TOP > シンデレラガールズ > モバP「……はいはーい」

モバP「……はいはーい」


1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 22:50:58.59 ID:tTXP/40T0

がちゃ

P「……」

杏「……おはよ」

P「……ん? どちら様?」

杏「杏だよ」

P「……双葉?」

杏「うん」

P「…………はあ!?」

杏「うるさいなー、いいから入れて」

P「いやいや、なんでこっちにいるんだ? ここ東京だぞ」

杏「全部話すから入れてよね、あと飴くれ」

P「どうやら本物のようだな、入れ」

杏「おじゃまー」


2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 22:53:52.19 ID:tTXP/40T0

P「……で」

杏「うまー」

P「聞けよ」

杏「んむ、聞いてる」

P「はあ……どうやってここまで来たんだよ」

杏「飛行機と電車で」

P「ああそうか……じゃなくてだ」

杏「ん? 来たかったから」

P「おばさん達心配してるだろ」

杏「……」

ぴんぽーん

杏「誰?」

P「誰だろうな」


3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:02:57.21 ID:tTXP/40T0

杏「杏のことはいいから言ってきなよ」

P「言われなくても行くっつーの」

がちゃ

「お届けものでーす」

P「え、はい……」

「ハンコおねーしゃす」

P「サインでもいいですか?」

「ペンありぁすんで、どうぞ」

P「……はい、ご苦労様です」

「あざーしたー」

P「……衣類?」

杏「届いたんだね、良かった良かった」

P「お前が送ったものか」

杏「差出人杏になってるでしょ」


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:08:24.26 ID:tTXP/40T0

P「……マジだ」

杏「うーん、こんだけあれば大丈夫だよね」

P「で、中身は?」

杏「杏の下着」

P「……は?」

杏「言い忘れてた、あのね?」

P「聞きたくないんだけど」

杏「私、今日からここに住むから」

P「……もう一度言ってみろ」

杏「私、今日からここに住むから」

P「何だとおおおお!?」


5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:14:56.91 ID:tTXP/40T0

杏「うるさいよ」

P「許可する訳がねーだろ」

杏「いいんだよ、いいって言ってよ」

P「おばさんに連絡した方がいいだろこれ」

杏「……あんな奴に連絡なんてしないで」

P「そうは言っても、お前が急にいなくなって心配してるだろ」

杏「心配なんてしてないよ」

P「は?」

杏「旅行行ってるもん」

P「お前置いて?」

杏「うん」

P「じゃあおじさんは?」

杏「一緒に旅行」

P「……はあ、話せ」


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:19:31.15 ID:tTXP/40T0

杏「兄貴が会いに来てくれないから、杏が来た」

P「そりゃ最近会いに行けてないけどよ」

杏「約束したよね? 毎年3回は会いに来るって」

P「あー……したな」

杏「嘘つかれて杏は傷ついたんだよ、だから責任とって」

P「責任って何だよ」

杏「養ってよ」

P「……お前の家金持ちだろ、俺金無いぞ」

杏「いいから、養ってよね」

P「おばさんが帰ってきたら連絡するからな」

杏「いつ帰ってくるかなんて知らないから」

P「……ん? 知らないのか?」

杏「知らない」

P「どうしたもんか……」


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:22:38.67 ID:tTXP/40T0

杏「杏を黙ってここに置けばいいよ」

P「だからそれは困るんだよ」

杏「杏もここに居れないと困るよ」

P「……正直に言え、帰りたいか?」

杏「…………」

P「はあ、仕方ないな」

杏「本当?」

P「ただ連絡だけは絶対にするからな」

杏「……わかった」

P「とりあえず荷物解いてこい、下着なら俺は触らないほうがいいだろ」

杏「別に?」

P「困れよ、今年で何歳だ?」

杏「17」


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:28:01.26 ID:tTXP/40T0

