……」グッ…

聖女「もうちょい! 立てる! イケるッ!」

少女「くっ……!」グッ…

ドテッ

少女「ダメだぁ……」

聖女「惜しい……」

少女「ごめんなさい、やっぱりあたし無理みたい……」

聖女「大丈夫よ、焦らなくていいから」

男「…………」


25: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:04:21.305 ID:0uViur990

帰り道――

聖女「あーあ、今日もダメだったか……」

聖女「だいぶ足はよくなってるから、あとは精神的な問題だと思うんだけどなぁ」

聖女「こればっかりは気長にやるしかなさそうね」

男「あのー、聖女さん」

聖女「ん?」

男「近いうち、もう一度行かないか? あの子のところに」

聖女「そりゃかまわないけど……」


26: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:07:21.183 ID:0uViur990

数日後――

男「こんにちは」

聖女「おう、来たわね……ってなにその荷物?」

男「まあ、ちょっと色々と」

聖女「ふうん。くれぐれもあんまり過激なことはしないようにしてよ」

男「あんたにいわれたくない」ボソッ

聖女「なんかいった?」ギロッ

男「いってません!」


29: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:10:16.058 ID:0uViur990

<病院>

聖女「はぁ~い、こんにちは~」

少女「あっ、お姉ちゃん! お兄さん!」

男「今日は……君に色々と見せたいものがあるんだ」

少女「なに?」

男「まず、これ」サッ

大きな冊子を手渡す。

少女「これは……絵本?」

男「読んでみてくれ」


30: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:13:28.259 ID:0uViur990

少女「…………」

少女「あたしみたいな女の子だ……」

男「そう、君と同じく足が悪かった女の子の話だ」

男「歩くのが怖くて、あるいは歩いても友達がちゃんと作れるのか怖くて、なかなか歩けなかったんだけど」

男「ある時勇気を出して、歩けるようになったんだ」

少女「すごい……!」

聖女「へぇ~、よく見つけたわねこんな絵本」

男「これは海外の実話をもとにした絵本でね」

男「その女の子の体験談をネット上から拾ってきたよ。興味があったらこっちもどうぞ」

少女「読んでみる!」


33: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:16:32.671 ID:0uViur990

一通り読み終えた少女。

少女「あたし……歩いてみる! ……この子みたいに!」

ヨロッ…

聖女「大丈夫? 無理しないでよ」

少女「よいしょ、よいしょ」ヨタ…ヨタ…

聖女「うおおっ!?」

男「歩けたね!」

少女「うん!」

喜びを分かち合う三人。

聖女「……こういう時はやっぱりこれを言わないとね」

男「?」

聖女「立ったッ! クララが立ったァッ!」

少女「ふふっ、お姉ちゃんったら!」

男(あんたのせいで全部台無しだよ)


36: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:20:08.198 ID:0uViur990

母「ありがとうございました……!」

聖女「いえ、これからはリハビリを頑張って下さい。私も応援しますから」


……


聖女「今回はあんたに助けられちゃったな」

男「…………」

聖女「しっかし、あんなピンポイントな絵本や体験談をよく拾ってきたわね。大したもんだわ」

男「ああ、あれ……」

男「全部俺が作ったんだ」

聖女「は?」

男「つまり全部ウソなんだ」

聖女「ウソォ!?」


37: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:23:27.087 ID:0uViur990

男「きっかけさえあれば、あの子は歩けるようになるんじゃないかと思って……」

男「だから、つい……裏技みたいにでっちあげを……」

聖女「…………」

男「やっぱりまずかったかなぁ……。後で真相知ったらショックだろうし……」

聖女「やるじゃん!」バシッ!

男「いてっ!」

聖女「そりゃ、いつかあの子も真実を知っちゃうかもしれないけどさ」

聖女「治った足でいつまでも歩けずにいるよりナンボかマシでしょ!」

聖女「あんなリアルな絵本や体験談をでっちあげるなんて大したもんよ!」

聖女「さっすが私を騙した男! 十数時間を無駄にさせた男!」

男「そのことはもう言わないで……」

聖女「これからもよろしくね、相棒!」バシッ! バシッ!

男「いてぇ!」


39: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:27:07.773 ID:0uViur990

<アパート>

~テレビ~

白い衣装の女性がインタビューに応じている。

リポーター『本日も大勢の方々に語りかけておられましたね』

純白女『はい、犯罪の被害にあわれた方々が救われるよう祈りを捧げました』ニッコリ

純白女『どうか世界中の人々が救われますように……』

リポーター『あなたの姿を見ているだけで、私の心も洗われるようですよ』

男(キレイな人だなぁ~)

男(本来、“聖女”っつーのはこういう人を指すんだろうな)

男(だけど、俺の知ってる聖女さんのあのやり方も決して嫌いじゃないけど)


43: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:30:32.601 ID:0uViur990

……

ある日――

聖女「はい! 水虫だいぶよくなったでしょ!」

中年男「ありがとよ、聖女ちゃん!」

男「普通、若い女の子なら水虫なんか触れたくもないだろうに……よくやるよ」

聖女「水虫が怖くて聖女やってられっかって! ギャハハ!」

一人の陰気な青年がやってきた。

「……あの」ザッ

男(なんだこいつ……)

聖女「なんでしょう。どんなお悩みでもお聞きしますわ」

男(俺にもそうだったけど、初めての客には猫かぶるんだなこの人)

「ボクは……暗殺者だ。聞いてもらいたいことがある」

男(あ、暗殺者ァ!?)


44: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:34:19.953 ID:0uViur990

聖女「自首しろ」

暗殺者「……え」

聖女「殺しとかヘビーすぎるし、ちょっと私の手には負えないのよねー」

聖女「だからさっさと自首! じーしゅ! じーしゅ! じーしゅ!」

暗殺者「…………!」

男(んな挑発したらヤバイって……! 殺されるぞ……!)

聖女「一応聞いとくけど、何人くらい殺ったの? 10人? 20人? サーティいっちゃう?」

暗殺者「……ゼロ」ボソッ

聖女「は?」

暗殺者「ゼロ……です」


45: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:37:02.453 ID:0uViur990

聖女「ギャハハハッ! ねえ、聞いた!? こいつ暗殺者なのに人殺したことないんだって!」

聖女「人殺してない暗殺者ってなんの価値があるの? ねえ!」

男「言いすぎだって」

聖女「野菜を売らない八百屋、寿司握らない寿司屋、髪の毛切らない床屋、みたいなもんじゃん!」

男(人を煽る聖女もな)

