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ガヴリール「千咲ちゃん、母の日に感謝する」

1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:01:14.022 ID:MxUEQAQP0.net

-ガヴリールの家-


ガヴリール「行かない」


タプリス「そんなこと言わずに、天真先輩……」

ガヴリール「第一、母の日なんて、下界の行事だろ」

ガヴリール「私たちには関係ないじゃんか」

ガヴリール「イベント大好きなあいつなら、ともかく」

タプリス「他の先輩たちは、もうそれぞれ、ご実家に向かわれたみたいですよ?」

ガヴリール「え、サターニャも?」

タプリス「ええ」

ガヴリール「へぇ、あいつがね……意外と家族思いなのか?」

タプリス「なにか、下界侵略計画の定期報告も兼ねて、とかなんとか」

ガヴリール「なんだそりゃ……」


タプリス「もしかしたら、わたしへの照れ隠し、かもしれないですけど」

ガヴリール「いや、あいつの場合は、素だろ……」


5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:03:55.162 ID:MxUEQAQP0.net

タプリス「で、でも、わたしも良い行事だと思いますよ」

タプリス「母親に感謝する日、なんて。普段なかなか言い出しづらいことも」

タプリス「その日なら、堂々と言うことができますし」

ガヴリール「どうせ、どっかの業界が企んだ陰謀だろ? 花とか」

タプリス「いやいやいや……どうしてそんなこと言うんですか」

タプリス「調べてみましたけど、結構、歴史があるみたいで」

タプリス「百年ほど前に、とある女の子が、死んでしまった自分の母親に花を手向けたのが」

タプリス「始まりだったそうですよ」

タプリス「それが世界中に広まって、今に至る、らしいです」

ガヴリール「ふーん」


タプリス「なのでわたしも、このカーネーションを用意しましたっ」

ガヴリール「ん? それ、本当にカーネーションか? 青いけど」

タプリス「ええ、ムーンダストっていう品種らしくて」

タプリス「月の青い光をイメージして開発されたそうで、だいぶ日持ちするみたいですよ」

ガヴリール「へぇ」

タプリス「花言葉は……永遠の幸福、らしいです」

ガヴリール「永遠の幸福、ね……夢見過ぎじゃないか」

タプリス「い、いいじゃないですか、ロマンチックで!」


10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:06:28.672 ID:MxUEQAQP0.net

タプリス「そうです。このお花を、先輩にも少しお分けしますから」

タプリス「それで天真先輩のお母様に、会いにいきませんか?」

ガヴリール「だから……さっきから行かないって言ってるでしょ」

ガヴリール「年始に会ってるし、私にだって」

ガヴリール「両親への感謝の気持ちくらい、常に心の中に持ってるから」

タプリス「いやいやいや……伝わらなかったら、意味ないじゃないですか……」

ガヴリール「それに、どうしてお前が、私を母親に会わせようとするんだよ」

ガヴリール「自分の母親に感謝するだけで、いいじゃん」

タプリス「それは……その……」

タプリス「天真先輩のお母様がいなかったら……」

タプリス「天真先輩とは、お会いできなかったわけですし……」

タプリス「わたしとしては、お母様に感謝しても、し足りないくらいで……」

ガヴリール「……なんだそりゃ」

タプリス「でも、そうですよね。差し出がましかったです……」

タプリス「やっぱり、わたしだけで行ってきます」


ガヴリール「……はぁ、しょうがないな」

タプリス「えっ」

ガヴリール「会いに行くだけ、だからな。あと、お前の花はいらないぞ」

タプリス「あ、ありがとうございます! 先輩!」


19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:09:03.386 ID:MxUEQAQP0.net

ガヴリール「ゲートオープン!」

フィン

タプリス「先輩……も、もう少し身なりを整えたほうが……」

ガヴリール「いいだろ別に。実家に帰るのに、なんで気兼ねしないといけないんだ」

タプリス「それはそうですけど……」

ガヴリール「ほら、早く入れ」

タプリス「は、はい」



-ゲート内-


フィン フィン フィン

ピシッ


ガヴリール「ん?」

タプリス「どうしました、先輩?」

ガヴリール「いや、空間に亀裂が入ったような気がして」

タプリス「わ、わたしには何も見えませんでしたけど……」

ガヴリール「気のせいか」


ゴゴゴゴゴッ

ガヴリール「うわっ、なんだ、この音!?」

タプリス「せ、先輩!? これは!?」

ガヴリール「とにかくつかまれ、タプリス!」

タプリス「は、はい!」


22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:11:32.969 ID:MxUEQAQP0.net

