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【わたモテ】モテないしもっと教えてもらう【かともこ】

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:07:02.41 ID:CkJdm4Eg0

●全90レス前後(予定)
●キャラ曲解・崩壊注意
●加藤さんは聖女で悪女で、普通の女の子

前作↓
【わたモテ】モテないし教えてもらう【かともこ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521022330/


2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:10:15.23 ID:CkJdm4Eg0

「いい子」だね、って、よく言われます。




わたしも、そうなろうと思ってました。

お父さんが元気だったころから、ずっと。



お母さんを、悲しませたくなかったから。

お父さんに、つらい思いを、させたくなかったから。

そして、なれたんだと思います。 「いい子」に・・・




…「聞き分けのいい子」に。 

「都合のいい子」に。


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:11:09.16 ID:CkJdm4Eg0

わたし、人の顔色をうかがうのが、上手かったんです。

この人、わたしのこと好きなんだろうって思ったら、好かれるようにしました。

そうでない人からは、そっと離れるようにしてました。



そのうち、なにをしたら喜ばれるか、なにをしたら嫌がられるか。

自然と、つかむことができるようになってたと思います。

お母さんからもらったものなんだろうって、気がします。



人がしてほしいだろうことを先回りして、喜んでもらえるように。

人が嫌がるだろうことを抑えこんで、嫌われてしまわないように。

・・・いつのまにか、それがあたりまえになってしまってました。


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:12:51.11 ID:CkJdm4Eg0

でも、人から言われて、はじめて気づきました。

わたし、思いっきり怒ったり、笑ったり、泣いたりしない子だって。

そんなつもり、なかったんですけど。



わたしだって、嫌なことがあれば怒ってます。

楽しければ笑ってます。 悲しいことがあれば泣いてます。

だけれど、みんなには、そう見えないみたいなんです。



友だちに、言われました。 お芝居してるみたいだって。

怒っても笑っても泣いても、どこか他人事みたいだって。

・・・思い当たることが、ありました。



わたし、お父さんとお別れするとき、泣けなかったんです。


5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:14:35.42 ID:CkJdm4Eg0

涙は、出ましたけど。 でも、泣けませんでした。

声を上げて、なにかにすがって、おもいきり泣きたかったんだけれど。

でも、できませんでした。 ・・・唇をかみしめてる、お母さんの顔を見てしまったら。



お母さんには、言えなかった。

お母さんのせいで泣けなかったなんて思われたくなかった。

悪いのは、わたしなんです。 ・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・



・・・ああ、わたし、やっぱりこういうふうにしか考えられない。

自分のことより、誰かのことが、いつも頭をちらつく。

わたし、いい子なんかじゃ、ない。





わたしのなかに 、『わたし』が 、いないだけ ―


6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:16:24.23 ID:CkJdm4Eg0

キーン コーン カーン

 キーン コーン ・・・




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




【――― 。 ―――――――――・・・】




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・わあ」




【―――?!  ―――! ―― 、――・・・!】





「すごい・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




【―――、――・・・ !! !、――!】


7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:17:13.24 ID:CkJdm4Eg0

「わあ、こんなになっちゃうんだ」

「・・・ ・・・ ・・・」

「黒木さん、これが、『薔薇』なの?」

「い、いえ。 これは、その・・・」

「なあに?」

「あ、あの、その・・・」コソッ

「・・・しょたほも???」

「こ、声っ!」

「あ、ごめんね」ニコッ




黒木「も、もう・・・」ドキドキドキ




この子が、黒木さん。 黒木智子。

素直で可愛いけど、ちょっと悪い子で、ちょっぴりエッチな子。

わたしのクラスメートで、知り合い以上・・・ 友だち、未満。



こっそりふたりきりで、いけないことをやっちゃう仲 ―。



いつもこうして放課後に、いろんなことを教えてもらってる。

悪いこと、いけないこと、わたしが知らなかったことばかり・・・


8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:18:28.41 ID:CkJdm4Eg0

切れ長でぱっちりした大きな目、細くとがった顎。

化粧してないのに、とってもチャーミング。




小柄できゃしゃなからだ、細くてまっすぐな手足。

それでもすごく体力がある。 走られちゃうと追いつけない。




いつもひとりでいるのに、だれかがとなりに来ることも、みんなでいることも嫌がらない。

意地悪でおっかないところもあるのに、とっても可愛くて素直。




男の子にモテたいって言ってるのに、女の子のこともヘンな目で見てる。

いつもわたしの胸とか、ふとももとか・・・ ふふふ。




女の子なのに男の子みたいで、妹みたいだけど弟っぽくもあって。

だのに、お姉さんみたいに、お兄さんみたいに思えることもある。




会うたび、話するたび、ドキドキワクワクしちゃう。

とっても不思議で、魅力的な子。




はやく、ちゃんと、友だちになりたいな・・・


9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:19:52.19 ID:CkJdm4Eg0

【―! ―! ―! ~~~~~!!!   ・・・――― 】



「・・・男の子どうしって、こんなふうにするんだ」

「(・・・か、加藤さん・・・)」

「気持ち、よさそう・・・」

「(加藤さんっ! 声、声っ!)」

「・・・怖い? ふふふ」

「(だ、だって、ここ・・・)」



小宮山「何してるの」



黒木「!!」サッ!

加藤「あ、小宮山さん」

小宮山「・・・加藤さん」

黒木「・・・・・・・・・・な、なんだよ」ドキドキドキ

小宮山「図書室は、携帯の使用は禁止じゃないけど。 ・・・できるだけ静かに使って」

加藤「・・・ごめんなさい」

小宮山「加藤さんのせいじゃないです、どうせこいつが悪いんでしょうから」

黒木「・・・・・・・」ムスッ

小宮山「まさかと思うけど、お前」 ジ ロ 。



「加藤さんにヘンな動画見せたりしてるんじゃないだろうな」


10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:22:57.31 ID:CkJdm4Eg0

黒木「!!!」ビクッ!

