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ガヴリール「千咲ちゃん、霊長類最強女子に命を救われる」

1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:03:14.040 ID:N76dqjZG0.net

-街中-


タプリス「ふふっ、お目当てのものは買えましたか?」

サターニャ「ええ、バッチリよ」


タプリス「それにしても胡桃沢先輩が、あんな素敵な雑貨屋さんをご存知だなんて」

タプリス「少しだけ意外でした」

サターニャ「意外って何よ、失礼ね」

タプリス「ほ、褒めているんですってば!」

サターニャ「……わかってるわよ。あそこは、悪魔チックなアクセサリーとか」

サターニャ「たくさん置いてるからね。よく見に来るのよ」

タプリス「そういえば、天使を模したものも、たくさんありましたね」

タプリス「わたしも、お小遣いが残っていたら、買えたんですけど……」

サターニャ「無駄遣いのしすぎじゃないの?」

タプリス「うぅ、先輩に言われるとは思いませんでした……」



ビル工事作業員「うわっ! し、しまった!?」


ガキンッ ヒュゥゥゥン


サターニャ「まぁ……、また今度、行きま……って、あんた、上!!」

タプリス「え?」


サターニャ(鉄パイプがっ……ま、間に合わない!)


タプリス「ひっ!? た、助け――」


ドンッ ガシャァァァン


3: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:04:54.279 ID:N76dqjZG0.net

タプリス「……ッ」ガクガク

女性「危なかったわね」

女性「ごめんなさい、突然タックルしてしまって。大丈夫? 怪我はない?」

タプリス「あ……は、はい……大丈夫です」

タプリス「助けていただいて、ありがとうございます!」

女性「いえいえ」ニコッ


サターニャ「何よ今の……ぜんぜん見えなかったじゃない……」

サターニャ「あなた、いったい今、何をしたのよ!」

女性「何と言われましても……ただ、タックルをしただけですよ」

サターニャ「タ、タックルですって? ふ、ふざけないで!」

サターニャ「突然、あの子が目の前から消えたのよ!」

サターニャ「あんなスピード、普通出せるわけ……」

女性「でしたら、もう一度やってみましょうか?」

サターニャ「え?」


シュンッ ドンッ

サターニャ「なはっ!?」

ズサァァァァ

女性「これで、信じていただけました?」

サターニャ「な、なによこれ。気づいたら、体が飛んで……」

女性「ごめんなさいね。立てますか?」

サターニャ「え、ええ」


4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:06:23.386 ID:N76dqjZG0.net

タプリス「さおりさん、ですか。レスリングって、わたし、よくわかりませんけど」

タプリス「そのおかげで、あれだけのスピードが出せるんですね」

女性(以下さおり)「ええ、もちろん日々の練習は欠かせませんけどね」

サターニャ「……」

タプリス「胡桃沢先輩? どうしました?」

サターニャ「この人がいなかったら……」

タプリス「え?」

サターニャ「私だけだったら……あんたを助けられなかった……」

タプリス「せ、先輩?」


サターニャ「お願い、さおり! ……さん」

サターニャ「あのタックルを、私にも教えて!」

タプリス「先輩!? な、何を言って……」

さおり「……どうして、タックルを教わりたいの?」

サターニャ「私……強くなりたいの」

サターニャ「あなたには言えないけど、ある野望のために」

サターニャ「私は強くならなきゃいけないのよ!」

さおり「……」


サターニャ「さっき鉄パイプが落ちてきた時……」

サターニャ「頭ではわかってたのに、体が動いてくれなかった……」

サターニャ「正直、自分の弱さを実感したわ」


5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:07:55.636 ID:N76dqjZG0.net

サターニャ「でも、あのタックルさえあれば!」

サターニャ「そんな弱い自分を、乗り越えられるって思ったのよ!」

サターニャ「だから、お願い! 私にタックルを教えて!」

さおり「……あのタックルは、普通に努力しただけでは、会得することはできません」

さおり「それこそ、血の滲むような訓練の末に編み出されたもの」

さおり「あれを、習得するということは、つまり……」

さおり「死すらも覚悟しなければならない、ということです」


サターニャ「……ッ」

さおり「それでもあなたは、あのタックルを習得したいですか?」

サターニャ「……上等じゃない!」

サターニャ「そんなの乗り越えられないようじゃ、トップになんか辿り着けないわ!」

サターニャ「どんなにつらい訓練だって、やりきってみせるわよ!」

さおり「ふふっ、あなた、面白い方ですね」

さおり「なんだか、昔の自分を思い出しました」


さおり「良いでしょう。あなたに、あのタックルを伝授します」

サターニャ「ほんと!?」

さおり「ええ。その代わり、私のことはコーチと呼んでください」

サターニャ「わかったわ、コーチ!」

タプリス「あはは……胡桃沢先輩は、一度決めたら、曲げませんからね……」


6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:09:25.520 ID:N76dqjZG0.net

