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最原終一の事件簿

2018/03/01 14:04 | ダンガンロンパ | コメント(0)
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:38:45.41 ID:BtYFcBoE0

※このssに出て来るトリックはオリジナルではありません。参考にした作品があります ついでにオリジナルのモブも出て来ます おまけに平和な世界でのお話です それでも良いって人は、楽しんで行ってネ※




真宮寺「……手紙って、良いよネ。今や電話やメールで手間も無く簡単に伝えたいことを伝えられる世の中だけど、手紙にはそれらには無い様々な特徴があるんだ」

真宮寺「どんな便箋を使っているのか? 筆の種類は? その他にも筆圧や推敲の跡、更には紙の状態によって、送り主の感情がはっきりと読み取れる訳なんだよネ。でも、手紙の他の伝達方法には無い一番の特徴と言えば……」

真宮寺「……おっと、失礼。自己紹介が遅れてしまったネ。もしかしたらお会いするのが初めての人も居るだろうから、軽く自己紹介させて貰うヨ」

真宮寺「僕の名前は真宮寺是清。『超高校級の民俗学者』の肩書を持つ高校生で、今は同じ超高校級の才能を持つ子供たちが集まる『才囚学園』と言う高校に通っているヨ。そこで僕は沢山の友達と出会い、充実したスクールライフを送っていると言う訳サ」

真宮寺「さて、こうして君と出会えたのも何かの機会。良ければ僕の話を聞いて行かないかい? いつもは民俗学の話をするんだけど、今回は僕の友達の話を聞いて欲しいんだ」

真宮寺「僕の一番の親友、『超高校級の探偵』こと最原終一くん……今から僕が話すのは、僕が彼と共に巻き込まれたとある事件の話サ。この事件の鍵を握っていたのは、あるメッセージなんだけど……良い機会だ、君に質問してみようか?」

真宮寺「……僕が思う『手紙の一番の特徴』って、何だと思う?」


2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:39:19.14 ID:BtYFcBoE0

――才囚学園 食堂……

赤松「でね、あのね~!」ワイワイ

最原「あはは! それって本当なの?」クスクス…

真宮寺「やぁ、最原くんに赤松さん。隣、良いかな?」

最原「あ、真宮寺くん! 勿論構わないよ!」

真宮寺「ククク……二人きりの楽しい時間を邪魔しちゃってゴメンネ。でも、寂しさに耐え切れなくってサ……」

赤松「あ、いや、だ、大丈夫だよ! それにほら! 今はクラスの大半が用事で不在だし、真宮寺くんが誰かと一緒にご飯を食べたいって気持ちもわかるもん!」

最原「百田くんも宇宙関連の発表を聞きにアメリカに行ってるみたいだし、他の皆もそれぞれの事情で色んな場所に行ってる。今、才囚学園に残っているクラスメイトと言えば……」

王馬「あ~! 真宮寺ちゃんったら、最原ちゃんと赤松ちゃんのラブラブタイムの邪魔しちゃって~! そんな奴は逮捕だ、逮捕~!」

最原「お、王馬くん!? ら、ラブラブだなんて、そんな……!」カァァ…

真宮寺「……騒がしい人が来たネ」

王馬「にししっ! ゴン太が昆虫発見プロジェクトでアマゾンに行っちゃって暇なんだよ。何か話をしてるなら、俺も混ぜて混ぜて~っ!」

赤松「……なら、最後の一人も呼んで一緒にお喋りしながらご飯を食べようよ! ねえ、春川さん! あなたもこっちに来なよ!」

春川「……遠慮しとく。王馬と仲良く食事だなんて、考えただけでも虫唾が走るもん」

王馬「ありゃ? もしかして俺ってば嫌われちゃってる? うぅ、酷いよ~! 春川ちゃんがそんなに心の冷たい女の子だなんて知って、俺はショックだよ~っ!」ビエーッ!

春川「ウソ泣きをするんじゃない!」

王馬「……ちぇ~、お見通しかぁ……つまんないの~」ブーブー

赤松「ははははは……」


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:39:59.23 ID:BtYFcBoE0

――ガチャ、バタン!

真宮寺「おや……? 誰か来たみたいだネ?」

最原「あれは……警察の人?」

警官「……失礼、君は赤松楓だね?」

赤松「え? あ、はい。そうですけど、何か……?」

警官「……君に殺人の容疑が掛かっている。詳しい取り調べの為、署までご同行を願おうか」

赤松「……え? さ、殺人? わ、私が……!?」

警官「そうだ。話を聞かせて貰う為にも、私たちと一緒に……」

最原「ま、待って下さい! 赤松さんに殺人の容疑!? どう言う事ですか!?」

警官「詳しく話す必要は無い。我々が用があるのは赤松楓だけであって……」

王馬「……まあ、ちょっと待ってよおじさん。そこに居るのは『超高校級の探偵』の最原終一だよ? ついでに俺は『超高校級の総統』で、こっちは『超高校級の民俗学者』、あっちには『超高校級の暗殺者』も居るんだ。悪事と考え事に関してはある意味ではプロフェッショナルの高校生たちだよ。そんな俺たちにな~んの説明も無いなんて、ツマラナイ事はしないでよ!」

真宮寺「……王馬くんの言う通り、少しは事情は説明してくれてもよろしいのでは? 少なくとも事件に関わる可能性が高い最原くんには、軽くその殺人事件のあらましを教えた方が捜査に役立つと思いますがネ」

警官「……必要ない。どの道、事件現場はここから随分と離れた場所にある。しかも土砂崩れで車は通行止め、ヘリでもない限りは現場に行く事すら出来ない」

最原「ならなぜ、赤松さんに殺人の容疑がかかっているんですか!? 現場に警察が行けないのなら、捜査だって出来るはずが……」

警官「……警察なら現場にいる。何を隠そう、死体の第一発見者は警察官なんだ」

最原「えっっ!?」

警官「これ以上は説明の必要は無い。さあ、来るんだ!」

赤松「そんな……!? 私、なにもやってません! 殺人だなんて、そんなこと……絶対にやってない!」

警官「そう言った話は署で聞く。ここでもたつく訳にはいかないからな」

赤松「やってません……私、何も知らない! 最原くん、助け……」

――ギィィ……バタン!


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:40:57.62 ID:BtYFcBoE0

最原「あ、赤松さんっ! ……くそっ! どう言う事なんだ!? 何で赤松さんが……!?」

春川「……殺人の容疑ってあの警官は言ってたけど、事件の内容もわからなきゃ推理の仕様もないよね……」

最原「せめて……せめて、情報があれば、赤松さんの無実を証明出来るかもしれないのに……!」

真宮寺「……なら、乗り込もうか? 事件現場に、サ……!」

最原「えっ!?」

真宮寺「『ここから随分と離れた』『土砂崩れの起きている場所』……この二つの情報を組み合わせれば、ある程度は事件現場の予想がつく……警察が捜査を開始していない今がチャンスだ。先に乗り込んで、赤松さんの無実の証拠を見つけ出そうじゃないか」

最原「で、でも、ヘリが無ければ現場には辿り着けないって、さっきの警察官は……」

王馬「なら、DICEのヘリを回すよ。こんなこともあろうかと、すぐにでも出発出来る様に準備は万端さ!」

最原「え、ええっ!?」

王馬「……ヘリの操縦は俺の部下に任せるとして、問題は誰が行くかだよね。最原ちゃんは当然行くとして……俺は残った方が良いかな?」

最原「王馬くん……?」

王馬「……赤松ちゃんの話もこの事件の大きな手掛かりになる。なら、誰かが赤松ちゃんと面会して話を聞かなきゃいけない。俺なら、どんな手段を使ってでも赤松ちゃんと話が出来る様に手回ししてみせるよ」ニヤリ