加藤「・・・・・・」・・・ピクリ

小宮山「あんた、そんなことしたら今度こそ怒られるだけじゃすまないぞ」

黒木「そ、そんな、こと」ダラダラダラ

加藤「うーん ヘンなのかも しれない」

黒木「!!!!」ドキン!

小宮山「・・・え?」



「いま 黒木さんに アニメのこと 教えてもらってたの」



小宮山「えっ・・・」

黒木「え」

加藤「うん。 この本 アニメになったって聞いたから」

小宮山「あ、あー・・・ そうでしたっけ」

黒木「(加藤さん・・・)」ドキドキ

加藤「根元さんと 話をあわせたくって」

黒木「(あいかわらず、すごい度胸だよ・・・)」ドキドキドキ

小宮山「そう、だったんですか」

黒木「(顔色一つ変えずに、もっともらしいことをスラスラと・・・)」ドキドキドキドキ

小宮山「・・・ほんとあんた、迷惑かけるんじゃないぞ」ジロリ




「加藤副会長にな」


11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:24:31.74 ID:CkJdm4Eg0

加藤「・・・・・・・・・・・・・・」

黒木「わ、わかってるよ」

小宮山「あんたは自業自得だけど、加藤さんが巻きこまれたらかわいそうだろ。

生徒会役員なんだから、それなりの立場ってものがあるだろう」

黒木「・・・わかってるって、言ってるだろ」

小宮山「それならいいけど・・・ あ、はい。 いま行きまーす」



タッ タッ タッ タ ・・・



黒木「・・・・・・・」ドキドキドキドキドキ

加藤「ふふ、ドキドキしたね」 ニ コ 。

黒木「ど、ドキドキどころじゃないよ、加藤さんったら・・・」ドキン ドキン ・・・

加藤「また、本読んでるフリしよっか」ニコニコ

黒木「い、いいけど・・・ はああ (加藤さん、もう・・・)」グッタリ



(加藤さんってば、ここんところ、どんどん大胆になってく一方だよ・・・)



加藤「・・・・・・・・・」パラリ

黒木「(放課後の教室とか、学食とか、中庭とか・・・)」

加藤「・・・・・・・・・・・・・・」パラッ

黒木「(・・・そのうち、授業中に見せろとか言ってくるんじゃないだろうな)」


12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:25:20.99 ID:CkJdm4Eg0

黒木「(これって、あれかな。 いままで真面目にやってきた反動ってやつ)」

黒木「(・・・・・・・)」

加藤「・・・・・・・・・・・・・・」パラ パラッ

黒木「(・・・とんでもないことに目覚めさせちゃったなあ)」

加藤「・・・・・・・」パ ラ リ 。

加藤「・・・ね、黒木さん」

黒木「えっ」

加藤「また、見せて」

黒木「え、で、でも」



小宮山「―――。 ・・・―、――・・・」



加藤「だいじょうぶ。 小宮山さん、取り込み中みたいだし」

黒木「それでも・・・」

加藤「・・・だめ?」

黒木「・・・ちょ、ちょっと、だけなら」

加藤「ごめんね、黒木さん」

黒木「は、はい(・・・とほほ、まいったなあ)」

加藤「・・・・・・・・・・・・」ジーッ



【―――― 、――――――――・・・】


13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:26:03.80 ID:CkJdm4Eg0

黒木「(そろそろ止めさせないと、ほんとうにバレちゃうかも。 でも・・・)」

加藤「・・・・・・・・・・・・わっ。 ・・・」



【―――? ・・・・・・・・ ―、――・・・?】



加藤「・・・こんなことも、するんだ。 へえ・・・」

黒木「(加藤さんを目覚めさせちゃったの、わたしだからなあ)」



【?! ――! ・・・! ・・・・!! !!!】



黒木「(わたしのせいなんだから、あんまり強くもいいづらいよ。 はああ・・・)」

加藤「こんなことまで。 ・・・ね、黒木さん」

黒木「は、はい」

加藤「今度、いつにする?」

黒木「わ、わたしは、いつでも。 ・・・加藤さんの都合で」

加藤「ほんと? ありがと、ね」

黒木「え、あ、いえ・・・ でも」ドキドキ

加藤「なに?」

黒木「こ、こんどは・・・ あそこで、お願いします」

加藤「・・・あそこ?」

黒木「は、はい。 あの、西側の・・・」


14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:28:36.82 ID:CkJdm4Eg0

加藤「あ、うん。 わかるよ、はじめて見せてもらった場所だよね」

黒木「・・・はい」



― 教えてあげます。 根元さんが声優になるって、言えなかった理由。

  これが、声優の仕事なんです・・・



黒木「あそこなら、その・・・ 行くところさえ、見つからなければ」

加藤「・・・そうだね。 やっぱり、やりすぎちゃったかな」

黒木「え、いや・・・ あ、その。 わたし、も」

加藤「うん。 今日と同じでいいのかな」

黒木「い、いや。 教えてもらいたいのが。 ・・・・・」

加藤「・・・それで、いいの?」

黒木「はい、ぜひ」

加藤「わかった。 きっとかわいくするからね」

黒木「あ、ありがとう・・・ ございます」

加藤「うん(・・・まだ、ダメかな)」



 ク ス ッ 。



こんどは、もっと悪いこと、してみようかな?