暗殺者「ああ、やっぱりボクはダメな奴だ……!」ガクッ

聖女「そりゃダメな奴だから暗殺者なんかやってんでしょ~、ダメじゃなきゃ普通の仕事するもん」

男「追い詰めるなよ」

男「あの……この人はほっといて、話を聞かせてくれない?」

暗殺者「……はい」


48: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:40:34.064 ID:0uViur990

暗殺者「ボクは政府直属の暗殺組織で訓練を受けてたんですけど……」

暗殺者「どうしても人を殺せないってことで結局クビになっちゃって」

暗殺者「今後どうしたらいいか分からなくて……それで相談したくて……」

二人「…………」

聖女「なにこれ? 政府だとか暗殺組織とか……あんたみたいに作り話?」ヒソヒソ…

男「いや、マジっぽいよ……ウソついてる感じじゃない」ヒソヒソ…

暗殺者「やっぱりもう死ぬしかないんだぁっ!」グッ

ナイフを喉に当てる。

聖女「ちょっ、こんなところで死ぬな!」

男「落ち着けぇ!」


51: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:44:29.676 ID:0uViur990

男「暗殺者さん!」

暗殺者「はいっ!」ビクッ

男「あなたは“キラー・ザ・ジョージ”って殺し屋知ってるか?」

暗殺者「いえ、初めて聞きましたけど」

男「かつて全米で恐れられた伝説の殺し屋で、記録によると100人以上手にかけてるという」

暗殺者「すごい……ボクとは大違いだ」

男「しかし、人を殺しすぎた彼はある時気づくんだ。人を殺すことの愚かさを……」

男「以後、彼はまるで人が変わったように、人を殺すのをやめたという……」

暗殺者「へえ……」

男「つまり! 君は伝説の殺し屋がやっとのことでたどり着いた境地に既に達しているんだ!」

男「これはすごいことだよ!」

暗殺者「そ、そうだったのか!」


52: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:47:24.882 ID:0uViur990

暗殺者「ボク、生きる希望が湧いてきました……!」

聖女「そりゃなによりだわ」

聖女「ところで“キラー・ザ・ジョージ”なんてホントにいるの?」ヒソヒソ…

男「いないよ、全部ウソ」ヒソヒソ…

聖女「よくもまあ思いつくもんねえ」ヒソヒソ…

暗殺者「しかし、こんなボクに何ができるでしょうか?」

聖女「なにか特技とか資格はないの?」

暗殺者「特技といったら、組織で習った暗殺術くらいで……特にナイフ術が得意です」ヒュルルルルッ

男「うお、すげえ!」

聖女「あ、そうだ! だったらさっそく手伝ってよ!」

男「へ?」


54: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:50:20.274 ID:0uViur990

<病院>

暗殺者「ほいほいほいっと」スルスルスル…

暗殺者「はい、リンゴのウサギさん!」

少女「わっ、お上手~」

男「なるほどなぁ」

聖女「あなたもだいぶ歩けるようになってきたわね」

少女「うん、これもお姉ちゃんとお兄さんのおかげ!」

聖女「じゃあ次はローキック教えたげる!」

少女「やったー!」

男「ちょっと待って、リハビリでローキックはおかしくない?」

聖女「え? ハイキックのがいい?」

男「違う、そうじゃない」


55: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:53:48.280 ID:0uViur990

相談者たちの相手をする二人。

老婆「近頃、家を出た息子があまり帰ってこなくてねえ……」

聖女「だーいじょうぶだって! そのうち寂しくなって顔出しにくるから!」

聖女「男はみんなマザコンなんだから!」

老婆「聖女ちゃん、いつも元気なあんたと話してるとあたしまで元気が出てくるよ」

男(俺もたまには実家帰らないとな……)



聖女「ねえ、今日ちょっとウチ寄ってかない?」

男「え、いいの?」

聖女「ただし襲ったらダメよ」

男「絶対ないから安心して」


57: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:56:48.412 ID:0uViur990

<教会>

男「ここが聖女さんの家か」

聖女「そ、小さいでしょ」

男「こざっぱりしてていい教会じゃない。ここで一人暮らししてるの?」

聖女「うん、一人になってもう一年ぐらいになるかな。お布施やらなにやらで何とか生活してるわ」

男「ご両親は?」

聖女「残念ながら……」

男(しまった、聞くべきじゃなかった!)

聖女「生きてるわ」

男「生きてんのかよ!」

聖女「ボランティア精神が服着たような両親でね。今も世界中を飛び回ってるわ」

男「へぇ~、人助けに携わる血筋なのかな」


58: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 16:58:27.748 ID:0uViur990

男「あの不思議な力はどうやって身につけたの?」

聖女「あれはね……。私がまだ、いたいけな女の子だった頃……」



女児『あたし、色んな人を救いたい!』

女児『だから神さま、どうかあたしに力をくださーい!』



聖女「祈ったわ……祈って祈って祈りまくったわ。寝ることも食べることもせず、ひたすらに」

男「いたいけかどうかはともかく、すごい執念だ」

聖女「そしたら――」


59: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:00:35.140 ID:0uViur990

神『ああもう、なんて力強い祈りじゃ! うるさくて眠れやせん!』

神『仕方ないからちょいと力をやろう! 今日から君は“聖女”を名乗ってよい!』

神『だからもう祈るのやめてくれ!』

女児『やったーっ!』



聖女「……ってわけ」

聖女「もうちょい粘れば世界を動かせるレベルの力を手に入れられたかもしんないけど、妥協したわ」

男(ずいぶんヤケクソじみた神の啓示だな)

聖女「それから私はこの不思議な力で、世界中の人々を救うのは無理かもしれないけど」

聖女「せめて近所の人くらいは、地域の人々くらいは救いたいって思って」

聖女「“ローカルな聖女”を目指すことにしたのよ」

男「…………」


60: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:03:27.598 ID:0uViur990

聖女「なに考えてるかは分かってるわ。ガッカリしてんでしょ」

男「いや、そんなことないよ」

男「ちゃんと自分のやりたいことがあって、力もあって、実際あなたはみんなから慕われてる」

男「ガッカリどころか、本当にすごいと思ったよ」

聖女「ちょちょちょ、照れる照れる」

男「それに比べて俺なんて……」

聖女「?」

男「しがない学生で、これといってやりたいこともなく、グダグダな毎日を送って」

男「やることといえば、ネット上でみんなから反応を貰えるようなウソ話をまき散らすことくらい……」

男「昔からこうだったんだ」


61: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:06:37.298 ID:0uViur990

男「俺はなんも取り柄がなくて……だからみんなに注目されたくてウソばかりついてた」



『ゴールデンウィークは海外に行ってきたんだ!』

『ボスを10ターン以内に倒すと仲間になるんだぜ!』

『俺のおじさんは空手の有段者なんだぞ!』



男「バレれば当然軽蔑されるし、バレなくてもこっちに罪悪感が残る」

男「だから、本当の友達、本当の仲間が出来たことがなかった」

男「俺はあなたみたいな人と肩並べて人助けなんてしていい人間じゃないんだ」

聖女「んなことないって」

男「え……?」


62: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:09:27.385 ID:0uViur990

聖女「あんたは人を驚かせたり、ちょっと見栄張りたくて、ウソついてたわけでしょ?」

聖女「そんなことは誰だってやったことあるわ。私だってあるし」

聖女「それにさ、取り柄ならあるじゃん!」

男「どんな?」

聖女「“上手いウソをつける”っていう取り柄よ!」

聖女「それで実際、少女ちゃんや暗殺者を助けられたわけだしさ」

聖女「ようは使い道よ、ウソだって正しく使えば人を救うことはできるんだって!」

男「……ありがとう」

男「だけど履歴書には書けないなぁ」

聖女「書いちゃえば? 特技の欄に“ウソをつくこと”って」

男「正直者なんだか嘘つきなんだか分からないなそれ」

アハハハハ……


63: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:12:12.891 ID:0uViur990

男「それにしても神様から力を授かるなんてことがあるなんてなぁ」

聖女「あんたも血ヘド吐くくらい祈りまくればできるかもよ」

男「やめとく」

男「しっかし、神様の力を与えられた人間がいるってことは……」

男「どこかに悪魔の力を与えられた人間、なんてのもいるのかな。ものすごい悪党とかで」

聖女「そんなのいたら、私が成敗してやるわ!」

男「あ、そうか! もしかして10円玉をひん曲げたパワーも神様の……」

聖女「いや、あれは頑張ったから」

男(自前かよ……)