P「いい年じゃねーか、って」

杏「なに?」

P「お前……高校は?」

杏「行ってないよ」

P「何!? 引きこもりか!」

杏「受験してもないよ、中卒」

P「はぁ……高校くらい出ておけよな」

杏「行かせてくれなかったし」

P「おばさんが?」

杏「うん」

P「どうしてまた」

杏「これしまっておいて」

P「……だから下着を触らすな」


13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:31:27.51 ID:tTXP/40T0

杏「別に減るもんじゃないでしょ」

P「抵抗あるんだけど、お前何の嫌悪感も無いの?」

杏「無いよ」

P「壊れてるな」

杏「いいや、飴くれ」

P「ほい」

杏「……ん」

P「どうした?」

杏「こうやって飴貰うの、久しぶり」

P「そうだな、最近会ってなかったし」

杏「……おいし」







14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:35:43.66 ID:tTXP/40T0

P「さて、電話が鳴ってるんだが」

杏「……誰?」

P「俺の母親」

杏「おばさんにも最近会ってなかったよ」

P「そうだな……はい?」

『もしもし? アンタのとこに杏ちゃんいない?』

P「……おばさんから聞いたの?」

『ううん、給仕の人からよ』

P「いるよ、帰りたくないってさ」

『そう……あのね』

P「何?」

『杏ちゃんを……助けてあげて欲しいの』

P「助けるねぇ……」

『だって杏ちゃんは……ううん、私が言うのは筋違いね。 双葉の方はお母さんに任せてね』

P「わかった、何か有ったら連絡してくれ」 


16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:40:43.20 ID:tTXP/40T0

『そうそう、杏ちゃんがかわいいからって襲っちゃだめよ?』

P「アホか! そんな気なんて起きんわ」

『元気そうで何よりね、じゃあよろしくね!』

P「……はあ」

杏「おばさん、何だって?」

P「お前を助けてやれってさ」

杏「……ふーん」

P「俺に助けて欲しいならそう言えばいいだろうに」

杏「……うん」

P「さて、今度こそ全部聞かせてもらうぞ」

杏「今日は移動して疲れた、もう寝るよ」

P「おい話せよ」

杏「さあ兄貴、布団を敷くのだ」

P「しかも他人任せかよ……ほら手伝え」


17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:43:39.18 ID:tTXP/40T0

杏「だるい」

P「お前な……」

杏「あ、飴舐めたし歯磨いてくるよ」

P「おい逃げるな、おい!」

杏「兄貴ー! 歯ブラシどれー?」

P「ああもう、新しいの下の棚に入ってるからそれ開けろ!」

杏「めんどいから兄貴の使うかな」

P「だめだっての!」







18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:48:13.28 ID:tTXP/40T0

P「起きろ、おい」

杏「んが……何さー」

P「俺仕事行くからな」

杏「……仕事?」

P「そりゃ社会人だからな」

杏「そだね、だらけてればいいのに」

P「じゃあ何の為に上京して一人暮らししてんだよ」

杏「煩いこと言われないとこで一人でだらける為じゃないの?」

P「ちげーよ、ちゃんと仕事してんだよ」

杏「いってらっしゃい」

P「飯は自分で何とかしろな」

杏「え? 何も無いの?」

P「無い」

杏「飯食わせろー」

P「無いって」


19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:51:48.54 ID:tTXP/40T0

杏「餓死しろってんだね、こんなうら若き乙女に」

P「じゃあちょっとは女らしいところ見せろよ」

杏「パンツ」

P「だめー」

杏「何で」

P「女らしくないっての、じゃあ行ってくる」

杏「お昼どうすんのさ」

P「コンビニでも行ってこい、場所覚えてるんだろ?」

杏「やだー」

P「どうしろってんだよ」

杏「つれてけ」

P「は!?」

―――――

―――



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/25(土) 23:56:13.23 ID:tTXP/40T0

