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音葉「こちらがハイランダーずんいちという楽器ですね」

1: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:13:15.48 ID:OKsO9+2L0

BEMANIネタ
というか、あさきの世界の楽器ネタ


2: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:14:00.45 ID:OKsO9+2L0

ゆかり「~♪」

有香「あれ、ゆかりちゃん?」

ゆかり「あら、有香ちゃん。おはようございます」

有香「おはようございますっ!」

有香「上機嫌でしたけど……どちらへ?」

ゆかり「これから音葉さんに会いに行くんです」

ゆかり「なんでも世界の楽器を見せてくれるそうで……」

有香「世界の楽器……」

ゆかり「ええ」

ゆかり「まだ私たちの知らない楽器が世界にはたくさんある……って」

有香「へぇ……面白そうですね!」

ゆかり「でしょう?」

ゆかり「ふふ……どんな楽器を見せてくれるのでしょう……♪」

有香「……あの、ゆかりちゃん」

有香「私も行ってもいいでしょうか?」

ゆかり「有香ちゃんも気になりますか?」

有香「そうですね。どんなのかちょっと気になって……」

ゆかり「ふふ、では一緒に参りましょう?」

ゆかり「音葉さんも拒否することはないでしょうから」

有香「あ、はいっ! ありがとうございますっ!」


3: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:14:51.59 ID:OKsO9+2L0

ゆかり「音葉さん。お待たせしました」

音葉「あら……ゆかりさん」

音葉「……それに、有香さんも?」

有香「あ、はいっ。こんにちは」

有香「その……ゆかりちゃんから聞いて……私も気になっちゃって」

音葉「……ああ。貴女も世界の楽器を見てみたかったのですね」

有香「はい」

有香「……ご迷惑でしたか?」

音葉「いえ……」

音葉「興味を盛ってくれることはうれしいです……ふふ」

音葉「存分に楽しんでいってくださいね」

有香「あ、ありがとうございますっ!」

ゆかり「ふふ……♪」

音葉「さて……それでは早速お見せいたしましょうか」

音葉「まずはこちらですね」

ゆかり「ええと……打楽器ですか?」

音葉「はい」

音葉「ぴょろぴょんと言います」

有香「……ぴょろぴょん?」

音葉「ええ。ぴょろぴょん」


4: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:15:34.28 ID:OKsO9+2L0

有香「……ほんとにそんな名前なんですか?」

音葉「……何を疑うことがあるのでしょうか?」

有香「いやっ、だって……」

音葉「ほら叩くと――」ピョロピョーン

音葉「――ぴょろぴょんと鳴るでしょう?」

有香「たっ、確かに鳴ってますけど……」

音葉「この楽器は、母親が子供をあやす道具から発達した楽器なのです」

音葉「だから、こんなに愉快な音が鳴るのです」

有香「……」

ゆかり「私も叩いてみてもいいですか?」

音葉「ええ、どうぞ」

ゆかり「ありがとうございます」

ゆかり「……」ピョロピョンピョロピョンピョロピョン

有香「……初めてなのに、ゆかりちゃん、上手いですね」

音葉「ふふ……彼女の小宇宙はこの楽器と波長があってたのかもしれませんね」

有香「……小宇宙ってなんですか」

ゆかり「ふふっ、楽しいです……♪」ピョロピョンピョロピョンピョロピョン

有香「……まあ、世界は広い……ってことですよね」