クス クス クス ・・・


15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:29:42.15 ID:CkJdm4Eg0

ザワ ザワ ザワ

 ガヤ ガヤ ・・・




田中「ゆり、何にする?」チャリン チャリン

田村「ミートスパ」

黒木「あ、同じの、で」

根元「夏野菜カレーでお願いー」

田中「はーい」ピッ ピッ ピ



   カチャ カチャン

  ガタ ガタ ガタッ



田中「いただきます」

根元「いただきまーす」

黒木「(育ちいいなあ)」ズルズル

田村「・・・・・・・・・・・」モム モム

根元「なんかひさしぶりだなー、クロとごはん食べるの」

黒木「そ、そうだっけ」

根元「だってここ最近、いっつも加藤さんといっしょでしょ」


16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:31:06.35 ID:CkJdm4Eg0

黒木「い、いっつもなんて、そんな」

田村「・・・昨日食べてたでしょ。 先週も」… ブ ス ッ

黒木「このメンバーが一番多いよ」

田村「放課後だって、いつも一緒にいるくせに」ム ス ・・・

黒木「・・・いつもだなんて、そんなことないだろ」




加藤「・・・・・・・・・・・・」




根元「加藤さんに生徒会の仕事が入ってない日は、ほとんど一緒じゃん」

黒木「そ、それは」ドキン!

根元「ま、クロは美人に弱いからね」 ニ ヤ リ 。

田中「(ふたりとも、すごくイライラしてる・・・)」ヒヤヒヤ

黒木「だ、だから、そんなんじゃ・・・」モゴモゴ

加藤「(・・・・・・・・・・・・黒木さん)」



(黒木さん、やっぱり、わたしに気をつかってるんだな・・・)



田村「・・・ほんと、会うたび、いやらしい顔で笑ってる」 ム ス ッ 。

根元「ほーんと、そのうちなんかやっちゃうんじゃないかなー」 ニ タ ッ 。


17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:31:41.99 ID:CkJdm4Eg0

加藤「(あのふたりもやっぱり、わたしに含むところがある)」

加藤「(・・・仕方のないことだけれど)」



黒木さん、お弁当いっしょに食べよ。

クロー。 一緒に学食いこ?



加藤「(わたしが黒木さんと仲良くなったのは、あのふたりよりあと)」

加藤「(それにわたし、黒木さんとふたりきりで会ってばっかりだし)」


加藤「(・・・ほかの人と一緒だと、黒木さんが遠慮しちゃうから)」

加藤「(でも、わたし、黒木さんをひとりじめしちゃってるんだよね・・・)」



黒木「そ、それならお昼、加藤さんもいっしょに・・・」

田村「わたしはいい」イライラ

根元「どうしようかなー」ニタニタ



加藤「(できればわたしも、田村さんたちと、いっしょにいたいんだけど・・・)」

加藤「(田村さんは、わたしを避けてる。 根元さんも、なにか、ひっかかってるみたい)」

加藤「(黒木さんのこと? それとも、茜のことなのかな。 ・・・・・・・・)」




わたしだって、うらやましいのに。 あなたたちのこと ―


18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:34:25.71 ID:CkJdm4Eg0

「ネモってやることなすこといちいち萌えキャラくさいんだよな」

「え?! ・・・ど、どこが??」

「そうやって小首かしげるところ」

「もうクロと口きかない」プンスコ



根元さんの前にいるのは、ちょっと意地悪な黒木さん。



「やっぱりあれは、女子高生の陰謀。 ハニートラップ」

「夜中に男の部屋行くなんてどう考えたって変」

「すごいわかる」

「(また同意した?!)」



田村さんの前にいるのは、ちょっと悪い子の黒木さん。



「・・・いつも、ありがとう、ございます。

嫌じゃない、です。 また、お願いします」




わたしの前にいるのは、可愛くて素直な黒木さん。

・・・・・・・・・・・・・




・・・ちょっとよそいきの、黒木さん。


19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:35:30.46 ID:CkJdm4Eg0

田村さん、根元さん。 わたしだって、あなたたちがうらやましい。

ふだんぎの黒木さんに、わたしも会いたい。 会いたいよ。



・・・・・・・・・・・・・・・・



[ 明日香は上品すぎるからなあ。 お高くとまってるわけじゃないけどさ ]



茜の言う通りなのかも。 上品だなんて、そんなつもりないんだけど。

でも「いい子」では、あるんだと思う。




「聞き分けのいい子」。 「都合のいい子」 ―




[ 加藤さん、副会長やってみない? ]

[ あなたなら立派に務められると思うの ]


(― なかなかみんな手を挙げないし、この子なら無下に断ることは無いでしょう。)


[ ・・・・はい、やります。 せいいっぱい務めさせてください ]




・・・・・・・・・ああ、いやになっちゃうなあ。

わたしってば、いつもそうなんだから。


20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:36:32.29 ID:CkJdm4Eg0

人の言う通りのことばっかりして。

他の人の顔ばっかりのぞきこんで。


文句があるなら、自分の口で言えばいいのに。

相手のほうが遠慮してくれるのじっと待ってて。


いつもいつも、もっともらしいことしか言わない。

どんなときでも、あたりさわりのないことしかしない ―



[ こんなこと教えたなんて知られたら ]

[ わたし、今度こそ、この学校にいられなくなるから ]



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



黒木さん、ねえ黒木さん。

意地悪な黒木さん、悪い子の黒木さん。


もしもわたしが、黒木さんみたいに悪い子になったなら。

そのときは、ふだんぎの黒木さんに会えるのかな?