千秋「……それで、連れてきたってわけ?」

P「ダッコちゃんみたいに足にひっついて来てな、引き剥がすのも面倒だし」

千秋「……ふうん?」

P「杏、挨拶しろ」

杏「杏だよ」

P「……はぁ……」

千秋「私は黒川千秋、宜しく……その……」

P「双葉だ」

千秋「双葉ね……双葉?」

P「知ってるのか?」

杏「……知らない」

千秋「双葉って、北海道の双葉印刷かしら」

P「当たりだ、よく知ってるな」

千秋「父の仕事の関係でよ」


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 00:01:26.58 ID:JlyG8RSH0

杏「黒川家のお嬢様?」

千秋「あら、面識有ったかしら」

杏「会った事はないよ」

千秋「そうよね」

P「あれ? お互い知ってるのか」

千秋「双葉印刷はうちのグループの会社よ」

P「へー」

杏「……」

千秋「……何かしら?」

杏「……別に」

P「……杏、ちょっと来い。 千秋は支度しててくれ」

千秋「ええ、準備しておくわ」


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 00:05:21.35 ID:JlyG8RSH0

杏「何? 飴くれるの?」

P「とぼけるな、何で千秋を睨んだ」

杏「気のせいじゃない?」

P「気のせいなわけあるか、何年の付き合いだと思ってるんだ」

杏「帰ったら、話すよ」

P「約束しろ、昨日は逃げ切れたかも知れないけど今日は無理だぞ」

杏「……わかった」

P「よし、じゃあ杏は事務所でのんびりしててくれ」

杏「え、兄貴は?」

P「千秋と一緒にレッスンスタジオ行ってくる」

杏「めんどそうだね」

P「だからくつろいでてくれ、千秋ー」

千秋「ええ、行きましょうか」

杏「……待って! 杏も行く!」


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 00:08:44.48 ID:JlyG8RSH0

P「……は?」

千秋「見ても面白いものでは無いと思うけど」

杏「いいから、杏も付いていくよ」

P「構わないか?」

千秋「ええ、私は別にいいけど……」

P「ならいいか、邪魔だけはするなよ」

杏「しないよ」

P「ところでそのウサギさ、いつまで持ってるんだ」

杏「気にしなくていいよ」

千秋「……?」

P「そろそろ出ないと本当にマズいな」

千秋「そうね、行きましょう」

P「ああ、杏」

杏「運べー」

P「……歩け」


27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 00:16:08.24 ID:JlyG8RSH0







千秋「……難しいわ」

トレ「さ、もう一度最初からやってみましょう」

千秋「ええ、お願いします」

トレ「ワンツー、ワンツー」

千秋「ここの時のステップがどうしても……ごめんなさい」

トレ「練習あるのみですよ、一旦休憩しましょうか」

千秋「はい……」

P「苦戦してるな」

千秋「ええ、難しいのよ……」

杏「……」

P「急に立ってどうした?」

杏「こうだっけ?」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 00:20:14.06 ID:JlyG8RSH0