真宮寺「なら、僕は最原くんと一緒に行くヨ。大した事は出来ないかもしれないけど、少しでも友達の力になりたいんだ」

最原「真宮寺くん……ありがとう! 良し、なら僕と真宮寺くんで現場に向かって……」

春川「待って、私も行く」

最原「え!? は、春川さんも!?」

春川「……あんたと真宮寺じゃあいざって時に腕っぷしが足りない。真犯人を見つけたは良いけど、返り討ちにあったりなんかしたら笑い話にもならないよ」

真宮寺「……それもそうだネ、ボディーガードも必要か……」

春川「だから私も一緒に行く。いざって時の保険だよ」

最原「……ありがとう、春川さん。恩に着るよ」

春川「別に、暇だからついて行くだけだし。感謝されるいわれは無いよ」

王馬「……大切な友達が心配だから協力したいって素直に言えば良いのに。春川ちゃんは素直じゃないな~」

春川「王馬……殺されたいの?」

王馬「あはは! じょ~だんだって! さて、それじゃあ早速行動を開始しようか!」


5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:41:37.15 ID:BtYFcBoE0

――数時間後、某所 事件現場の屋敷前……

最原「……ここが事件現場。赤松さんの無実の証拠は、ここにある筈だ……!」

真宮寺「酷い雨だネ。気象情報によると、この雨は昼過ぎから降り始めたみたいだヨ」

春川「その雨のせいで土砂崩れが起きたってことなんだね……ついでに、まさかヘリからロープで降りる羽目になったわけだ」

最原「……怖かったね」

真宮寺「風に煽られて生きている気がしなかったヨ」

春川「この雨の中で話するのは止めない? とっとと目の前の屋敷の中に入ろうよ」

真宮寺「それもそうだネ。じゃあ、早速乗り込むとしようか……!」

最原(……屋敷の前には黒塗りの車が一台止まっている。既に先客であり、第一発見者でもある警察官が居るってことか……)


6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:43:56.73 ID:BtYFcBoE0

――屋敷内

最原「ごめんくださ~い、誰か居ませんか?」

男性「むっ!? な、なんだ!? 君たち、この雨の中どうやってここに……?」

女性「ここまで歩いて来られる距離でも無いでしょうに……でも、この雨の中に放り出すのは可哀想ね。待ってて、今タオルを持って来てあげる」

男性「……雨宿りするのは良いが、あまりうろちょろするなよ? 今、この屋敷の中では大変な事があってだな……」

最原「その大変な事って、殺人事件ですか?」

男性「!?」

真宮寺「その反応を見るに、ビンゴみたいだネ」

男性「な、なんだ? お前たちは、一体……?」

最原「……僕の名前は最原終一、『超高校級の探偵』です。依頼人、赤松楓さんの無実を晴らすべく、調査にやって来ました」


7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:45:36.74 ID:BtYFcBoE0

――夜、屋敷内……

王馬「何とか事件現場には辿り着けたみたいだね。こっちも赤松ちゃんと面会して、情報を引き出せた所だよ!」tel

最原「ありがとう、王馬くん。こちらも現場にいた人たちからある程度の情報を聞くことが出来た。整理の為にも、今回の事件のあらましを話し合ってみよう」

王馬「OK! んじゃ、早速始めようか!」

――被害者と発見者たちについて

・被害者は音楽プロデューサーの『田所学』。三日ほど前から行方が分からなくなっており、知人が行方を追っていた。最後に連絡を取ったのは同業者である男性であり、電話で仕事の内容を話した。

・死体の第一発見者は警察官の『白石純一』。友人である『渡辺さゆり』と共に被害者の行方を追ってこの屋敷までやって来た。

・この屋敷の鍵を持っているのは被害者と渡辺さゆりのみ。特に決まりも無く、二人は別荘を自由に使っていた。

――事件概要

・死体の発見場所は屋敷の地下倉庫。被害者は床に倒れ、手に紙とペンを握っていた状態で亡くなっていた。

・地下倉庫は鍵がかかっており、内側からは開けられない様になっていた。

・被害者の後頭部には傷があった。近くに落ちていた鉄製の金庫に血痕が付着しており、犯人はこれで被害者を殴ったと考えられる。しかし、被害者の死因は倉庫内の酸素を使い切った事による窒息死。

・詳しい調査はまだだが、以上の状況証拠から犯人は『倉庫におびき寄せた被害者を殴り、気絶させた所で倉庫の鍵を閉めて監禁し、窒息死させた』と思われる。

・倉庫には窓も電気も無く、もしも被害者がいきなり襲われたとしたら気が付かなかった可能性も高い。つまり、女性でも犯行は可能。


8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:46:16.94 ID:BtYFcBoE0

――赤松楓について

・三日前、赤松楓は被害者と会う約束をしていた。彼のプロデュースを受け、ピアノのコンサートを開催する予定があり、その打ち合わせとしてこの館で会うはずだった。

・しかし、彼女は「約束の日に被害者とは会えなかった」と供述している。以下は赤松楓の供述を抜き出したものである。

「三日前の午後4時頃、私は確かにあの屋敷に行きました。でも、チャイムを鳴らしても誰も出て来なくって……田所さんの携帯電話に連絡をしたんですけど、それも繋がらなかったんです」

「人気のない山の中だし、外はどんどん暗くなって来るし……申し訳なく思ったんですけどこのままじゃ不味いと思ったので、来る時に使ったタクシーにもう一度連絡を取って、街に引き返しました」

・被害者の所属事務所も赤松からの連絡を受けており、そこから彼の行方不明が発覚した。

最原「……って、所だね」

王馬「つまり被害者は、赤松ちゃんと会う為にこの屋敷にやって来た。そこで何者かに地下室で殴られて、そのまま監禁されちゃったって訳だ」

最原「警察はその犯行を行ったのは赤松さんだと疑っている。確かにそう考えるのが自然かもしれないけど、決定的な証拠が無い以上は早計だと言う他無いよ」

王馬「って事はさ……もしかしたら何かあるのかもしれないよ? 赤松ちゃんを犯人だと断定する、とんでもない証拠がさ……!」

最原「………」

王馬「……ねえ、もしも本当に赤松ちゃんが人殺しだったらどうする? 最原ちゃん、現実を受け止められる?」

最原「ありえない、絶対に。赤松さんは人を殺す様な人間じゃ無い」

王馬「わっかんないよ~? 俺も最原ちゃんも、赤松ちゃんの全てを知っている訳じゃあ無い。もしかしたら、赤松ちゃんも何か秘密があったりして……!」

最原「……それでもあり得ない。赤松さんは、人殺しなんか絶対にしない」

王馬「………」


9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:46:49.88 ID:BtYFcBoE0

最原「……皆と出会う前にとある事件で心を傷つけた僕の事を励まして、前を向かせてくれたのは赤松さんなんだ。優しくて温かい彼女が人の命を奪う様な真似をする訳が無い……だから、僕は赤松さんの無実を信じてる! そして僕が必ずそれを証明してみせる!」

王馬「ふ~ん……そこまで言い切れちゃうんだ。なら、俺も最原ちゃんに協力しようかな! 大ピンチからの大逆転なんて面白そうな事、俺が放って置くわけにもいかないしね!」

最原「うん、ありがとう……こっちも捜査を開始してみる。王馬くんも何か分かったら連絡を頂戴」

王馬「おっけ~! そんじゃ、そっちも頑張ってね!」ピッ!

最原「……良し、捜査開始だ! 絶対に赤松さんの無実を証明する証拠を見つけ出してみせるぞ!」

春川「いつになく気合入ってんじゃん。私たちも出来る限りの協力はするよ」

真宮寺「冷静に、落ち着いて証拠を探そう。大丈夫、必ず突破口は見つかるヨ」

最原「ありがとう、二人とも……よし、じゃあまずは……」

白石「ちょっと待て! 勝手な真似は許さんぞ! 事件の調査は警察の仕事だ、子供たちには引っ込んでいて貰おうか!」

真宮寺「……お気持ちは分かりますが、超高校級の学生たちには『正当な理由があって自分の才能を発揮する場合に関してのみ、超法規的な措置が取られる』と言う事はご存知でしょう? この事件の調査依頼を受けた最原くんは、警察の妨害無く調査をすることを認められている筈です」

白石「だとしてもだ! お前たちは事件の容疑者の友人じゃあないか! もしも調査の過程で赤松楓に不利な証拠を発見した場合、それを破棄する可能性だってあり得る! その可能性がある以上、俺はお前たちの調査を許可する訳にはいかん!」

春川「……どうする? 調査の邪魔をする男を排除する、って名目で、私の才能を使おうか?」

最原「いや、そんなことをしても意味無いよ。そもそもこの状況じゃあ、もしも赤松さんの無実を証明出来る証拠を発見したとして、それを僕たちが捏造したと疑われたらお終いだ」