5: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:16:39.27 ID:OKsO9+2L0

音葉「では、次に参りましょう」

ゆかり「……もっと叩いていたかったのですが」

音葉「ふふ、いつでもお貸ししますよ?」

音葉「さて、次はこちらですね」

音葉「幻の38弦ギター、かちゃぱむーんです」

有香「どうやって弾くんですか、そんなの!?」

音葉「ええ……弾けるものがあまりにもおらず、歴史上から消えてしまったのです」

有香「当たり前じゃないですか!」

有香「……もしかして、音葉さん。私たちをからかってます?」

音葉「まさか……」

音葉「確かに嘘かと思うかもしれませんが、これも立派な楽器ですよ?」

ゆかり「……有香ちゃん?」

有香「いや、だって……!」

音葉「ほら、音もちゃんと鳴りますから」

音葉「……」カチャパムーン

音葉「ね?」

有香「……確かに鳴ってますけど」

音葉「あまりの鳴らしづらさ……そして、この特徴的な音から、曲の締めに使われることが多かったのです」

音葉「むしろそこ以外で使われたことはありませんね」

有香「曲の締めでも聞いたことありませんけど……」

ゆかり「もう、有香ちゃん……」

ゆかり「せっかく音葉さんがいろいろな楽器を紹介してくれてるんですから……」

有香「そうなんですけど……」

音葉「……いえ、有香さんの気持ちもわかりますから」

音葉「だからこそ、まだ知られていない楽器……歴史上から消えてしまった楽器を、私は皆さんに伝えていきたいんです」

有香「……」


6: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:17:33.01 ID:OKsO9+2L0

音葉「たとえば、こちらなんかもそうですね」

ゆかり「……石?」

音葉「いえ、こちらも立派な楽器……ボボンスカといいます」

有香「また変な名前……」

音葉「こちらはブルゴーニュ地方発祥の低音楽器ですね」

ゆかり「へぇ……叩いて鳴らすんでしょうか?」

音葉「いえ、違います」

音葉「これは、額に当てることでボボンスカと鳴るんです」

有香「……えっ?」

ゆかり「まあ……不思議な楽器ですね」

音葉「でしょう? ゆかりさんも鳴らしてみますか?」

ゆかり「ええ。せっかくですから」ピトッ

有香「……あの、ゆかりちゃん?」

ゆかり「……鳴りませんね?」

音葉「いいえ、確かに鳴ってるんです」

音葉「あまりにも低音すぎて人間の耳には聞こえないだけで」

有香「やっぱりからかわれてますよこれ!?」

音葉「だから、これも歴史上から消えてしまったのです……」

ゆかり「そうなんですね……」

有香「ゆかりちゃん! 騙されないでください、ゆかりちゃん!」


7: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:18:24.20 ID:OKsO9+2L0

ゆかり「……有香ちゃん」

有香「いやっ、だってこれ傍から見たら石を額につけてるだけですよ!?」

有香「こんなの楽器なわけないじゃないですか!?」

ゆかり「でも……音は鳴ってるんですよ?」

有香「聞こえないじゃないですか!」

ゆかり「だって私は人間だから……」

有香「だから、それが騙されてるって言うんです!」

音葉「あの……有香さん、落ち着いて……」

有香「誰のせいだと思ってるんですか!?」

ゆかり「……有香ちゃん、反抗期?」

有香「ちがっ……あーっ、もうっ!」

有香「ともかく、こんな楽器があるわけ――」

フレデリカ「あーっ! ボボンスカじゃん!」

有香「――へ?」

音葉「あら……フレデリカさん。知っているのですか?」