-天界-


ガヴリール「ふぅ、なんか危なかったけど……」

ガヴリール「とりあえず、天界に着いたな」

タプリス「ええ、なんだったんでしょうね、あれ……」

ガヴリール「わからん、ゲートのメンテナンス中、とかだったのか」

タプリス「そんな連絡は来ていませんでしたけど……」

ガヴリール「まぁ気にしても仕方ない。ほら、途中まで一緒に行くぞ」

タプリス「は、はい」


――

タプリス「こうやって天界を二人で歩くのは久しぶりですね」

ガヴリール「そうか?」

タプリス「ええ、先輩が下界へ行ってしまってからは」

タプリス「なかった気がします」

ガヴリール「まぁ、私もほとんど天界に帰ってないからな」

タプリス「もう少し、帰ってきましょうよ……」

ガヴリール「駄天してるのに、おいそれと戻れるわけないだろ」


タプリス「はぁ、ですよねぇ……って!」

ガヴリール「ん?」

タプリス「あれ見てください! だ、誰かうずくまってませんか!?」

ガヴリール「ほんとだ」

タプリス「い、行きましょう!」


29: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:14:11.353 ID:MxUEQAQP0.net

タッタッタッ


天使の女性「う、うぅ……」

タプリス「だ、大丈夫ですか!? どこか苦しいのですか!?」

天使の女性「ご、ごめんなさい、大丈夫ですから」

タプリス「いえ、とても大丈夫なようには……」

ガヴリール「ぜぇ……ぜぇ……、やっと追いついた」

タプリス「先輩、この方が、とても苦しそうで……」

ガヴリール「……ッ」

タプリス「先輩?」


ガヴリール「い、いや、何でもない。それよりもこの人、お腹が……」

タプリス「ほ、ほんとですね。ということは……妊娠中ですか?」

天使の女性「え、ええ……そうです」

タプリス「じゃ、じゃあ、もしかして苦しそうなのは……」

天使の女性「うぐっ……」

タプリス「だ、大丈夫ですか!? 先輩、ど、どうしたら……」

ガヴリール「お、おおお、落ち着け、タプリス。まずは落ち着いて……」


天使の女性「う……」

タプリス「う?」

天使の女性「産ま、れそう……」

ガヴリール「なっ!?」


ガヴリール「と、ととと、とりあえず病院! 病院だ! 病院に運ぶぞ、タプリス!」

タプリス「は、はい!」

ファサッ


37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:16:40.187 ID:MxUEQAQP0.net

-天界病院 病室-


産科医師「もう大丈夫ですよ、落ち着きましたから」

タプリス「よ、よかったです……」

ガヴリール「ありがとうございます」

産科医師「いえ、もう少しここに来るのが遅かったら」

産科医師「危なかったかもしれません」

産科医師「君たち、ありがとう」

タプリス「いえいえ、そんな……」

天使の女性「本当にありがとうございます、みなさん」

産科医師「それで、どうしますか。予定日よりは少し早いですけど」

天使の女性「そうですね……夫とも先程、電話で話しましたが」

天使の女性「本日、でお願いできますでしょうか」

産科医師「わかりました。私も、その方が良いと思います」

産科医師「では準備を進めますから、しばらくこの部屋でお待ちくださいね」

天使の女性「はい、よろしくお願いします」


タプリス「お、おめでとうございます! この後、ご出産されるんですね」

天使の女性「はい。ふふっ、でもまだ、おめでとうには、早いかもしれませんね」

タプリス「あ……そ、そうですね、あはは……」


46: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:19:01.694 ID:MxUEQAQP0.net