64: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:15:34.159 ID:0uViur990

その後――

<病院>

聖女「もうすぐ退院!? やったじゃない!」

少女「うん、お医者さんがもう大丈夫だって」

少女「ローキックだってこの通り!」ビュオッ

男(痛そ……)

暗殺者「よかったですね!」

男「そうだ! だったら退院したら、退院祝いに四人でメシ食わないか?」

男「もうすぐバイト代入るから、俺のおごりで!」

聖女「うひょ~! 食べましょ食べましょ!」


67: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:18:21.949 ID:0uViur990

少女「だったらあたし、お寿司食べたーい!」

男「えっ」

聖女「お、いいわね!」

暗殺者「本格的なところ行きましょうよ、回らないやつ」

少女「大トロ食べた~い!」

男「ちょっと待てぇ!」

男「寿司なんか無理に決まってんだろ! せいぜいファミレスだよ!」

三人「えぇ~……」

男「ファ・ミ・レ・ス!!!」ギロッ

暗殺者「ひっ!」

聖女「あんたも怒らせたら結構怖そうね……」


70: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:21:25.879 ID:0uViur990

……

<ファミレス>

暗殺者「うん、このハンバーグステーキおいしい」スッスッ

少女「暗殺お兄さん、ナイフの使い方上手~!」

暗殺者「よかったら教えてあげるよ。肉の筋を見極めて……」

少女「ふんふん」

聖女「イッキ!」グビッグビッ

男「ウーロン茶飲みすぎじゃね?」

聖女「ドリンクバー頼んだら20杯は飲まなきゃ気が済まないの」グビッグビッ

男「絶対腹壊すって」


71: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:23:24.348 ID:0uViur990

少女「おいしかったー!」

暗殺者「ごちそうさまでした」

男「こちらこそ、たまにはこういうことをしてみたかったんだ」

男(俺は三人とも騙したことあるから……)

聖女「いやー、他人の金で食うメシは最高だわ!」シーシー

男(爪楊枝でシーシーすんな)

男「それに、こうやってみんなでワイワイ食べるのは久しぶりだったから楽しかったよ」

暗殺者「ボクもですよ」


72: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:25:43.095 ID:0uViur990

暗殺者「あのー」

男「ん?」

暗殺者「これからはボクも、あなたたちのお手伝いをさせてもらってもいいですか?」

聖女「そりゃもう大歓迎! ただしお給料は出せないけど」

男「いいんじゃないかな。手伝いながら、自分の新しい道を探せばいいと思うし」

少女「あ、だったらあたしも手伝いたい! お母さんもきっと賛成してくれるし」

聖女「お、私の二代目襲名を狙ってるわね?」

男「初代がひどすぎるから、君なら確実に立派な二代目になれるよ」

聖女「失明したいのかな?」ギロッ

男「へ、へへ……す、すみません」

アッハッハ……


73: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:30:05.613 ID:0uViur990

<アパート>

~テレビ~

キャスター『相次ぐ振り込め詐欺やひったくりに、警察も対応に追われています』

キャスター『続いては明るいニュースです』

キャスター『各地を巡行中の純白女さんが、詐欺被害にあった女性に励ましの言葉を……』

キャスター『講演にはなんと数百人が集まり……』

男「悪いニュースがあったり、いいニュースがあったり、世の中めまぐるしいなぁ」

男(しっかし、このところこの地域でも振り込め詐欺やらの犯罪が増えてるんだよな)

男(母さんに引っかかるんじゃないぞって電話しとくか)


74: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:33:12.346 ID:0uViur990

ある日――

老婆「ハァ、ハァ、ハァ」スタスタスタ

聖女「あらおばあちゃん、そんなに急いでどうしたの? もしかしてバーゲン?」

老婆「実は……息子から連絡があって……」

聖女「あら、よかったじゃない!」

老婆「だけど……。あ、ごめんね。ちょっと急いでるもんで」スタスタスタ

早歩きで立ち去ってしまう。

聖女「…………?」

男「なーんか怪しいな。あれは息子さんの連絡が嬉しいって態度じゃないぞ」

聖女「うーん、たしかに」

男「ついてってみない? 聖女さん」

聖女「フフッ、あんたもずいぶん行動的になってきたじゃない!」


75: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:35:30.074 ID:0uViur990

二人がついていくと、その先では――

老婆「このお金を渡せば、息子は解雇されずに済むんですね?」

スーツ男「ええ、大丈夫です! 同僚である私にお任せ下さい!」

老婆「息子をよろしくお願いします……」

スーツ男「任せて下さい!」



聖女「ねえ、あれって……」

男「どう見ても詐欺だ。全財産賭けてもいいくらいだよ」

聖女「どうす――」

男「許せない! 俺だってウソつきだけど、ああやって金をだまし取るようなウソは許せない!」

聖女「決まりね」ニヤッ


77: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:38:27.181 ID:0uViur990

聖女「ちょっと待ったァ!」

スーツ男「!」

老婆「聖女ちゃん!?」

聖女「ほらほら、今奪ったお金返しなさいな」

スーツ男「なんですか、いきなり! 奪っただなんて失礼な!」

男「だって俺、そのおばあさんの息子だからな」

スーツ男「む、息子!? なんでこんなところに!」

男「バーカ、別人だよ。なんで同僚なのに息子さんの顔知らないんだよ」

スーツ男「あ……!」

男「お前はウソつきとしては三流だな!」

スーツ男「くっ、このガキがァ!」ブンッ

男「ちょっ……!」


78: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:40:41.400 ID:0uViur990

聖女「シイィッ!」ブオッ

バキィッ!

