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秘書「961プロに勤めているのですが、もう私は限界かもしれない」

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 00:51:37.77 ID:GRgms6Bb0

―961プロ・社長室

黒井「765プロの蠅共め! また性懲りもなく立ち直りおってぇ……」

秘書「………」

黒井「週刊誌や報道では詰めが甘かったか……ならば今度は会場のスタッフを……」ブツブツ

秘書「……社長」

黒井「おおそうだ、明日のフェスの音響は確か……ククク、これは使える!」

秘書「黒井社長!」

黒井「む? なんだね、君ぃ。私は今考え事で忙しいのだ、後にしてくれないか?」

秘書「……もうこんなことはやめにしませんか?」


3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 00:53:23.61 ID:GRgms6Bb0

黒井「はぁ……なにを言うのかと思えばまた意味のわからないことを」

黒井「君にも散々言い聞かせてあるが、聞き足りないのなら何度でも言ってやろう」

黒井「いいか、765プロは汚らしく、卑怯で、下劣な奴らの集まりなのだ!」バンッ

黒井「それをこの私、黒井崇男が直々に成敗するため、日夜努力しているのだよ」

秘書「………」

黒井「それをやめろだと? 奴らのような邪魔者を排除することこそが」

黒井「この業界でトップに君臨する私の使命なのだよ!」

黒井「……わかったかね、君。理解したならコーヒーを持ってきたまえ」

黒井「もちろん、ブラックでな!」

秘書「……お湯が切れてました……淹れてきます」ツカツカ・・・ガチャン


5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 00:54:35.51 ID:GRgms6Bb0

―961プロ・給湯室

秘書(……失敗、か。私の言葉ではもうあの人を止められないのね……)カチッ・・・チッチッチッチッ

秘書(もうあの人の秘書になって2年。彼の考え方についてはもう理解してたつもりだったけど)

秘書(765プロ……あの事務所が有名になった時からあの人は変わってしまった)

秘書(いえ……765プロの社長との因縁はもっと昔からと聞いていたから)

秘書(変わったのではなく、私が知らなかっただけね……)


7: >>4 女性ですよー 2012/03/02(金) 00:55:48.46 ID:GRgms6Bb0

秘書(調べた限り、765プロにあの人の言うような黒い噂は存在しない)

秘書(むしろ逆。弱小プロから努力で大手まで上り詰めた実力のある事務所……)

秘書(所属アイドルも無名からこの短期間でトップアイドルと呼ぶに相応しい成長を遂げている……)

秘書(どう考えてもこれはあの人の個人的な恨みでしかない……)

秘書(もうどうしたらいいのかも……いえ、どうでもいいとすら思えてきたわ……)