フレデリカ「もちろん! フレちゃんのおじいちゃんも持ってたからねー」

有香「え、え……?」

フレデリカ「懐かしいなー……これ音葉ちゃんの?」

音葉「ええ……よかったら演奏しますか?」

フレデリカ「わっ、いいのー?」

音葉「ふふ、したそうな顔をしていましたから……どうぞ?」

フレデリカ「ありがとー♪」

フレデリカ「……」ピトッ

ゆかり「ふふ、セッションですね」ピトッ

フレデリカ「……」

ゆかり「……」

有香「私……私がおかしいんですか、これ……?」


8: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:18:51.53 ID:OKsO9+2L0

フレデリカ「……あははっ! ぜんぜん聞こえないねー♪」

ゆかり「私たちは人間ですから……」

フレデリカ「うーん……一回人間止めてこの音聞いてみたいなー」

ゆかり「ええ……私も……」

フレデリカ「ととっ、待ち合わせしてるんだった。ありがとねー!」

音葉「いえいえ……」

音葉「言ってくだされば、いつでも貸しますよ」

フレデリカ「うん、また演奏したくなったらお願いするー」

フレデリカ「じゃ、またねー♪」

音葉「ええ、また……」

音葉「では、次の楽器を紹介しましょう」

有香「……」

ゆかり「……どうしたんですか、有香ちゃん。そんな難しい顔して」

有香「……いえ」

音葉「……元気がないのであれば、次は元気の出る音が鳴る楽器を紹介しましょう」

音葉「と、いっても……ここには持ってこれなかったのですが」

ゆかり「そうなのですか?」

音葉「ええ。何せ全長1500mありますから」

有香「……は?」


9: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:19:34.84 ID:OKsO9+2L0

音葉「写真ならあります……ほら、こちら」

ゆかり「まあ……大きな樹ですね」

有香「これのどこが楽器なんですか!?」

有香「また額にこれをくっつけて鳴らすとか言うんですか!?」

音葉「いえ、こちらはボボンスカとは違います」

音葉「この大木を勢いよく蹴ると、頂上にある3cmの鉄の葉っぱが鳴るんです」

音葉「その響きから、どろばっぱと名づけられました」

音葉「ええと録音したのが……ありました。こんな感じの音ですね」

「どろばっぱー」

有香「……」

ゆかり「……有香ちゃん、頭を抑えてどうしました?」

有香「いえ……」

音葉「中国の農村で食事の時間を知らせるために用いられた金物楽器なんです」

音葉「なんでも、この音が霊峰に響き渡ることで、国が……例えば秦が生まれたそうですよ」

有香「もう無茶苦茶じゃないですか……」

有香「……」

有香「……あの、二人とも」

有香「もしかして、私をからかって遊んでます?」

音葉「……まさか」

ゆかり「どうしてそう思うのですか……?」

有香「だって……だって!」

有香「こんな、こんな楽器ありえな――」

菲菲「今こっちからどろばっぱの音聞こえなかったカ!?」

有香「――」


10: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:21:51.74 ID:OKsO9+2L0

音葉「あら、菲菲さん……どろばっぱをしっているのですか?」

菲菲「もちろんダヨー!」

菲菲「小さい頃、トモダチの家で演奏……」

菲菲「……は、できなかったんだけどネ。そんなに力はなかったカラ」

菲菲「でも、トモダチのおとーさんの演奏を聴いたことがあったヨー」

音葉「まあ、本物の音を聞いたことがあるのですね……」

音葉「私は生で聞いたことはなくって……」

菲菲「そうなのカ?」

菲菲「じゃあ今度、一緒に聞くカ?」

