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やすな「キルキルキルキルキルミーベイベー」

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 21:30:00.91 ID:SMi9YnrHP

桜の樹も緑に染まって 欠伸が出そうな季節の昼休み

「ソーニャちゃん、ソーニャちゃん!」

隣のバカは今日もはしゃいで話しかけてくる

毎日毎日 来る日も来る日も

緩い脳味噌湯煎で溶かしてバレンタインのチョコレートにでもしたんじゃないかって

疑いたくなるくらいに

しょうもない話題を引っ提げて

「私 警察官になろうと思う!」

どうせ昨日見たテレビの影響だろう

何をしようと勝手だが 付き合わされる身にもなってほしい


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 21:31:42.55 ID:SMi9YnrHP

「ムリだろ」

「酷いなぁソーニャちゃん。私は本気だよ?」

「お前じゃまず試験に受からんし、万が一受かっても 犯人は捕まらんだろうな」

「私がまずソーニャちゃんを捕まえて 更生させてあげるんだから!」

しかし まぁ

手錠のオモチャで遊んだり

モデルガンを振り回したり

海苔巻きを警棒に見立ててエラそうにするやすなを見てると

どうにも憎めないというか なんというか・・・・


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 21:34:40.82 ID:SMi9YnrHP

と 

窓から見えるアゲハ蝶も欠伸のし過ぎで口吻引き千切れそうな平和な日常にうつつを抜かしていたら


ひゅっ


と よく知る音 よく聞く音

そうだ 刃物が飛来する音だ

「ん・・・?」

開いた窓から

ハエが止まったまま老衰しそうな程遅く飛んできた安物クナイを指二つでひょいと止める


「ふぇ!? な、なに ソレ」

「・・・刺客だろうな」

「う、うぇ~!!?」


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 21:36:32.07 ID:SMi9YnrHP

やすなは馬鹿みたいに驚いて見せた 

が 今更珍しくもないし なにより 大した使い手じゃないだろう

焦るほどのもんじゃあないと 私がクナイを捨てると


ああしまったと思った


「あのさ」

「・・・ソーニャちゃん、まだ、殺し屋続けるの・・・?」


やすなが「あの話題」を切り出した

はぁ またか 

スイッチが入ってしまった

でもまぁ 


こうなるか


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 21:39:32.09 ID:SMi9YnrHP

「殺し屋なんてしてると 今みたいにアブない目にも合うし 一杯迷惑かけちゃうし・・」

「私はこれで生活してるんだ。お前には関係ない」

「でもでも やすなちゃんがキズ付いたら私 心配だし・・・ それに・・・・」


やれやれ 毎度この話題になると コイツは中々折れなくなる

さてどうしたものかと 思った瞬間



来る 速い


二発目のクナイだ


これはマズいな


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 21:43:37.11 ID:SMi9YnrHP

「チッ」

ぱしっ 

今度は真面目にキャッチすると 少し背筋が冷えた

クナイの速さじゃあない 相手が本気を出したであろうことでもない

狙いが

やすなの頭部だった

「・・・・・そ、ソーニャちゃん  ソレ・・・・」

怖がるでも震えるでもなく やすなは真顔で私を見た

「む そうだな。お前も私の仲間だからって 狙われたのかもな」


ちょっとー!なんで私までソーニャちゃんの巻き添えにならなきゃいけないのサイアク!!!