千秋「……え? どうして?」

トレ「すごいです! 完璧じゃないですか!」

杏「……疲れた」

P「では一言」

杏「飴くれ」

P「はあ……」

トレ「杏ちゃん? でしたっけ、アイドルやりませんか?」

杏「嫌だ、私は働かないよ」

P「働いてくれないと困るんだけどな」

千秋「杏ちゃん、もう一度やってみて貰っていいかしら」

杏「呼び捨てでいいよ、飴くれるならやるよ」

P「終わったらやるからやってみろ」

杏「約束だからね……ほいっと……」

千秋「うん、何となく理解できたわ。 トレさん、今のうちにもう一度」

トレ「そうですね、ワンツー、ワンツー」


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 00:24:34.80 ID:JlyG8RSH0

P「気まぐれか?」

杏「さあ? 約束通り飴くれ、はよ」

P「ほらよ」

杏「ん……うまー」

トレ「これで通して出来ましたね、今日のノルマは達成ですよ!」

千秋「何とかなったわね……ありがとうございました」

P「お疲れ、大苦戦だったな」

千秋「ええ、苦手な動きだったのよね」

P「まあ、得手不得手はあるものだからな」

千秋「だからこそ、やりとげたいのよ」

P「いい上昇志向だ」

千秋「モチベーションは大切よ?」

P「そうだな」


30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 00:29:02.16 ID:JlyG8RSH0

千秋「それと杏……ちゃん」

杏「呼び捨てにして」

千秋「わざとステップの部分で止まってくれたわね、分かりやすかったわ」

杏「そう」

P「……さ、昼だな」

千秋「私はシャワーを浴びてから戻るわ、先に行ってて」

杏「杏もシャワー浴びていくよ」

P「お前が? 汗かいてないだろ」

杏「汗かいたよ、乙女だし」

P「何言ってるんだお前は……悪いけど案内してやってくれ」

千秋「……ええ」







31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 00:37:00.07 ID:JlyG8RSH0

ざあああああ

杏「……」

千秋「……話は何かしら?」

杏「……好きなの?」

千秋「いきなりね、話には順序ってものがあるはずよ」

杏「だから……好きなの? 兄貴のこと」

千秋「……どう、かしらね」

杏「……ふーん」

千秋「初対面の人にそんなこと教えるかしら?」

杏「……」

千秋「もし、教えるとしても……そんな敵意のこもった目で見る子には教えないわ」

杏「へえ」

千秋「私……貴女に何かしたのかしら? 会ってもいないはずなのだけど……」

杏「……何もしてないよ」


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 00:40:34.83 ID:JlyG8RSH0

千秋「そう……じゃあどうして……まあいいわ」

杏「……聞かないんだ?」

千秋「言いたくないのでしょう? そこまで野暮じゃないわ」

杏「……うん」

千秋「先に出るわね、杏」

杏「……ぐっ……」

千秋「どうしたの? どこか痛いのかしら」

杏「ううん、何でも無い」

千秋「そう、じゃあお先」

杏「……」



杏「……大きい……」







33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 00:44:17.86 ID:JlyG8RSH0

P「ただいまー」

杏「まー」

千秋「お邪魔します」

P「おう、散らかってるけどな」

杏「兄貴が片付けないからだよ」

P「こっち来て数日経つってのに片付けもしない居候は誰だよ」

杏「さあ? 杏じゃないよ」

P「お前だろうが」

杏「痛い痛い! ギブギブギブ」

P「ったく……んで、何で千秋に来て欲しかったんだ」

千秋「そうね、どうしてなのかしら」

杏「……今日、兄貴に電話が来るはずだよ」

P「……おばさんから?」

杏「……うん」


36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 00:56:59.31 ID:JlyG8RSH0

千秋「話が飲み込めないのだけど」

P「あー、杏の母親な? 双葉の社長夫人だ」

千秋「なるほど……そういえば杏がどうしてここに居候してるのかも聞いてないわね」

P「言いたくないことを聞くことも出来ないしな」

千秋「そうね」

P「……この番号は?」

杏「……親」

P「わかった、ハンズフリーにしておくから静かにな……もしもし」

『ちょっと! うちの杏をどこにやったの!』

P「おちついておばさん……」

『アンタに叔母さん呼ばわりされるほど歳食ってないわ!』

P「あ、すいません」

『謝る暇あったら杏を返しなさいよ!』

P「そう言われましても」