ガヴリール「じゃあ、私たちはこれで……」

タプリス「せ、先輩」コソコソ

ガヴリール「なんだよ」

タプリス「この方だって、出産間近できっと、不安な気持ちでいっぱいだと思うんです」

タプリス「せめて、ご家族の方がいらっしゃるまでは」

タプリス「わたしたちが、そばに居てあげましょうよ」

ガヴリール「そ、そうかぁ? 邪魔になるだけじゃ」

タプリス「まだ時間はあるんですから、ね?」

ガヴリール「ったく、しょうがないな……」


タプリス「あの、お邪魔じゃなければ……」

タプリス「このまま、ここに居させていただいても、よろしかったでしょうか」

天使の女性「ええ、もちろんです。あなたたちは私の恩人ですし」

天使の女性「初産ではないんですけど……実は少しだけ」

天使の女性「不安なところもありまして、話し相手をしてくださると嬉しいです」

タプリス「や、やっぱりそうですよね!」


タプリス「ほら、先輩」コソコソ

ガヴリール「ああ、わかった。わかったから」


48: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:21:39.982 ID:MxUEQAQP0.net

タプリス「それよりも、先ほど、お医者様が」

タプリス「予定日よりも早いっておっしゃってましたけど」

天使の女性「ええ、だいぶ早いですね」

天使の女性「もしかすると、この子が、早く出たいよーって」

天使の女性「言ってるのかもしれません」

タプリス「あはは、元気なお子さんに育ちそうですね」

天使の女性「だと良いんですけど」ニコッ


天使の女性「上の子に続いて、できたらもう少し早く子供が欲しかったんですけど」

天使の女性「なかなか授かることができなくて」

タプリス「こればかりは、仕方がないですよね……」

天使の女性「ええ。そのせいで上の子と少し、歳が離れてしまいましたが」

天使の女性「この子は、ようやく授かってくれた子、ですから」スリスリ

天使の女性「本当に、本当にありがたいことです」


天使の女性「……もしよろしかったら、お腹、触ってみませんか?」

タプリス「え、良いんですか?」

天使の女性「ええ、あなたたちの思いやりの心にあやかりたいな、と」

タプリス「そ、そんな、大層なものではないですけど……」

タプリス「それでは……し、失礼します」


56: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:23:56.000 ID:MxUEQAQP0.net

スッ ピトッ


タプリス「……あたたかい」

タプリス「この中に……新しい命が、育まれてきたんですね」

天使の女性「はい、そうですよ」

タプリス「ふふっ、元気に産まれてきてくださいね」

タプリス「ほら、先輩も」

ガヴリール「あ、ああ」

スッ ピトッ

ガヴリール「……」

天使の女性「どうですか?」

ガヴリール「え、あ、はい……えっと……」

ガヴリール「元気に産まれてくることを……願ってます」

天使の女性「ありがとうございます」ニコッ

ガヴリール「……ッ」


天使の女性「それにしても、あなた……」

ガヴリール「えっ?」

天使の女性「私と、どこかでお会いしたことはありませんか?」

ガヴリール「い、いえ、ないと思いますけど……」

天使の女性「そうですか、私の勘違いみたいですね。すみません」


タプリス「先輩、どうしました?」

ガヴリール「い、いや、なんでもない」


64: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:26:32.109 ID:MxUEQAQP0.net

産科医師「お待たせしました、それでは促進剤の方を」

天使の女性「はい、わかりました。よろしくお願いします、先生」

産科医師「君たちは申し訳ないが、待合室の方に移動してくれるかな」

タプリス「は、はい、わかりました」


天使の女性「何度も言うようですけど、本当にありがとうね」

タプリス「い、いえ! がんばってください、応援してます!」

ガヴリール「……」

天使の女性「あなたは……この子と私の、命の恩人ですから」

ガヴリール「え、えっと、その……、が、がんばってください」

天使の女性「ええ」ニコッ



-待合室-


タプリス「うぅ……緊張してきました」

ガヴリール「なんで緊張するんだよ。お前が産むわけでないのに」

タプリス「そんなこと言われましても……、誰かの出産をこのように」

タプリス「目の前で経験したことがないので……」

ガヴリール「そうなのか」

タプリス「ええ。あ、先輩はハニエルちゃんの時が、ありましたよね」

ガヴリール「まぁな。もう結構前、だけど」


ガヴリール「……というかさ。もう私たち、ここに居なくてもよくないか?」


70: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:29:21.279 ID:MxUEQAQP0.net