と いつもみたくふざけながら騒ぐと思ったら


「冗談じゃないよッ!!なんで 私や ソーニャちゃん みんな危なくなるってわかっていながら!!」

「なんで なんで殺し屋やめてくれないの!?」


真面目に怒られた ぐぬぬ


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 21:48:36.38 ID:SMi9YnrHP

「う・・うるさいな!私がそういう人間なんだから お前は私から離れればいいだけだ・・」

「私が 離れる・・・」

「そうだ。こんな危険な人間に付き合う必要なんてないんだよ お前は」

「ソーニャちゃんもいつか死んじゃうかもしれないんだよ?私、ソーニャちゃんが死んじゃったら悲しいよ?」

「・・・それは そうなのかもしれんが・・ 私も仕事で・・・」


くそう 本気で涙目のコイツを見ると

どうしても弱いな・・・


「じゃあ」

「仕事と私どっちが大事なの!?」


なんか 倦怠期の奥さんのような台詞を吐かれた


13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 21:52:12.96 ID:SMi9YnrHP

落ちつけ 私 どうにかして ここは穏便に済ませてやろう

私だって 正直な話 コイツが嫌いなわけじゃ・・・


「いいか、私はそう簡単にやられたりしない。大丈夫だ」

「でも 私と距離置くんでしょ」

「うぅ・・ん とだな。まぁ な」

「は?」

「し、仕方ないだろ!別にないがしろにしてるわけじゃなくてだな・・・」


東京砂漠で残業地獄の砂地獄に食われた食えない亭主の如き哀しい虚しい言い訳は


三発目のクナイで打ち切られた


「くそっ!?」


16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 21:56:00.67 ID:SMi9YnrHP

またやすな狙いだ

危機一髪 またも鋭いクナイ投げだ

おまけに 四発目五発目も御来場ときた

「ソーニャちゃん・・・」


「やすな!!こっちに来い!」

半ば強引に身体を引き寄せると やすなの席に穴が開く

冗談じゃない このままいたらただの的だ


「死にたくなければ走れ!」

場所を変えよう それで済めばいいのだが・・・


「・・・・」

手を引かれるがままの

やすなの顔は見えなかった


17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 21:57:29.52 ID:SMi9YnrHP

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


すこん すこん

飛んでくる風魔手裏剣を余裕持ってかわしながらやすなの手を引き空き教室へ

とりあえずあぎりと話をしよう

あまり頼りたくはないのだが やむをえまい

「あぎり、いるか!」

ぜぇぜぇ疲弊してるやすなを横目に 軽く叫ぶと 


「お困りですかぁ~」


天井からお化け屋敷のこんにゃくみたく呉識あぎりが垂れてきた

不気味な奴だ

「あぎりさ~ん!」

そんな忍術という名のパフォーマンスに やすなは喜んでいるが・・・


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:02:07.04 ID:SMi9YnrHP

・・・・


「つまり、ソーニャじゃなくてやすなさんが狙われてるんですねぇ」

「・・まぁ、それでも一番の狙いは私だろう。離れた方がいいから、少しかくまっててくれ」

「離れ離れですねぇ」

「は?」


「やすなさんと離れると 寂しくありませんか?」

「どうなのソーニャちゃん?ん?ん?」


さっきの気迫はどこにやら またウザいやすなが復活していた


「うるさい。私は刺客を始末してくる」


確かに少しはやるようだが 私が本気になればどうとでもなる相手だろう

パパっと片付けて 今日はさっさと帰ってねるか


空き教室の窓枠を蹴って 刺客探しに出発だ


21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:07:50.87 ID:SMi9YnrHP

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

夕方

カビ生えた工具箱の錆びたカッターナイフで脳髄切り裂いたように真っ赤な夕焼けは

結局刺客に逃げられた私を晒し上げるように照らしてくれた

くそう 

やはりタダものじゃあない

私が攻めに転じるのを察知したのか きっぱりと逃げに徹したようだ

まったく見つからん

どうにも気に入らん性質だが・・・

やや乱暴に空き教室のドアを開くと