ハイキック一閃。

スーツ男「ぎゃぶぅっ!」ドサッ…

男「あ、ありがとう……」

聖女「さあ、あんたの仲間がいる場所を教えなさい」

男「いっとくがウソついても無駄だからな。俺は相手のウソはだいたい分かるんだ」

スーツ男「ぐ、ぐぐ、くそぉ……」


79: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:43:18.892 ID:0uViur990

詐欺仲間のいる拠点を聞き出した二人。

聖女「おばあちゃんはこのままお金を持って帰って」

老婆「二人とも、本当にありがとう……」

聖女「さて、私らはオレオレ詐欺軍団のアジトに乗り込むわよ!」

男「お、おう(ちょっと怖い)」

するとそこへ――

少女「お姉ちゃん、お兄さん!」

暗殺者「お二人のところに行こうとしてたんですけど、何かあったんですか?」

聖女「あ、ちょうどいいわ。あんたらも手伝って!」


80: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:45:17.372 ID:0uViur990

少女「えーっ、詐欺グループをやっつける!?」

聖女「そうなの、事務所を聞き出したからこれから乗り込むとこ」

暗殺者「分かりました、ボクも行きます」

少女「あたしも!」

男「えっ、子供は危ないんじゃ……」

少女「平気よ! お姉ちゃん直伝のローキック見せてやるんだから!」

男(もしかして俺、もうこの子に勝てないかも……)


81: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:48:05.197 ID:0uViur990

詐欺グループの事務所は、雑居ビルの一角にあった。

<事務所>

聖女「たのもうッ!!!」

ボス「な、なんだ!? てめえら!」

男「金を受け取る役目の奴が白状したぞ……ここが詐欺グループのアジトだってな」

ボス「あのバカ、しくじりやがったのか!」

聖女「さあ痛い目あいたくなきゃ、大人しく自首しなっさーい」パキポキ

ボス「……誰がするか! てめえら、やっちまいなァ!」

ボスの号令で手下たちが襲いかかる。


82: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:51:10.620 ID:0uViur990

聖女「だりゃあっ!!!」

ドゴォッ!

手下A「ぐはぁっ!」

男(うおお、一撃で……)



ナイフを突きつける暗殺者。

暗殺者「安心して下さい。死なないように刺すのは得意なんで」スッ

手下B「ま、参った! ささ、刺さないでぇ!」

男(こいつ案外怖いな!)



少女「ローキック!」ベシィッ!

手下C「スネはらめぇっ!」

男(このローキック……もはや子供の領域を越えているッ!)


85: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:54:28.901 ID:0uViur990

手下はあっさり全滅し、ボスも戦意を失ってしまった。

ボス「く、くそっ……!」

聖女「なんでこんなことしたのよ?」

ボス「決まってんだろ! ……金欲しさだよ!」

聖女「金欲しいなら真面目に働けっての!」

男「…………」

男「いや……なーんかウソっぽいな」

聖女「え?」

男「こいつらのオレオレ詐欺、はっきりいってお粗末だったし、なーんか隠してる気がする」

ボス「なにいってんだ、なんも隠してねえよ!」


86: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:57:05.229 ID:0uViur990

男「たとえば、誰か黒幕がいるとか?」

ボス「! ……い、いねえよ!」

男(分かりやすすぎる)

男「いいか……俺は拷問のプロだ」

男「無痛症の奴を痛みで泣かせたこともある……吐くんなら今のうちだぞ?」

ボス「ひっ……!」

暗殺者「そうだったんですか!」

聖女「安心して、ウソだから(ったく大したもんだわ)」ボソッ

男「どうする……!?」

ボス「わ、分かったよぉ……」


87: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 17:59:23.941 ID:0uViur990

ボス「俺らは元々ただのチンピラだったんだが、ある人に頼まれて詐欺を働いてたんだ」

聖女「誰よ?」

ボス「多分お前らも知ってると思うぜ、最近テレビでよく見る顔だからな」

ボス「“純白女”……あの人気者だよ」

男「あ……!」

聖女「えぇっ!?」

暗殺者「たしか各地で人助けをして、信者を増やしてるっていう“聖女”……」

少女「あたしも入院中テレビで応援してたのに!」

男「なんで……なんであの人が!?」

男(俺の目から見ても、とてもウソの活動には見えなかったのに!)

ボス「……信者を増やすためさ」


88: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:02:16.100 ID:0uViur990

ボス「あの女ァ、各地で俺らみたいな小悪党に悪ささせて、その被害にあった奴を励まして信者にしてんだ」

ボス「ようするに、次のターゲットはここらの住民ってわけだ……ひでえ話だろ?」

男「…………!」

男(ウソをついてる気配はない……!)

聖女「とんでもない女ね……」

聖女「だけどさ、あんたらもなんでそんな女のいうこと聞くのよ? 踊らされて情けなくないの?」

ボス「あの女についてる二人のボディガードがヤベェんだ」

ボス「黒い服を着た男とプロレスラーみてえな大男。どっちもとんでもねえ強さだ」

ボス「特に黒服の方……まるで人間じゃないみたいで……」

男「そいつらが怖くて、手先になって詐欺を働いたってわけか」

ボス「悔しいが、そういうこった」


89: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:05:33.059 ID:0uViur990

暗殺者「あの女性がそんなことしてるなら、今すぐボクらが警察に駆け込めば……!」

ボス「無駄だろうな」

聖女「どうしてよ!?」

ボス「俺らと奴らが絡んだって証拠は一切ないし、警察にもあの女の支援者やファンは多い」

ボス「んなわけあるかって、門前払いされちまうさ」

ボス「それに今までだって、あの女が実は悪党なんじゃないかって報道をしたジャーナリストはいる」

ボス「……が、全員消されちまったって噂だ」

男「消されたって……」

暗殺者「ボクがやるはずだったようなこと、ですかね……」


90: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:07:31.289 ID:0uViur990

詐欺グループを警察に通報し――

暗殺者「純白女がいる場所は分かりました。どうしますか?」

聖女「私は行くわ! 直接文句いってやらなきゃ気が済まない! ローカル聖女としてね!」

男「俺も行く。このままにはしておけないよ」

少女「あたしも!」

暗殺者「分かりました。しかし、敵は凄腕のようです。くれぐれも無理をしないようにしましょう」

男「なぁ、まさかあんたの組織の奴が敵になるってオチはないよな?」

暗殺者「ボクのいた組織はあくまで公的な仕事をする組織なのでそれはあり得ません」

男「とりあえず、プロ暗殺者が敵ってことはないわけか」

男(だけど、なんだか……“もっと恐ろしい奴”が敵になる予感がする――)


92: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:11:16.216 ID:0uViur990

<高級ホテル>

聖女「ふん、ずいぶん立派なホテルに泊まってるわね。とんだ生臭じゃない!」

暗殺者「このホテルの支配人も純白女のファンで、破格の待遇で招待されてるとか」

男「全国各地にこういう信者やファンがいるわけか……」

少女「だけど、全部自作自演のおかげなわけでしょ? ゆるせない!」

聖女「よーし、文句いって、必要ならとっちめて、自分の悪さを認めさせてやるわよ!」

オーッ!!!

意気揚々と乗り込む四人。


95: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:14:08.863 ID:0uViur990

ホテルの最上階にて――

聖女「あっ!」

純白女「あら……?」

黒服「…………」

大男「なんだお前ら」

男(テレビで見るより……ものすごい神々しさを発している……!)

男(だけど、神々しさならこっちだって負けちゃいない!)