音葉「良いのですか?」

菲菲「大丈夫ダヨー!」

菲菲「きっと、トモダチも喜んで迎えてくれるヨ!」

音葉「ふふ、ありがとうございます……」

菲菲「二人も行く?」

ゆかり「では、せっかくですから私も」

有香「……私も、色々気になるので」

菲菲「決まりダナ!」

菲菲「……じゃあいつにしよう……っと!」

菲菲「ゴメン、ふぇいふぇい呼ばれてるんだったヨー!」

菲菲「この話はまた後でナ!」

音葉「ええ、また……」

音葉「……」

音葉「……ふふ、楽しみですね」

音葉「どろばっぱが生で聞けるなんて……」

ゆかり「よかったですね、音葉さん」

音葉「ええ……うれしい……」


11: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:23:43.37 ID:OKsO9+2L0

有香「……」

有香「……あの二人とも私をからかってるわけではないんですよね」

音葉「ええ……これらはすべて本当にあった……本当にある楽器ですよ?」

有香「……そうですよね」

有香「フレデリカさんも、菲菲さんも、知っていましたから……きっと、本当にそうなんですよね」

有香「……それでも、どうも信じられなくって」

有香「こんなのありえない……って」

ゆかり「……」

有香「でも……こんなの音葉さんに失礼ですよね」

音葉「!」

有香「音葉さんは一生懸命紹介してくれてるのに、そんな風に見るなんて……」

有香「それに、ゆかりちゃんの気持ちも下げちゃってるかもしれませんし……」

有香「だから……だから私、これからはそんなのがあるんだ……って、見るようにがんばりますっ」

有香「押忍!」

ゆかり「有香ちゃん……!」

音葉「そういってくれるだけで、とても嬉しいです……」

音葉「……私の紹介する楽器はなかなか見たことの無いようなものが多いですから」

有香「そうですね、本当に……」

有香「……でも、もう大丈夫です! ちゃんと受け止めますっ!」

音葉「……ありがとう、有香さん」


12: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:24:20.83 ID:OKsO9+2L0

音葉「それでは次の楽器……こちらも写真なんですけど」

有香「……なんですか、この小さいナポレオン」

音葉「それが次に紹介する楽器……カカカカカです」

ゆかり「カカカカカ?」

音葉「ええ……正式名称は声に出すことが困難なため、こう呼ばれるのです」

ゆかり「へぇ……これはどうやって演奏を?」

音葉「この妖精をコーヒー豆と一緒に挽くんです」

有香「グロテスクですね!?」

音葉「大丈夫です。この妖精はこのために天から降り注いだ存在ですから」

有香「いや、だとしても……!」

音葉「この音がブラジル人の陽気な気質……ついでにサッカーの強さを生んでるそうです」

有香「なんですかその無茶苦茶な迷信……」

ナターリア「いや、それは本当だゾ!」

有香「わっ!?」

ゆかり「あら、ナターリアさん……」

ナターリア「ナターリアも小さい頃にたくさんきいたカラナ!」

ナターリア「だから、ナターリアはいっぱいゲンキで、ついでにサッカーもちょっとうまいんだゾ!」

ナターリア「ナターリア、カカカカカで育ったといってもいいくらいダ!」

ゆかり「へぇ……じゃあ、たくさん妖精を挽いてきたんですね」

ナターリア「ウン! ガリガリ挽いてたゾ!」

有香「……楽器の演奏の話ですよね?」

ナターリア「? カカカカカのはなしダロ?」

有香「いや、そうなんですけど……」

ゆかり「私も一回挽いてみたいですね……」

ナターリア「そしたらユカリももっと陽気になれるカモナ!」

有香(……想像するのは止めよう。ちょっと気持ち悪くなりそう)