真宮寺「必要なのは第三者の目、ってことかな?」

春川「それじゃあどうするつもり?」

最原「……白石さん、僕たちと一緒に調査をしてくれませんか? あなたは既に終えたことかもしれませんが、僕たちと一緒なら新しい発見があるかもしれません。それに、僕たちが怪しい行動をしていたらすぐに分かる。問題点の解決にもなります」

白石「……ほぅ?」

最原「人数に不安があるのなら、渡辺さんも一緒に居て頂いても構いません。5人全員で動けば、誰かが証拠を隠滅することは不可能になりますからね」

白石「……良いだろう。その条件を飲んで、一緒に捜査をしてやろう。しかし、妙な動きをしたら、即刻打ち切りだからな!」

春川「アンタが妙な口出しして来たら、こっちは打ち首にしてあげるよ」

最原「は、春川さん、喧嘩しないでよ……白石さんは警察官で、調査に協力してくれるんだからさ」

白石「ふん、生意気なガキどもめ!」

最原「はぁ……じゃあまずは、事件現場の調査と行きましょうか」

真宮寺「地価の倉庫だネ? 早速行ってみよう」


10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:48:20.84 ID:BtYFcBoE0

――地下倉庫

春川「うわ、真っ暗。廊下からの明かりか、懐中電灯が無きゃ何も見えないね」

白石「地下倉庫だからな、暗いのは当たり前だろう」

真宮寺「……分かってたことだけど、遺体もそのまま放置してあるんだネ」

白石「警察の到着もまだだからな。当たり前だ」

渡辺「ず、随分と散らかっていますね……田所さん、犯人と激しく争ったのかしら?」

白石「いいえ、渡辺さん。犯人である赤松楓は、後ろから田所を襲って一撃で気絶させたんです。これは、目を覚ました田所が自分が閉じ込められている事に気が付いてパニックになり、部屋を散らかしてしまったのでしょう」

渡辺「ああ、そう言えば……白石さん、先ほどもそうおっしゃってましたわね。うっかりしてましたわ……」

白石「こんな状況に陥れば混乱するのは当たり前です。お気になさらずに」

春川(あの刑事、私たちの時とは随分と態度が違うじゃん)

真宮寺(僕たちが嫌われてるか、彼女が好かれているか、もしくはその両方だろうネ)

最原「……後頭部を殴った凶器はこの金庫か。確かにこのサイズなら簡単に持てて、重量もそれなりにある。人を気絶させるのは訳無いだろう」

白石「ふん! まあそう言う事だ。犯人である赤松楓は、この凶器を使って被害者を殴り、気絶させたのだろう。状況的に見て間違いない!」

最原「……次に行きましょう。田所さんの荷物を調べないと」


11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:50:54.34 ID:BtYFcBoE0

――二階、客間

白石「ほれ、これが田所の荷物だ。好きに調べて良いが、妙な真似はするなよ」

春川「いちいちうるさいな、わかってるって……」

白石「何だと!? 口のなっていないガキめ!」

最原「バッグの中身は……手帳に財布、携帯電話にキーケースか……まずは手帳から調べよう」

真宮寺「……中身を見る限り、結構几帳面な人だったみたいだネ。予定がしっかりと書かれてる」

最原「事件当日の予定を見てみようか」

〇月×日 

9:00 Bと仕事の打ち合わせ(電話)

12:30 Wと食事

16:00 別荘にてRと仕事の打ち合わせ

最原「……こんな感じだね。会う相手はイニシャルで書いてあるみたいだけど……」

春川「王馬の話だと、事件当日の4時頃に赤松はこの屋敷に来たんでしょ? なら、Rが赤松なのは間違いない筈だよね?」

真宮寺「ふむ……AKAMATU KAEDE……どこにもRの文字は無いヨ?」

最原「何かの暗号なのかな……?」

渡辺「あ、あのぉ……」

最原「ん? どうかしましたか?」

渡辺「実は、田所さんは結構なプレイボーイで、色んな女性にちょっかいを出していたんです。だから、浮気がバレない様に手帳に書く名前も暗号めいたものにしているんだと思います」

春川「うわ、最低……」

真宮寺「ククク……罪を隠す為に努力する、素晴らしい事だネ……! それこそが人間の浅ましさであり、美しさでもあるんだからサ……!」


12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:51:20.79 ID:BtYFcBoE0

最原「そうですか……まあ、名前の事は一度置いておきましょう。次は財布をっと……」

白石「中身をネコばばするなよ!」

最原「そんな事はしませんよ! 僕が見たいのは……おっと!?」ポロッ…

真宮寺「おや、何か落ちたみたいだヨ」

最原「ええっと、これは……っ!?」

真宮寺「……男性のマナーと言うべきものだネ。流石はプレイボーイ、どんな時でも準備は怠っていないと言う訳かな? ククク……」

春川「最原……まさか、これが見たかったって訳じゃあないよね?」ゴゴゴ…

最原「そ、そんなわけ無いでしょ! 僕が見たかったのはこっち!」

白石「レシートの束? そんなものを見つけてどうするつもりだ?」

最原「さっきの手帳を見るに、田所さんは几帳面な人の様でした。なら、きっと……あった! 事件当日のレシート!」

春川「なるほどね。それを見て、被害者の足取りを辿ろうって訳だ?」

最原「うん、そうだよ。さてと、レシートの内訳は……」

○○コンビニ

水 1本 120円

朝10時32分




〇×パーキングエリア フードコート

13時49分

かつ丼(大盛り)×1 690円

カツカレー×1    580円

ビール×1      300円

      


最原「……この二枚か。案外少ないな」

真宮寺「このレシートを見るに、田所さんは仕事での電話を終えた後、出かけた先のコンビニで水を購入した……」

春川「そして、ここに来るまでのパーキングエリアで食事を取ったって所かな?」

白石「ふん、下らん! これで何が分かったって言うんだ?」


13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:52:24.37 ID:BtYFcBoE0

最原「……次に行きましょう。携帯電話の通話履歴は……?」


――通話履歴

9:55分 青木 発

15:45分 ピアニスト 着

15:52分 ピアニスト 着

18:28分 ピアニスト 着

最原「……こんな感じか。このピアニストって言うのは、赤松さんだろうな」

渡辺「赤松さんも女性ですし、有名な方です。他の女性に浮気を疑われては困るので、こんな名前で登録したのではないでしょうか?」

最原「な、なるほど……」

真宮寺「……つかぬことをお聞きしますが、随分と田所さんの女性関係についてお詳しいのですネ? あなたは田所さんとそれほど深い親交がおありで?」

白石「お、おい、お前! なんて失礼なことを……!」

渡辺「うふふ……良いじゃ無いですか、白石さん。私たちが仲が良いのは事実でしょう?」

白石「し、しかしですねぇ……」

渡辺「……私と白石さん、そして無くなった田所さんの三人は、良くこの屋敷に集まってお酒を飲んだりしてたんです。最後に集まったのは一か月くらい前かしら? 不定期な集まりでしたが、色々な秘密をぶっちゃけてお喋りするのは本当に楽しかった……でも、もうそれも出来ないんですね……」

白石「………」

真宮寺「……心中、お察しします。不躾な質問でしたネ」


14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:53:10.82 ID:BtYFcBoE0

渡辺「良いんです。これも捜査に必要な事でしょうし……でも、何で田所さんは殺されてしまったんでしょう? 女遊びの派手な方でしたけど、そこまで恨みを買っていたんでしょうか……?」

白石「……さあ、どうでしょうな? もしかしたらあの赤松とかいう小娘を弄んで、それに逆上されて……」

春川「アンタ、いい加減にしなよ。まだ犯人だと断定しても居ないのに、赤松の事を好き勝手言って……!」

白石「ん? ああ、そうか……お前たちは見ていないんだっけな。赤松楓が犯人だと言う決定的な証拠を!」

最原「赤松さんが犯人だって言う、決定的な証拠!?」

白石「その通りだ! 一階の大広間にそれはある、見たければ見せてやるから、降りて来るんだな」

渡辺「そうですね……あれを見れば、皆さんも納得してくれるかと……」

真宮寺「……どうやら、無視出来ない情報が出て来たみたいだネ。最原くん、その証拠とやらを見せて貰おうじゃないか」

最原「うん……でも、その前にこのキーケースを調べてからにするよ。皆は先に下に行ってて」

白石「まあ好きに調べると良いさ! どうせ全部無駄なんだからな……」スタスタ…

春川「……アイツ、本当にムカつく。最原、下手したらもう一つ死体が増えるかもしれないってことだけは覚悟しておいて」スタスタ…

渡辺「……そのキーケース、恐らくこの屋敷の鍵も入ってると思います。でも、それ以外は私には分からないですね……」スタスタ…

真宮寺「先に行ってるヨ、最原くん……」スタスタ…

最原「………」

最原(渡辺さんの言う通り、キーケースにはこの屋敷の鍵と思わしき物と幾つかの鍵が入っている。でも、何の鍵かは分からないな……おや?)