聖女「見つけたわ」ギロッ

男(ただし、神といっても鬼神とか闘神とかそういうやつだけど)


96: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:17:15.025 ID:0uViur990

聖女「あんたが今度ここらで人々を救おうとしてる純白女さんね?」

純白女「ええ、そうですが」

男(ここはひとつ……反応を探ってみるか)

男「俺らは……あんたたちが裏で何をしてるか知ってる」

純白女「裏? なんのことでしょう?」

男(さすがに全く動揺しないか……)

聖女「私たちはね、あんたらが裏でバカどもに悪ささせてんの知ってんのよ!」

聖女「だから文句いいにきてやったのよ! ローカル聖女としてね!」

純白女「ローカル聖女……面白い方」クスッ

聖女「何がおかしいのよォ!」

男(ダメだ、完全に負けてる)


97: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:19:32.349 ID:0uViur990

男「しかし、俺らはあんたらを告発する証拠もある!(ないけど)」

男「それが嫌ならいさぎよく全てを公表するんだ!」

純白女「困りましたねえ。私たち、全く身に覚えがありませんのに……」

黒服「もういいでしょう。こういうふざけた輩の排除は我々の役目です」

純白女「そうですね、よろしくお願いします」ニッコリ

大男「任せといて下さい!」

ボディガード二人が前に出る。

男「うぐっ……!」

聖女「ふん、結局暴力に頼るわけね」

暗殺者「二人は下がってて。こいつらはボクらが相手をする!」


98: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:22:28.916 ID:0uViur990

聖女(こういうデカブツを倒すにはロー……)ダッ

猛スピードで間合いを詰める。

聖女(と見せかけてハイキックゥ!)ビュオッ

メキィッ!

大男「…………ッ!」

聖女の右ハイが大男の顔面にめり込んだ。

聖女(勝ったッ!)

男「やった!」

少女「お姉ちゃん、かっこいい!」

大男「へっ、この程度か?」ニヤ…

聖女「な……ッ!」


100: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:24:32.293 ID:0uViur990

ドゴォンッ!

聖女「ぐはぁぁぁ……っ!」ドガッ

大男の右ストレートで聖女は壁までふっ飛ばされた。

聖女「う、ぐ……! 油断、しちゃった……」

男「せ、聖女さんッ!」



暗殺者「くそっ!」サッ

黒服「ナイフか……しかもよく研がれている」

暗殺者「このナイフは……脅しじゃないぞ! 本当に刺す!」

黒服「ならば、どこでも好きなところを刺してみるといい。ほら、ノーガードだ」

暗殺者(なんだこいつ……!?)


101: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:27:22.916 ID:0uViur990

暗殺者(だったら急所や動脈を外して――)

グサッ!

肩にナイフが突き刺さった。

黒服「ふん……」シュゥゥ…

暗殺者(たしかに刺したのに血が出ない!? それどころかすぐ治って……)

黒服「人間が私に敵うと思うか」ズズズ…

黒い瘴気をまとった掌が、暗殺者に叩き込まれる。

ドゴォッ!

暗殺者「がふっ……!」ドザァッ


103: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:30:19.110 ID:0uViur990

黒服「どうしますか? 殺してしまいますか?」ガシッ

暗殺者「あ、ぐ……」

純白女「そうですねえ。それもよろしいかもしれませんね」ニッコリ

男(まずいッ!)

少女「ど、どうしよう!」

男「少女ちゃん、このブローチは銀で出来てるんだよね!」サッ

少女「え?」

男「喰らえっ!」ビュッ

黒服「…………」ヒョイッ

あっさりかわされてしまう。


104: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:32:32.813 ID:0uViur990

ホテルマン「皆さま、何をなさってるのですか?」

黒服「ちっ、邪魔が……」

純白女「おやめなさい」

黒服「…………」ピタッ

純白女「この方たちもこれで身の程を知ったでしょう。これ以上やる必要はありません」

黒服「分かりました」

大男「運がよかったな、てめえら!」

暗殺者「うう……」

聖女「ま、待ちなさいよ……!」


105: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:34:50.356 ID:0uViur990

純白女「なかなか面白い見世物でしたわ」

純白女「私たちは、今後もこれまで通り活動を続けて参りますので……」

純白女「どうぞよろしく」ニッコリ

三人は振り返ることなく立ち去って行った。

男「…………ッ!」

少女「お姉ちゃんたち、しっかりして!」

暗殺者「う、ぐ……」

聖女「く、やしい……!」

男(詐欺グループだってやっつけた俺達が、まるで歯が立たなかった……)


106: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:38:49.851 ID:0uViur990

<教会>

聖女「負けた……完敗だったわ……」

男「聖女さん……」

聖女「絶対リベンジしてやる!」シャキーンッ

男「立ち直り早っ!」

聖女「私の辞書に“いつまでも引きずる”の文字はないのよね~」

少女「暗殺お兄さんもしっかり!」

暗殺者「ありがとう……だいぶよくなってきたよ」

暗殺者「しかし、あのボディガード二人……とてつもない強さでした」

暗殺者「ボクがいた組織にだって、あそこまでの使い手は何人いるか……」

暗殺者「特にあの黒服の男……あれは何者なんでしょう……」

男「あいつの正体について、俺にひとつ仮説がある」

聖女「仮説?」


108: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:41:33.796 ID:0uViur990

男「突拍子もないこというけど――あいつの正体は多分“悪魔”みたいな存在なんだと思う」

聖女「悪魔ァ!?」

男「以前、聖女さんとここで話した時、“悪魔に力を与えられた人間”もいるかもしれないっていったろ?」

男「あの純白女がきっとそれなんだ」

聖女「なるほど……純白女は悪魔の道具に過ぎないかもしれないってことね?」

男「そういうこと」

暗殺者「ボクもナイフの傷が治っていくところを見ましたし……」

暗殺者「純白女のあの神秘性やカリスマ性が、悪魔から授かったものだとすると納得できますね」

少女「つまり、あたしたちがたおさなきゃいけない敵は――」

男「純白女じゃなく、あの“黒服”だ!」


109: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:43:42.652 ID:0uViur990

暗殺者「しかし、悪魔なんてどうやって倒せばいいのか……」

男「それについては一つアイディアがある」

聖女「え、なになに?」

男「さっき、俺はあいつの正体をなんとなく察して――」

『少女ちゃん、このブローチは銀で出来てるんだよね!』

男「ってウソをついて、あいつに投げつけた。そしたら、あいつはかわしてた」

少女「あ……!」

男「本当にとっさの行動だったんだけど、ナイフすら避けなかった奴がブローチをかわしたんだ」

男「つまり、あいつはよくある悪魔の言い伝え通り……“銀”に弱い!」

聖女「さっすがウソの達人!」


111: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:45:52.984 ID:0uViur990

男「だから銀のナイフなら、あいつを倒せるかもしれない。用意できる?」

暗殺者「……やってみます」

聖女「なんだか負けた直後だってのにワクワクしてきたわね!」

聖女「私も鍛え直して、あのデカブツにリベンジしてみせるわ!」

少女「あたしも鍛える!」

男「俺もなんとか、あいつらに一泡吹かせられる方法がないか考えてみるよ」

聖女「打倒悪魔ッ! やってやろうじゃない!」

オーッ!!!


114: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:49:39.290 ID:0uViur990

四人はそれぞれ動き始めた。

男(二週間後、この地域で信者を獲得するため、≪大集会≫を行うのか……)

男(しかも全国の信者や支援者に向けて動画配信まで行うだって……!?)

男(リベンジするとしたら、この日しかない!)



聖女「でやぁっ!!!」ブンッ

暗殺者「隙だらけです!」バキッ

聖女「うぐっ……もう一丁!」



少女「ローキック! ローキック! ローキック!」ベシッ! ベシッ! ベシッ!