13: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:25:34.50 ID:OKsO9+2L0

ナターリア「それじゃ、マタナー!」

音葉「ええ、また」

音葉「……さすが、この事務所といったところでしょうか……みなさんよく知ってますね」

ゆかり「色々なところから集まってますからね」

音葉「この後紹介する楽器も知っている人はいるのでしょうか……」

ゆかり「かもしれません」

ゆかり「……今までのように、話していたら来てくれるかもしれませんよ」

音葉「そうですね」

音葉「それはとても……楽しみです」

ゆかり「……ふふ」

有香「……」

音葉「……有香さん。大丈夫ですか?」

有香「え、ええ」

有香「……世界って拾いんですね」

音葉「想像もつかないような楽器が世界にはあふれていますから……」

音葉「……しかし、次の楽器はそこまでキワモノではないかと」

有香「そうなのですか?」

音葉「ええ……こちらですね」

有香「あ、小さい……し、わりと普通……」

音葉「でしょう?」


14: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:26:30.29 ID:OKsO9+2L0

音葉「こちらはミチミチクルンと言います」

ゆかり「ミチミチクルン……かわいらしい名前ですね」

音葉「ええ」

音葉「……エジプト第4王朝で作られた弦楽器なのです」

有香「こんな名前なのに、エジプトの楽器なんですか……」

音葉「そう伝えられています……特にクフは達人だったそうですね」

音葉「マスクを被る時にはいつも『ミチミチ~クルン♪』と奏でていたそうですよ」

ゆかり「ふふ、可愛らしいですね」

有香「……イメージとはぜんぜん違いますけどね」

音葉「そうですね」

音葉「……ですが、私は上手く鳴らせなくて……」

ゆかり「こちらはどうやって演奏を?」

音葉「ええっと……鼻の下と上唇の間で挟んでですね……」

音葉「口角の部分で『ミチミチ』、鼻の下で『クルン』と演奏するそうなのですが……」

音葉「……んー」

音葉「……んー……?」

ゆかり「……私もやってみても?」

音葉「あ、はい」

音葉「こちらは歴史上から消えたわけではないので、いくつかありますよ」

音葉「……有香さんもしてみます?」

有香「あ……じゃあ……」


15: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:26:57.79 ID:OKsO9+2L0

音葉「……」

ゆかり「んむー……?」

有香「……むー」

有香「……ぜんぜん鳴りませんね」

音葉「でしょう……難しくって」

ゆかり「ん~……?」

鈴帆「ふっふっふ、ウチにまかせんしゃい!」

有香「わっ、鈴帆さん!」

音葉「……もしかして、演奏できるのですか?」

鈴帆「ファラオの気ぐるみを着る時に、せっかくだから練習したばい!」

鈴帆「今のウチはミチミチクルンのエキスパートけんね!」

音葉「なんと頼もしい……!」

鈴帆「任せんしゃい!」

鈴帆「……借りてもよか?」

音葉「ええ。こちらをどうぞ」

鈴帆「ん、ありがと!」

鈴帆「それじゃあ……」

鈴帆「……」ミチミチクルン

有香「おお……!」

音葉「すごい……!」

鈴帆「っと、こんなもんばい」

音葉「いったい、どうやったらそんなにきれいに……」

鈴帆「まずは――」


16: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:27:40.68 ID:OKsO9+2L0

音葉「……」ミチミチクルン

有香「……」ミチミチクルン

有香「……きっ、きれいに鳴りました!」

音葉「ええ……本当に……!」

音葉「ずっと演奏できなかったので……本当に嬉しい……!」

音葉「ありがとう、鈴帆さん……!」

鈴帆「よかよか、困ってる人を助けるのは当然たい」

鈴帆「そいじゃ、ウチはこの辺で失礼するばい」

有香「ありがとうございましたっ!」

有香「ふふっ、よかったですね、音葉さん!」

音葉「ええ……まさかこんなに早く習得できるとは」

有香「みっちりしごかれましたからね。私も、音葉さんも――」

有香「――あれ、ゆかりちゃんは?」

ゆかり「もうちょっとで……こう……」

有香「あ……ミチミチクルンの練習してる……」

音葉「……そういえば、先ほど一緒に教わってませんでしたね」

ゆかり「むー……」

有香「……ゆかりちゃん、コツ教えましょうか?」

ゆかり「いえ……もうちょっとで出来そうなので……」

ゆかり「んー……」

ゆかり「……」ミチ

ゆかり「……!」

ゆかり「なっ、鳴りました! ミチって鳴りました!」

ゆかり「有香ちゃん、聞いてくれましたか!?」

有香「うん。聞こえました!」

有香「ゆかりちゃん、すごいですっ!」

ゆかり「ふふふっ、嬉しい……♪」

ゆかり「じゃあ、この調子でクルンの方も――」

音葉「――その前に、次の楽器を紹介しても?」

ゆかり「あっ……」


17: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:28:17.22 ID:OKsO9+2L0

ゆかり「ご、ごめんなさい、音葉さん」

音葉「いえ、私ももし鈴帆さんがいなかったらずっと練習してたかもしれませんし……」

ゆかり「鈴帆さん?」

有香「……気づいてなかったんですね」

ゆかり「?」

音葉「そのミチミチクルンはお貸しします……気に入っていただけたようですから」

ゆかり「わぁ、ありがとうございます……!」

有香「ふふ……」

有香(……そうだよね)

有香(別に、全部が全部変ってわけでもないだろうし……どろばっぱやかちゃぱむーんだって演奏したら今みたいに楽しいかもしれない……)