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 01:02:42.17 ID:JlyG8RSH0

『アンタなんかと遊んでられるほどうちの杏は暇じゃないのよ』

P「……どういう意味で?」

『習い事だってサボってるし、家庭教師だって8人雇ってるのに!』

P「やらせすぎじゃあ……」

『人の家の事に口を出さないで頂戴! あの子は天才なの! 資産なのよ!』

P「杏をモノ扱いですか?」

『偉そうな口を利かないでもらえる? あの子にどれほどの価値があるかも分からない癖に!』

P「……はあ?」

『いいから返しなさい! いいえ取りに行くわ! 待ってなさいよ!』

P「あちょ……切れた……」

杏「……」

千秋「杏……」

P「成程な、こういう訳か」 


40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 01:07:24.81 ID:JlyG8RSH0

杏「……ごめん」

P「さて、千秋にも少しこいつについて話しておかないとな……ついてこれてないだろ」

千秋「ええ……ある程度は事情は飲み込めたけど」

P「どうする? 自分で喋るか?」

杏「……ううん……」

P「だろうと思ったよ、ほれ飴」

杏「ん……」

千秋「飲み物……もらえるかしら」

P「悪い、コーヒーでいいか?」

千秋「ええ」

P「ほれ、さてと……」

杏「ん……」

P「杏は、一度見たものは絶対忘れないんだ」

千秋「それって……」

P「瞬間記憶って奴だな」


42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 01:17:32.84 ID:JlyG8RSH0

千秋「……天才ね」

P「俺がそれに気付いたのがコイツがまだ小学生になる前かな、俺の服とか全部覚えてたんだ」

杏「今でも言えるよ」

P「そりゃそうだろうな、忘れられないんだから」

P「それからなんだが、おばさんがそれに気付いてな……英才教育を急に始めたわけだ」

杏「遊びなんて全然させてくれなかったよ」

P「数式から年表からあっと言う間に覚えるし、それを利用しようと思ったんだろうな」

P「そこからはスパルタ、中学卒業したら多分それこそ酷かったんだろうな」

杏「中学もまともに通ってないよ、ずっと家で勉強だったし」

千秋「自分の子供を……ね」

P「ああ、まるで道具扱いだ」

杏「知らない内に卒業してたよ、入学式くらいしか行ってないかな」

P「……大変だったな」

杏「……うん」


44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 01:24:49.96 ID:JlyG8RSH0

P「話を戻すけど、杏は瞬間記憶だけじゃないんだ」

千秋「他にも何かあるというのかしら」

P「最初にレッスンを見学したとき、どうしてすぐに踊れたと思う? 瞬間記憶だけじゃ無理だ」

千秋「そういえば……どうしてかしら」

P「杏の本当の才能はこっち、異常なまでに要領がいいんだ……それこそ、天才だな」

千秋「そういうことなの、体の動かし方も自然だったのはそういうわけね」

P「こう動かしたいと思えば動かせる、こう作りたいと思えば作れる」

千秋「……無敵じゃないの」

P「……ただ、俺は瞬間記憶は才能じゃないと思うんだ」

杏「……?」

P「忘れたいことだって人にはあるはずだ、それを忘れられないというのは……辛いぞ」

千秋「……そう、ね……」

P「忘れられないというのは才能じゃない、これは欠点でもあるんだ」

千秋「それを理解してくれる人がいないと……どうなってしまうのかしら」

P「俺らには分からないことだな、すまん」


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 01:29:49.16 ID:JlyG8RSH0

杏「……ううん」

P「だからお前は来たんだろ?」

杏「……うん」

P「杏、お前の口から直接聞くまで俺はどうすることも出来ないぞ」

杏「……」

P「俺にどうして欲しいんだ?」

杏「……て……」

P「……何?」

杏「……助けて」

千秋「杏……」

杏「助けて! お願いだから助けてよ! もう嫌なんだ! 道具扱いだし、自由だって無い!」

 「だたひたすらに勉強、勉強、勉強! どうして杏がこんな目に合わないといけないの!?」

 「杏だって学校に行きたかったよ! 友達作って遊びたかったさ! でもさせてもらえなかったんだよ!」

 「辛いよ! 助けてよ兄貴! 杏がここに来たのは助けて欲しいからだよ!」

 「お願い……助けてよ……お願いだから……ね……?」


47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 01:36:10.94 ID:JlyG8RSH0

杏「もう無理だよ……もうあの家に居たくないよ……」