聖女「いいわよ! どんどん威力が上がってる!」

男(この子、本当に足悪かったっけ?)

………………

…………

……


117: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:52:34.322 ID:0uViur990

そして――

<教会>

男「明日、純白女による≪大集会≫が行われる」

男「大集会が成功してしまったら、あの女の言葉とカリスマ性で、さらに信者が増えてしまう」

聖女「だからその前にあの黒服――“悪魔”をやっつけなきゃならないってことね」

男「ああ。で、作戦はこうだ」

男「≪大集会≫は市民ホールで行われる。ここには目立たないところに裏口がある」

男「俺たちはここから中に侵入する」

暗殺者「上手く入れますかね?」

男「下調べしたら警備員が一応いるけど、簡単に騙せそうな奴だった。安心していい」

少女「大集会が始まる前にあたしらで悪魔をやっつければめでたしってわけね!」

男「そういうこと。……ってホントに君も来るの?」

少女「もちろん!」

聖女「大丈夫よ、この子のローキックはかなりのもんだわ」

男「まぁ……俺よりよっぽど戦力になるだろうな」


118: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:54:45.758 ID:0uViur990

男「だけどここでみんなに一つ謝っておきたい」

少女「謝る?」

暗殺者「何をですか?」

男「少女ちゃん、君にあげた足が悪い子供の絵本や体験談……」

男「暗殺者さんに話した“キラー・ザ・ジョージ”っていう殺し屋の話……」

男「全て俺が作ったウソなんだ。全くのでっちあげだ」

少女&暗殺者「!」

男「この大仕事をする前に、どうしても正直に打ち明けておきたかった……本当にごめん!」

聖女「…………」


121: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 18:57:21.930 ID:0uViur990

少女「謝ることなんてないよ!」

男「!」

少女「お兄さんはあたしを助けたくてウソついてくれたんだもん……だからいいよ!」

暗殺者「ボクも……残念じゃないといえばウソになりますが、あの話で勇気づけられましたし」

暗殺者「むしろお礼をいわなきゃいけませんよ」

男「……二人とも」

聖女「さ、懺悔も済んだところでビシッと決めてちょうだいよ」

男「うん」


123: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:00:28.690 ID:0uViur990

男「俺たちは……」

男「ウソばかりついてる男、神に迷惑がられた聖女、人を殺せない暗殺者、足が治ったばかりの少女」

男「はっきりいってみんな何かしら不安要素があって、何かを成し遂げられる面子とは思えない」

三人「…………」

男「だけど、正直に言おうと思う」

男「この四人なら、あの純白女と悪魔をやっつけて、この地域を救うことができる!」

男「俺たちならできるッ!!!」

聖女「そうよ!」

暗殺者「やりましょう!」

少女「できるよ!」

男「……多分」

三人「オイ!!!」


124: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:03:13.213 ID:0uViur990

翌日、≪大集会≫の日――

<市民ホール>

ワイワイ… ガヤガヤ…

「まさか、純白女さんがこの地域に来て下さるとはなぁ」

「ひったくり被害にあった私に、優しく声をかけて下さったんだよ」

「早く生のお言葉を聞きたいねえ……」

ワイワイ… ガヤガヤ…


125: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:05:35.948 ID:0uViur990

<裏口>

男「あのー、すみません」

警備員「ん?」

男「実は今日、純白女様の大集会で使うっていう装飾品をですね、お届けに来た者なんですけど」

警備員「? 聞いてないぞ? だいたいなんでこんな裏口から……」

男「そりゃそうでしょ、サプライズなんですから……こっそり届けなきゃ意味がないでしょ……」ペチャクチャ

反論の暇を与えずまくし立てる。

警備員「わ、分かった分かった。四人とも入っていいぞ」

男「…………」グッ

聖女「あんた、もう詐欺師になっちゃえば?」


126: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:07:37.326 ID:0uViur990

男「純白女は集会場近くの控え室にいるはずだ」

男「おそらく、あの黒服と大男も――」

男「ただし、黒服だけは絶対まともに相手しちゃダメだ」

暗殺者「黒服は、ボクが不意打ちで必ず仕留めてみせます。この銀のナイフで……」

聖女「残った大男は私が倒すわ!」

少女「あたしはローキックでがんばる!」

男「とにかく最優先はあの黒服だ。黒服さえ倒せば、純白女はただの女と化す!」


127: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:09:28.322 ID:0uViur990

ところが――

純白女「あら、いらっしゃいませ」ニッコリ

黒服「待っていたぞ」

大男「お前のいうとおり、本当に来やがったぜ!」

四人「――――ッ!」

男「なんで、今日の主役がこんなところに……」

黒服「私にかかれば、得体の知れぬ侵入者を察知するなど朝飯前だ」

男(さすが悪魔……! バレバレだったのかよ……!)


128: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:12:29.848 ID:0uViur990

黒服「こいつら、もう消してしまってかまいませんね?」

純白女「かまいません。私の目指す“世界平和”には不要な方々ですから」ニッコリ

純白女「では私は集会がありますので」

ボディガードを残し、立ち去る。

大男「だそうだ。お前らはここでブッ殺してやる!」

聖女「ふん……だいぶ予定狂ったけど予定通りよ! 私はあの大男をやる!」

暗殺者「分かりました、ボクは黒服とやります!」サッ

男「少女ちゃん、俺たちは邪魔だ! 下がろう!」

少女「うん……!」

聖女vs大男、暗殺者vs黒服。二つの戦いが始まる――


129: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:14:37.782 ID:0uViur990

聖女vs大男――

ガシィッ!

手四つで組み合う両者。

聖女「ぐ……ッ!」ググ…

大男「なかなかのパワーだが、俺の敵じゃねーなァ!」グググ…

聖女「ふん、戦いってのは腕だけでやるもんじゃないのよ。頭も使わないと」グググ…

大男「は? そりゃどういう意味――」

聖女「こういう意味よッ!」グンッ

グシャッ!

聖女の頭突きが、大男の鼻先にめり込んだ。

大男「ぶはぁっ!」


130: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:17:22.928 ID:0uViur990

大男「やりやがったなァ!!!」

ドゴォッ!

返しの右ストレート。を、なんとか防御していた。

聖女「くぅ~……効く……ッ!」ビリビリ…

大男(こいつ……強くなってる!)

大男「ずいぶん腕を上げたじゃねえか……なら本気で行くぜェ!」

聖女「望むところッ! 今の私は“ドラゴンファングソード”だもの!」



――ズガァッ!!!


132: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:20:19.377 ID:0uViur990

ナイフを構える暗殺者。

暗殺者(訓練を思い出せ……)

暗殺者(ゆっくり、こっそり、静かに近づいて……)ユラ…

黒服(なんだ、この妙な動きは)

暗殺者(斬るッ!)

ザシュッ!

黒服「!」ジュゥゥゥゥ…

黒服「これは……“銀製”か。なるほど、私の正体を見抜いたようだな」

暗殺者「ああ……ただし見抜いたのは彼だけどね」

暗殺者「つまり、もうボクでもお前を倒せるってことだ!」

ザンッ! ザシュッ! ズバッ!