15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:53:39.82 ID:BtYFcBoE0

最原「さっき落した避妊具の裏にもう一枚レシートが……? そっか、引っかかって一緒に落ちちゃったのか。どれどれ……?」

〇×パーキングエリア 食品売り場

ワイン×1   345円

牛乳×1    168円

チーズ×2   400円


最原「お酒とおつまみ? この屋敷で食べるつもりだったのかな? あれ、でもこれは……?」

春川「ちょっと最原、何やってんの? 時間かかり過ぎじゃ……あ」

最原「あ、春川さ……ん!?」

春川「アンタ、何でゴムを掴んでしげしげと眺めてるの? やっぱりそっちに興味があったって訳?」ゴゴゴ…

最原「ち、違うよ! これはその、事故みたいなもので……」アタフタ

春川「……あんまふざけないでよね? 殺されたいの?」

最原「ひ、ひーっ!?」ガタブル…


16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:54:46.31 ID:BtYFcBoE0

――一階 大広間

白石「随分と遅かったじゃないか。何をしていたんだ?」

最原「え、ええ……まあ、ちょっと……」

春川「ふんっ!」

白石「……そっちの事情には興味は無いが、お前たちが知りたがっている事を教えてやろう。そして、赤松楓こそが犯人であると言う事を認めるが良いさ!」

真宮寺「赤松さんが犯人であることを指し示す決定的な証拠……それは、一体何なんです?」

白石「それは……これさ!」つ楽譜

春川「これは……楽譜? これの何処が決定的な証拠なわけ?」

最原「……!? 待って! この楽譜、歌詞の部分に〇が付いている……!?」

白石「こいつはあの地下倉庫にあった楽譜の一つだ。遺体となった田所の手に握られていた物で、反対の手には奴が常に所持していたペンも握られていた」

真宮寺「……つまり、この〇は田所さんが書いた物だと?」

白石「その通りだ……さて、その楽譜の〇が書かれた部分を読んでみろ、何と書いてある?」

春川「か……え……で……? 『かえで』……!? 赤松の、名前……?」

白石「そう! 田所は最後の最後で犯人の名前を残していたのさ!」

真宮寺「ダイイングメッセージ……! 赤松さんを指し示すこの楽譜が、決定的な証拠……!」


17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:56:20.89 ID:BtYFcBoE0

白石「どうだ? ぐうの音も出まい? 状況的証拠とこのダイイングメッセージが、赤松楓の犯行を証明しているんだよ!」

最原「ぐっ……!!」

白石「……これ以上の捜査は無意味だ。無用な混乱を避ける為、お前たちにもじっとしていて貰おう。赤松楓の有罪の証拠は、これから大量に警察が見つけ出すさ」

最原「………」

――数時間後、食堂

春川「……まさか、あんな証拠があるだなんて……」

真宮寺「真犯人へ続く手がかりも無い、突破口も見えない、おまけに強力な証拠品まで存在しているとは……状況は絶望的だネ」

春川「……でも、諦める訳にはいかない。赤松の為にも、私たちが無実の証拠を見つけ出さなきゃ!」

真宮寺「……春川さん、僕が思っていたよりも友達思いなんだネ。認識を改めなきゃならないかな?」

春川「なにそれ? どう言う意味……? あんまり良い意味じゃ無さそうなのは分かってるけどさ」

真宮寺「気にしないでヨ。それより、この事件について考え直さなきゃ」

春川「そう、だね……最原、アンタはどう思ってる訳?」


18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:57:28.96 ID:BtYFcBoE0

最原「……でも、あれが……その場合、それが矛盾してて……」ブツブツ…

真宮寺「……最原くん?」

最原「……だとしたら? でも、それだと……」ブツブツ…

春川「ああ、また始まった……最原、しっかりするっ!」ガオー!

最原「わぁぁっ!? ……あ、ごめん、ちょっと考え事に集中してて……」

春川「見れば分かるよ……まったく、アンタってそう言う所あるよね」

最原「あはははは……」

渡辺「……随分と仲がよろしいんですね」

真宮寺「おや? 渡辺さん? 僕たちに何か……?」

渡辺「いいえ、特に用って訳では無いのですが……仲良くしている三人を見たら、つい声をかけたくなってしまって……」

最原「……その、渡辺さん、申し訳無いんですが、あなたが田所さんの遺体を発見するまでの経緯を教えて下さいませんか?」

渡辺「えっ……? か、構いませんけど、それなら白石さんの口から聞いた方が良いのでは無いでしょうか? 私は、ほぼ捜査には関わっていないですし……」

最原「お願いします、あなたの目や耳で感じた事がこの事件の裏面を見せてくれるかもしれない……それが、赤松さんの無実の証明に繋がっているかもしれないんです」

渡辺「……信じているのね、その子を……なら、私も少しは協力させて頂くわ。あまり役には立たないでしょうけれどもね」

最原「あ、ありがとうございます!」


19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 14:58:05.31 ID:BtYFcBoE0

渡辺「……私が田所さんを探し始めたのはつい昨日の事よ。彼と連絡が繋がらず、行方も分からないとの事だったから心配になったの。それで、警察である白石さんに協力して貰って彼を探し始めたの」

最原「それで?」

渡辺「彼の良く行く場所を調べたんだけれども、足取りが一切つかめなくて……そんな時、白石さんが言ったの、この屋敷に来てるんじゃないかって……私と田所さんがこの屋敷の鍵を持っている事は知ってたし、ここにやって来た田所さんが何かトラブルに巻き込まれたんじゃないかって白石さんは考えたみたい」

春川「それで、その言葉に従ってここに来たと」

渡辺「ええ……白石さんの運転でここまでやって来た私たちは、鍵を彼に渡して先に中に入って貰ったわ。そして、私が一階、白石さんが地下を調べていて……」

真宮寺「……亡くなった田所さんを見つけたと言うことですネ?」

渡辺「……田所さんが地下で死んでいたと聞いた時はびっくりしたわ。しかもそれが、殺人だったなんて……私、もうショックで……」

真宮寺「……死体の第一発見者は白石さんのみ、あなたは彼に田所さんが死んでいると聞かされた後で遺体を確認したと?」

渡辺「……まだはっきりと思い出せます。あの地下室の中、頭から血を流して倒れている田所さんの姿を懐中電灯の明かりが照らし出した瞬間を……! 私、そこで力が入らなくなって、それで……」

最原「後の事を白石さんに任せ、あなたは休んでいた……それが、この事件が発覚するまでの経緯……」

渡辺「そう言う事です……ごめんなさいね、やっぱり役には立てなかったでしょう?」

最原「そんな事はありませんよ、お陰で分かった事が――」

白石「お前たち、何をしている!?」

三人「!?」


20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 15:00:28.19 ID:BtYFcBoE0

渡辺「し、白石さん!?」

白石「お前たち……まさか、性懲りも無く捜査を続けていたのか!? 渡辺さんに妙な事はしていないだろうな!?」

渡辺「この子たちは何もしていません! 私が、事件について話していただけで……」

白石「お前ら、渡辺さんにストレスをかける様な真似をするんじゃない! 渡辺さん、大丈夫ですか!?」

渡辺「大丈夫ですよ、何も心配は要りません」

白石「そんな事言って、顔が真っ青じゃありませんか! 確か冷蔵庫に牛乳があったはずだ、それを温めて飲みましょう。温かいものを口にすれば気分だって落ち着くはずです」

渡辺「白石さん、そんな事しなくても……」

白石「ええっと……マグカップは何処だったかな? ええい、食器のある場所が思い出せんぞ……!」

最原「あ、あの……すいませんでした、勝手な真似をして……」

白石「まったくだ! ……警察官として、貴様らにうろちょろされるのは困るんだ。大事な証拠を壊されたり、破棄されたりしたら敵わんからな!」

渡辺「白石さん、この子たちも友達の為に一生懸命なだけであって、悪気は無いんですよ」

白石「だとしても、現場の保存に努めるのが自分の使命です! ……どんな意図があれ、事件現場にもしもの事があったら困ります。だから彼らにはじっとしていて欲しいんですよ」