P「ああ、助けてやる……絶対にだ」

杏「兄貴……おにい……ちゃん…………うわあああああああああああん!!!」

P「よく今まで我慢してたな……よしよし……」

千秋「…………先に帰るわね」

P「……済まんな」

千秋「いいのよ、また……明日」

P「ああ、おやすみ」

千秋「おやすみなさい」

杏「うわああああああああああ! うえええええええん!!」

P「よしよし……これは暫く止みそうに無いな」

杏「ううっ……うええぇん……」

P「咽るなよ……ほら……」


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 01:40:54.80 ID:JlyG8RSH0







杏「……あー……」

P「シャツがぐしゃぐしゃだよもう……」

杏「いいじゃん、乙女の涙だよ」

P「もうそんな冗談が言えるくらい回復したか」

杏「冗談じゃなく乙女なんだけどね」

P「……吹っ切れたか」

杏「うん、大分楽になったよ」

P「勝負は明日……だな、おばさん来るだろうし」

杏「うん…………ねえ兄貴」

P「どうした?」

杏「迷惑、だった?」


51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 01:47:52.13 ID:JlyG8RSH0

P「いいや?」

杏「……本当?」

P「ああ、いいか杏」

杏「うん」

P「従兄だろうが俺はお前の兄貴だ、俺を頼ってくれていいんだ」

杏「そっか……うん、そうだよね」

P「ああ、そうだ」

杏「杏お風呂に入りたいよ、連れてって」

P「そういう頼り方しちゃうのか」

杏「いいじゃん、ほらおんぶして」

P「今日だけだぞ、ほら」

杏「わーい」

P「ほら着いたぞ」

杏「9歳の4月にやって貰って以来だったなあ」

P「はいはい、風呂いってこい」


53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 01:54:27.91 ID:JlyG8RSH0

杏「あい」

ぱたん

P「さ、千秋にメールしておくか」

P「『ボイスレコーダーの機能のあるものを買ってきてくれ』……でいいかな」



千秋「……? Pさんから……成程」

   「『準備しておくわ、明日の8時に向かいます』……と」

   「杏ちゃん、大丈夫よね……」

   「あの人が一緒だもの……ね」


―――――

―――



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 01:58:18.85 ID:JlyG8RSH0

P「おはよう、もう千秋来てるぞ」

杏「あれ? どうして千秋がいるの?」

P「年上なんだからさん付けくらい……」

千秋「いいのよ、少し私達にも考えがあってね」

P「そういうことだ、千秋には寝室に隠れていてもらう」

杏「私は?」

P「……真正面からケリをつける」

杏「……わかった」

千秋「大丈夫かしら?」

杏「……大丈夫」

千秋「ふふ、それならいいのよ」

P「さ、朝一で来るとなったらそろそろか……気が重いな」

杏「……やっぱり、さ」

P「気にするな、お前は俺に甘えろ。 それでいい」

杏「……うん」


56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:01:15.85 ID:JlyG8RSH0

P「ほら、震えるなよ」

杏「ちょっと怖いかな」

P「飴いるか?」

杏「うん」

P「ほれ」

杏「んぐ……うまー」

P「飲むなよ」

杏「そこまで間抜けじゃないよ」

P「ズボラだけどな」

杏「言うなー!」

P「あはは、元気そうだな」

杏「まぁね」

どんどんどん!

P「……来た」


57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:04:15.06 ID:JlyG8RSH0

がちゃがちゃがちゃ

「P! いるんでしょう!」

P「はいはい……ったく」

「さっさと開けなさいよ! 杏! 帰るわよ!」

杏「……やだ」

「何ですって!?」

杏「帰らない、ここに居る」

「何を言ってるの!? そんなことが許されるわけないでしょ!」

P「とにかく座って、一回ちゃんと話を聞きたい」

「わかったわよ、この子がどれだけの価値か教えてあげるわ」

P「お茶は……」

「いらないわよ!」

P「そうですか」

「いい? 杏はね、天才なの」


58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:10:02.36 ID:JlyG8RSH0

P「瞬間記憶? それなら知ってる」

「それだけじゃないわ、天性の要領の良さも持ってる、逸材なのよ!」

P「それも知ってる」

「この子を上手く使えばね、簡単に会社を大きく出来るのよ」

P(使う……ね)