あぎりがニコニコとあの貼り付けたような胡散臭い笑顔で出迎えてくれた


腕で 震えるやすなを庇うように覆いながら

ついでに頭から出血しながら


おいおい


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:11:29.61 ID:SMi9YnrHP

「くそっ こっちにも来てたのか・・・」

「と いうより」

「終始 やすなさんしか狙ってませんでしたねぇ」

「っ! 嫌な奴だな・・」


私から逃げるついでに やすなを始末しようとしたのか

ホント 何時の間に ってやつだ


「私もめずらしく頑張っちゃいましたけどぉ、ちょっと 強かったですねぇ」

「そうだな・・お前がケガするなんて久々だ」

「ソーニャ、私思ったんですけど」



「これ、多分やすなさんに暗殺依頼が出てますよぉ?」

「・・・いや、巻き込まれただけだろ」

確かに私と近しいかも知れんが わざわざ一般人のやすなに暗殺以来なんて・・・


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:15:15.45 ID:SMi9YnrHP

「でもぉ、ソーニャはあうと おぶ がんちゅー というか」

「明らかにやすなさんだけを狙う動きなんですよねぇ」

out of 眼中だと・・・

ともかく

やすなの家族がどこぞの重役だとか 何か秘密を握ってるとか

そんなことは無い筈だ

依頼があるとすれば やはり私関連か・・・




「ほら やすなさん本気で狙われたから こんなに怯えちゃって」

茶色の髪が揺れている

そうだ 私のおふざけとは違う 本気の殺意だ

怖かったろう


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:19:18.63 ID:SMi9YnrHP

「・・・・」

あぎりの腕の中で震えるやすなの顔はまたしても見えなかったが

言いたいことは伝わってくる


私が殺し屋なんかしてるから こうなるんだ ってな


そう・・・なのかもしれない けど

勘弁してくれよ・・・


まぁともかく

しばらくやすなは 外出禁止

コンビニ行くだけで惨殺死体が作られかねない

あぎりの忍者屋敷で大人しくさせるしかないだろう

私はその間に 刺客を追い払う

勿論あわよくば



殺す


27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:23:05.63 ID:SMi9YnrHP

―――――――――――――――――――――――――――――――――――



あれから 一週間

一週間だ

一週間経っても刺客は尻尾の先の毛の細胞の核の染色体の欠片さえも見せやしない

その間だって何時の間にやらあぎりの忍者屋敷はクナイと手裏剣でキズを増やしてるし

私のイライラも壁の穴の数と比例するように増えていった

どういうことだ 私の想像以上の使い手だったか

このまま防戦一方じゃ もっと数を呼ばれて面倒なことにもなるだろう

冗談じゃない

やられっぱなしでたまるものか


30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:27:37.47 ID:SMi9YnrHP

「ソーニャ、どうです?」

「どうって、このまま探し続けるしか・・・いや、埒が明かないか・・」

「妙に嗅覚がいいから 待ち伏せも効きやしない」


「私が聞いてるのはぁ、やすなさんのことですよ?」


やすなときたら あれからロクに私と話そうともしない

あぎりとはちょこちょこ会話はしてるようだが どうだろうか

やはり 私への恨み事でも呟いてるのか



「そりゃあ 悪いことしたよ・・・」

「でも、今はそれよりも さっさと敵を倒さないと・・・」


「何か案でもありますかねぇ」

「一応 一つ思いついたのが・・・あるにはある・・」


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:29:43.00 ID:SMi9YnrHP

私が提案したのは 囮作戦だ


あぎりがやすなに変装して 現れた刺客を私が殺す

シンプルだし 非常に簡単に見えるんだが

屋敷にやすなが一人になってしまう 変装がバレたら面倒なことにもなる

ので 出し渋っていたものだ

だが

今後イタチごっこをつづけるわけにもいかんだろう




あぎりは少し悩んだ末に OKを出してくれた

決行は夕方

うまくいくといいが・・・


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:34:36.31 ID:SMi9YnrHP