ねえ、黒木さん・・・



ザワ ザワ ザワ ガヤ ガヤ ・・・


21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:37:32.90 ID:CkJdm4Eg0

キーン コーン カーン

 キーン コーン ・・・



田村「おはよう、黒木さん」

黒木「お、おはよ」



 スタ スタ スタ



田中「あ、加藤さん」

加藤「おはよう、みんな」

黒木「お、おはよ」

田村「・・・・・・・・・・・・」

黒木「(お、おいおい。 シカトはないだろ)」ヒヤヒヤ

田中「(・・・ゆりったら) ね、ねえ。 加藤さん・・・」



ダダダダダッ!



加藤「え」

田村「え、なに」

「せーんぱーーーーーいっ!!」


22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:38:41.45 ID:CkJdm4Eg0

黒木「げっ!!」

「せんぱーい! 黒木せんぱーい!!」ドダダダダ

田中「あ・・・ あなた、比留間さん?」

「あっ、田中先輩! それに田村先輩・・・ ああ、加藤さまも!!」

加藤「か、かとうさま??」

比留間「はい! はじめてお目にかかります! 2-Bの比留間恵理子です!」

黒木「騒ぐな、バカ! 何の用だ!」

比留間「はい! 新刊ができあがりましたので、ぜひお目にかけたく参上つかまつりました!」

加藤「しんかん? つかまつる???」

比留間「はい! 加藤さまもぜひ、ごらんになってください!」ガサゴソ

黒木「や、やめろバカ!」

比留間「どうぞ先輩、お目通しを!」サッ!

黒木「く、くそ・・・」カサッ



《 ある愛の詩 》



田中「あ、愛?」

田村「・・・なにこれ」

黒木「・・・・・・・・・」パラリ



《・・・お姉さま。 ああ、お姉さま・・・》


23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:40:31.65 ID:CkJdm4Eg0

加藤「これ、黒木さん? それに・・・ えっ?!」

田中「まさか、加藤さん、なの?」


           モトコ
《こわがらないで、基子。 力を抜いて・・・》

《い、いや・・・ やめて、お姉さま》



加藤「これ、わたし?」

田村「(・・・気持ち悪い)」



《ふふ。 ・・・ふたりきりのときは、なんて呼ぶんだった?》
           ア ス ナ
《・・・・・・・・・あ、明日菜・・・》



比留間「捕食者系完璧超人お姉さまと、獲物の小動物系お姉さまですっ!」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・・」

比留間「絶対的強者に噛み砕かれ飲みこまれる愉悦! ああ、尊いっ!!」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

比留間「今年の文化祭でみなさまにおひろめを・・・」

黒木「よしわかった。 死 ね 。」



バリーーーーーーッ!



「あ゛ーーーーーーーーーーーーーっ!!??」


24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:41:17.71 ID:CkJdm4Eg0

黒木「・・・騒がせてゴメン。 行こう」

田中「放っておいていいの?」

黒木「いつものことだから」



比留間「        」ヒク ヒクヒク …



田村「知り合い?」

黒木「去年の体育祭の騎馬戦で、馬やってもらった子」

田村「ふうん」

田中「漫研の子なんだっけ」

黒木「うん。なんか知らないけど、わたしにつきまとうようになって」

黒木「ヘンな漫画のネタにしてきて、もう参ってる」

田村「加藤さんとイチャイチャしてるからでしょ」

黒木「だから迷惑だっての。 わたしと加藤さんはそんなんじゃ・・・」

田中「(黒木さん、ゆり!)」



加藤「・・・・・・・・・・・・・・・・」



黒木「・・・あっ」ドキッ!

田村「・・・・・・・・・」

加藤「・・・・・・・・・」・・・ギュッ


25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:42:08.16 ID:CkJdm4Eg0

黒木「そ、その」

田村「・・・・・・・・・」

加藤「(・・・・・田村さん。 わたし・・・)」ギュウ




わたし・・・わたしだって、そんなつもりじゃ・・・ でも。

やっぱり、黒木さん、困ってるのかな。

迷惑してるのかな・・・




加藤「・・・・・・・・・・」ギュ…

田村「・・・・・・・・・・」

黒木「あ、あ・・・」

加藤「黒木さん。  わたし ―」キッ!

田村「黒木さん、今日のお昼はどうするの」

黒木「え?」

田中「・・・ゆり?」

田村「わたしたちと? 加藤さんと? それとも・・・」




「それとも、みんなで?」


26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:42:50.85 ID:CkJdm4Eg0

加藤「え」

黒木「み、みんな? いいの・・・」

田村「・・・嫌なら」

黒木「みっ、みんなでっ! みんなでお昼食べるっ!」

田村「じゃあ、みんなで」ニ コ 。

田中「・・・ゆり」

加藤「ありがとう・・・」

田村「別、に」



キーン コーン カーン・・・





…… … ────────────── … ……





ザワ ザワ  ガヤ ガヤ



田中「加藤さん、生徒会の打ち合わせだって」

田村「来られないの?」

田中「ちょっと遅くなっちゃうって」

根元「・・・そうなんだ」

黒木「席、とっておこう」イソイソ


27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:43:36.20 ID:CkJdm4Eg0

ザワザワ ガヤガヤ ザワザワ …



加藤「・・・ありがとうね、茜。 手伝ってもらっちゃって」

岡田「いいよ。 わたしも明日香と陽菜たちとで、いっしょにごはん食べたかったから」

加藤「みんな、どこにいるかな・・・」




「えー?! やだぁー!」

「ヘンなのー!」 「でしょー?」




岡田「・・・ん」ピクリ

加藤「・・・・・・・・・」



南「ほらほら、これ」ピッ

ノリ「きゃははは! これ、黒木?!」

マキ「ウケるー!!」



岡田「・・・あいつら」

加藤「・・・・・・・・・・・・・」


28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:45:12.34 ID:CkJdm4Eg0

南「そうー! 明日香にメイクしてもらってこれだってさ!」

サチ「え? 加藤さんに?」

南「そうそう! よっぽど素材がアレなんでしょ!」

ノリ「いえてるー!」



岡田「明日香ぁ? くそっ、調子に乗りやがって」ムカッ!