21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 15:01:02.43 ID:BtYFcBoE0

渡辺「もう……少し落ち着いて下さい。私は大丈夫ですから、大広間の方で気を静めて下さいよ」

白石「……分かりました。ですが、渡辺さんも一緒に来てください。彼らと一緒に居られると気が気でないんですよ」

渡辺「仕方が無いですね……では皆さん、私たちは向こうに行ってますね。また後で……」スタスタ…

春川「……ホント、ヤな奴。あそこまで目の敵にすること無いじゃん……二人もそう思わない?」

真宮寺「……不可解だ」

春川「は?」

真宮寺「……振り返ってみれば、どう考えてもあの人物のあの行動は不可解に思える。何でだ? どうしてだ? 何故、あんな真似を?」

春川「し、真宮寺……? アンタ、どうしちゃったの?」

最原「……そう言う事なのか?」

春川「!?」

最原「辿れ……一連の道筋を……! その果てには何が見える? どうすれば、全てのピースが組み合わさる?」

春川「最原まで! 何? どうしちゃったわけ!?」

真宮寺「違和感の果てには隠されている真実がある。その心の裏側を探ること、それが真実を見つけ出す最良の道……」

最原「!?!?!?」


22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 15:01:38.31 ID:BtYFcBoE0

最原(……そうか……そうだったのか! なら、あのメッセージの意味は大きく変わる! あれこそが、真犯人を追い詰める最大の武器になるんだ!)

最原(間違いない、犯人はあの人だ! 全ての事実がそれを物語っている!)

春川「さい、はら……? 何か分かったの?」

最原「……全てがわかった。犯人も、その犯行方法も……全て理解出来たよ」

真宮寺「僕の方も一応、疑問に答えは出たヨ。それがどんな意味を持つかは分からないけどネ」

春川「嘘でしょ!? 犯人が分かった!?」

最原「……この事件は、犯人にとって予想外の結末によって起きたものだったんだ。だからこそ犯人はミスを犯した……決定的な証拠、田所さんのダイイングメッセージがそれを物語っている!」

春川「赤松の名前が記されていたあの楽譜が、真犯人を指し示す証拠……? どう言う意味なの?」

最原「……全てはこの後、全員が揃った時に話すよ。僕たちも大広間に行こう」

春川「う、うん……分かった……!」

真宮寺「………」


――――――――――


23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/27(火) 15:02:19.54 ID:BtYFcBoE0

真宮寺「……ここまでが事件の概要のお話。どう? 少しは楽しめたかな? ……え? 何でここで区切るのかって? それはほら、話している間に良い時間になったからサ。良い子は眠る時間、話の続きはまた今度ってことで……ネ?」

真宮寺「そうだ、どうせなら君たちに問題を出そうか? 問題は、そうだなぁ……うん、決めたヨ」

真宮寺「問題は全部で3つサ。1つ目は当然、『この事件の犯人は誰か?』 と言う物……当てずっぽうでも2分の1だから、これは勘でも当てられちゃうよネ? だから、次の問題と行こう」

真宮寺「2つ目の問題は、僕が感じた違和感こと『犯人がしてしまった不可解な行動は何?』だ。捜査の時、犯人は初歩的なミスをしてしまった。それが故に僕は軽い違和感を感じてしまったんだよネ」

真宮寺「……そして、最後の問題サ。『田所さんのダイイングメッセージは、何を意味している?』……この問題が解けた時、君たちは真の意味で犯人を見つけ出す事が出来る筈サ。当てずっぽうでも何でもなく、はっきりとした証拠がここに残っているんだからネ……!」

真宮寺「では、ヒントを一つ差し上げよう。ヒントは……話を始める前に僕が語っていた『手紙』についての話の中にあるヨ。よ~く考えて、答えを導いてネ……それじゃあ、またネ……!」


30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:30:11.34 ID:jvD/82DV0

ここから解答編


31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:30:49.38 ID:jvD/82DV0

白石「……おい、どう言うつもりだ? 私たちを集めて、何をしたいんだ?」

最原「……この事件の全てを解き明かすんですよ、白石さん」

白石「全てだと……? 何を言っているのか分からないが、犯人は赤松楓で決まりだ! これ以上の答えなんて……」

最原「あるんです。この事件には、文字通り裏側に隠された事実が残っている……これから僕が、その事実を明かしていきます」

白石「何だと……?」

渡辺「隠された真実ですって……? でも、田所さんのダイイングメッセージは赤松の事を指しているんじゃあ……?」

最原「……それら全てを含めて、もう一度この事件をおさらいしてみましょう。まずは、事件当日の田所さんの行動を考え直してみるんです」

渡辺「田所さんの、行動を……?」

白石「考えるまでも無い。田所はこの屋敷にやって来て、赤松楓と会った。そこで何らかのトラブルが起き、彼女によって殺害されてしまったんだ!」

最原「いいえ、違います。少なくともその説明じゃ納得出来ない部分があるんですよ」

白石「なんだとぉ……?」


32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:31:44.14 ID:jvD/82DV0

最原「……最初に僕が疑問に思ったのは、『この屋敷の周囲には車が一台しか無かった』と言う事なんです」

渡辺「え? それが、どうか……?」

春川「あ、そっか……確かにおかしいね……!」

渡辺「え? え?」

真宮寺「……渡辺さん、この屋敷の立地について考えてみて下さい。この屋敷は山奥にあり、到底徒歩ではやって来れる場所では無い。当然、あなたと白石さんも車でここにやって来た。外に泊まっている車はあなた方のどちらかの車でしょう?」

渡辺「え、ええ……あの黒い車は、白石さんの物ですが……」

真宮寺「では、それを前提にして考えてみて下さい。『田所さんはどうやってこの屋敷に来たのでしょうか?』」

渡辺「え? そんなの車に決まって……あっ!?」

真宮寺「どうやらお気づきになったようですネ」

最原「そうなんです……何らかの乗り物を使ってしか来れないこの館には、田所さんの物と思わしき車は無かった。彼が車でここまでやって来たのならば、その車は何処に行ってしまったのでしょうか?」

白石「た、確かにそうだ……! し、しかし、犯人が乗って行ったと言う可能性も……」

最原「その犯人が赤松さんだと言うのなら、その可能性はあり得ません。彼女はタクシーを使ってこの屋敷から帰っている。それはタクシーの運転手も証言してくれるでしょう」

渡辺「な、なら……車は一体何処に行ってしまったのかしら?」


33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:32:54.64 ID:jvD/82DV0

最原「……その答えを導く手がかりは、このレシートの中にありました。これをよく見て下さい」

春川「これ、事件当日の被害者が食べた昼食のレシートだよね? えっと……」

最原「……注文内容を見ればすぐに分かります。田所さんは、普通に考えてあり得ない物を頼んでいるんです」

春川「えっ? 普通に考えてあり得ない物……?」

真宮寺「……ビールだヨ」

渡辺「!?」

最原「……このレシートはパーキングエリアのフードコートの物です。つまり、田所さんは車に乗ってここまでやって来たのに、ビールを注文している……これは普通に考えてあり得ない事でしょう」

白石「た、確かにそうだ。そんな事をすれば、飲酒運転になってしまう」

最原「しかし、確かに彼はこうしてビールを頼んでいる。どうして彼はこんなことをしたのでしょうか?」

渡辺「……もう一人、居た……!」

春川「そ、そっか! 被害者は、誰かもう一人の運転を代行する人間と共にこのパーキングエリアにやって来ていた! 自分は運転してないから、お酒を飲むことが出来たんだ!」

真宮寺「その通りサ……そして、これによって最初の疑問の答えも出る。何故、この場に田所さんの車が無いのか? その理由は単純明快で、『元々、彼の車はこの屋敷に無かった』からと言う事になるのサ」