黒服「人間よ……」


133: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:22:41.061 ID:0uViur990

黒服「“悪魔”をあまり舐めるなよ?」ズズズ…

右手に黒いオーラが蓄えられる。

ドゴォッ!

暗殺者「ぐはぁっ……!」

黒服「人間界では悪魔本来の力は到底出せんが、魔力を込めた拳は効くだろう?」

暗殺者「ま、まだ、だ……!」ヨロッ

黒服「ほう、立ち上がるか……面白い」



男(聖女さんも暗殺者さんも、どう贔屓目に見ても押されてる……!)

男(くそっ、俺には何もしてやれないのが歯がゆい……!)

少女「…………」


134: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:24:38.243 ID:0uViur990

大男「ラリアットォ!」

ドギャッ!

聖女「うぐ……なんのォ!」

ガキィッ!

アッパーを顎に叩き込む。

大男「ぬおおおおっ!」ガシッ

聖女「!」

大男が聖女の頭を床に叩きつける。

ゴッ!



男「聖女さんっ!」


136: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:27:20.096 ID:0uViur990

聖女「平気ッ! むしろ今のでIQが倍になったわ……!」ヨロ…

男「倍って……今どのくらいなの?」

聖女「180くらい?」

男(倍でそれかよ!)

大男「ガッハッハ、おもしれえ女だなァ!」ブンッ

ドゴォッ!

聖女「ぐっ……!」

聖女(悔しいけど向こうのが強い……!)

聖女(なにかない!? 私があのデカブツに一発くれてやる方法!)チラッ

男(今一瞬、俺を見た?)

聖女「……あるッ!」


138: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:30:26.466 ID:0uViur990

聖女「あっ、あそこにプロテインが!」サッ

大男「……え?」チラッ

聖女「ウソよォ!!!」

ゴキィッ!

聖女の飛びヒザ蹴りがこめかみにヒットした。

大男「うぐおぁっ……!」



男(完璧に入ったッ! 聖女さん、ウソで活路を開いた……ッ!)


140: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:33:36.176 ID:0uViur990

大男「ぐ、まだだ……!」

聖女「来いッ!」

大男「乱暴者で居場所のなかった俺を、純白女様は何も否定せず温かく迎え入れてくれたんだ……」

大男「絶対に負けられねえッ!」ダッ

聖女「ふん、そんなのがあんたの戦う理由だったの?」

聖女「だったら私はァ、全否定して冷たく突き放してあげるッ!」ダッ

大男「うおおおおおおおおおっ!!!」

聖女「でぃやあああああああっ!!!」



――バキィッ!!!



聖女のカウンターパンチが、大男の顎を撃ち抜いていた。

大男「あ、ぐぁ……」ズン…


142: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:36:22.297 ID:0uViur990

大男(不思議だ……)

大男(ブッ倒されたのに、すっげえいい気持ちだ……)

大男(純白女様に癒やされた時よりずっと……)

大男「……おい」

聖女「ん?」

大男「また……いつか……戦ってくれるか?」

聖女「いつでも来なさい! これで一勝一敗だし!」

大男「へへ……ありがとよ……」ニヤッ


143: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:39:31.900 ID:0uViur990

暗殺者vs黒服――

黒服「致命傷だけは避けるしぶとさだけは認めるが、ここまでだな」

暗殺者「まだ、やれる……!」

黒服「遊びは終わりだ。我が魔力で死体も残らぬよう――」

ベシッ!

黒服「ん……?」

少女「ローキック! ローキック! ローキックゥ!」ベシッ! ベシッ! ベシッ!

暗殺者「しょ、少女ちゃん……!」

黒服「ガキが……ただの蹴りなど私に通用するわけないだろう。無駄だからやめろ」

少女「ローキック!」ベシッ!

黒服「…………」ピキッ


144: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:41:21.650 ID:0uViur990

黒服「ガキがッ!」バシッ!

少女「きゃあっ!」

暗殺者「!」

男「く、くそっ! ――俺だって!」ダッ

黒服「ザコがッ!」バキッ!

男「うぐふぅ……っ!」ドザッ

黒服「悪魔に盾突くゴミどもめ……先に消してやる」ズオオオオ…

暗殺者「やめろォ!!!」

黒服「……ん?」


146: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:44:26.648 ID:0uViur990

暗殺者「お前は……ボクが倒す!」

黒服「……不可能だ」

暗殺者「ボクは……“キラー・ザ・ジョージ”をも越えた暗殺者だ」

黒服「は?」

暗殺者「ボクに人は殺せない。人は殺せないけど……悪魔なら殺せるッ!」ダンッ

覚悟を決めた眼光で、黒服に迫る。

黒服「ちっ、この!」ブオンッ

暗殺者(かわして――)

暗殺者(悪魔の心臓にッ!!!)



ザグゥッ……!!!


150: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:48:42.943 ID:0uViur990

黒服「グハッ……! ま、まさか……」ヨロッ…

暗殺者「はぁ、はぁ、はぁ……」

黒服「だが、いかに銀の武器だろうと……人が悪魔を滅ぼすことはできん……」

黒服「力を失わせ、魔界に追い払うくらいがせいぜい、だ……」

黒服「もっとも……次人間界に来れるようになるのは……数百年後といったところだが、な……」

男(こいつ……自分の敗北を認めた……!)

黒服「人でありながら私を破ったことに敬意を表し……一つ教えておこう」

暗殺者「なんだ?」

黒服「お前たちは……私があの純白女を操る黒幕だと思っているのだろうが……」

黒服「私はあの女の駒に過ぎん……」

男「な、なんだって!?」


151: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:50:50.498 ID:0uViur990

黒服「かつて……私はまるで惹かれるように、あの女と出会った」

黒服「出会うなり、あの女は私を恐れずこういったよ……」



純白女『私の世界平和実現の夢に力を貸して下さいませんか?』ニッコリ



黒服「そう、あの女は“自分が正しい”と本気で信じている」

黒服「悪党に犯罪を起こさせ、被害者を励ますという自作自演も、正しいと思ってやっているのだ」

黒服「そうして世界中全ての人間が自分の信者になれば、世界は平和になる――」

黒服「本気でそう信じているのだ」


152: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:53:17.772 ID:0uViur990

男「ってことはあの女のカリスマ性は全て……」

黒服「奴自身の力だ。私が力を与えたわけじゃない」

黒服「あの女は私のことを、少々強いボディガード程度にしか思っていないだろう……」

黒服「私がいなくなったところで……あの女が変わることはない……」

男(どうりであの女からウソを感じられなかったわけだ……)

黒服「今後、あの女の行動はますますエスカレートするぞ……」

黒服「今までは詐欺程度で済んでいたが、そのうちもっと凶悪な犯罪を誘発するだろう……」

黒服「各地を行き来し、信者を増やし、いつものあの笑顔で笑い続けるだろう」

黒服「私がいうのもなんだ、が……あの女こそ、まさに“悪魔”だ……」シュゥゥゥ…

悪魔は煙となり、魔界へと還っていった。


153: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:57:08.998 ID:0uViur990

<大集会場>

いつもの笑顔で聴衆に語りかける純白女。

純白女「……全てを私に委ねるのです。そうすればあなたがたは救われます」ニッコリ

純白女「皆さまにご加護があらんことを……」

ガヤガヤ…

「ありがたや、ありがたや……」

「よし、俺は純白女さんに一生ついていくぞ!」

「人生全て捧げたって惜しくない!」


154: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 19:59:46.293 ID:0uViur990

そこへ――

警備員「な、なんだ君たちは!」

聖女「どいてッ!」ギロッ

警備員「ひいっ!」ササッ

ザワッ…

黒服と大男を打ち破った四人が登場した。

純白女「あなた方は……」

暗殺者「あの二人はボクたちが倒した……あなたを守る者はもういない!」

少女「そうよそうよ!」

男「…………」


155: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 20:02:33.019 ID:0uViur990

純白女「そうですか」

暗殺者(まるでケロッとしてる……!)