加藤「・・・・・・・・・・・・・」



マキ「あいつ最近調子乗ってるよね」

南「ほーんと。 自分でわかってないんだよ、あいつ」

南「だから、言ってやったんだ」



[ ・・・おまえさ、ちょっとは身のほどってやつをわきまえたら? ]

[ お前の顔なんかを明日香にメイクさせるから、あーんなみっともないことになっちゃうんだよ。 ]



岡田「・・・・・・・あの野郎」

加藤「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



ノリ「ほんとにそーだね。 言ってあげるのも優しさだよ」

南「でもさ、あいつ、なんて言ったと思う?」



[ わたしも、そう思う。 でも、わたしはあれ、気に入ってる。 ]

[ 加藤さんもかわいいって言ってくれた。 だから、わたしはあれでいい。 ]


29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:46:17.90 ID:CkJdm4Eg0

加藤「!」

岡田「・・・黒木」



サチ「うわー、なにそれ? ちょー痛い」

南「痛い通りこして気持ち悪いよ、なんなのあいつ」



岡田「・・・もう我慢できない」ズイッ!

加藤「待って」グッ!

岡田「明日香?!」

加藤「早く行こう、みんな待ってる」

岡田「でもなあ!」

加藤「・・・黒木さんが笑われてるのは、わたしのせい」

岡田「・・・・・・・・・・・・・」

加藤「わたしが、下手だったから。 みんなが笑うのも仕方ないの」

岡田「でも、なあ」

加藤「わたしはもう、いいの。 行こう・・・」



南「だからわたし、あいつに教えてあげたんだよ。 ほんとのこと」



[ ・・・はー、あんた、おめでたすぎるよ。 ]

[ 明日香が自分からあんたと仲良くしようだなんて、するはずないでしょ。 ]



南「明日香は、荻野に言われて、あんたの面倒みてやってるだけだってさ!」


30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:46:59.80 ID:CkJdm4Eg0

ノリ「え、そうなの?」

南「うん、そうだよ。 わたし聞いちゃったもん」

サチ「あー、でもなんかわかる。 荻野も加藤さんもおせっかい焼きだしねー」

南「ほんっと、そう。 まあ上手くいってたんじゃない?」



カツ カツ カツ



南「あいつ、あんなに浮かれてたんだから。 なーんにも知らずに!」

サチ「うん・・・ あっ」



カツ カツ カツ カツ ・・・



南「教えてやった時の黒木、ちょーうけたよ! なんか口のなかでもごもご言ってさ!」

ノリ「あ、あ・・・」



― か つ っ 。



南「薄気味悪い目つきでにらんできてさ・・・」

マキ「(小陽、うしろ!!)」

南「は?」クルリ




加藤「                   」


31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:48:13.38 ID:CkJdm4Eg0

サチ「あ、加藤・・・さんっ」

南「なんだー、明日香じゃん」

マキ「・・・こ、小陽」

ノリ「(ちょ、ちょっと待ちなよ)」

南「聞いちゃってた? あはははー」



加藤「              ええ」



サチ「・・・!」ビクッ!

南「ごめんねー、笑っちゃって。明日香のメイクだなんて思わなかったからさー」

南「しょうがないよね、素材がアレじゃ。 明日香もたいへんだよねー」

マキ「・・・・・・・・ちょっ、ちょっと、小陽!」

ノリ「(こ、小陽っ! もうやめ・・・)」

南「あんなやつにつきあわされちゃってさー」

加藤「             ごめんなさいね」

南「はあ?」

加藤「            黒木さんがああなったのは わたしのせい」

南「なに言ってんの、素材が最悪なんだよ」ケラケラ

加藤「 わ た し の せ い な の 」 す う ・・・




 黒木さんの きれいな目 可愛い顔を 台無しにしてしまった 。

 みんな わたしのせい ―


32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:49:14.14 ID:CkJdm4Eg0

南「・・・は?」

ノリマキサチ「「「・・・・・・・・」」」ブルブルガタガタ

加藤「 でも わたしの下手なメイクを 黒木さんは ほめてくれた 」ギュ・・・

加藤「 気に入ってくれた 『最高だよ』って 言ってくれた ― 」

南「な、なによ、その言い方。 わたし、あんたが大変だろうと思って」

加藤「 わたしは 先生に 何も言われてなんか いない 」

南「え」

加藤「 あなたが 言ってたようなことは なにも 」

南「う、うそ。 わたし、ちゃんとその場で」



「 な に も 言 わ れ て な い の 」



南「なっ・・・」ビクッ

加藤「 みんなも 勘違い しないでね 」 じ っ 。

ノリマキサチ「は、はいっ・・・」カクン カクン

南「明日香、さっきからなによ! わたしは・・・」

加藤「 それから 南さん 」 ぎ ろ っ 。



わたしと あなたは 名前で呼びあうような 仲じゃない 。



「 え っ ― 」


・ ・ ・ ・ ・ ・
あ な た だ っ て わたしから 小陽なんて呼ばれたら




 迷  惑  で  し  ょ  う  ?