有香(……表面だけとって変に思いすぎちゃったのかもしれませんね)

音葉「さて、では次の楽器――」

有香(こんなのもあるんだって、見れるようになってよかっ――)

音葉「――マッハ松本です」

有香「いや、これはいくらなんでもおかしいでしょう!?」


18: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:28:44.55 ID:OKsO9+2L0

音葉「……楽器ですよ?」

有香「思いっきり人の……おっさんの形してるじゃないですか!?」

有香「それに、松本って……松本って!?」

有香「もうこれ単なる小さいおっさんじゃないですか!」

音葉「いえ、生きてるわけではありませんよ?」

有香「そう……だとしてもっ!」

有香「なんでこんな人みたいな……!」

音葉「それには、理由があってですね……」

音葉「この楽器の由来にかかわってくるんですが……」

有香「……」

ゆかり「……松本さんが、楽器の製作にかかわったとか?」

音葉「近い……ですが、少し違います」

音葉「これは、松本さんそのものなんです」

有香「……何を言ってるんですか?」

音葉「……マッハ松本の由来の話をしましょう」


19: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:29:17.87 ID:OKsO9+2L0

音葉「それは飛鳥時代の話……」

音葉「仲良し三人組の蘇我入鹿、中大兄皇子、聖徳太子がいました」

音葉「そして、その三人組の先生である、松本先生がいました」

音葉「三人と先生はとても仲がよかったのですが……ある日、悲劇が起こります」

音葉「それは給食の時間……蘇我入鹿が中大兄皇子の杏仁豆腐を奪ってしまったのです」

音葉「そのことに憤慨した松本先生は怒りの咆哮をあげ……そのまま楽器となってしまったのです」

音葉「それがこれ……マッハ松本です」

音葉「……これが、マッハ松本がマッハ松本と呼ばれる理由です」

音葉「おわかり……いただけましたか?」

有香「わかるわけありませんっ!」

ゆかり「悲しい……お話ですね」

有香「ゆかりちゃん!?」

有香「なんで!? なんで泣いてるんですか!?」

菜々「あーーーっ!?」

有香「!?」

菜々「松本先生……松本先生じゃないですか!?」

有香「菜々さん……!?」

菜々「懐かしいなぁ……こんなところで姿を見るなんて……」

菜々「あの時は楽しかったですねぇ……そがやんになかちゃん、しょうちゃん……」

菜々「あんなに仲がよかったのに……しょうちゃんがそがやんの杏仁豆腐盗るから……」

菜々「それに松本先生が気づいてたらこんな形にはならなかったのかな……」

有香「……あの、菜々さん?」

菜々「……ハッ!?」

有香「さっきから、何の話を……?」

菜々「な、ななな、なんでもないですよ!?」

菜々「ナナは、ご先祖様にこのお話を聞いただけで、だからっ、えっと……」

菜々「よ、用事を思い出したのでナナはこれで!」

有香「……」


20: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:30:22.30 ID:OKsO9+2L0

有香「な、なんだったのでしょうか……?」

音葉「さあ……?」

ゆかり「……ちなみに、これはどう演奏するのでしょうか?」

音葉「足の裏から吹けば音が鳴りますよ」

ゆかり「なるほど……」

有香「まっ、ま、待って!」

ゆかり「有香ちゃん?」

有香「次、次に行きましょう!」

ゆかり「でも……」

ゆかり「松本先生のためにも、吹いてあげなきゃと……」

有香「松本先生だって、何回も吹かれて怒らされて、そろそろ疲れてると思いますから!」

有香「だから、ね?」

ゆかり「……そうですか」

ゆかり「まあ、有香ちゃんがそこまで言うなら……」

有香「……ほっ」

有香(小さいおっさんの足の裏を吹くゆかりちゃんはさすがに見たくないし……)