秘書「はぁ……もう限界なのかしら」ボソッ

??「おや? 溜息とはいつも凛としている貴女にしては珍しい」

??「ダメだよーお姉さん。溜息つくと幸せ逃げちゃうよ」

秘書「!?」ビクッ


9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 00:57:31.90 ID:GRgms6Bb0

秘書「伊集院君に……御手洗君?」

北斗「チャオ☆ こんなところで会うなんて運命的な……とは言えないですよねぇ」

翔太「まぁ給湯室だからねー。でもここでお姉さんと会うのは珍しいよね」

秘書「……そうね、いつもなら社長室か外で会うものね……」

北斗「ええ、そうですね。……ところで、先程は何を考えて込んでらしたんですか?」

秘書「……なんのことかしら」

翔太「なんかすっごい難しそうな顔してたよ。こーんな目つきしてた」ググッ

秘書「め、目つきが悪いのは元からよ……」

翔太「でも、もう限界かも、って言ってたよね?」

秘書「………」

北斗「……もしかして、社長のことですか?」

秘書「……っ!」


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 00:59:04.05 ID:GRgms6Bb0

北斗「まぁ仕事上の悩みといえば、十中八九、黒井社長のことですよねぇ」

秘書「………」

翔太「クロちゃんすぐ怒鳴るからねー。お姉さんも怒られた感じ?」

秘書「………」

北斗「……当ててみましょうか」

北斗「765プロに対する社長の妨害の件、ですね?」

秘書「え!? な、なんでわかったの……?」

北斗「ふふ、女性の考えていることなら、俺にはなんでも分かりますよ」

翔太「北斗くん嘘ばっかりー。さっき僕たちも同じこと考えてたからでしょ?」

秘書「……どういうことかしら?」


11: 今更だけどジュピター嫌いの人はごめんなさいねー 2012/03/02(金) 01:00:55.90 ID:GRgms6Bb0

北斗「ここ最近、765プロと仕事が不自然なまでに被ったり」

北斗「元々あちらの仕事だったものが俺達に回ってきたり……」

北斗「そしてこの前、社長室で記者と社長が密会していたのを目撃したりしましてね」

翔太「前々からおかしいなーとは思ってたんだよね」

翔太「それで冬馬くんがクロちゃんに聞いたら、案の定ってワケ」

秘書「……そうだったの……」

秘書「それに気付いたってことは……もうウチでは」

2人「やめ(ないよ)ませんよ」

秘書「えっ?」


12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:02:12.46 ID:GRgms6Bb0

北斗「黒井社長のしていることは認められることではありません」

北斗「もちろん、俺達も彼のやっていることは間違っていると思いますよ」

秘書「ならどうして」

翔太「んークロちゃんに拾ってもらった恩とか……まぁ少しはあるんだけど」

翔太「やっぱり僕たち『Jupiter』のリーダーは冬馬くんだから」

北斗「このまま続けていくかどうか決めるのは、やはり冬馬に任せたいんですよ」


14: 投下前に少し直してるんでちょいと時間がかかっております 2012/03/02(金) 01:03:37.40 ID:GRgms6Bb0

秘書「……貴方達はそれでいいの?」

北斗「ええ。冬馬が俺達を引っ張ってきたから、ここまで来れたわけですしね」

翔太「すぐ怒るし冗談もあんまり通じないけど、一緒にいて楽しいからねー」

翔太「冬馬くんが解散したいって言ったら、僕たちもそれで終わりでいいよ」

秘書「………」

北斗「しかし冬馬のことだから、社長を殴って解散……なんてことになりそうだなぁ」ハハハッ

翔太「えーさすがに痛いのはちょっとねー。まぁ本当にやろうとしたら止めないとねー」フフッ

秘書「……貴方達は――」

??「おいおまえら! いつまで待たせりゃ気がすむんだよ!」バンッ


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:05:17.50 ID:GRgms6Bb0

秘書「天ヶ瀬君……」

北斗「ああ、冬馬。すっかり忘れてたよ」

冬馬「忘れてたって……ドリンク取ってくるから待ってろって言ったのお前じゃねーか!」プンプン

翔太「まぁまぁ落ち着いてってば。はい、ドリンク」ポイッ

冬馬「ったく……ん? 珍しいな、アンタと社長室以外で会うの」

秘書「……そうね。そういえば3人共スポーツウェア着てるけど、レッスン中だったの?」

冬馬「ああ、明日大きなフェスがあんのはアンタも知ってるだろ?」キュポン

冬馬「765やこだまの連中も気合入れてくるだろうかな、俺たちも負けてらんねぇ」ゴクゴク

北斗「まぁ最近はどこもすごい勢いですから。普通のレッスンだけじゃ足りないような気がして」

翔太「熱血ばかりでどうにかなるとは思えないけどねー」チラッ

冬馬「うるせぇよ」


17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:07:13.37 ID:GRgms6Bb0

秘書「そう、皆頑張ってるのね……若いわね、やっぱり」

北斗「おやおや何を言っているんですか。貴女も十分若く、そして美しいですよ」

秘書「別にそういう意味で言ったわけじゃないんだけど」

秘書「……なんていえばいいのかしらね」

秘書「私はもう努力とか熱血とか……そういうことを出来る年齢じゃなくなってしまったから……」

冬馬「ふぅん……まぁそういうもんなのか。よく分かんねぇけど」

翔太(よく分かってないんだ……)