タプリス「で、ですけど……」

ガヴリール「こっから何時間かかるか、わからないんだぞ?」

ガヴリール「下手したら明日になるかもしれない」

タプリス「そ、そうですよね……」


天使の男性「あ、あのっ!」

タプリス「えっ?」

ガヴリール「……ッ」


天使の男性「あなたたち、ですよね。私の妻を助けてくれた方って」

天使の男性「この度は、本当に本当に、なんとお礼を言ったら良いか……」

タプリス「あ、あの方の、旦那さん?」

タプリス「落ち着いてください、わたしたちはただ……」

天使の男性「本当は私が、しっかり妻のことを見ていなきゃいけなかったのに」

天使の男性「面目次第もありません……」

天使の男性「二人目、ということもあって、少し気がゆるんでいたのかも……」

タプリス「そんな、お気になさらないでください」

タプリス「こうして無事に、出産を迎えられたんですから」

天使の男性「ありがとうございます! 本当にありがとうございます!!」ペコペコ


天使の女の子「……」ジーッ


78: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:31:51.309 ID:MxUEQAQP0.net

タプリス「えっと、この子は……?」

天使の男性「あ、うちの娘です」

ガヴリール「なっ!?」

タプリス「先輩?」

ガヴリール「いや、なんでもない。なんでもないぞ?」

タプリス「ん? さっきから変な先輩ですね」


天使の女の子「……お姉さんたちが、お母さんを助けてくれたんですか?」

タプリス「助けたといいますか……病院までお連れしただけですよ」

天使の女の子「そうですか。ありがとうございます」ペコッ

タプリス「いえいえ、どういたしまして、です」


タプリス「ふふっ、礼儀正しいお子さんですね」

天使の男性「そ、そうですかね。誰に似たのやらわかりませんが……」

天使の男性「親バカかもしれませんけど、私たちの自慢の娘です」

ガヴリール「もしかしたら、今のお前よりも、しっかりしてるかもな」

タプリス「なっ!? ひ、ひどいですよ!」


ガヴリール「それじゃあ、ご家族の方もいらっしゃったし」

ガヴリール「私たちはこれで……」


天使の男性「ま、待ってください!」


82: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:34:09.306 ID:MxUEQAQP0.net

天使の男性「先ほど、医師の方とも、お話をしたのですが」

天使の男性「どうやら、経過の方はかなり順調みたいなんです」

天使の男性「もし、お時間がよろしかったら、ですけど」

天使の男性「産まれる赤ん坊に会っていってもらえませんか?」

天使の男性「あなたたちは、産まれる子にとっても、命の恩人ですから」


タプリス「先輩……、家には夜に着いても大丈夫ですし」

タプリス「待たせてもらいませんか? ここまで関わったんですから」

タプリス「それにわたし、産まれてくるお子さんが見たいです」

ガヴリール「……ああ、もうわかったよ!」


天使の男性「あ、ありがとうございます! 妻もきっと喜ぶと思います!」



――

天使の女の子「……」ジーッ

ガヴリール「……」


タプリス「あはは。先輩、すっかり懐かれてますね」

ガヴリール「ただ睨まれてるだけ、の間違いな」


タプリス「これからお姉ちゃんになるけど、どうかな? 嬉しい?」

天使の女の子「よく……わかりません」


85: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:36:27.707 ID:MxUEQAQP0.net

天使の女の子「今までずっと一人だったし」

天使の女の子「正直、どう接して良いかも、わからないです」

タプリス「そ、そっか……」

天使の女の子「……でも」

タプリス「えっ」

天使の女の子「お母さんが言ってました」

天使の女の子「家族が増えることは、本当に幸せなことだって」

天使の女の子「時にはケンカして、言い争ったりすることもあるけど」

天使の女の子「なんでも真っ直ぐに本音を言い合えるのは、家族だけだからって」

タプリス「……」


天使の女の子「だから将来……」

天使の女の子「弟か妹かはわからないけど、これから産まれてくる子が」

天使の女の子「気を許すことができる、私たちの家族の一員になってくれるなら」

天使の女の子「それ以上は、望みません」

タプリス「ふふっ、あなたの気持ち、伝わってきました」

天使の女の子「えっ」

タプリス「それはきっとね、あなたも嬉しいんだと思います」

天使の女の子「そう、でしょうか」

タプリス「ええ。だって、あなたは今……」

タプリス「笑っていますから」ニコッ


97: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:38:59.597 ID:MxUEQAQP0.net