33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:50:13.55 ID:CkJdm4Eg0

「ひ・・・ ひっぐ・・・ うえっ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」カツッ



カツ カツ カツ カツ ・・・



岡田「明日香・・・」

加藤「・・・行きましょう、茜」

南「ふぐう・・・ あ、あんなのって・・・ あんなのって、ないよ・・・」



カツ カツ カツ ・・・



南「わたし、あ、あすっ・・・・・・・・ かとう、の、ために・・・」

南「ぐず、ひぐっ・・・ なんで・・・ なんでぇ・・・」

岡田「・・・・・・・・・・・・・」



カツ カツ ・・・



岡田「いい薬、だな」

加藤「茜」・・・カツッ

岡田「うん?」

加藤「あなたの言う通りだった」


34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:51:25.31 ID:CkJdm4Eg0

岡田「わたしの?」

加藤「わたしやっぱり、調子に乗ってた」

岡田「・・・なんだって」

加藤「わたしが調子に乗ってたから、黒木さんを傷つけることになってしまった ―」




[ 明日香は、荻野に言われて、あんたの面倒みてやってるだけだってさ! ]




茜「明日香・・・」

加藤「・・・茜。 わたし今日、このまま教室に戻る」

岡田「なんだって?」

加藤「悪いけど、みんなに伝えて。 じゃ」…カツッ

岡田「おい、待てよ明日香」ガシッ!



「 は な し て っ !! 」 バ ッ !!



岡田「なっ?!」

加藤「黒木さん、きっと怒ってる! わたしのこと、嫌いになってる!」

岡田「おちつけ、明日香!」

加藤「いやあ、はなして! はなしてぇっ!!」



ザワザワ ザワザワ ザワザワ …


35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:52:19.39 ID:CkJdm4Eg0

キーン コーン カーン

 キーン コーン …




加藤「・・・・・・・・・・・・・・・」




カア  カア カア ・・・  カア ・・・




加藤「・・・・・・・・・・・・」





― 恥ずかしい。




(あなただって  迷 惑 で し ょ う ?)

(いやあ、はなして! はなしてぇっ!)




南さんと茜に、あんなことを言ってしまった。

みんながいる前で、あんなことをしてしまった。



恥ずかしい。 消えて無くなってしまいたい・・・


36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:52:52.82 ID:CkJdm4Eg0

加藤「・・・・・・・・・・・・」



ちょっと嫌なことがあったからって、平気で人をふみつけにする。

わがままを言ってだだをこねて、親しい人を困らせる。


何が、優等生よ。 『いい子』よ。

これが、わたし。 本当のわたし・・・

本当の?



本当の、『わたし』?



(明日香にも、取り乱すってことがあるんだな)

(・・・ううん。普段の、なんか女優みたいに見える明日香よりも、わたしは好きだよ)



加藤「(・・・茜)」

黒木「加藤さん?」

加藤「あ、あっ」

黒木「どうしちゃったの」

加藤「あ・・・ その、ボーっとしてた」

黒木「・・・疲れちゃってる?」

加藤「ううん、ぜんぜん。 ・・・あ、よく塗れてるよ」

黒木「こんな感じで、よかったのかな」

加藤「うんうん、グーだよ」グッ!

黒木「え、えへへ」


37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:53:26.00 ID:CkJdm4Eg0

加藤「どんどん上手になってくね」

黒木「せ、先生が、いいから」テレテレ

加藤「ふふふ、ありがと。 じゃあ、仕上げてみて」ニコニコ

黒木「ほんとに、いつもありがと。 今日だって、忙しかったのに・・・」

加藤「・・・うん(茜・・・)」



(おちつけ、明日香っ!)

(あんな図太いやつが、そんなこと気にするもんか!)


(現に黒木、おまえのメイクが最高だって言ってたんだろ?!)

(ここでおまえがドタキャンしたら、それこそあいつ、嫌われたって思っちまうぞ!)



加藤「(ありがとう、茜。 ・・・あなたのおかげで勇気を出せた)」

黒木「んしょ、んしょ」シュッシュッ

加藤「(黒木さんも、気にしてないように・・・ 見える。 ・・・・・・・)」

黒木「んっと・・・ よっと」キュッキュッ

加藤「(・・・怖い)」ドクン…



知りたい。 黒木さんが、いま、わたしをどう思ってるのか。

聞きたい。でも、聞けない。 ・・・怖い。



怖い、怖いよ・・・


38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:54:35.95 ID:CkJdm4Eg0

加藤「うん、オッケー。 次はリップだね」

黒木「うん・・・ 見てて」…キュッ

加藤「・・・・・・」… ジーッ

黒木「・・・・・・・・・」キュッ キュッ キュ

加藤「・・・・・・・(黒木さん)」ジーッ …




今日、はっきりわかった。 ずっとそうだと、思っていたけれど。

でも、今日の出来事で、確信できた。 黒木さん、あなたは ―



あなたのなかに、『あなた』が、ちゃんといる人。




黒木「・・・・・・・・・」キュッ キュッ キュ

加藤「・・・・・・」ジーッ …




あなたはひとりよがりでも、自分勝手でもない。

だから人の意見を聞いて、人の顔を見て考えられるけど。


それでも、最後の最後は、自分の思ったとおりに決めてる。

自分の一番大事なところに、ちゃんと『自分』がある。




・・・わたしとちがって。


39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:55:13.11 ID:CkJdm4Eg0

加藤「・・・・・・・・・」キュ キュ

黒木「・・・・・・・・・」…ジーッ



よかった。 わたしは、間違ってなかった。

黒木さんはわたしが思っていた通りの人だった。


まだ、友だちにはなれてないけど。 でも仲良くは、なれたと思う。

わたし、あなたを選んで、ほんとうに・・・




[ 明日香が、あんたなんかと仲良くしようって思うわけないじゃん ]



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



[ 加藤、黒木と仲良くしてあげて。 あの子、自分からだと何もできないから ]