タプリス「ところで、さおりさんは、この街に何故いらっしゃったんですか?」

さおり「この街で二ヶ月後に開かれる大会の、会場の下見に来たのよ」

サターニャ「大会、ですって?」

さおり「ええ、あらゆる猛者たちが集う武道大会」

さおり「そのレスリングのシード枠に、私が選ばれてね」

タプリス「シード枠って……さおりさん、やっぱりすごい方なんですね……」

サターニャ「その大会って、私も出ることはできるのかしら」

タプリス「せ、先輩……二ヶ月後ですよ? さすがにそれは……」

さおり「一般参加枠なら、まだ募集してるはずよ」

サターニャ「じゃあ、私も参加するわ!」

サターニャ「そして大会でコーチと戦って、勝ってみせる!」

タプリス「いやいやいや……」


さおり「本当に面白い子ね。でも、目標があるのは良いことだわ」

さおり「その勝負、受けて立ちます。ただし私と当たるまで、あなたが勝ち残れたらね」

サターニャ「絶対に勝ち進んでみせるわよ!」

さおり「ふふっ、待っているわ」

さおり「……そうだ。せっかくだし、大会までの調整をこの街で行うことにしましょう」

さおり「それなら、あなたの相手もできるしね」

タプリス「それは胡桃沢先輩にとっては助かりますけど、良いんですか?」

さおり「ええ、会場の空気に慣れておきたいし」

サターニャ「それじゃあ、さっそく特訓よ!」

タプリス「はぁ……先輩が教わる側なんですからね?」


7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:10:57.996 ID:N76dqjZG0.net

-翌日早朝 舞天市郊外の山道-


タッタッタッ

サターニャ「ぜぇ……ぜぇ……」

さおり「こんなランニングでバテてるなんて、あなた、口だけだったの!?」

サターニャ「そんなことないわ、余裕よ余裕!」


タプリス「すごい……こんなアップダウンの激しい道をダッシュだなんて……」

さおり「瞬発力をつけるには、まず体の基礎を作らないとダメだからね」

さおり「といっても、胡桃ちゃんは元々、身体能力は高いみたいだし」

さおり「このくらいは、こなしてくれないと」

タプリス「あはは……わたしは見てるだけで、疲れてきそうですが……」

さおり「それにしても、千咲ちゃんは、胡桃ちゃんの学校の後輩なんだっけ?」

タプリス「は、はい、そうです」

さおり「別に練習にずっと付き合わなくても、良いと思うんだけど」

タプリス「それは、そうなんですが……」

タプリス「なんというかこう、放っておけないといいますか」

タプリス「そばで見ていたいといいますか……」

さおり「見ていたい、ね」

タプリス「ええ、胡桃沢先輩って、いつも滅茶苦茶なことばかり言ってるんですけど」

タプリス「でも最後には、それを成し遂げちゃう力があって」

タプリス「魅せられちゃうんですよね、なぜか」

さおり「なるほどね、オーラ、みたいなものなのかしら」

タプリス「そんな大層なものではないと思うんですけど……」


8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:12:25.594 ID:N76dqjZG0.net

タプリス「ですから、わたしにできることがあれば」

タプリス「いつでも言ってください! お手伝いします!」

さおり「ふふっ、わかったわ。千咲ちゃんは、先輩思いの良い子ね」

タプリス「そ、そんなことは……」


サターニャ「はぁ……はぁ……、言われた回数、終わったわよ……」

さおり「遅い! もう3セット追加!」

サターニャ「はぁ!? 嘘でしょ!?」

さおり「ほら、さっさといく!」

サターニャ「……ま、負けないんだからぁ」

タッタッタッ


さおり「千咲ちゃんがさっき言ったこと、少しわかる気がする」

タプリス「えっ?」

さおり「あの子って、何かを持っている、そんな感じがするのよね」

さおり「ふふっ、かわいい顔をして。これから、しごき甲斐があるわ……」

タプリス「あはは……」


サターニャ「ぜぇ……ぜぇ……」



-数日後 舞天市郊外の山-


さおり「今日から、体幹を鍛えるトレーニングを追加するわ」

サターニャ「体幹?」

さおり「体幹とは体の中心、基礎となる部分のことよ」

さおり「すべての動作に影響してくるから、重要なトレーニングの一つね」

タプリス「具体的にはどのようなことをするんですか?」


9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:13:55.388 ID:N76dqjZG0.net