最原「……この事件にはもう一人の容疑者が居る。その人物こそが、田所さんの命を奪った殺人犯なんです!」


34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:34:00.95 ID:jvD/82DV0

白石「もう一人の容疑者だと……? だ、だが、それでもまだはっきりとした証拠はない! 未だに赤松楓の容疑が晴れた訳では無いんだ!」

最原「……かもしれません。しかし、まずはこの犯人と思われる人物の行動について考えてみましょう。そうすれば、見えて来る物がある筈です」

春川「そうだね、そうしよう。えっと、じゃあまず犯人は……」

最原「……犯人は、田所さんと会ってこの屋敷に来る様に誘導した。恐らく、『屋敷の地下倉庫に探し物がある』とでも言ったのでしょう。自分の車に田所さんを乗せた犯人は、途中のパーキングエリアで食事を取った後、この屋敷に辿り着いた」

渡辺「そうして田所さんを地下倉庫におびき出して、頭を殴った……!」

最原「……いいえ、違います。犯人は『田所さんを殴ってなんかいない』んです」

春川「えっっ!? な、なんでよ? 確かに被害者の後頭部には殴られた跡があったし、凶器だって……!」

最原「春川さん、少し考えてみてよ。もしも春川さんが犯人だったとして、あの状況で田所さんをそのままにしておくかい?」

春川「……あっ!!」

白石「ど、どう言う事だ?」

春川「そうだよ……もしも犯人が本気なら、被害者をそのままにしておくはずが無い! そんな悠長なことをする必要なんて無いんだよ! だって相手は気絶してる! なら、そのままトドメを刺しちゃえば良いんだから!」

渡辺「あっっ! た、確かに……!」

真宮寺「……この屋敷は山の中にある。遺体を隠そうと思えば幾らでも方法はある筈だ。なのに、犯人はわざわざ遺体が発見されてしまう『地下倉庫での窒息死』と言う方法を選んだ。目の前に気絶した殺害対象が居るのにも関わらずにだ」

最原「このことから導き出される結論は一つ、『犯人は田所さんを殴らず、そのまま地下倉庫に監禁した』と言う事なんです。その方法だって幾らでもある。例えば、『自分が扉が閉まらない様に抑えておくから、その間に頼んだ物を探して欲しい』と犯人が言えば、田所さんは何の疑いも無くその言葉に従ったでしょうからね」


35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:35:30.80 ID:jvD/82DV0

渡辺「で、でも、何で犯人はそんな真似を……?」

春川「……事故に見せかけようとしたんだ! 犯人は、被害者が地下倉庫に行った時に何らかの手違いで扉が閉まってしまったと思わせたかった! あの扉は外からしか開かないから、事故にも十分に見える! そうすれば、殺害事件を完璧に隠蔽出来る……! だから、敢えて犯人は被害者に何も手を出さなかったんだよ!」

最原「その通りだよ、春川さん。なんの外傷も無く、十分に事故となり得る状況に置かれたこの遺体を見れば、警察だってこの事件をまさか殺人だとは疑わないだろう。だから、犯人はただ田所さんをこの倉庫に閉じ込めるに留めたんだ」

白石「だ、だが……田所の遺体には殴られた跡があった! それはどう説明するつもりだ!?」

最原「……その答えを出す前に、田所さんを倉庫に閉じ込めた犯人について考えてみましょう。その候補は一人しか居ません」

真宮寺「田所さんの手帳に書かれていた『W』と言う人物……田所さんが赤松さんと会う前に食事をするはずだったその人物こそが、最も犯人である可能性が高い」

春川「そっか、食事の予定があるのなら、何の問題も無く被害者と会える。そこで屋敷に行くように誘導だって出来るもんね……」

最原「なら、そのWとは誰なのか? ……その答えは実に単純です。田所さんの手帳と携帯電話を見ればすぐにわかる」

真宮寺「赤松楓はRと呼ばれ、そして朝に被害者が電話した相手は青木さん……その人物の事を田所さんはBと表記していた。ここまで言えば、もう分かるよネ?」

春川「赤松の『赤』=RED! そして、青木の『青』のBLUE! あのアルファベットは、名前の中にある色の頭文字だったんだ!」

渡辺「え……? と、言う事は……?」

最原「……Wを頭文字とする色は、WHITE……つまり、『白』です。なんの偶然か、被害者と面識があり、そして白の文字を名前に持つ人物がこの場にいます」

春川「し、『白石純一』……!」

最原「そう……田所さんを殺害し、その罪を赤松さんになすり付けようとした真犯人、それは白石さん、あなただ!」


36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:42:57.08 ID:jvD/82DV0

白石「な、な、な……!? 何を馬鹿なことを!? 私が犯人だと!? そんな事、ある筈が無い!」

春川「でも、状況証拠は全てアンタが犯人だと指し示してる! 観念しなよ、白石!」

白石「そ、そんなもの、あくまで状況証拠だ! 私が犯人だと言う証拠は無いし、そもそも私はこの屋敷に来るのは久しぶりで……」

真宮寺「おっと、その嘘は通りませんヨ。あなたはごく最近、この屋敷に来た事がある筈サ。じゃなきゃ、あの行動はおかしすぎる」

白石「お、おかしい行動……?」

真宮寺「……僕たちが渡辺さんに食堂で話を聞いていた時、あなたは彼女にホットミルクを飲ませようとしていた……彼女を落ち着かせる為にネ」

白石「そ、それの何処がおかしいんだ? 人を落ち着かせる為に温かい物を取るのは、ごく自然な行動なはずだ!」

真宮寺「違う、違う、そこじゃあ無いんですヨ……僕が疑問に思ったのは、『この屋敷に久々に来るあなたが、何故冷蔵庫の中に牛乳があると言う事を知っていたのか?』という点なんです」

白石「っっ!?!?」

真宮寺「……この屋敷を久しぶりに訪れ、食器類の在処も把握していないあなたが、何故冷蔵庫の中身を知っていたんですか? ……ああ、念の為に冷蔵庫の中身を事前に調べていたと言う言い訳は通りませんヨ? あなたは、明らかに丁寧に接している渡辺さんに対して、『何時買って来たか分からない牛乳』の賞味期限も確認しようともせずにそれを勧めたんです。まるで、冷蔵庫の中に入っているのは、つい最近買って来たばかりの飲み物だって知っている様にネ……!」

白石「う、う……」

真宮寺「……殺人事件の起きた場所で何の関係の無い食堂の冷蔵庫の中身をピンポイントで調べると言うだけもおかしいのに、まさか中の牛乳の賞味期限までつぶさに調査していたなんて事……ありませんよネ?」

最原「これは、最初の調査の時には発見出来なかった田所さんのレシートです。避妊具と一緒に落ちていたのを僕が発見しました。これには、ワインと牛乳をパーキングエリアで購入したことが記されています」

真宮寺「……あなたは知っていたんでしョ? この屋敷にある牛乳が、三日前に田所さんが購入した新しめの物であると言う事を……何故なら、自分もその場に居たからネ」

最原「先ほど真宮寺くんが指摘した行動とこのレシート、そして手帳に書いてあったWの文字があなたと田所さんが一緒にこの場に来たことを証明しています!」

春川「もう言い逃れは出来ないよ! 自分の罪を認めなっ!」


37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:44:05.53 ID:jvD/82DV0

白石「う、ぐぐ……ぐぐぐぐぐぐぐ……!!」

渡辺「し、白石さん……!?」

白石「ぐぐぐぐぐぐ……ぐわーっはっはっは! 何を言うかと思えば、そんな妄想を繰り広げやがって! ……そんな物、どうとでもなる話だ! 偶然が重なっただけという事もある! 決定的な証拠は無いじゃあないか!」

春川「この……っ! 往生際が悪い……!」

白石「何とでも言え! それに、忘れたのか? こちらには、赤松楓が犯人であると言う決定的な証拠があるんだ! 田所が残したこのダイイングメッセージがな! これがある限り、赤松楓の容疑は決して晴れは……」

最原「……逆、ですよ」

白石「……は?」

最原「逆です。そのダイイングメッセージは、はっきりと犯人であると言う事を証明しているんです。それこそが、あなたの罪を浮き彫りにする、最強の証拠なんですよ!」

白石「な、何を言っているんだ! この楽譜には、『田所が書き残した』か・え・での文字があるんだぞ! これこそが、犯人を指す決定的な……」

最原「それは違うぞ!」BREAK!!