天使の女の子「……ッ」

タプリス「産まれてくるお子さんは、幸せ者です」

タプリス「こんなにも素敵なお姉さんがいて」

タプリス「そして、素敵なお父さんお母さんに囲まれているんですから」

タプリス「だから自信をもってくださいね」

天使の女の子「あ、ありがとう、ございます……」

タプリス「えへへ、どういたしまして、です」

天使の女の子「……でしたら、私が」

タプリス「えっ」

天使の女の子「産まれてくる子が、大きくなるまでは……」

天使の女の子「私がそれまで、守ってあげたいと思います」

ガヴリール「……ッ」

タプリス「そうですか。さすが、お姉さんですね」ナデナデ

天使の女の子「……」カァァ


おぎゃぁ おぎゃぁ

タプリス「あっ!」

天使の男性「う、産まれたみたいです! 行きましょう!」


ガヴリール「タプリス」

タプリス「ど、どうしました、先輩。急がないと!」

ガヴリール「お前……すごいわ」

タプリス「えっ? よ、よくわかりませんけど、先輩も早く行きましょう!」


104: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:41:48.938 ID:MxUEQAQP0.net

-病室-


赤ん坊「おぎゃあ……おぎゃあ……」

看護師「見えますか、可愛らしい女の子ですよ」

天使の女性「はぁ……はぁ……、はい、よかった……」


天使の男性「産まれたか!」

天使の女性「あ、あなた……」

天使の女性「女の子、ですって。ふふっ、また賑やかになるわね」

天使の男性「ああ、よくやった。ぐすっ……よくやったぞ!」

天使の女性「もうあなたがそんなに泣いて、どうするんですか」

天使の男性「す、すまない……」


天使の女の子「……」ジーッ

天使の女性「……おいで、あなたの妹よ?」

赤ん坊「おぎゃあ、おぎゃあ……」

天使の女の子「……私の、妹?」

天使の女性「ええ」

天使の女の子「……」

天使の女性「ほら、あなたのことを見ているわ」

赤ん坊「……」

天使の女の子「……こ、こんにちは」

天使の女の子「あなたのことは、私が絶対、守ってあげるから」

天使の女性「あらあら、うふふ」


109: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:44:07.073 ID:MxUEQAQP0.net

赤ん坊「おぎゃあ! おぎゃぁ!」

天使の女の子「……」ビクッ

天使の女性「ふふっ、この子も嬉しいって、言ってるわ」

天使の女の子「ただ、泣き叫んでるだけじゃ……」

天使の女性「この子が今できる、最大のお返事をしてくれてるのよ」

天使の女の子「そ、そうなんだ。だったら……」

天使の女の子「少し嬉しいかも」


タプリス「うぅ……ぐすっ、よかった、よかったですねぇ」

ガヴリール「お前は泣きすぎ」

タプリス「だって、だってぇ……」

天使の男性「あなたたちも、近くで会ってやってください」

タプリス「あ……は、はいっ」


ガヴリール「おめでとう、ございます」

タプリス「おめでとうございます! 本当にかわいらしい女の子で!」

天使の女性「ありがとうね、あなたたちのおかげよ」


赤ん坊「……」

ガヴリール「……」

タプリス「すごい……先輩のこと、じっと見てますよ」

天使の女性「そうね、それにしても……」

天使の女性「あなたとこの子、なんだかとても、似ている気がしない?」

タプリス「ほんとだ! たしかに目元とかがそっくりですね……」

ガヴリール「……」


110: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:46:28.031 ID:MxUEQAQP0.net