冬馬「でもよ、俺たちはアンタのことすげぇって思ってるんだぜ?」


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:09:08.66 ID:GRgms6Bb0

冬馬「黒井のおっさんにあんだけこき使われて、文句一つ溢さずによ」

冬馬「それにな。いつも俺達のことサポートしてくれてたの、知ってんだぜ?」

秘書「……それが私の仕事だったからよ」

冬馬「んなのは分かってるよ。それにアンタだけじゃねぇ、スタッフのみんなだってそうだ」

冬馬「俺達が気持ちよくアイドル活動出来てるのは、支えてくれてる人間がいるからだろ?」

冬馬「一体何百人の人間が、俺達3人を支えてくれてるのかは、正直わかんねぇけど」

冬馬「俺達には真似できねぇ努力がそんだけ積み重なって、俺達『Jupiter』が活動できんだぜ?」

秘書「………」


19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:11:02.51 ID:GRgms6Bb0

冬馬「だからよ、なんつーか……そういう後ろ向きなことはやめろっつーか」ポリポリ

翔太「つまり冬馬くんは、お姉さんにすっごい感謝してるってことだよね!」

冬馬「な!? ち、ちげーよ!! いや、違うってわけじゃねぇけど――」バンバンッ

北斗「素直になれよ冬馬。ただでさえお前はそういう方面不器用なんだから」

冬馬「どういう意味だよそれ!?」

秘書「……ふふふ。ふふふふふ……」プルプル

冬馬「アンタも笑うなよ! 俺一人だけ騒いで馬鹿みてぇだろうが!」

秘書「あら、ごめんなさいね」フフフッ

秘書「でもね、そういう意味で笑ったんじゃないのよ」

3人「?」


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:12:16.28 ID:GRgms6Bb0

秘書「なんか私一人で色々と深く考え込んでしまってて……」

秘書「でもこの事は貴方達のほうがずっと、ずっと関係があったのよね」

秘書「なのに私は自分のことしか見えていなかった。ダメね、私」

北斗「………」

翔太「お姉さん……」

冬馬「は? ん? なんの話だ?」ポカーン

翔太(そういえば冬馬くんだけ蚊帳の外だったの忘れてた)


21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:15:12.96 ID:GRgms6Bb0

秘書「……あのね、私この後社長に――」

北斗「おっと。そこから先はちょっと待っていただけませんか?」

秘書「えっ?」

北斗「貴女のしようとしていることはなんとなく分かります」

北斗「でも今は、明日のフェスに万全の状態で臨みたいんです」

翔太「多分明日のフェスが僕たちのふんばりどころだからね!」

翔太「ね? そうでしょ、冬馬くん」チラッ

冬馬「お? お、おう! 明日は俺達『Jupiter』の圧勝! だぜ!」

秘書「………」

秘書「……そう、ね。もうこの話はこのくらいにしましょうか……」


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:16:34.75 ID:GRgms6Bb0

秘書「明日の貴方達の活躍、期待しているわ」

冬馬「おう! じゃあ俺はさっさとシャワー浴びて明日に備えるぜ!」ダッ

翔太「あー! ちょっと待ってよ冬馬くーん!」タッタッタッ

秘書「レッスンの後なのに元気ね……」

北斗「………」

秘書「……あら? 伊集院君は追いかけなくていいの?」

北斗「……貴女には、話しておいたほうがいいかもしれません」


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:18:05.09 ID:GRgms6Bb0

北斗「明日のフェス、黒井社長も同行すると言っていました」

秘書「……そうね」

北斗「おそらくまた、765プロへの妨害をするためだと思います」

秘書「……でしょうね」

北斗「次に黒井社長が卑怯な手を使った時は……多分もう、冬馬は止められません」

秘書「………」

北斗「その時は、事後処理の方をお願いします」

秘書「……任せて。それも私の仕事、だから」

北斗「……ありがとうございます」


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:19:45.64 ID:GRgms6Bb0

秘書「……他に何かあるなら、出来る範囲でなんでもしてあげるわ」

北斗「ほぅ……ではこの後どこかお食事にでも」

秘書「ふふふ……貴女のそういうところ、嫌いじゃないのだけれど……」

北斗「おっと。もしやこれは、フラれてしまいましたかねぇ」

秘書「……ごめんなさい。今、そういう余裕はないのよ、正直な話」

北斗「……すみません。では真面目な話ですが――」

北斗「頼めるのであれば……俺達、『Jupiter』の今後を案じていてください」

北斗「俺は……俺達は、ここで終わるつもりはありませんから」

北斗「……失礼します」コツコツコツ


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:21:30.09 ID:GRgms6Bb0

秘書「………」

秘書(『Jupiter』の今後、か。ウチを辞めたらもうその名前じゃなくなるのに……)

秘書(そもそも『961』という名前のせいで、再デビューすらも難しいかもしれない)

秘書(業界最大手の961プロ。そして黒井社長の存在)

秘書(961の存在は、彼らにとって大きな壁になる……)