白石「!?!?!?」


38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:44:57.36 ID:jvD/82DV0

最原「……白石さん、あなたは今、田所さんがこのダイイングメッセージを書き残したと言っていましたね? しかし、それは違うんです。田所さんには、そんな事出来る筈が無いんです!」

白石「ば、馬鹿な!? 何を証拠にそんなことを……?」

最原「……考えてみて下さい、あの地下倉庫は窓も明かりも無く、扉を閉め切れば闇に支配されてしまいます……そして、田所さんは懐中電灯や明かりの代わりになる様な物を所持していなかった。つまり……『あの部屋の中に閉じ込められた田所さんが、楽譜に書かれた「かえで」と言う小さな三文字を見つけ出して、〇で囲むことなんて出来やしないんです!』」

白石「あ、あ……あぁぁぁぁぁぁぁっっ!?!?」

最原「……つまり、あの「かえで」の文字は、赤松さんに罪を着せる為に真犯人が作り出した偽のダイイングメッセージと言う事! そして、そんな捏造行為が出来るのは、死体の第一発見者であり捜査を担当したあなただけなんです!」

真宮寺「なるほど……あなたは僕たちに対して、証拠の隠滅を警戒していましたが……自分が行った行為だからこそ、無意識の内に心理の中に擦り込まれてしまっていたんですネ。だからこそ、あんなにしつこく僕たちに注意をして来たという事ですか……」

白石「ぐ、ぐううぅぅっ! ぐわぁぁぁぁぁっっ!!」

春川「最原、今だよ! こいつにトドメを刺すんだっ!」

最原「ああ! この推理で、赤松さんの無実を証明してみせるっ!」


39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:45:40.51 ID:jvD/82DV0

~~クライマックス推理~~

最原「事件当日、犯人は田所さんを誘って屋敷まで出向く事にした。親しい友人の頼みを快諾した田所さんだったけど、相手が自分に殺意を抱いているなんて全く思ってもいなかったんだ」

最原「犯人の運転でパーキングエリアにやって来た二人は、そこで食事と買い物をした。運転をしていなかった田所さんはビールを飲み、ついでに牛乳を物販で購入した。その姿を見ていたからこそ、犯人は冷蔵庫の中身を知る事が出来たんだ」

最原「そうした後、犯人は田所さんとこの屋敷にやって来た。そして、彼を地下倉庫におびき出し、隙を見て閉じ込める事に成功した。その後は赤松さんがやって来る前にこの場から去り、そのまま3日の時を過ごした」

最原「……そして今日、犯人はこの屋敷の鍵を持つもう一人の人物である渡辺さんをつれて再びここにやって来た。そのまま地下室で田所さんの遺体を発見し、事故だと処理しようとした犯人だったんだけど……予想外の事が起きていたんだ」

最原「それは、田所さんの頭に殴られた跡があった事さ。これじゃあこの事件を事故として処理することは難しい、そう考えた犯人は、田所さんが手にボールペンと楽譜を握っている事を見て一計を案じた。咄嗟に楽譜の中にあった『かえで』の文字に〇をつけ、あたかも赤松さんを告発するかの様なダイイングメッセージを即席で作り上げたんだ」

最原「警察に連絡し、赤松さんが犯人であることを告げた犯人は、あとはただ待っていた。自分が罪を擦り付けた赤松さんが有罪になることを……だが!」

最原「無理に作り出した証拠が、逆に犯人を暴く決定的な証拠になってしまった! 何故なら、証拠の捏造を行えたのはたった一人だけだから!」

最原「そうでしょう? ……第一発見者、白石純一さん!」

白石「ぬ、ぐぅ……がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!??」


40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:49:03.20 ID:jvD/82DV0

最原「……罪を認めますね、白石さん……」

白石「くそっ、くそぉ……! あともう少しだったのに……! もう少しで、完全犯罪だったのに……!」

真宮寺「……その発言、自白と受け取らせて貰うヨ」

渡辺「し、白石さん、なんで……?」

白石「何で? ……その理由は、あなたがよくご存じでしょう?」

渡辺「っっ!?」

白石「……俺はあなたが好きだった! 愛していた! でも……あなたは、田所の口車に乗ってホイホイとアイツの女になってしまったんだ! でも、まだそれが真剣な交際なら許す事が出来た。なのに、なのに……アイツはっ!」

真宮寺「……勝手な予想で申し訳無いけど、田所さんは赤松さんにも手を出そうとしてたんじゃないかな?」

最原「えっっ!?」

白石「そうだよ……赤松楓だけじゃない、アイツは多くの女に手を出して、ちょっかいをかけていたんだ! 渡辺さんの事も遊びとしか考えて無かった。俺は……それが許せなかった!」

春川「……恋愛関係のもつれって言うか、怨恨って言うべきなのか……どっちにせよアンタも田所も最低だね、片方は女ったらしの屑野郎で、もう片方はそれを妬んだ人殺しだ」

白石「ふふふ……その通りさ。だが探偵くん、俺に感謝しろよ? 俺がアイツを殺さなきゃ、お前の大切な彼女は今頃アイツの女に成り下がって弄ばれてただろうからな……!」

最原「………」

白石「そこまで必死になれる大切な相手だ、しっかりと繋ぎ止めておけ……俺みたいには絶対になるなよ」

渡辺「し、白石さん……!」


41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:50:11.10 ID:jvD/82DV0

春川「……殺人犯の上、その赤松に罪を擦り付けようとした奴が言う台詞じゃないよね、それ」

白石「クハハ! またまたその通りだなぁ! ……ああ、しかし残念だ。地下室で田所を見つけた時、変にパニックにならなければこんなへまはしなかったものを……アイツは誰に殴られたんだ?」

最原「……いえ、たとえあなたが欲をかかずとも、あなたが犯人であることは明らかでした。田所さんは、しっかりとメッセージを残していたんですよ」

白石「なっ……?」

春川「被害者がメッセージを残していた……? でも、あの楽譜には何も書かれてなかったじゃない。書かれてたのは、真犯人である白石が捏造した丸印だけだったし……」

最原「……まず一つ目の疑問に答えましょう。田所さんの頭を殴った犯人は……他ならぬ『田所さん』自身なんです」

白石「!?!?!?」

最原「あの地下倉庫に閉じ込めた田所さんは考えた、このままでは自分は事故死と言う事で処理されてしまう。何とかして、真犯人を告発しなければならないと……だから、自分で自分の頭を殴り、あたかも誰かに殴られた後で倉庫に監禁された様に見せかけたんですよ」

春川「それは分かったよ。でも、あの楽譜の何処に白石の名前があるのさ? 目立った印も文字も、何も無いって言うのに……」

最原「白石さん、その楽譜は田所さんの遺体が握り締めていた物で、もう片方の手にはペンが握られていた。そうですね?」

白石「あ、ああ……その通りだが……?」

春川「ねえ、どう言う事なの? 教えてよ、最原!」


42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:51:18.55 ID:jvD/82DV0

最原「……そのダイイングメッセージが記されているのは表面じゃ無いんだ。本当に大事なのは、裏面なんだよ」

白石「う、裏だって……? 確かに田所の奴は、裏面を握り締めて死んでいたが……?」

春川「でも、裏面にも何も書かれてないじゃん! やっぱりダイイングメッセージなんて何処にも……」

真宮寺「……あァ、そうか、そう言うことなんだネ……!」

渡辺「えっ? 真宮寺さんには分かったんですか? 私には何が何だかさっぱりで……」

春川「……最原、詳しく説明してくれない?」

最原「うん、良いよ。……重要なのは、『何故、何も書かれていない楽譜を握り締めていたのか?』と言う事なんだ」

春川「???」

最原「……良い? 田所さんの手には紙とペンが握られていた。つまり、『何かを書こうと思えば書くことが出来た』状態だったんだ。なのに、楽譜には何も書かれていなかった……その理由を考えてみよう」

春川「……犯人に繋がる情報を知らなかったって言うのは無いよね? 名前も知ってるし、顔も知ってる訳なんだもんね……」

渡辺「書こうとしたけど力尽きてしまった……考えにくいですね。白石さんが〇を書けているんですから、インクは残っていたはずですし……」

白石「……くくく……あはは……そうか、そう言う事か! 確かにそうだ! アイツは俺のことを告発していたんだな!」

春川「えっ? な、なに? どう言う事?」

最原「……田所さんはね、『敢えて何も書かなかった』んだよ。それこそが犯人を指し示す最大の証拠になると理解してね……」

春川「わ、訳がわからないんだけど……?」


43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:52:09.15 ID:jvD/82DV0

最原「……春川さん、もう一度犯人の気持ちになってみようか? もしも春川さんが死体の第一発見者だとして、その手元に自分が犯人だと指し示すダイイングメッセージが有ったら、どうする?」