ガヴリール「……この子は」

タプリス「先輩?」

ガヴリール「やっぱり、この子にも……上のお子さんみたいに」

ガヴリール「いい子で、何でもできる優秀な天使に、なってほしいですよね?」

タプリス「せ、先輩? なに言って……」


天使の女性「……いえ、そんなことまでは望みません」

ガヴリール「えっ」


天使の女性「私はただ、この子が……」

天使の女性「元気に育って、ずっと幸せでいてくれたら」

天使の女性「それだけで、いいんです」

ガヴリール「……ッ」

天使の女性「誰だって、そうだと思いますよ」

天使の女性「母親っていうのは、そういうものです」

ガヴリール「そう、ですか……」


タプリス「せ、先輩? もしかして、泣いて……」

ガヴリール「……何でもない、何でもないから」


天使の男性「そういえば、女の子なら君が名前を決めるって言ってたけど」

天使の男性「もう考えたのかい?」

天使の女性「ええ、もう決まってるわ」


赤ん坊「おぎゃあ! おぎゃぁ!」

天使の女性「この子の名前はね……ガヴリール」


天使の女性「ガヴリールよ」


111: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:49:10.708 ID:MxUEQAQP0.net

タプリス「すごいですね、先輩! 先輩と同じ名前です!」

ガヴリール「お前……まだ気づかないのか」

タプリス「えっ?」


天使の男性「ガヴリール。天真=ガヴリール=ホワイト。いい名前だ」

天使の女性「ふふっ、でしょう? ね、ゼルエルも、そう思うわよね?」

天使の女の子「……」コクッ


タプリス「……」パクパク

ガヴリール「私もよくわからないけど、そういうことだ」

タプリス「いやいやいや! ど、どうして、こんなことに……」

タプリス「この赤ん坊が先輩で!? この方たちが、まさか先輩のご両親!?」

タプリス「それで、この女の子が……、ゼルエル……さん?」

タプリス「わ、わわ、わたし、なんて生意気なことを言って……」

ガヴリール「だから、すごいなって言ったんだよ。あれだけ言えて」


天使の女性「どうかしたの? あなたと同じ名前って?」

ガヴリール「あ、いえ……その、なんでもないです」

ガヴリール「こいつがちょっと、取り乱してるだけですから」


天使の女性「……あなたも、ガヴリールってお名前なのね?」

ガヴリール「え、えと……はい……」

天使の女性「もう少し、近くに来てもらってもいいかしら」


112: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:51:31.985 ID:MxUEQAQP0.net

天使の女性「あなた、ひょっとして……未来からやってきたとか?」コソッ

ガヴリール「えっ!? ど、どうしてです?」

天使の女性「理由なんてないけれど、強いて言えば……直感、かしら?」

天使の女性「初めて会った時から、他人の気がしなくて」

ガヴリール「そ、そんなこと……あるはず、ないじゃないですか」

天使の女性「そう……そうよね、ごめんなさいね」


ガヴリール「……で、でも、これだけは言えます」

天使の女性「えっ」

ガヴリール「この子が大きくなったら、きっと……」

ガヴリール「あなたの子供に産まれて、よかったって」

ガヴリール「幸せにしてくれて、ありがとうって」

ガヴリール「そう言うと、私は……思うんです」


赤ん坊「おぎゃあ……おぎゃぁ……」

ガヴリール「ほら、この子も……そう言っているみたいですよ」

天使の女性「……ふふっ、そうだと良いわね」


ぎゅぅ

ガヴリール「あっ……」

天使の女性「私のことを助けてくれて、ありがとう」

天使の女性「私とこの子に、出会ってくれて、本当にありがとう」ナデナデ

ガヴリール「……はい」


113: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:53:54.191 ID:MxUEQAQP0.net

パァァァッ


タプリス「なっ、先輩の体が光って!?」

ガヴリール「これは推測だけど……」

ガヴリール「私という存在が世界に二人、現れてしまった矛盾を解消しようとして」

ガヴリール「世界が私を、この世界から追い出そうとしてるんじゃ」

タプリス「そ、そんなことって、あるんですか!?」

ガヴリール「わ、わからない。テキトーに決まってるだろ」

ガヴリール「でもとりあえず、お前は私につかまっとけ」

タプリス「は、はい」


天使の女の子「お姉さん、どこかに行くんですか?」

ガヴリール「ああ、うん。ちょっと遠くにな」

天使の女の子「そうですか……寂しいです」

ガヴリール「姉さ……じゃなくて、ゼ、ゼルエルちゃん」

天使の女の子「なんですか?」

ガヴリール「君の妹はもしかしたら……」

ガヴリール「少しだけ手がかかったり、ちょっとだけ生意気だったり」

ガヴリール「呆れるようなことも、ちょっぴりだけあるかもしれないけど」

ガヴリール「どうか見捨てずに、面倒を見てくれると、お姉さんは嬉しい」

天使の女の子「えと……わ、わかりました」

ガヴリール「あと、ちょっとだけでいいから、優しくしてくれると助かる」

天使の女の子「は、はい」

タプリス「あははは……」


114: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:56:28.004 ID:MxUEQAQP0.net