タプリス「せ、先輩、重くないですか?」

サターニャ「重いに決まってるでしょ」

タプリス「ひ、ひどい……そこまで重くはないと思うんですけど」

サターニャ「自分と同じくらいの背負ったら、誰だって重いって思うわよ」


さおり「ほら、無駄口叩かない!」

さおり「そのまま、千咲ちゃんをおぶって、山道の登り降りよ!」

サターニャ「え!? このままずっと!?」

さおり「もちろん。人の重さっていうのは、うまくバラけているから」

さおり「普通の重りを使うよりも、効果的なのよ」

タプリス「す、すみません、先輩……」

サターニャ「別にあんたが謝る必要ない。それより……」

タプリス「え?」

サターニャ「練習付き合ってくれるのは、感謝してるわ」

タプリス「え、えと……お気になさらず、です……」


タッタッタッ

サターニャ「はぁ……はぁっ……」

タプリス(結構、揺れが激しいですし……わたしも、振り落とされないよう)

タプリス(力を込めるので、疲れてきました……)


10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:15:25.239 ID:N76dqjZG0.net

タプリス(でも、なんですかね……)

ピトッ

タプリス(先輩の背中……すごく熱いですけど、安心できるといいますか)

タプリス(それに、この匂い……なんだか、好きかもしれません)

タプリス(先輩が頑張っているのに、何を考えてるんでしょう、わたしは……)


ぎゅぅぅ

サターニャ「ぐえええっ!!」

タプリス「えっ?」

サターニャ「首締めるんじゃないわよ! 殺す気なの!?」

タプリス「ご、ごめんなさい~!」

サターニャ「ったく……、まだ重いって言ったの気にしてるの?」

タプリス「え? そんなことは……」

サターニャ「あんたは、なんか体が柔らかいから」

サターニャ「おんぶしてても、そんなに痛くないし、悪い気はしないわ」

タプリス「そ、そうですか……」

サターニャ「と、とにかく、まだまだいくわよ!」

サターニャ「舌噛まないように注意してなさい!!」

タプリス「は、はい!」


さおり「ふふっ、まぁこういうのも、悪くはないわね」

さおり「千咲ちゃん、彼女の原動力になってくれれば良いのだけど」


11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:16:54.078 ID:N76dqjZG0.net

タプリス(こうして、さおりさんの地獄のような特訓メニューの数々を)

タプリス(胡桃沢先輩は、ヘトヘトになりながら、こなしていきます)

タプリス(わたしや、事情を知った他の先輩たちも、フォローをしつつ)

タプリス(時には弱音を吐く胡桃沢先輩を励ましながら)

タプリス(つらい日々を乗り越えていきました)


タプリス(その努力の甲斐もあり、ついに胡桃沢先輩は)

タプリス(さおりさんの必殺技である、ノーモーションタックルを)

タプリス(会得することができたのです)

タプリス(ここまで短い期間での習得は、本当にすごいことらしく)

タプリス(教えていたさおりさんも驚いていました)


タプリス(それからは、さおりさんと二人で練習試合をする日々が続き)

タプリス(あっという間に時は流れ……)

タプリス(武道大会当日の朝を迎えました)



-武道大会 会場-


サターニャ「ついに、この時が来たわね……」

さおり「よく耐え抜いたわね、私の特訓に」

サターニャ「ありがとう、コーチ」

サターニャ「私の力が、この大会でどれだけ通用するかはわからないけど」

サターニャ「絶対にコーチと戦うまで、勝ち進んでみせるわ!」

さおり「ええ、待ってる」ニコッ


12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:17:51.843 ID:N76dqjZG0.net