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

留まったハエが二等分されるほど研ぎ澄まされた日本刀で脳髄三枚おろしにしたみたく

真っ赤で真っ赤で真っ赤な空は 今から二分後ヘモグロビンで4倍真っ赤に染まる予定

穴空き過ぎて蓮の花もドン引きドーナツ屋の店員商品化間違いなしで歓喜するくらい

体中弾痕だらけにしてやろう


舞台は平々凡々な住宅街 こんな開けた場所ならすぐに嗅ぎつけるだろう

相手が何処から現れても すぐ反応できるよう樹上から観察する


道のド真ん中で

漫画のガキ大将がするように口尖がらせてわざとらしい口笛吹きながら変装やすなが道を行く

狙われてると知りながらこれは ちょっと不自然過ぎるような気もするが・・・



普段のやすなを想像したらこれくらいが自然だとすぐに気付いた

うむ


36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:39:58.83 ID:SMi9YnrHP

ならそれでいいぞあぎり まさにカモだ

これなら誰だって後方からクナイ投げて狙うだろう 

と思った

瞬間の矢先の案の定飛んできたクナイを

プロボクサーよりも身体捻らせて避けるついでに反撃のクナイぶん投げるあぎりの視線の先にいる

ドンキホーテで500円くらいで売ってそうな安っぽい忍者マスク被った刺客野郎に私は全力全開ナイフを投げる

良い速度が出ていたが しゅっ と 針金に綿巻いただけの安物アクションフィギュアみたく腰逆折りして

避けて見せる刺客の動きに合わせて二発目のナイフを投げて見せるもこちらも不発

回転しながらスタっと着地すると同時に屋根の上に飛び乗るそいつに隙はない

気持ち悪いほどに機敏な動きだ 飛び道具だけでは厳しいか


というか いきなりお出ましだ 観察するより先に身体が動いた

忍者 思ったよりも小柄だが

暗殺者を体格で判断するのは早計だ

なるほど こいつか

顔は見えないが きっと憎たらしい顔をしてるんだろう


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:44:08.07 ID:SMi9YnrHP

はぐれメタルの如く逃げ出す刺客をあぎりと二人で追いかける

音も無く 住宅の屋根から屋根へ 跳びまくる

脚も速い が

ここまで接近できるのはそう滅多にないチャンスだ

絶対に逃がさんぞ

しかしまぁ

こんな大層な人材をやすな殺しに向かわせるとは・・・



無様に逃げたのではなく誘っていたのだと気付いたのはいつかのクマだか出てきた公園で刺客がピタり停止した時だ

不気味なほどに静かで

何時の間にやら人払いでもしたのか 人っ子ひとりいない

夕焼け小焼けに照らされる遊具は状況に不釣り合い甚だしい


39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:48:14.92 ID:SMi9YnrHP

刺客は首をこきりと鳴らすと

軽くステップを踏みながら

掌を上に向けて くいっ くいっと 指を折り曲げる


「あの人、自信満々ですねぇ」

「ふん、馬鹿にしてるんだよ」


なるほど、ここで私達二人を相手しようというわけだ

大層な自信だが

仮にもあぎりと私は腕に自信がないわけじゃあないし いくら相手が手練だろうt


ばこむっ





血をブチ撒けながら呉識あぎりの頭が破裂した





44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:53:12.62 ID:SMi9YnrHP

辺り一面 赤い 肉が 

忍者がクナイを投げた

はやい

クナイが はやい 声が聞こえた

「ぇかふ」

あぎりが死・・





えぇい


落ちつけ 

今爆散したのは 変わり身だ

些かショッキングな光景とはいえ 味方の私が騙されてどうするんだ


「油断禁物ですねぇ」

ぬっ と後方から現れた本物あぎりは地面の血溜まりを一瞥しながら言った


47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 22:58:03.59 ID:SMi9YnrHP

開始1秒でこれか・・・

「もう予備 なくなっちゃいました~」

「まだ始まったばかりなんだが・・・しかし、速いな」

「一流忍者のクナイは弾丸より速いですから~」


ハツカネズミが家系図五世代伸ばせるくらい呑気で冗長な会話が許されるはずもなく

刺客が次のクナイを構えて見せる

今度の狙いは

私だろう


と思考するため脳味噌が電気信号出す瞬間にはもう眼前にクナイが迫ってるので

寸でのところで首を引き千切る勢いで捻じ曲げて回避する


ぱぁん


背後の大きなクスノキの幹が爆ぜた