天使の女性「よくわかりませんが……これで、お別れなんですね」

ガヴリール「は、はい……」

天使の女性「もっと、お顔をよく見せてくれませんか」

ガヴリール「……ごめんなさい、こんなひどい顔をしてて」

天使の女性「そんなことありません、とても可愛らしいですよ」

天使の女性「この子の将来が楽しみ」ニコッ


ガヴリール「……もっと、いろいろ、お話したかったです」

天使の女性「ええ、私も」

天使の女性「でも……、大丈夫よ」

ガヴリール「えっ」

天使の女性「私はいつだって、あなたの母親ですから」

ガヴリール「……ッ」


天使の女性「こんなこと、聞いて良いのかわからないけど」

天使の女性「あなたの世界にも……いるのよね?」

ガヴリール「は、はい」

天使の女性「あなたが今、母親と一緒に暮らしているのかは、わからないけど」

天使の女性「できることなら、会って、話をしてあげて?」

天使の女性「何でもいいの、内容なんて……」

天使の女性「絶対に、喜んでくれると思うから」ニコッ


ガヴリール「はい……わかりました」


115: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 21:59:17.749 ID:MxUEQAQP0.net

パァァァァッ


タプリス「ひ、光が激しくなっていきます……」

ガヴリール「時間、みたいだな」


天使の男性「ありがとう! お二人とも、本当にありがとう!」

天使の女の子「さようなら、お姉さんたち!」

タプリス「みなさん、さようなら! お元気で!」


ガヴリール「母さんっ!」

天使の女性「……ッ」

ガヴリール「これだけは、最後に言わせてほしい!」

ガヴリール「私のこと……」

ガヴリール「私のことを、産んでくれてっ! 本当にっ――」

天使の女性「しーっ。駄目よ、ガヴリール」

ガヴリール「えっ、か、母さん?」

天使の女性「その言葉は、あなたのお母さんに言ってあげなくちゃ」ニコッ

ガヴリール「あ……」

天使の女性「私はこの子から……直接聞ける日が来るのを、楽しみにしてるから」

ガヴリール「……うん、わかった」


パァァァァッ
 


『ガヴリール、あなたの未来に……、幸多からんことを』


――――――

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116: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 22:01:27.872 ID:MxUEQAQP0.net

-ガヴリールの家-


タプリス「ん……あれ? わたし、眠って……」

タプリス「ここは、天真先輩の部屋、ですよね」

タプリス「天真先輩は……っと、いたいた」

タプリス「先輩、先輩、起きてください」ユサユサ

ガヴリール「ん……、ふわぁぁ、よく寝た」


タプリス「なんかわたしたち、二人とも寝ちゃったみたいですね」

タプリス「時間は……、まだお昼すぎですか」

タプリス「って、そうだ! わたし、すごい夢を見たんですよ!」

ガヴリール「えっ?」

タプリス「なんとですね、天真先輩の産まれた日に戻って」

タプリス「赤ん坊の先輩を見てしまいました!」

ガヴリール「……」

タプリス「すごいですよね!?」

ガヴリール「……それ、私も見た」


タプリス「え?」


117: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 22:03:57.421 ID:MxUEQAQP0.net

タプリス「二人が全く同じ夢を見るなんて、あるのでしょうか……」

ガヴリール「ああ、やっぱり。ゲートが不具合でメンテナンス中だったみたいだな」

タプリス「メ、メンテナンス中ですか?」

ガヴリール「ああ。だから、何らかの要因で次元に歪みが生じて」

ガヴリール「過去に飛ばされてしまった。その可能性が一番高い」

タプリス「そ、そんなことって、あり得るんです?」

ガヴリール「まぁ、実際に起きたんだから、起きるんだろ」

タプリス「よく戻ってこれましたね、わたしたち……」


タプリス「それよりもメンテナンスが終わったんでしたら」

タプリス「今度こそ、天界へ帰りましょう!」


ガヴリール「ああ、ごめん」

タプリス「え、先輩まさか、やっぱりやめるだなんて……」

ガヴリール「いや違う、そうじゃなくて」

ガヴリール「もう少し後でもいいか? ちょっと用ができた」

タプリス「え、用ですか?」

ガヴリール「お前はここで待っててくれ」

タタタッ バタンッ


タプリス「あ、ちょっと、先輩! って、行っちゃった……」


118: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 22:06:50.789 ID:MxUEQAQP0.net