-武道大会 会場 観客席-


ガヴリール「それで、大会ってトーナメント方式なのか?」

タプリス「えっと……先ほど抽選が終わったんですけど」

タプリス「全部でABCDの4つのブロックに分かれてのトーナメント方式で」

タプリス「各ブロックの一位が、準決勝で戦うみたいです」

タプリス「胡桃沢先輩がBブロックで、さおりさんが……」

タプリス「Aブロックなので、直接対決は準決勝ですね」

ヴィーネ「サターニャが、そこまで勝ち進んだら、よね……」

タプリス「ええ、そうです……」

ラフィエル「さおりさんはシードですし、優勝候補の一人と言われていますから」

ラフィエル「準決勝までは確実に勝ち上がるでしょうね」

タプリス「はい、おそらく……」


ガヴリール「ルールって、相手を場外に出すか、ダウンさせるか」

ガヴリール「参ったって言わせるか、だっけ?」

タプリス「はい、そうです」

ヴィーネ「だとすると、レスリングって結構有利なのかしらね」

ガヴリール「どうだろな。相手がそこまで近づけさせてくれるか、次第じゃないか?」


タプリス「あっ! 胡桃沢先輩の一回戦、始まるみたいです!」


13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:20:02.321 ID:N76dqjZG0.net

司会者「Bブロック、第一試合、始めっ!」


カーンッ

女レスラー「ふんっ、こんなひょろひょろの小娘が相手だなんて」

女レスラー「ナメられたものだわ!」

サターニャ「……」


ガヴリール「おい、サターニャのやつ、微動だにしないぞ」

ヴィーネ「緊張しているのかしら」

タプリス「いえ、違います。これは……」


女レスラー「瞬殺! 滅殺!」ダッ

サターニャ「……ッ」

シュンッ

女レスラー「え? 消え――」

ドゴォォォォッ

女レスラー「ぐわぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」


ガヴリール「なっ!?」

ヴィーネ「相手が勝手に場外に吹っ飛んでいったわ!」

ラフィエル「な、なにが起きて……」


14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:22:02.734 ID:N76dqjZG0.net

タプリス「勝手に、ではありません」

ヴィーネ「えっ?」

タプリス「あれが、胡桃沢先輩が会得した……ノーモーションタックルです」

ガヴリール「ノーモーション、タックルだって?」

タプリス「ええ。あれは、事前動作が一切ない、超高速タックル」

タプリス「予測不能、回避不可、高威力、の三拍子そろった必殺技です」

ガヴリール「なんだよそれ……最強じゃんか」

ラフィエル「それが、さおりさんの強さの秘訣なんですね……」

タプリス「もちろん、それを繰り出すためには、相応の体作りが必要です」

タプリス「この二ヶ月の半分以上を、胡桃沢先輩は、それに費やしてきました」

ヴィーネ「でも、たった二ヶ月で、そんな……」

タプリス「さおりさんも驚いていました。この短期間で、ここまでの成長を遂げた」

タプリス「胡桃沢先輩の才能に……」

ガヴリール「体力馬鹿もここまで極まると、清々しいな……」


カンカンカーンッ

女レスラー「」

司会者「勝者! 胡桃沢!」

サターニャ「……ふっ、当然!」


さおり「ふふっ、これは……ひょっとする、かもしれないわね」


15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:24:04.716 ID:N76dqjZG0.net

タプリス(一回戦を見事に勝利した胡桃沢先輩は)

タプリス(その後も、ノーモーションタックルを武器に、快進撃を続けます)

タプリス(さおりさんの方も、圧倒的な試合内容で白星を重ねていき……)

タプリス(ついにお二人は、準決勝で激突することとなりました)



-武道大会 準決勝-


サターニャ「……勝ち進んできたわよ」

さおり「……そうね」

サターニャ「私の全てを賭けて、あんたを倒してみせるわ、コーチ!」

さおり「ふふっ、私も燃えてきたわ」

サターニャ「……」

さおり「胡桃ちゃんのような子を見るとね、すぐに倒したくなるのよ」

さおり「なんでこんな、カワイイ子が同じ舞台にいるんだ、ってね」ギロッ

サターニャ「……」ゾクッ

サターニャ(こ、これが、コーチの本気……まるで獲物を狙う猛獣のようね)

サターニャ(だけど私だって……絶対、負けないわ!)


司会者「それでは準決勝、一試合目! 始めっ!」


カーンッ


サターニャ「……」ジリッ

さおり「……」ジリッ


16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:26:06.761 ID:N76dqjZG0.net

サターニャ(コーチは絶対に、初手でタックルを撃ってくる)

サターニャ(ノーモーションタックルは……)

サターニャ(予測不能、回避不可、高威力の必殺技。どうせ、当たるのなら……)

サターニャ(カウンター、それしかない!)