音葉「……では、有香ちゃんも望んでいることですし、次の楽器に行きましょう」

音葉「続いてはこちら、ハイランダーずんいちです」

有香「何でまた人型なんですか!?」


21: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:30:53.35 ID:OKsO9+2L0

ゆかり「もしやそれも……誰かの……?」

音葉「ええ……ずんいちの」

ゆかり「じゅんいちの……」

音葉「いえ、ずんいちです」

ゆかり「じゅ……じゅんいち?」

音葉「ずんいち」

ゆかり「づんいち……?」

音葉「ずんいち」

ゆかり「……ずんいち?」

音葉「そう、ずんいちです」

ゆかり「ずんいち……」

有香「そこにこだわるんですか……」

音葉「楽器の名前は正しく伝えないと行けませんから」

音葉「本当はカカカカカも正式名称で言いたいんですけど……あれは言葉には出来なくって……」

有香「……」

ゆかり「ええっと……それで、そのずんいちさんはどうして楽器に……?」

音葉「……ずんいちは、スコットランドのハイランダーになるため、日本から単身スコッ

トランドへと向かいました」

音葉「そして、その地でジョセフィーヌと恋に落ちます」

音葉「しかし、戦火の中でずんいちは致命傷を受け、もう命もわずかとなってしまいまた」

音葉「そのとき最後に彼が放った言葉……」

音葉「『ジョセフィ~ヌ』というその言葉が音となり……ずんいちは楽器となったのです」

ゆかり「……悲しい、恋物語なのですね」

有香「……ゆかりちゃんは本当に純粋ですね」


22: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:31:31.38 ID:OKsO9+2L0

有香「そもそも、マッハ松本もそうですが、どうやったら楽器になるんですか……」

音葉「それは……感情が爆発した時じゃないでしょうか……?」

ゆかり「……ああ、確かに松本先生も……ずんいちさんも、感情が爆発した時に……」

ゆかり「ということは……私ももしかしたら楽器になってしまうかもしれないのですね……」

音葉「ええ……人は誰しも、楽器になれるのです……」

有香「……」

有香「それで……この楽器はどこから吹くのですか?」

音葉「これはバグパイプのようなものなので吹く場所が……あるはずなのですが……」

音葉「どうも見当たらないんですよね」

ゆかり「……マッハ松本のように足の裏にあるのでは?」

音葉「いえ、そこにも無く……」

音葉「ただおなかを押すと『はははは』と笑うだけで……」

有香「それもうただのよくわからないお土産ですよ」

音葉「確かに、『ジョセフィ~ヌ』という音が響くはずなんですけど……」

ケイト「残念デスケド、それは鳴りませんヨ?」

ゆかり「あ、ケイトさん……」

音葉「……どういうことでしょうか?」

ケイト「そのハイランダーずんいちは、本物じゃなく、レプリカなんデス」

ケイト「なので、本物の音はならないんデスヨ」


23: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:32:12.59 ID:OKsO9+2L0

音葉「レプリカ……」

ケイト「本物は、今は国の宝物庫にしまわれていマス」

有香「なんでそんなところに……」

ケイト「ずんいちは国の英雄デスカラネ」

有香「えぇ……」

ケイト「死ぬときまでただ一人を愛し続けたコト……」

ケイト「そして、愛に境は無いというコトをその身を持って証明したコト……」

ケイト「その気高き精神に、私達は憧れたのデス」

ゆかり「愛に境が無いこと……とは?」

ケイト「……ずんいちは当時18歳デシタ」

ケイト「そして、ジョセフィーヌは94歳だったのデス」

ゆかり「わぁ……すごい年の差恋愛だったのですね……」

ケイト「ハイ」

ケイト「……っと、そんなこともあって、みんな国から出したくないみたいデ……」

ケイト「それに、そもそもずんいちは一人しかいませんカラ」

ケイト「ハイランダーずんいちも一つしかないんデス」

音葉「……なるほど……そういうことでしたか」

ケイト「デモ、みんなずんいちは欲しがりますカラ……レプリカを作ったのデス」

音葉「それがこれ……ということですね」

