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北沢志保「気付くの、遅すぎです」

1: ◆C2VTzcV58A 2018/05/06(日) 19:45:40.34 ID:+a2RB/M3O

P「あれ?」

志保「どうかしたんですか」

P「この部屋、綺麗になってないか? 昨日はもっと散らかってたような」

志保「今朝、早くに来たので私が掃除しておきました。気付くの、遅すぎです」

P「確かに。昼になってやっと気付いたくらいだからな……ありがとう」

志保「別に、たいしたことじゃありませんから」

P「志保はそういうところ、かっこいいよな」

志保「かっこいい、ですか?」

P「うん。黙っていろいろやってくれて、それを自慢することもないし」

志保「その言い方……プロデューサーさんは、自慢するんですか?」

P「たまにするかも」

志保「子どもみたい」

P「少年の心を失わないと言ってくれ」

志保「まあ、どちらでもいいですけど」

P「はは、相変わらずクールだなぁ。よし、俺もステージの掃除してくるか!」

志保「あぁ、ちょっと待ってください」

P「ん? もしかしてステージの掃除までもうやってたり」

志保「いえ、それはまだですけど」

P「じゃあ、なに?」

志保「……クール、だけですか」

P「え?」

志保「この前、瑞希さんと紬さんと一緒にユニットを組んだ時は、クールの後ろに何かがついていたような気がしましたけど」

P「あぁ……うん」

P「クール系、美少女?」

志保「はい」

志保「ステージの掃除、私も手伝います。プロデューサーさんだけだと、隅っこにホコリが残ってしまいそうなので」スタスタ

P「あ、ちょっと志保! 置いていかないでくれ!」

志保「時間は限られているんですから、早くしてください」フフッ

P(もしかして、美少女って言われて機嫌よくなってる……?)