さおり「……ッ」


シュンッ

サターニャ(来たッ!)


ガシッ

サターニャ(よし、掴んだッ! このまま――)

さおり「……」ニヤッ


グィィィィッ

サターニャ「あがっ!?」

サターニャ(ガ、ガードごと、押し込まれるッ!?)

さおり「せいやっ!!」


ドゴッ ズサァァァァ

サターニャ「ぐぅぅぅぅぅぅっ!!!」


司会者「おおっと! 胡桃沢選手、吹っ飛ばされた!」


タプリス「せ、先輩!!」


グッ

サターニャ「うぐっ……はぁ、はぁ……」


司会者「これは……、胡桃沢選手! 足一つ分、手前で持ちこたえました!」


17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:28:05.331 ID:N76dqjZG0.net

さおり「……これを耐え抜いた人は、片手で数えられるくらいしかいないわ」

サターニャ「ぜぇ……ぜぇ……そ、それは……どうも」

さおり「カウンター、いい判断ね。だけど……」

さおり「私に挑んでくる人は皆、このタックルを熱心に研究して対策をしてくるのよ」

さおり「でも私は、そんな人たちを全員……、このタックルで倒してきた」ギロッ

サターニャ「……ッ」

サターニャ(圧倒的な場数の違い……それに、コーチのタックルは)

サターニャ(予測不能、回避不可、高威力、に加えて、ガードも崩される……)

サターニャ(差し詰め……ノーモーションタックル・破、ってところかしら)

サターニャ(これが、私とコーチの実力の差、だというの……)


タプリス「胡桃沢先輩! 諦めちゃダメです!」

サターニャ「タプリス……」

タプリス「わたしとの練習を思い出してください!!」

タプリス「先輩には先輩の良さがあるってこと! わたしは知ってますから!」

サターニャ「……ッ」

タプリス「誰よりも先輩が頑張ってきたこと、知ってますから!」

サターニャ「……そうね、思い出したわ!」

サターニャ「見てなさい! この、サタニキア様の真の実力を!」

タプリス「はいっ!」


さおり「……次の一撃で、終わりにしてあげる」

サターニャ(私が唯一、コーチに勝っている点、それはッ!)

サターニャ「いくわよ!」


18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:30:01.216 ID:N76dqjZG0.net

シュンッ ドゴッ


さおり「ぐっ!?」

シュンッ ドゴッ

さおり「……み、見えないタックルがッ」

シュンッ ドゴッ

さおり「あらゆる方向から、当たってッ!?」



タプリス「胡桃沢先輩がさおりさんに唯一、勝っている点、それは……スピード」

タプリス「ノーモーションタックルで相手に接触後、体をひねって反転飛びし」

タプリス「逆方向から再度、ノーモーションでタックルを繰り出し続ける」

タプリス「その名も、ノーモーションタックル・舞、です!」

ヴィーネ「速すぎてよく見えないわ……」

タプリス「先輩のスピードと体のしなやかさがあってこそ、可能にした」

タプリス「……先輩オリジナルの必殺技なんです」

ガヴリール「でも、普通の人なら一発で吹っ飛ぶようなタックルなんだろ?」

ガヴリール「それを何度も食らってるのに、なんで、あの人は吹っ飛ばないんだよ」

タプリス「それは……、さおりさんの桁違いの体幹力に他なりません……」

ラフィエル「しかし、そのダメージはボディブローのようにジワジワと」

ラフィエル「さおりさんの体力を奪っている。そうですね? タプちゃん」

タプリス「ええ、そのはず、です……」


20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:32:01.966 ID:N76dqjZG0.net

シュンッ ドゴッ


さおり「ぐッ!」

サターニャ(効いてる! あのコーチを追いつめているわ!)