ケイト「そのとおりデス」

ケイト「……音も再現できなくって、仕方なくこの笑い声になったみたいデスネ」

音葉「……そんな経緯があったのですね」

音葉「……一度、本物の音を聞いて見たいのですが……」

ケイト「ンー……すぐにはムリかもデスケド……」

ケイト「デモ、年に一回宝物庫から出されて、みんなでずんいちの音を聞く祭りがありますカラ」

ケイト「その時に聞けるかもデスネ」

音葉「あら……」

音葉「……いつごろに行われるか教えてもらっても?」

ケイト「決まっていつというのは無いノデ、なんとも言えないデスネ……」

ケイト「デモ、近くなればみんなに知らされますカラ、その時に教えマスネ♪」

音葉「まあ……ありがとうございます……!」


24: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:32:41.31 ID:OKsO9+2L0

ケイト「デハ、私はこれからレッスンなので」

ケイト「楽しみにしててくださいネ」

音葉「ありがとうございます……!」

音葉「……ふふ、こちらも楽しみですね」

ゆかり「……あの、音葉さん」

音葉「ええ、もちろん。かまいませんよ。一緒に参りましょう」

ゆかり「!」

ゆかり「どうして私の考えを……!?」

音葉「……ゆかりさんはとてもわかりやすい方ですから」

ゆかり「あら……そういわれると、少し恥ずかしいですね」

音葉「ふふ……」

ゆかり「……そうだ、有香ちゃんは――」

有香「――」

ゆかり「……有香ちゃん?」

有香「――はっ!」

有香「す、すいません……ちょっと、世界の広さに圧倒されてしまって……」

有香「世の中には、本当に色々な楽器があるのですね……」

有香「なんかもう……驚きとか、嘘でしょって気持ちとか……そんなの全部通り越しちゃって……」

有香「自分が楽器の中に入っていくんだなあ、音を探訪しているんだなあ、と感じられ……」

ゆかり「……も、もしかして有香ちゃんも楽器になっちゃうんですか……!?」

有香「あ、いえ、今のは比喩ですけど……」

音葉「……世界にはさまざまな楽器がありますからね」

音葉「ボボンスカやかちゃぱむーんのような歴史上から忘れ去られた楽器はきっとまだ世界にたくさんあるでしょう」

音葉「もしかしたら楽器を楽器と気づいてないかも知れませんし……」

有香「楽器を楽器と……」

有香「……よくわからないガラクタだと思ってるものが、実は楽器だった……みたいなことですか?」

音葉「ええ……それは非常に勿体の無いことです」

音葉「……有香さんも、身近にそういうものが会ったりしませんか?」

有香「そう言われても……」


25: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:33:09.72 ID:OKsO9+2L0

有香「……あ、そういえばこんなものが」

音葉「!?」

ゆかり「それは……?」

有香「この前紅葉の中で撮影してたとき、50mくらいある落とし穴の中にこれが落ちてあったんです……」

有香「私にはただのガラクタにしか見えませんけど、これも楽器なんでしょうか?」

音葉「キンコンカンコン玉三郎……!」

有香「……え?」

音葉「キンコンカンコン玉三郎をまさかこの目で見る日が来るなんて……!」

ゆかり「……こちらも楽器なのですか?」

音葉「えぇ……キンコンカンコンと美しい音色を奏でる楽器です!」

音葉「その昔、真っ裸で山道を歩いていた袋田君と玉三郎君が――」

有香「えぇ……」

有香(――冗談のつもりだったのに、本当に楽器だったなんて)

有香(世界は広いんだなぁ)





おしまい


26: ◆6QdCQg5S.DlH 2017/11/15(水) 22:34:36.66 ID:OKsO9+2L0

久々にBMBS聞いていたらつい。
あさきYueiの掛け合いほんと面白くて好き

今の動きを見る限り難しいかもしれないけど、またBMBSないしMRXGみたいなラジオが聞きたい。

誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方ありがとうございました。



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