- 一時間後 ガヴリールの家 -


ガヴリール「ぜぇ……ぜぇ……」

タプリス「せ、先輩、おかえりなさい。随分とお疲れのようで……」

ガヴリール「くそっ、なんで近所の花屋にないんだよ」

ガヴリール「駅前の花屋まで走ったぞ……」

タプリス「えっ? 先輩、もしかして……」

ガヴリール「ああ、これを買ってた」

タプリス「それは、わたしと同じカーネーション、ですね」

ガヴリール「ムーンダスト、だっけ? 案外、マイナーなのな」

タプリス「それを買うんでしたら、わたしのを分けてあげても……」


ガヴリール「こういうのは……自分で買ったほうが良いだろ」

タプリス「先輩……そ、そうですね」

タプリス「それはたしかに、そうです。すみません」


ガヴリール「あと、少し待って。ちょっとだけ、身なり整える」

タプリス「あ、はい。そうだ、髪、お手伝いしますよ」

ガヴリール「ん、サンキュ」


――

ガヴリール「じゃあ、準備はいいか?」

タプリス「はい、大丈夫です!」

ガヴリール「ゲート、オープンッ!」


フィン フィン フィン


119: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 22:09:20.690 ID:MxUEQAQP0.net

-翌日 ガヴリールの家-


タプリス「天真先輩、お花どうでした? お母様に渡せました?」

ガヴリール「ああ、渡せたよ。たぶん、喜んでた、と思う」

タプリス「そうですかそうですかぁ」

ガヴリール「なんだよ」

タプリス「いいえ、なんでもありませーん」

ガヴリール「ったく、……まぁ、なんだ」

ガヴリール「……母さんが言ってたんだよ」

ガヴリール「私の顔を見ることができたのが、一番、嬉しかったって」

タプリス「それは……本当によかったです」


ガヴリール「だから、花なんて関係なかったんだ」

タプリス「もう! それ、ひどいです!」

ガヴリール「怒るなって。そうだ、これ。一輪、別に買ってたんだよ」

ガヴリール「お前にやる」

タプリス「わたしに、ですか?」


タプリス(最近の母の日は、母親だけじゃなくて)

タプリス(奥さんにもあげることが、多くなっていると、聞きますね)

タプリス(……いつも、先輩のお部屋を掃除してますから)

タプリス(もらってしまっても、良いですよね)


120: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 22:12:59.582 ID:MxUEQAQP0.net

ガヴリール「花言葉は、永遠の幸福、だろ?」

ガヴリール「このくらい持ってないと、お前、トントンにならないからな」

タプリス「それじゃわたしが、いつもアンラッキーみたいじゃないですか……」

ガヴリール「え、違うの?」

タプリス「うぅ、先輩の意地悪……」


ガヴリール「……でも、ありがとな、タプリス」

ガヴリール「私を誘ってくれて」

タプリス「えっ?」


ガヴリール「これからはもう少し、実家に帰ることにする」

タプリス「先輩……」

ガヴリール「……かわいい妹もいることだし、な」

タプリス「そうですね……それが良いと、わたしも思います」ニコッ




タプリス(そんなこんなで、わたしと天真先輩のドタバタ母の日は)

タプリス(こうして幕を下ろしました)


タプリス(そしてまた一つ、下界のことを好きになれたと思います)

タプリス(だってこんなにも、素敵な習慣があるのですから)


タプリス(ありがとうございます、母の日。そして……)


タプリス(ありがとう、お母さん)



おしまい


121: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 22:17:34.061 ID:pKBas82U0.net

感動した


122: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 22:23:09.928 ID:iw2LjvMD0.net

素晴らしかった


124: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/14(日) 22:30:57.429 ID:MxUEQAQP0.net

タプリスは時の雫



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