サターニャ(この調子で、一気に――)

さおり「いい動きです、しかし……」

サターニャ「……ッ」


さおり「一撃が、軽いッ!!」


ブンッ ドガッ

サターニャ「かはっ!!」


ズサァァァッ


タプリス「なっ!? ど、どうして先輩の位置が……」


サターニャ「……」

さおり「あなたの動きは、単調すぎるのです」


タプリス「ま、まさか……動きを見るために、ワザと食らっていた……んですか?」

タプリス「そんな……そんなのって……」


さおり「もう少し打撃に重みがあったら、私を追いつめることができた」

さおり「……かもしれませんね」


サターニャ「……」フラッ

さおり「おや、まだ立ちあがる力が残っていますか」


21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:34:11.747 ID:N76dqjZG0.net

タプリス「先輩、もういいです! 先輩は、死力を尽くしました!」

タプリス「だからもう……立たなくていいんです!」


サターニャ「……負けない」

さおり「えっ」

サターニャ「私は、絶対に負けられない……」

さおり「あなたをそこまで突き動かすのは、一体何なんです」

サターニャ「強すぎるあんたには、わからないでしょうね」

さおり「……」

サターニャ「目の前にいた後輩を守れなかった、私の気持ちなんて!」


タプリス「……ッ」


サターニャ「私は誓ったのよ、誰よりも強くなるって」

サターニャ「誰かを守れる強さを手に入れるって、決めたのよ!!」


タプリス「先輩……」


サターニャ「……諦めない限り、私は負けない。負けないんだから!」

さおり「……そう、わかったわ」


さおり「それじゃあ……」

さおり「私の全力タックルで、あなたを叩き潰してあげるッ!」

サターニャ「望むところッ!! 私の本気タックルを見せてやるわッ!!」


22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:35:59.683 ID:N76dqjZG0.net

さおり「……」ジリッ

サターニャ「……」ジリッ


タプリス「……お願いっ」ギュッ


さおり「……ッ」ダッ

サターニャ「……ッ」ダッ


シュンッ ガッ

ドゴォォォォォッ


サターニャ「……」

さおり「……」



サターニャ(これが……背負っているモノの、ちが、い――)

サターニャ「……ごふっ」


バタンッ


カンカンカーンッ


司会者「胡桃沢選手、ダウン! 勝者、さおり選手!」


ワァァァァァ パチパチパチパチッ


タプリス「先輩っ!」ダッ

ガヴリール「おい、タプリス! 危ないぞ!」


タッタッタッ

タプリス「先輩! 胡桃沢先輩! しっかりしてください!」


23: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:38:10.242 ID:N76dqjZG0.net

サターニャ「……ごめん、負けた」

タプリス「いいんです、そんなの……ぐすっ、いいんですってば……」


ぎゅぅぅ

サターニャ「……ちょっと、痛いって」

タプリス「先輩は、格好良かったんですっ……そして、本当に強かったんですっ」

タプリス「わたしにとって先輩は、一番なんですからっ」

サターニャ「……泣くんじゃないわよ、バカ」

タプリス「だって……だってぇ……」

サターニャ「……次は必ず、守ってあげるわ」

タプリス「ぐすっ……はい……はいっ……」


さおり「胡桃ちゃん、ナイスファイト」

サターニャ「コーチ……、試合、ありがとうございました」

さおり「やっぱりあなた、面白い子だわ」

さおり「私と同じだけ練習をしていたら、危なかったかもしれない」ニコッ

サターニャ「ほんとはそんなこと思ってないくせに……よく言うわね」

さおり「ふふっ、バレた?」

サターニャ「ねえ、コーチ」

さおり「何かしら」

サターニャ「自分を将来、負かせてしまう弟子、いらない?」

さおり「そんな人はいないと思うけど、そうね……考えておきましょうか」

サターニャ「次は絶対に、負けないんだから」ニコッ

さおり「ええ、その時も、受けて立つわ」ニコッ


24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:40:06.885 ID:N76dqjZG0.net

ラフィエル「お疲れ様です、サターニャさん。いい試合でしたよ」

サターニャ「何、あんたたちもいたの」

ヴィーネ「まさかサターニャが準決勝まで勝ち上がるとは思わなかったわ」

ガヴリール「ああ、さすが運動馬鹿だな」

サターニャ「馬鹿って何よ! このアホ天使!」

ガヴリール「あ? なんだって!?」

タプリス「もうやめてください、胡桃沢先輩。ケンカなんてダメですよ」

サターニャ「……わかったわよ」

ヴィーネ「あのサターニャが、タプちゃんの言うことは聞くのね……」

ラフィエル「あらあら、うふふ」


タプリス「ありがとうございます、胡桃沢先輩」ニコッ

サターニャ「ふ、ふんっ。と、ところで、コーチの次の相手は誰なのかしら」

ガヴリール「ああ、決勝か? さっき準決勝の、もう一試合が終わったみたいだけど」

ヴィーネ「随分早く終わったのね。でもどうせ決勝は、さおりさんの圧勝じゃないの?」

タプリス「あ、始まるみたいですよ!」


司会者「それでは、決勝戦の始まりです!!」

司会者「両者、前へ!!」


さおり「……」スタスタ

ゼルエル「……」スタスタ


ガヴリール「はぁっ!? あれ、ゼルエル姉さんじゃないか!!」


25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:41:59.156 ID:N76dqjZG0.net