・・・あなたたちは黒木さんのこと、何もわかってない。

黒木さんは、すばらしい人。 見習うべき人 ―



黒木さん。 あなたなら。

あなたならきっと、わたしに教えてくれる。



あなたなら、わたしに、きっと ―


40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:55:58.95 ID:CkJdm4Eg0

黒木「・・・よっしゃ」ツヤツヤ

加藤「うん、やっぱり可愛いよ。」

黒木「ありがと。 どっか、気になるところあったら手直しして」

加藤「うん。 ・・・ねえ、黒木さん。 これでよかったの?」

黒木「はい?」

加藤「これ、このあいだのメイク、でしょ」

黒木「う、うん。 自分でやれるようになりたくって」

加藤「笑われたんじゃ、なかったの」

黒木「・・・・・・・」



[ な、なにあれ? なにあれっ?! ]

[ あ、あは、はひっ! ひーっ、ひーっ!! ]



加藤「わたしのせいで、あなたがバカにされて・・・」

黒木「いや、こうしてくれって言ったのはこっちだし」

加藤「でも・・・」

黒木「まあ、似合ってはなかったのかも」

加藤「ううん、似合ってた。 とってもかわいかったよ」

黒木「ありがと。 ・・・でも、やっぱりダメなんだと思う」ショボーン




「前に自分でやってみたときも、ブスだって言われたし」


41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:56:38.47 ID:CkJdm4Eg0

加藤「自分で?」

黒木「うん、調べて自分でやってみた。 つやつやリップにうるうるアイメイク」

加藤さん「そうなんだ・・・」

黒木「そしたら」



[ うわっ?! すげーブス!!? ]



加藤「・・・・・・・・・」

黒木「絶対かわいいと、思ってたんだけど」

黒木「・・・でも、やっぱりダメなんだ。 加藤さんにやってもらってもダメなんだったら」

加藤「・・・・・・・・・」

黒木「それでも、自分では気に入ってるんだ。 やっぱ可愛いって思ったし」

黒木「加藤さんも可愛いって言ってくれたし」

加藤「・・・・・・・・・」ギュッ

黒木「でも、もう、これであきらめはついた。これ、自分専用にするんだ」

黒木「自分ひとりで見るぶんには、誰にも迷惑かからないから」




  違  う  !




加藤「・・・・・・・・・」ギュ…

黒木「・・・?」


42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:57:20.19 ID:CkJdm4Eg0

加藤「(違う! 違うの、黒木さん!)」・・・ギュッ

黒木「加藤さん・・・?」

加藤「(本当に、似合ってた! あなたは本当に可愛くなってた!)」… ギュ



わたし、あなたの魅力を、みんなに伝えることができなかった!

わたしのメイクが下手だっただけ! わたしのせいなの!

あなたは美人なの! あなたの感性はたしかなの! 黒木さん ―



  あ な た
  『 自 分 』 を 、 信 じ て !!



黒木「・・・・・・??」

加藤「(お願い、黒木さん! そのすばらしい『あなた』を、縛りつけないであげて!)」

加藤「(せっかく・・・ せっかく、あなたには、『あなた』がいてくれてるのにっ!!)」ギュウ …

黒木「かとう、さん?」

加藤「ご、ごめんなさい。 ・・・目のほうは、こんな感じかな」

黒木「うふふふ、ますます美人美人」ニヤニヤ

加藤「じゃあ、つぎはリップね」

黒木「はーい」ニマニマ

加藤「・・・・・・・・・」キュッ ポン!



[ 加藤さんもかわいいって言ってくれた。 だから、わたしはこれでいい ]



黒木さん、お願い。 あなたを信じて。

あなたが、わたしを信じてくれたように―


43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:58:12.93 ID:CkJdm4Eg0

加藤「(違う! 違うの、黒木さん!)」・・・ギュッ

黒木「加藤さん・・・?」

加藤「(本当に、似合ってた! あなたは本当に可愛くなってた!)」… ギュ



わたし、あなたの魅力を、みんなに伝えることができなかった!

わたしのメイクが下手だっただけ! わたしのせいなの!

あなたは美人なの! あなたの感性はたしかなの! 黒木さん ―



  あ な た
  『 自 分 』 を 、 信 じ て !!



黒木「・・・・・・??」

加藤「(お願い、黒木さん! そのすばらしい『あなた』を、縛りつけないであげて!)」

加藤「(せっかく・・・ せっかく、あなたには、『あなた』がいてくれてるのにっ!!)」ギュウ …

黒木「かとう、さん?」

加藤「ご、ごめんなさい。 ・・・目のほうは、こんな感じかな」

黒木「うふふふ、ますます美人美人」ニヤニヤ

加藤「じゃあ、つぎはリップね」

黒木「はーい」ニマニマ

加藤「・・・・・・・・・」キュッ ポン!



[ 加藤さんもかわいいって言ってくれた。 だから、わたしはこれでいい ]



黒木さん、お願い。 あなたを信じて。

あなたが、わたしを信じてくれたように―


44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 20:59:32.13 ID:CkJdm4Eg0

キーン コーン カーン

 キーン コーン ・・・




「・・・・・・・・・」




カア カア カア  カア …




[ 迷 惑 で し ょ う ? ]




「・・・・・・・・・・・・・・・」




[ ・・・―――。  ―――? ]


[ く っ、く っ、く っ 、く ]




「・・・許さない」


「あいつら、絶対許さない・・・!」



キーン コーン   キーン コーン ・・・


45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 21:00:20.02 ID:CkJdm4Eg0

チョン チョン  チョン チョン



加藤「こんな感じかな」チョン チョン チョン

黒木「ありがとー。 動画は・・・ よっしゃばっちり」ピ!