48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:02:22.76 ID:SMi9YnrHP

掠っただけでも致命傷だろうな なんて 余計な雑念は

地面蹴って砂蹴ってリヤカー引きながら野菜でも売る婆さんみたいに腰屈めたあぎりが

真正面のポンコツ忍者野郎見据えて全力疾走しながら手裏剣構えてるをの見て霧散する

正面はあぎりに任せよう 


私は回り込んで狩る

負けじと地面にNASAでも来そうなクレーター開けてやる勢いでスタートダッシュ決めてやると

ほぼ同時にレーザーみたいなクナイが飛んできた 一瞬遅れたら死んでたろう

危ない危ない



走りながら

足の裏に だん だん だだん と 感じる振動は私が確実に加速してることを教えてくれる

一旦スピードに乗ってしまえばこっちのものだ


50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:06:40.69 ID:SMi9YnrHP

どんどんどんどん速くなる

ひゅん ぱぁん ひゅん ぱぁん

なんて 

マシンガンよろしく馬鹿みたいに飛んでくるクナイも当たりやしない

公園から遊具が消えて 前衛芸術なオブジェが増えるだけだ

あぎりが投げる手裏剣だって大した速度で 避けるのめんどくさいこと山の如しなハズなのだが

回転する手裏剣群を左手一つでパシりと弾く

移動する二人に向かってクナイを投げながら なので それはもう大変な技術だ



私が目標の真横に来るころ あぎりは到達したようで

虎でも虐殺出来そうな眼力で刺客の瞳の奥の神経の末端の毛細血管までズタズタにしてやらんと睨みながら

頸動脈目掛けてF1サーキットのヘアピンカーブの如く奇麗な軌道でクナイを振り被る瞬間

ネオジム磁石が張り付くみたいに見事な速度で飛び出した刺客の左手があぎりの右肘を強打する

「・・・っ!」


51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:10:25.39 ID:SMi9YnrHP

手から ポロリ と

落ちるクナイを捨てるとオバケが出るぞと言い伝えられてるか否かは知らないけれど

パンツ見えそうなくらい思い切り右脚でクナイ蹴りあげて刺客の喉元狙うついでに体勢立て直す

こきっ なんて軽い関節音が聞こえそうなくらい余裕そうに首を傾げてクナイを避ける刺客だが

いい感じだ

あぎりはそもそも 体術が得意じゃああるまいが

なかなかどうして大したもんだ
と感心した瞬間鳩尾に思い切り膝蹴りを入れられていたオイ



びくん

身体が 嫌な撥ね方

反射的に身体が嘔吐している

今のは不味い 死ぬぞ

急げ私


52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:15:06.98 ID:SMi9YnrHP

ほぼ真後ろまで来た私が全力でナイフを投げてやるとまるで背中に目でも付いてるように

完璧完全なタイミングでスパイダーマンよろしく地面に張り付いて攻撃をかわす姿にイラつきが溜まった

昼食の稲荷寿司吐き出しながら咳き込むあぎりが回復するまでとは言わずともクナイ持てるまで気を引くために

ややダメ元で銃を打つとゴキブリ見つけたアシダカグモの真似しながらこっちに跳ねてくる

気持ち悪い!忍法アシダカグモの術でもあるのか


しかし チャンス

割と隙が大きな動きだったもんだから腰を捻って呼吸を合わせて相手見据えて

眼前に迫る最高のタイミングで思いっきりゲージMAX100%の右フックを顎にブチかます


すぱっこぉぉぉぉおん


完っ璧に入った

あれ 入ってしまった


54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:19:13.69 ID:SMi9YnrHP

脳が数十回バウンドして どっちが上かもわからんだろう

格闘は私の方が大分上だったようだな

いい気味だ

ブンブン独楽そっくりに回転しながら落下するそいつの首筋にナイフを噛ましてやろうと

繰り出した空気もぷつんと切断できそうな一閃 

は 

ギリギリ屈まれてかわされたものの

はらり と 安物忍者マスクを切り落とす


さてさぞ人相の悪い その面見せてもらおうか


55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:24:09.90 ID:SMi9YnrHP

「あらら」

む 女か  気付かなかった

長い紫の髪 呆けてるにやけ面 こいつ何処かで・・・


「ざんね~ん しょーたいバレちゃいましたぁ」


なんだあぎりか どうりで性格悪そうな忍者だったぞ

こいつめ



・・・ん?