ゼルエル「おお、ガヴリール。お前も来ていたのか」

ガヴリール「ど、どうして姉さんが、試合に?」

ゼルエル「ん? そんなの決まってるだろう」

ガヴリール「え?」

ゼルエル「これは、天界一武道会、なのだから」

ガヴリール「は? 天界一?」

ゼルエル「まさに、私のためにあるような大会! これに出ずして何とする!」

タプリス「で、でも、さおりさんは人間じゃ……」

さおり「ああ、私は人間枠の中にある、レスリング枠から出ているんです」

タプリス「じゃあ今までの相手の中には、天使が混ざってたってことですか……」

ヴィーネ「それを勝ち進んだ、さおりさんとサターニャっていったい……」

ラフィエル「悪魔であるサターニャさんが、出場できたのも驚きですね……」



さおり「あなたは……、ふふっ、相手にとって不足はありませんね」

ゼルエル「ふっ、私も久しぶりに、本気を出せそうだ」


司会者「それでは、試合開始!」


シュンッ


ガヴリール「え? 二人が消えた?」

サターニャ「上よ!」


26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:44:54.936 ID:N76dqjZG0.net

シュンッ バシッ シュンッ バシッ

シュバババババッ


ヴィーネ「な、なにこれ……」

タプリス「何も見えません……」

サターニャ「二人が、空中を高速移動しながら、殴り合っているわ……」

ガヴリール「これ、球を集める漫画で見たことあるぞ……」

ラフィエル「もうレスリングってレベルじゃないですね……」

サターニャ「私との勝負なんて、茶番だったんじゃない!」


ゼルエル「やぁぁぁぁぁっ!!」

さおり「はぁぁぁぁっっ!!」


ズドンッ

シュタッ


タプリス「あ、下に戻ってきました!」


ゼルエル「……すごいな。君は、本当に人間か?」

さおり「ふっ、そういうあなたこそ、ただの天使だとは思えない」


ゼルエル「力を温存していても、埒が明かないな」

ゼルエル「一気に決めさせてもらうぞ!」

さおり「その言葉、そっくりそのまま、お返しします!」


27: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:46:05.162 ID:N76dqjZG0.net

二人「はぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」


ピシッ ピシピシッ


サターニャ「く、空気が、震えてる……」

タプリス「な、何が起きてるんですか!?」


ゼルエル「いくぞ!!」

ゼルエル「エ、ン、ジェ、ルゥゥゥゥ、波ぁぁぁぁぁぁっ!!!」


バシュゥゥゥゥゥッ


さおり「チャージ完了!!」

さおり「ア、ル、ソォォォォ、ビィィィィィィィィィムッ!!!」


ギュィィィィィンッ



サターニャ「うおっ――」


カッ


ガヴリール「まぶしっ――」



ドゴォォォォォォォォォォォン


28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 21:48:15.128 ID:N76dqjZG0.net

シュゥゥゥゥ


みんな「」


ゼルエル「これでも、無傷……か」

さおり「……あなたもね」


タプリス「……ハッ! い、いったい、なにが……」


ゼルエル「言っておくが、私はあと二回、変身を残している……」

さおり「私も見せましょうか。100%中の100%を……」


ゴゴゴゴゴゴゴッ


タプリス「あわ……あわわわわ……」



ゼルエル「いざ尋常に!!」

さおり「勝負!!」



タプリス「誰かあの二人を……止めてくださぁぁぁぁぁぁいっ!!」




おしまい


30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 22:15:12.538 ID:N76dqjZG0.net

タプリスはビリビリクラッシュメン


29: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 22:01:55.512 ID:KRExvjDmp.net

一日一回感謝の乙


32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/05/24(水) 22:28:15.474 ID:0zkNNpDO0.net

おつおつ
サターニャちゃんは強い子



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