秘書(だとしたら、私に出来ることは――)スッ

秘書「………」ピッピッピッ

秘書「………」prrrrrr

秘書「……あ、お久しぶりです。私961プロの――」

……………………………………

…………………………

………………


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:22:57.58 ID:GRgms6Bb0

――961プロ・社長室

黒井「遅い! 今の今まで何をしていたのだ君は!!」

秘書「申し訳、ありません……」

秘書「……どうぞ」コトッ

黒井「まったく。コーヒー1杯淹れるのに1時間も待たせおって」ズズー

黒井「……だがまぁいい。今の私は機嫌がいい」ニタァ

秘書「………」

黒井「明日、私は『Jupiter』が参加するフェスに同行する」

秘書「……はい、存じております」


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:24:14.83 ID:GRgms6Bb0

黒井「あのフェスには765プロの奴らも参加するからな」

黒井「私が直々に出向いて、奴らが私の『Jupiter』に敗れるところを拝見してくるよ」

秘書「………」

黒井「まぁ君にも同行してもらいたかったところだが」

黒井「処理しておいてほしい雑務があるからな。残念ながら君は留守番だ」

黒井「ククク……奴らの泣きっ面を見せることが出来ないのが残念でならないよ」

秘書「………」


30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:25:27.25 ID:GRgms6Bb0

黒井「おや? もうこんな時間か」

黒井「君も今日は帰りたまえ。私も明日のために準備があるからな、失礼するよ」ガタッ

黒井「いやぁ忙しくなるな……ククク。ではアデュー」ギーバタン


秘書「………」

秘書(ごめんなさい、765プロの人達)

秘書(今までも散々迷惑をかけてきたけれど)

秘書(多分、それももう終わりだから――)


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:27:28.28 ID:GRgms6Bb0

翌日、フェスが終わった後、天ヶ瀬君の方から『Jupiter』は解散する、という連絡があった。
どうやら伊集院君の言っていたことは現実となったようだ。

社長に連絡を取ってみると「もう知らん、奴らの好きにさせろ。私は今から行くところがある」
とだけ言って、乱暴に携帯を切ってしまった。

大方、行きつけの高級バーだろう。私も何度か連れられていったことがある。
なにか嫌な事があった時、またなにか良いことがあった時、あの人はいつもそうする。

今回はどっちの理由か、というのは考えなくても分かることだろう。


秘書(さて……私も最後の仕事をしましょうか)