2: ◆C2VTzcV58A 2018/05/06(日) 19:47:12.30 ID:+a2RB/M3O

P「んー……」

志保「どうしたんですか、さっきから唸っていますけど」

P「いや……最近紬に言われまくってて思ったんだが。ひょっとして、俺はバカなんじゃないかと」

志保「気付くの遅すぎです」

P「ちょっとはフォローしてくれない?」

志保「……プロデューサーさん、面倒くさいですね」

P「お前にだけは言われたくないセリフナンバーワンが飛び出したぞ」

志保「?」

P「まったく理解できないみたいな表情はどうなんだ」

志保「よくわかりませんけど……プロデューサーさんは、確かにバカだと思います」

志保「でも、いいバカというか……私達を率いるには、このくらいでちょうどいいような気もして」

志保「だから……そのままの情熱で、私はいいと思います。紬さんも、心の中ではそう思っているんじゃないでしょうか」

P「………」

志保「でなければ、きっと。私もあの人も、ここを出て行っているでしょうから」

P「………志保」



P「ひょっとして、褒めてくれてる?」

志保「気付くの遅すぎです」グイグイ

P「痛い痛い、おでこ突っつくな」


3: ◆C2VTzcV58A 2018/05/06(日) 19:49:02.16 ID:+a2RB/M3O

志保「おはようございます」

P「おはよう、志保」

志保「今日は朝からダンスレッスンですよね。みんなより少し遅れてしまっているし、頑張らないと」

P「気合十分だな」

志保「当然です。仕事ですから」

P「頼もしいよ。ところで、話は変わるんだけど」

志保「なんでしょう。重要でない話なら、レッスンの後でお願いします」

P「志保がいつもつけてる黒猫のキーホルダー、毎日見てたらかわいさに気づいてな。俺も買ってみようかと――」

志保「ようやくですか。気付くの遅すぎです」ズイズイッ

P「うわびっくりした! 急に近づいてくると心臓に悪いぞ」

志保「あ……すみません。つい。参考までに、どのあたりがかわいいと思ったんですか」

P「自分の好きなものの話題になった途端目をキラキラさせるところ」

志保「この、猫の、かわいい、ところの、話、です!」

P「あ、すみません」

志保「もう……」

P「えっと、なんていうか、全体的な雰囲気かな? 目がまん丸で印象的なところもあるかも」

志保「なるほど……目がかわいいのは、私もわかります。そこに惹かれて、いつも付けているので」

P「そうか。気が合うな、俺達」

志保「そうですね。私も、好みを共有できる人が増えるのはうれしいです」

P「これ、どこのお店で買ったんだ?」

志保「……さぁ、どこだったでしょう。小さい頃に父に買ってもらったものなので、はっきりとは」

P「あ………ごめん。変なこと、聞いちゃって」

志保「別に、変なことじゃないです。気にしすぎですよ、プロデューサーさん」

P「志保……ありがとう」

志保「そういうことを気にするなら、もっと他に気にするべきこと、あると思います」

P「そうか。わかった」

志保「わかればいいです」

P「そろそろレッスンの時間だな。頑張ってこい」

志保「はい。……でも、その前にひとつ聞いてもいいですか」

P「なんだ?」

志保「キラキラした目が、かわいいんですか?」

P「あぁ……この猫の目は、どっちかと言うとギラギラって感じだけど」

志保「………そっちじゃないです」

P「え?」

志保「レッスン、行ってきます」バタン

P「あ、志保……」

P「………」

P「………あ」


P『自分の好きなものの話題になった途端目をキラキラさせるところ』


P「そっちか!? 気付くの遅すぎた!」


4: ◆C2VTzcV58A 2018/05/06(日) 19:49:28.07 ID:+a2RB/M3O

廊下


志保「………」

志保「だから、もっと他に気にするべきこと、あるって言ったのに」

志保「でも……さっきのは、少し意地悪だったかな」

志保「あ……そうだ」


5: ◆C2VTzcV58A 2018/05/06(日) 19:50:39.57 ID:+a2RB/M3O

数日後


P「レッスンお疲れ様、志保。今日もよく頑張ったな」

志保「お疲れ様です。今日は、トレーナーさんにも褒めてもらえたので、いい感じだったと思います」

P「それはよかった。さて、そんな志保にプレゼントがある」

志保「プレゼント?」

P「じゃーん! 志保が持ってる黒猫の仲間! 白猫のキーホルダーだ!」

P「あちこち店を回ってたら、たぶん同じメーカーなんじゃないかってやつが見つかってさ。せっかくだし、志保にあげたいなと思って」

志保「………」

P「……志保? どうしたんだ。ひょっとして、白猫は好きじゃないとか」

志保「いえ……そういうわけではないです。猫は、色に関係なく好きなので。ただ」

P「ただ?」

志保「こうも同じことを考えていると、面白いなと思って」ガサゴソ

志保「私からも、プロデューサーさんへプレゼントです。白猫のキーホルダー」

P「あ……俺に? なんで?」

志保「なんでって……今日、プロデューサーさんの誕生日じゃないですか」

P「………あっ!? 忘れてた!」

志保「まったく……気付くの、遅すぎです」

P「ありがとう、志保! ひょっとして、わざわざ志保のと同じ猫を探してくれたのか?」

志保「別に、たまたま見つけただけです。たまたま、アクセサリーショップを回っていたので」

志保「でも、同じものを見つけていたんですね。意味、なかったかも」

P「そんなことないよ。志保が俺のために選んでくれて、買ってきてくれたものじゃないか。すごい価値があるよ」

志保「そう、でしょうか」

P「そうだよ。だから、この猫たちは、しっかりお互いに贈り合おう」

志保「……わかりました」

志保「どうぞ、プロデューサーさん。お誕生日おめでとうございます」

P「どうぞ、志保。白猫と黒猫で、仲良くさせてやってくれ」

志保「はい」クス


6: ◆C2VTzcV58A 2018/05/06(日) 19:51:33.33 ID:+a2RB/M3O

帰り道


志保「………」ニコニコ

P「うれしそうだな、志保」

志保「ええ。いいプレゼントをもらえたので」

P「その猫、気に入ってるんだな」

志保「それもありますけど……プロデューサーさんから、いただいたものですから」

志保「プロデューサーさんが選んで、買ってきてくれたものなので。私にとっては、価値があるものなんです」

P「……昼間のぶん、言い返されちゃったな」

志保「言われっ放しは、好きじゃないので」

P「そうか」


P「なあ、志保」

志保「なんですか」

P「俺の自惚れだったら、笑ってくれていいんだけど。志保って……俺のこと、かなり高く評価してくれてる? なんて」

志保「………」

志保「まったく、何を言い出すかと思えば」

P「だ、だよな! はは、変なこと言ってご――」

志保「……気付くの、遅すぎですよ」

P「え」

志保「ほら、送ってくれるならもう少し早く歩いてください。電車、もうすぐ出ちゃうので」

P「あ、うん……じゃなくて! 今の発言の意図は」

志保「自分で考えてください」

P「そりゃないんじゃないか!?」

志保「ふふっ」



おしまい


8: ◆C2VTzcV58A 2018/05/06(日) 19:54:31.85 ID:+a2RB/M3O

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
黙って掃除してくれてる志保はいい嫁さんになると思います

シリーズ前作:北沢志保「ネコのお考え」

その他過去作
モバP「的場さんは思春期」
モバP「なっちゃんとナスビ」

などもよろしくお願いします





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