「そうすれば目の上のコブの黒川だって目じゃないわ」

P「……ん?」

「何よ? この子を使って黒川を出し抜くわ、そして痛々しく可愛がってる黒川のガキだってコレの前じゃ凡人よ」

P「コレ? 杏をモノ扱いか?」

「私がお腹を痛めて産んだ子よ!? どうしようと私の勝手でしょう! この子は私が使いこなすわ」

P「言いたいことはよくわかった、もういいぞ千秋」

千秋「……随分とコケにしてくれたようで」

「誰よアナタ、関係ないでしょう?」

千秋「いえ、話を聞く限りだと充分関わりがあるようでして」


59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:15:01.96 ID:JlyG8RSH0

「どこの馬の骨ともわからないようなアナタに言われたくないわね、どうせPと同じで程度の低い者なんでしょうけど」

千秋「……馬の骨、ですか」

「じゃなかったら何だというの? 私は双葉の社長婦人よ? 杏を使ってこれから更にのし上がってやるわ」

千秋「そうですか」

「ええ、判るかしら? この身分の違いが」

P「……くくくっ」

杏「……ぷ」

千秋「笑わないの、もう」

「無視するつもり!? この私を誰だと――」

千秋「ええ、存分に存じておりますよ、双葉さん」

「だったら程度の違いというものが」

千秋「そうでしょうね、どうもうちのことを悪く言っていただいたみたいで」

「何よ? 偉そうにして、感じ悪いわね」

千秋「双葉の社長とはよくお会いするのですが……奥様は初めてでしたね」


62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:19:47.30 ID:JlyG8RSH0

「誰!? 誰よアナタ!!」

千秋「お初にお目にかかります、黒川グループ会長の娘で黒川千秋と申します」

「く……!?」

千秋「先ほどから聞かせて頂いていましたが、随分と私と父を目の敵にしているようで」

「」

千秋「あら、もうおっしゃることはございませんか?」

「ちが、違うのよ」

千秋「何が違うのでしょうか……? 私には先ほどのお話が全てだと見受けられますが」

「……! 図ったわね!!」

千秋「貴女がすべてを話したのでしょう、このボイスレコーダーに全て録音されています」

「何ですって!?」

千秋「これはデータ化されるので、今から父に送ろうと思います」

「やめて、やめなさい!!」

千秋「はい、送れました」

「あ、あ……」


63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:23:02.78 ID:JlyG8RSH0

P「さあどうする? おばさん」

杏「杏は帰らないよ」

「あ……ぐ……」

P「おじさんはあんなに頑張ってたのに、勝手に自分の栄光だと勘違いしちゃってさ」

「そんな……」

P「双葉はどうなるんだろうね、帰らなくていいの? おじさんに言い訳しないとね」

「ああ、ああああああ……!」

P「それじゃあ、お帰り頂こうかな」

杏「ばいばい、もう会いたくないよ」

「」

P「さようなら」

千秋「御機嫌よう」

ばたん

「」


64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:27:13.25 ID:JlyG8RSH0

P「……くくく」

杏「……ぷぷ」

千秋「……ふふふ」

P「傑作だったなぁ、おい」

杏「あんな顔見たこと無いよ、真っ青だったね」

千秋「少し悪いことをした気もしたのだけど、杏にしたことと比べたらまだまだよね」

P「そういうことだ、双葉のおじさんにはうちから連絡が行くはずだから会社は心配すんな」

杏「そこまで仕組んでたの?」

P「千秋がいるのにあそこまで言うとは思わなかったけどな」

千秋「言いたい放題だったわね」

P「まあ、これで杏とおばさんは二度と会うことはないだろうし……おじさんは?」

杏「お父は何もしてないから」

P「そうか」

杏「うん」


68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:31:12.06 ID:JlyG8RSH0

P「うわ、緊張で汗がすごいな」

千秋「杏ちゃんもすごいことになってるわよ」

杏「ほんとだ、兄貴拭いてー」

P「アホか、千秋と風呂でも入ってこい」

千秋「え、私も?」

P「人の事言えないくらい汗かいてるぞ、透けて……」

千秋「っ、ば、バカ! 行くわよ杏」

杏「……面白くない」

P「タオル用意しておくな」

杏「あーい」

P「……飴も用意しとくか」







71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:34:46.34 ID:JlyG8RSH0

千秋「……」

P「……なんで着替え無いのに風呂入ったよ」

千秋「流れよ」

P「だからって俺のパーカーと短パンって」

千秋「紐で縛るタイプで良かったわ」

杏「飴うまー♪」

千秋「……もう」

P「それで、今日はこれからどうしようかな」

千秋「そういえばオフね、勉強しようかしら」

杏「見てあげよっか」

千秋「自分で頑張りたいのよ、ごめんなさいね」

杏「千秋が言うならいいや」

P「じゃあ千秋は今日は帰るか?」

千秋「ええ、そうするわ」

杏「ねえ、千秋」


73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:38:48.66 ID:JlyG8RSH0

千秋「何かしら?」

杏「……ありがと」

千秋「ふふ、いいのよ」

P「じゃあ、また明日かな」

千秋「ええ、宜しく」

ばたん

P「……おいそこの妖怪」

杏「誰が妖怪飴くれだ」

P「言ってねーよ」

杏「くれ」

P「食ってるからだめだ」

杏「ちぇー」

P「なあ杏、助けてもらった時どう思った?」

杏「……嬉しかった」


75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:44:24.34 ID:JlyG8RSH0

P「嬉しかった?」

杏「うん、助かったと思ったらほっとしたよ」

P「じゃあ、お願いがあるんだ」

杏「願い?」

P「誰かが本当に助けを求めていたら、絶対に力になってやってくれ。 それが誰でもだ」

杏「うん」

P「わかったか?」

杏「大丈夫、忘れないから」

P「そうだったな」

杏「あのさ兄貴、お礼ってわけじゃないんだけど。 一つだけ言う事聞いたげる」

P「一つだけか、何個でも聞いて欲しいんだけどな、居候だし」

杏「いいじゃん、大サービスだよ」

P「そうか、じゃあな――」


76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:47:31.06 ID:JlyG8RSH0

―――――

―――



千秋「成程ね」

杏「ぐぐぐ……」

P「杏が言い出したことだからな」

千秋「それは貴女に落ち度があったと思うわ」

P「諦めろ、杏」

杏「いやだ!」

P「というわけで、アイドル双葉杏の誕生だ」

千秋「ふふ、これから宜しくね……杏」

杏「い、嫌だ! 私は働かないぞ!」


おわり


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/05/26(日) 02:49:22.75 ID:JlyG8RSH0

支援ありがとうね
北海道組の杏だよ

作中でも言ったけど、忘れられないことは幸せじゃないよ

明日もフェス頑張ろうノシ





『シンデレラガールズ』カテゴリの最新記事

おすすめ記事

コメントの投稿