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:28:31.62 ID:GRgms6Bb0

――961プロ・ロビー

冬馬「すまねぇな、こんな遅くに荷物取りに来ちまってよ」

秘書「いいのよ。仕事も終わっていたから、あとは帰るだけだったもの」

北斗「嗚呼、もう貴女に会えないかと思うと……悲しさで心臓が鼓動を止めそうです!」

秘書「最後まで貴方はそんな感じなのね……安心したけど」

翔太「お姉さん、お世話になりました! あ! あとクロちゃんにもよろしくねっ」

冬馬「おっさんはついでかよ……」

翔太「あれークロちゃん嫌いなはずなのに、冬馬くんそういうこと言うんだ?」

冬馬「まぁあんなんでも世話になった人だからな。今でも感謝はしてるぜ」

北斗「ははは、その恩人を殴ろうとしていたのはどこのどいつだか……」

冬馬「うるせぇ」


34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:29:39.93 ID:GRgms6Bb0

冬馬「とにかくだ。アンタをはじめ、世話になった961のスタッフには悪いが」

冬馬「俺達『Jupiter』は今日を以って解散だ」

翔太「……うん」

北斗「ああ……」


冬馬「そして今から新しいスタートだ! 3人でまた頑張ろうぜ!」

3人「おー!」

秘書「……それについてなんだけど……」

秘書「貴方達、もう少し『Jupiter』として活動する気はないかしら」

3人「は?」


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:31:04.42 ID:GRgms6Bb0

冬馬「いやいや意味わかんねぇし! つーか今俺が綺麗に締めたとこじゃねーか!」

北斗「……どういうことですか?」

翔太「ちゃんと納得いく説明してよー」

秘書「実は、貴方達が961を辞めた後のことを考えていたの」

秘書「すでに有名になった貴方達が解散、事務所を移るとなると」

秘書「それだけで大スキャンダルになる。分かるわね?」

冬馬「ああ、そりゃまぁそうだが……」

秘書「それに加え、所属可能な事務所を探そうとした場合」

秘書「どうしても、貴方達には961という大企業の影が纏わりついてしまう」

北斗「なるほど……確かにそうかもしれませんね」


37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:32:34.20 ID:GRgms6Bb0

秘書「だから『Jupiter』は解散という形ではなく移籍という選択をし」

秘書「なおかつ961の影響を受けない事務所に所属するという選択が好ましいの」

翔太「えーと、つまり僕たちは961プロ所属じゃない『Jupiter』になるってこと?」

秘書「簡単に言ってしまえば、そういうことね」

冬馬「いやいやいや、そりゃさすがに無理だろ!」

冬馬「アンタだって黒井のおっさんの影響力がハンパねぇの知ってんだろうが!」

北斗「冬馬の言うとおりです。『Jupiter』の名前を使う限り、社長の呪縛からは逃れられない」

秘書「……もし、それが可能な事務所が存在して」

3人「!?」

秘書「そして私が、すでに話を通しているとしたら?」


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:34:25.54 ID:GRgms6Bb0

冬馬「はぁぁあああ!!??」

冬馬「意味わかんねぇぞ! どういうことだよ!?」

秘書「実は社長の友人に、ある事務所の女社長がいてね」ゴソゴソ

秘書「その人が貴方達を引き取りたいと言ってきているのよ」ハイコレメイシ

冬馬「えーと……『STプロダクション』? 聞いたことねぇ事務所だな」

北斗「おお、あの美人若社長と美人Pのタッグが経営してるっていう事務所の!」

翔太「さすが北斗くん……女の人のことはなんでも知ってるね」

冬馬「ふーん……そんで? この事務所ならおっさんの影響受けないってのか?」


39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:36:20.18 ID:GRgms6Bb0

秘書「実はそこの社長とPは大の酒好き、パーティー好きでね」

秘書「黒井社長とも個人的にバーで飲んだりしてて、仲がいいのよ」

秘書「社長秘書の私も親交があって、それに加えて個人的な付き合いもある」

秘書「だから私が昨日の内に、話をつけておいた……ということよ」

冬馬「そうなのか……って昨日!? 幾らなんでも早すぎんだろ!?」

北斗「……すまない冬馬、俺が彼女に色々と話してしまったんだ」

冬馬「お前の仕業かよ……まぁいいか、結果的には大助かりだからな」

翔太「でもさぁ、仲いいからってクロちゃんが大人しくするかなぁ?」

冬馬「……確かにそうだな。そこら辺どうなんだよ?」


40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:38:32.34 ID:GRgms6Bb0

秘書「話は無理にでも通す……と言っていたわ」

冬馬「確証ねぇのかよ!」

秘書「あといざとなったら酔わせて聞きだしたあれやこれやを使うとも」

冬馬「なんだよそれ……秘密暴露とかマジこえぇな」

秘書「多分、社長を口説き落とせる自信があるのね……」

秘書「それにね、さっき社長は貴方達の処遇についてこう言ったの」

秘書「『もう知らん、奴らの好きにさせろ』ってね」

冬馬「アンタなぁ……そういうの屁理屈って言うんじゃないのか?」

北斗「あっははは! 貴女も意外とお茶目な人ですね」

秘書「色々と吹っ切れたから、なのかしらね……」

北斗「!?」

北斗「では貴女はやはり……」


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:39:54.56 ID:GRgms6Bb0

冬馬「は? やはりってなんだよ?」

秘書「その話はやめにしましょう。もう決めたことだから」

秘書「さぁ貴方達。もう遅いからそろそろ帰りなさい」

冬馬「いや待てよ。だからなんのことだって――」

翔太「ほらほら冬馬くん、お姉さんに悪いから早く帰りましょうねー」グイグイ

冬馬「だーもう分かったから! 押すなよ、服にシワがつくから!」

冬馬「あ、そうだ。あーっとその……えーい、まどろっこしい!」

冬馬「……ありがとな! この借りはいつか必ず返すからなー!」バッ

翔太「じゃあねお姉さん! 僕たちの活躍、ずっと見ててよね!」タッタッタッ

秘書「ええ、貴方達のさらなる活躍に期待しているわ」


42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:41:04.81 ID:GRgms6Bb0

秘書「………」

秘書「……で、貴方はやっぱり最後まで残るのね」

北斗「ははは。俺は今、美女との最後の一時を楽しんでいるんですよ」

秘書「……本当に最後までその調子なのね」

北斗「これが俺の生き方ですから。多分今後、変わることはないですよ」

秘書「そう。でも勘違いする女の子いっぱいいるからほどほどにね」

北斗「……おや? 貴女ももしかして勘違いしてしまったクチで?」

秘書「……調子に乗らないの。ほら、2人とも外で待ってるわよ?」

北斗「そうみたいですね。では最後に一つだけ」


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:42:17.53 ID:GRgms6Bb0

北斗「今まで……本当にお世話になりました」

北斗「俺達がここまで来れたのも、俺達がここから再スタート出来るのも」

北斗「全て貴女のおかげです。ありがとうございました」

秘書「……畏まって言われると、ちょっと恥ずかしいわね」テレッ

北斗「ふふ、赤面した貴女も魅力的ですね」

秘書「……ふざけているの?」ゴゴゴゴ

北斗「あはは! ではまたの機会に……チャオ☆」コツコツコツ

秘書「………」

秘書(これでやり残したことはもうないわね……)

秘書(私も……覚悟を決めましょう)