春川「え? そんなの、どうにかして隠すに決まってるじゃん……あっ!?」

最原「そう、そうなんだよ……この事件の犯人は、遺体の第一発見者でもあるんだ。だから、田所さんが何を書いても無駄だったんだよ。そして、田所さんはそれを理解していたんだ」

渡辺「わ、私にはまだわかりません。一体、どう言う事なんですか?」

最原「……白石さんに閉じ込められた田所さんには確信があったんです。数日後、自分の遺体を見つけに白石さんがこの場にやって来る。そして、事故死と断定するであろうことを……だから、彼は行動を起こした。事故死にならない様に自分の頭を近くにあった金庫で殴り、そして……紙とペンを握り締め、『敢えて何も書かなかったんです』。だって、何を書いても無駄だから。白石さんに繋がる何を書いても、自分の遺体を真っ先に見つけるのは白石さんだから。彼にとって都合の悪い証拠は全て破棄されてしまう、その事を理解していたからこそ、田所さんはあえて何も書かなかったんだよ」

真宮寺「そう……そして、それこそが田所さんのメッセージ……『この紙に何を書いても無駄なんだ。何故なら、俺の死体を見つけるのは、俺を殺した犯人だから……』この白紙の楽譜には、そんな田所さんのメッセージがしっかりと書かれていたんだヨ」

最原「だからどの道あなたは逮捕されていたんですよ、白石さん……」

白石「あはははは! 完敗だ! 恋愛でも、犯罪でも……俺はアイツに勝てなかったという事か! あははははははは!」


44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:56:08.23 ID:jvD/82DV0

――数日後、才囚学園にて……

赤松「皆、ただいま! そして本当にありがとう!」

最原「赤松さん! 良かった! 釈放されたんだね!」

赤松「最原くんたちのお陰でね! 無事に真犯人が自首して、私の容疑は晴れました!」

最原「良かった、本当に良かった……!」

赤松「……最原くん、真宮寺くん、それに春川さん、私の為に本当にありがとう! 皆がいなかったら、私……」グスッ…

春川「泣かないでよ、そんな顔されたら困るじゃん。最原だって、アンタ泣かす為に必死になった訳じゃないだろうしさ」

真宮寺「そうだヨ、赤松さん。最原くんは君の笑顔を取り戻す為に頑張ったんだ。その頑張りに報いる為にも、彼の前では笑顔でいて欲しいな」

赤松「……そうだね、そうだよね! 最原くん、ごめんね!」

最原「べ、別に、僕は気にして無いよ! 僕は、赤松さんの役に立てた事が嬉しいんだから! だって君は、僕の事を立ち直らせてくれた大切な人だから……!」

赤松「最原くん……!」

最原「あ、あのさ、赤松さん、僕は、君に言いたいことが……」

王馬「ちょっと待った~っ!!」

最原「!?!?」ビクッ!


45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 21:57:40.31 ID:jvD/82DV0

赤松「お、王馬くん!? 急に現れてどうしたの!?」

王馬「どうしたの!? じゃないよ! なんで俺には感謝の言葉は無しなのさ!? 俺も頑張ったんだよ? ヘリを出したり、あの手この手で赤松さんと面会できるようにしたりさぁ!」

赤松「あ……! ご、ごめん! ついうっかり、忘れてて……」

王馬「うわ~ん! 酷いよぉ~! 赤松ちゃんは俺のことなんてどうだって良いんだ! もう知らない! グレてやる~!」

赤松「ああ、ごめんごめん! 私が悪かったからさ! 機嫌を直してよ、ね?」

王馬「……ハグして」

赤松「え?」

最原「!?」

王馬「ハグして、そんでナデナデして。王馬くんは偉いね~! って言いながら、俺が良いって言うまでぎゅっとしてて」

赤松「ええ……で、でも……」チラッ…

最原「くっ……」ドキドキ…

王馬「うう、やっぱり赤松ちゃんは俺のことなんてゴミ屑ぐらいにしか考えて無いんだ! 絶対にグレてやるからな~っ!」

赤松「ああ、もう! 分かった! 分かったよ! ほらっ!」ギュッ!

最原「!?!?!?」


46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 22:00:20.94 ID:jvD/82DV0

赤松「よしよし……王馬くんは偉いね~、私の為に頑張ってくれてありがとね~……!」

王馬「えへへへへ~……あ~、赤松ちゃんの腕の中は温かいな~! 落ち着くな~!」

最原「う、うぅぅ……」

赤松「よしよし、よ~しよし……」

王馬「……にししっ!」ニヤリ

真宮寺「……ああ、可哀想に。一番頑張ったのに、一番おいしい所を王馬くんに持ってかれちゃったネ……」

春川「……王馬の奴、絶対わざとだよね」

王馬「にししししっ! 赤松ちゃん、もっともっと~!」

赤松「はいはい、仕方が無いなぁ……」

最原「グスン……酷いや……」

春川「………」

真宮寺「……まあ、仕方が無いサ。王馬くんが上手だったって事で……おや?」

最原「グスン……グスン……」


47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 22:04:30.20 ID:jvD/82DV0

春川「……最原、ちょっと」

最原「グスン……は、春川さん? なにか――」

春川「……ほら」ギュッ

最原「ふえっ!?」

赤松「!?!?!?」

最原「は、春川さん!? あ、あの……?」

春川「……最原、アンタはよく頑張ったよ。赤松の無実を信じて、それを証明する為によくやった。近くで見てた私は良く分かってるからさ……カッコ良かったよ、アンタ」

最原「!?!?!?」

春川「……ご褒美にランチ奢ってあげるよ。先に食堂行って、席取っててくれる?」

最原「え? あ、うん……あ、ありがとう……」フラフラ…

真宮寺「……おやおや、これは……?」

王馬「……へぇ、面白い事になってるじゃん……!」


48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 22:06:42.08 ID:jvD/82DV0

春川「……ねえ赤松、警告しとくよ」

赤松「な、な、な、何!?」

春川「最原の奴、今回凄く頑張った。アンタの為に必死になって推理して、無実を証明してみせた。でも、アイツはアンタから感謝されたいだとか、何か褒美が欲しいだとか考えてそうした訳じゃ無い。アイツは、アンタの為なら無償だとしても必死になれるんだよ」

赤松「う、うん……」

春川「……アイツは本当に良い奴で、アンタの事を大切に思ってる。でもね……その事に胡坐をかいて、しっかりと繋ぎ止めておかないと……横から誰かに掻っ攫われるかもよ?」ニヤリ

赤松「え? ええっ!?」

春川「取り敢えず、今回は私の勝ち。最原は借りてくよ、良いね?」

赤松「あ、そのちょっとまっ……」

春川「無理、まあ次からは気を付けなよ? アイツの事を大切に思うのならさ……」スタスタ…

赤松「あっ! ちょっと! 春川さん!? 春川さ~~んっっ!?!?」


49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/28(水) 22:07:21.69 ID:jvD/82DV0

真宮寺「……手紙には裏がある。比喩的な意味では無く、物理的にネ。そこにこっそりとメッセージを書いたりするのが僕は好きなんだよネ」

真宮寺「そして、それは人の心も一緒サ。どんな人間にも心はあり、光の部分と闇の部分がある。表裏一体の心は、誰にも予想できない輝きや淀みを見せたりするのサ」

真宮寺「さっきの春川さんもそう。最原くんを不憫に思って赤松さんに発破をかけたのか? それとも彼女は本当に最原くんを手に入れようとしているのか? それを知るのは彼女自身だけ、彼女の心は、彼女にしかわからないんだからネ」

真宮寺「案外、物事の大事な部分は表じゃなくて裏の部分に隠されているのかもしれないヨ? 今回の事件や、恋心の様にネ……」

真宮寺「……さて、これで僕の話は一旦お終いだヨ。でも、もし君たちがまた別の話を聞きたいと言うのなら、また会う事もあるかもしれないネ。では、その日まで……バイバイ」

~~最原終一の事件簿 了~~






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