向こう側に見える 共闘したあぎりの顔を見直すと へのへのもへじが書かれていた



オイ



オイ


59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:31:16.70 ID:SMi9YnrHP

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

あぎり邸


「やすなさんの暗殺依頼は やすなさん本人が私にしたんですよ~」

「・・・・・」


「ソーニャちゃん、言っても言っても殺し屋やめないもん」

「私がホントに危険な目に会えばやめてくれるんじゃないの~ みたいなみたいな」


「所々笑い我慢するの大変だったんだからねぇ~ ケラケラケラ」

「お前等 ホントに殺すぞ・・・」


魔女狩りの拷問みたいなトラウマ作ってくれる酷いカミングアウトをされた

なんだったんだ あの苦労は・・・というか

許せん 


60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:33:18.02 ID:SMi9YnrHP

「ね?今回はサクラだったからいいケド ホントに私が危ないよ?」

「だから殺し屋なんかやめよ?ね?ん?ほらほら?」

ウザッ 

というかふざけるな 一歩間違えば私が死んでたぞ

一歩間違わなくても死んでた

そこが一番問題だろ

本気で殺す気で来てたろうあぎりの奴


「死なないように手加減してたし、ソーニャなら大丈夫だとと思って~」

「リアリティも 大事ですしね~ 色々小細工 大変だったんですよぉ」

ぼそりと「腕試し」の単語が聞こえた

「・・はぁ もういい。知らん」


「じゃあ殺し屋やめてくれるの?」

犬が勘違いなバカやって それでもオヤツねだるように

どうしようもない面をしながらやすながはしゃいでいる


63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:37:49.36 ID:SMi9YnrHP

嗚呼 もう 叱る気も失せてくるぞ

「なんでやめなきゃならんのだ」

「以前も言ったろう。お前が離れればいいことだ」


「は?」

「だって ソーニャちゃん私のこと大好きでしょ?」


「あ?」


「は?」


ん?


「だから、離れればいいとか言って 私いなくなったら嫌でしょ?」


「・・・そんなわけないだろ・・・ウザいだけだ」

「じゃあなんで私の事 一生懸命守ってくれたのさ!」

「・・・ぅ あれは私が一般人を巻き込み過ぎたと思って その責任からだな・・・」


65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:41:11.89 ID:SMi9YnrHP

「うっそでー!絶対友達なくしたくないから私を守ってたね!」

「言わなくてもわかってるよぉ~ソーニャちゃん!友情だね!うん!」

「それに気付けただけでも、今回ソーニャちゃんは成長できたよ!」


「・・・あぁぁあウザい奴だな!もうわかった!」


「なに、認めてくれるの!?」


「違う。絶対殺し屋やめない」


「・・・・ぇ ゃだょ・・・何で」

「こんなに私が言ってるのに・・・・」



「!?」

「・・な、泣くなよそのくらいで 女々しいな・・・・」




「・・・く・・一週間だけ とりあえず休業してやる・・」


66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:42:46.94 ID:SMi9YnrHP

「・・・・ソーニャちゃん・・・」

「・・・短っ!何それ ただのサボりじゃん!」


「なっ  こいつ また嘘泣きで・・・!」


「○△×※・・・!」

「◇□※●・・・!!」





「あらあら~」

「結局いつもどおりですねぇ」




おわり


68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:46:03.49 ID:G4k3fr5j0

うむ、ヒヤリとしたが良かった
乙乙


69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/29(日) 23:46:03.75 ID:AcfgzSdB0

乙乙
良かった



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