44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:43:54.47 ID:GRgms6Bb0

――翌日、961プロ・社長室

黒井「君が今そこに立たされている理由……分かっているな?」

秘書「ええ、理解しているつもりです」

黒井「さきほど、私のところに直接STプロの社長が連絡してきたよ」

黒井「君が裏で『Jupiter』の移籍の手続きをSTの社長と共に進めていたそうだな?」

秘書「はい」

黒井「なぜそのようなことをした?」

秘書「………」


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:45:41.36 ID:GRgms6Bb0

黒井「どうした、答えたまえ」

秘書「……それが彼らにとっての最善であると判断したからです」

黒井「ほぅ……そうか」

黒井「まぁその件については終わったことだし、私も興味はない……」

秘書「………」イラッ

黒井「しかしなんだね、この紙切れは?」ヒラヒラ

秘書「……辞表願ですが」

黒井「うむ、確かにそう書いてあるが……一応、口頭で理由を聞こう」


47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:46:35.07 ID:GRgms6Bb0

秘書「………」

秘書「……私は、社長のやり方についていくことが出来ません」

秘書「社長は経営者、Pとしての能力、そして才能を見抜く眼は一流であると理解しています」

秘書「……しかし、それ以外の部分で問題が多すぎる……と私は考えています」

黒井「……続けたまえ」


秘書「社長は常日頃から765プロについて語っていましたが」

秘書「私には社長の語っていたような悪質な事務所とは、到底思えませんでした」

秘書「社長の様々な妨害行為は……全て私怨に基づいた行動であると私は判断します」

秘書「……違いますか?」


48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:48:16.55 ID:GRgms6Bb0

黒井「………」

秘書「………」

黒井「……君には酒の勢いで話したことがあったかもしれんが」

秘書「……?」

黒井「少し……くだらない話をしよう」


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:50:31.41 ID:GRgms6Bb0

黒井「私と765プロの社長……高木は同じ事務所の同期だった」

黒井「奴のプロデュースのやり方は、なにもかもが甘く、ぬるいものだったよ」

黒井「……しかし、担当アイドルからの支持だけは得ていてな」

黒井「それに引き換え、私はあまり好かれてはいなかったようだ」

黒井「……彼女達にとってみれば、私は厳しいだけの鬼だったのかもしれない」


50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:51:43.85 ID:GRgms6Bb0

黒井「だがアイドル業界は、甘さを捨てなければ生き残れない世界だ」

黒井「だから私は自分で会社を立ち上げて、残り少ない甘さも全て捨てた」

黒井「素質あるものを見出し、最高の環境で最高の教育を施す」

黒井「それが最高のアイドルを生み出す最善の方法だと、今でも思っている」


秘書「……社長」

黒井「……君が言った通り、私の行為はただの私怨だ」

黒井「甘さを捨てずにノコノコと業界に入り込んできた高木に対する、な」

黒井「……いや、これはもはや男の……ゴミのような小さいプライドだな」


53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:55:01.85 ID:GRgms6Bb0

秘書「……社長は今後もこれを止める気はないんですか?」

黒井「ないな。途中で咎められて改心、という話は私が一番嫌いなストーリーだ」

黒井「だから私に何を言っても無駄だ」

黒井「そして君が提出したこれももう無効にする気はない」

黒井「君が苦労して手に入れた今の地位を全て失うことになる」

黒井「それでもかまわない、ということだな」

秘書「……大丈夫です、もう気が変わることはもうありません」

黒井「良いだろう。では本日付けで君――」

黒井「いや、『和久井留美』。君はクビだ。どこへでも好きに去りたまえ」

留美「……はい。……お世話になりました。失礼します」ツカツカ・・・ガチャン


54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:56:03.25 ID:GRgms6Bb0

黒井「………」

黒井「……ククク。君は私に良いことを思い出させてくれた」