聖女(本当にこいつにとって、あの二人は“ちょっと強いボディガード”に過ぎないんだわ)

聖女(あいつらがいないならいないで、この女はずっと今までの活動を続ける……!)

純白女「それで、なんのご用でしょうか?」

純白女「守る者がいなくなった私を、この場で私刑に処すとでもいうのですか?」

純白女「それもよいでしょう。そうなるのならば、それが私の運命なのですから」ニッコリ

暗殺者(ダメだ……! たとえ聖女さんがこの女を殴っても、ボクがこの女を殺しても!)

暗殺者(それはこの女を神格化させるだけで、なんの解決にもならない……)

暗殺者(むしろそれを望んでる節さえある!)

聖女(こいつは……本物の怪物だわ!)


156: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 20:04:41.769 ID:0uViur990

「なんなんだ、お前ら!」 「とっとと出てけ!」 「集会を邪魔するなァ!」

ワァァァァ……! ワァァァァ……!

すっかり純白女に感化された聴衆たちがヒートアップする。

聖女(どうしよう……結局私たちには何もできないの!?)

暗殺者(ダメだ……どうしていいか分からない!)

少女「――お兄さん!?」

男「…………」ザッ

男が純白女の前に歩み出た。


157: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 20:08:14.066 ID:0uViur990

純白女「なんでしょう?」ニッコリ

男「純白女さん、一つ懺悔させて下さい」

男「俺は今までずっとウソまみれの人生を送ってきました」

男「人に注目されたくて、みんなを驚かせたくて、自分をよりよく見せたくて――」

純白女「そうなのですか。しかし、安心なさい。私に心身を委ね――」

男「だけどね、それは“相手に認められたい”って想いがあったからやってたことなんだ」

男「だから……あんたにはウソをつく必要が一切ない。気楽ですらある」

純白女「どういう……意味かしら……?」

男「今から俺は正真正銘100%、一片の嘘偽りもない本音であんたに一言いわせてもらう」

男「…………」スゥ…


158: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 20:10:33.629 ID:0uViur990

男「お前はただのクソ女だ」





純白女「…………」


159: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 20:14:14.052 ID:0uViur990

純白女「……な」

純白女「なぁんですってえええええええエエエエエエエエ!!?」

純白女「この私に……世界平和を目指す聖なるワタシに、オマエ如きがアアアアアアアア!!?」

純白女「クソ女だとオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!??」

純白女「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」

純白女「――――!」ハッ

ザワザワ… ドヨドヨ…

純白女「顔が……! 私の顔がっ……!」ヒクヒクッ

純白女の顔は醜く歪んでしまっていた。そう、まるで悪魔のように――

純白女「なによ、これっ……! 戻らな……っ!」ヒクッヒクッ

ああぁぁぁぁぁ……!

………………

…………

……


160: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 20:17:48.542 ID:0uViur990

……

……

聖女「どうしてあんなことになったのかしら?」

暗殺者「あの瞬間、男さんは純白女に対する怒りだとか憎しみだとか、ボクらや被害者への想いとか」

暗殺者「そういうのを一切排して、純度100%の本音で“クソ女”っていったんだと思います」

暗殺者「だからこそ……あの女の“芯の部分”を突き刺すことができた」

暗殺者「それが本物の悪魔すら恐れるあの本性を引き出すことに成功したんだと思います」

聖女「なるほどね~」

少女「ウソばかりついてたお兄さんだったから、できたことなのかもね!」

聖女「やるじゃない!」バシッ!

男「いてっ! ハハ……まあね」

男(本当にただ本音吐いただけであんなことになるとは……メチャクチャビビったわ)

男(トラウマになりそう……)


162: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 20:21:44.860 ID:0uViur990

暗殺者「あの≪大集会≫は動画でも配信され、ほぼ全ての信者があれを見てしまいました」

暗殺者「おそらくこれで純白女は再起不能になるでしょうね」

暗殺者「上手くいけば今までの罪も暴かれるかも……」

聖女「ざまあみろよ! 正義は勝つ!」

少女「ローキックも勝つ!」

男「ウソも勝つ!」

暗殺者「えぇっと……ナイフも勝つ!」

男「よーし、今日は飲み物やお菓子買って、パーっとやろうか!」

聖女「会場はもちろん、私の家ね!」

イェーイッ!


163: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 20:24:26.174 ID:0uViur990

……

それから――

パァァァァ…

聖女「はい、これでオッケー!」

ガテン男「おかげで肩が軽くなったぜ! ありがとよ!」


老婆「息子から連絡が来たんだよ。今度帰省するって」

聖女「よかったわね! もう二度と変なのに騙されちゃダメよ!」


男「やってるね、聖女さん」

聖女「あら、いらっしゃい!」

男「今日は時間あるから手伝いに来たよ」


166: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 20:27:57.442 ID:0uViur990

男「少女ちゃんは小学校に復帰して、どんどん友達作ってるみたいだし」

男「暗殺者さんはあの戦闘力を生かして、要人をガードする仕事につくみたい」

聖女「みんな、それぞれの道を歩んでくのね」

聖女「で、肝心のあんたは?」

男「俺は……作り話が得意だし、作家とかそういう職業を目指してみようかなーって」

男「もちろん、そんな甘い世界じゃないだろうしそこまで自信家じゃないから、普通の就活もやるけど」

聖女「ふうん、悪くないんじゃない? 向いてると思うよ」


167: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 20:30:31.515 ID:0uViur990

聖女「だけどそうなったらあんたも忙しくなって、あんまり接点なくなっちゃうのかなぁ」

男「いや、そんなことないよ」

聖女「え?」

男「俺は……どんな道に進もうとも、聖女さんとの縁は絶対に切らしたくない」

男「末長くパートナー的な感じで……やっていけたら、と思ってるよ」

聖女「それはウソ? ホント?」

男「ウソ」

聖女「ウソォ!?」

男「いやいやいや、ホントだよ! 今ウソっていったのがウソ!」

聖女「こんがらがってきたわ……」


169: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/10/19(土) 20:33:23.570 ID:0uViur990

聖女「だけど、私もあんたといると楽しいし、これからもよろしくね」

聖女「相棒ッ!」バシッ!

男「いでっ!」


少女「あ、いたいた! あの二人は相変わらずね!」

暗殺者「うん……どんなに世の中が変わっても二人はずっとあんな感じのような気がするよ」







~おわり~





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