黒井「才能を見抜く眼……確かにこれは私も信頼している能力だ」

黒井「だが忘れたのか。君も私が見つけてきた才能ある逸材の一人なのだよ」pipipi

黒井「……あーもしもし。私だ、961だ」

黒井「おお、志乃ちゃん。ああ、うむ……おや? また昼間からワインかね?」

黒井「ところで『Jupiter』をくれてやったついでにだ」

黒井「一人、引き取ってもらいたいものがいるのだよ――」


55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:57:07.70 ID:GRgms6Bb0

――翌日

留美「さて……私もこれからは晴れて無職ね……」

留美「せめて次の職場を探してからにするべきだったわ……どうしたものかしら」pririririri

留美「あら、着信。相手は……STプロの高橋P?」ガチャ

留美「……はい、もしもし高橋さん? 一体どうしたんですか?」

留美「……も、もしかしてもう『Jupiter』の誰かが問題を……」

留美「え? 違う? はい……では個人的な用ってことですよね?」

留美「ええ、ええ……はぁ、まぁ確かにクビになりましたけど」

留美「黒井社長から聞いた? ええ、それなら確かに納得ですが」

留美「はい、はい……え? 私に頼みごとですか?」


56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:58:21.88 ID:GRgms6Bb0

留美「………ええ、ええ」

留美「……は? アイドルですか? 誰が? ……私が!?」

留美「いえいえいえ、何を言ってるんですか! 私もう26なんですよ!?」

留美「え? もう新人Pが向かってる?」

留美「そんな勝手な……あ、ちょっと待ってくださ――」ブツッ

留美「切られてしまったわ……」

留美「黒井社長……最後にこんな嫌がらせを……」プルプル

??「あ、あの!」

留美「?」


57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 01:59:10.11 ID:GRgms6Bb0

??「和久井留美さんですよね! 私、STプロの新人Pです!」

留美「はぁどうも。こんにちは……」

新P「えっと……高橋Pは『Jupiter』の担当になりまして!」

新P「だから俺が……じゃなくて私が貴女の担当のPになりまして!」

新P「えっとそれから……それから……」

留美「……少し落ち着いたらどうなの?」

新P「ひぃっ、す、すみません! お、俺……年上の美人に弱くて」

留美「ふふふっ……嬉しいけれど、面と向かって言われると恥ずかしいわね」

新P「ご、ごめんなさい……」


58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 02:00:01.78 ID:GRgms6Bb0

新P「あ、あの……突然の決定なのは重々承知なのですが」

新P「俺が……貴女をトップアイドルにしてみせます!」

新P「どうか今後とも、よろしくおねがいします!」

留美「よろしく……と言いたいところだけど、まだお互いにちゃんと自己紹介してないわ」

新P「あ、そ、そうですね!」

新P「新Pです、よろしくおねがいします!」


59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 02:01:36.45 ID:GRgms6Bb0

留美「和久井留美よ」

留美(この歳でアイドル……いつもなら出来るわけないと笑うところだけれど)

留美「趣味は仕事……と言いたいけれど、昨日仕事を辞めたばかりだから――」

留美(もう年齢、経歴なんて関係ない……)

留美「趣味すらない女よ。そんな私にアイドルを勧めるなんて……君、悪趣味ね」

留美(……私だって努力すれば、あの子達のように輝けるはずよね!)

留美(そう、もうどうにでもなれ、よ!)

留美「……こうなったらヤケだわ」

留美「付き合ってあげる!」

-終-


60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/02(金) 02:03:16.66 ID:GRgms6Bb0

はい、というわけで最後の方がえらく駆け足になりましたが終わりました

ちなみに秘書さん、和久井留美さん(26)は『アイドルマスター シンデレラガールズ』のキャラクターです

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348. YOMICOMER2018年04月07日(土) 01:55 ▼このコメントに返信
これは賞賛したい。
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