加藤「自分でも練習するんだ」

黒木「うん。 オカズに・・・ えっと、自分で見て楽しみたいから」

加藤「(おかず?)・・・・・・・」



ああ、気づかせてあげたい。

あなたは間違ってなんかいないってことに。



黒木「ふむふむ・・・ なるほど」ピ ピピ

加藤「(・・・お母さんなら、もしかしたら。 相談だけなら、してもいいよね)」

黒木「おお、こうなるんだ」ピッ ピッ ピ

加藤「(それにうちになら、なんでもある。 コスメでもウィッグでも、衣装でも)」

加藤「(黒木さん、誘ったら来てくれるかな・・・)」




[ 明日香は、荻野に言われて、あんたの面倒みてやってるだけだってさ! ]




加藤「・・・・・・・・・」

黒木「ほうほう。 ほー・・・」ピピピピ


46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 21:01:11.59 ID:CkJdm4Eg0

黒木「よーっし、ありがと。 がんばるぞ」グッ!

加藤「きっとすぐ、マスターできるよ。 黒木さんは筋もいいし努力家だし」

黒木「そ、そうかな? えへへ」テレテレ

加藤「なにより素材がいいもの」ニッコリ

黒木「いやいやいやそれはない」ブンブンブン

加藤「ほんとだよ? ぱっちりして切れ長で、お月さまみたいにきれいな目」

黒木「・・・こんな宇宙人っぽい目だと思うんだけど」バンザーイ

加藤「??? ・・・でもほんとうにキレイだと思うなあ、まつげも長いし、眉もしっかりしてるし」

黒木「加藤さんみたいな美人が言ったら、ちょっとイヤミだよ」ブスッ

加藤「・・・・・・・・・」ムスッ



「わたし、ブサイクだよ?」



黒木「はあ?」

加藤「そっちこそイヤミでしょ。 わたしメイク落としたらブスだもん」プンプン

黒木「う、うそだあ!!」

加藤「黒木さん、メイクなしでもそんなにかわいいくせに。 あー、へこむなあ」プンスコ

黒木「じゃ、じゃあ・・・」ゴクッ

加藤「ぜっったい、ダ ・ メ!」

黒木「ちょ、まだ何も言ってない」

加藤「見せてくれって言おうとしたんでしょ?」

黒木「ま、まあ」


47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 21:02:29.71 ID:CkJdm4Eg0

加藤「ダメ。 だーめ。 ぜったい、ダメッ!!」

黒木「ざ、残念」ガックシ

加藤「ふふっ。 ・・・ねえ、黒木さん。 そろそろ」

黒木「あ、うん。 それじゃ、あそこ、で」ドキン!

加藤「ドキドキするね」…トクン

黒木「う、うん・・・」ドキン ドキン ドキン




 ガ ラ ッ   ・・・ カ タ ン 。




黒木「・・・・・・・・・」

加藤「(だれもいないね)」

黒木「(そ、それじゃ)」パタ パタ

加藤「(うん、自然に、自然に・・・)」コツ コツ



パタ パタ   コツ コツ



加藤「(・・・黒木さん)」コツ コツ

黒木「・・・・・・・・・」パタ パタ

加藤「(いつか、ほんとうに、あなたと『友だち』になれたなら)」コツ コツ



わたし、きっときっと、あなたに気づかせてみせるからね。

とっても素敵な、あなたのことを。


48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 21:03:05.69 ID:CkJdm4Eg0

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




【・・・。 ・・・―――。】




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・えっ?」




【・・・・・・・・!?!?】




「・・・あ、あれ? 女の子じゃ・・・」

「(・・・加藤さん、声! この時間はちょっとの声でも・・・!)」

「(あっ、ご、ごめんなさい・・・)」




【・・・―。 ―・・・。 ―――・・・】



「(この子、男の子なの?)」

「(・・・男の人のを持ってる、女の子なんです)」

「(そうなんだ・・・)」


49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 21:03:42.06 ID:CkJdm4Eg0

【・・・。 ・・・  ・・・  ・・・・・・・  ―――!。】




「(ほんとだ。 女の人のも、ついてる)」


「(・・・・・・・・・)」


「(・・・・・・・・・ね、黒木、さん)」


「(・・・・・・・・・なに?)」


「(男の人と女の人って・・・ どっちが、いい、の?)」


「(・・・・・・・・・女の人、って、聞いたことが)」


「(そう・・・・・・・・・)」




【・・・・・・・・・! ―! ―! ~~~~~!!!】




「(・・・・・・・・・・・・・・・黒木さんは、どう、なの?)」


「え?!」ドキッ!!


「(・・・もう。 声出すなって、自分で言ってたのに)」


「(ど、どうって・・・)」


「(黒木さんだったら、どっちのほうが、いいって思う?)」


50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 21:04:29.01 ID:CkJdm4Eg0

「(え、でも、そのあの、えっと・・・・・・・・・・・・・・・・)」ドキン ドキン


「(・・・ごめんね。 ヘンなこと、聞いちゃった)」


「(・・・・・・・・・・・・)」ドキン ドキン ドキン …




加藤 、さん。  わたし 、―――――――――・・・。




「(うん・・・ うん。 へえ・・・)」


「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)」…カーッ


「(・・・・・・・・・・・・ そう、なんだ)」


「(か、加藤・・・さん、は?)」


「(わたし?)」…トクン


「(あ、いや、その)」


「(ううん。 ・・・・・・・・・)」 トクン トクン …





黒木さん。 わたし、ね。  ―――――――――・・・。


51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 21:06:37.91 ID:CkJdm4Eg0

「(そ、そう・・・・・・・・・・・・)」ゴクリ


「(・・・・・・・・・幻滅した?)」


「(う、ううん。 でも・・・)」


「(でも?)」


「(すごく・・・ その・・・)」


「(ふふ、興奮した?)」


「(・・・欲情した)」


「(ヘンタイ)」


「(加藤さん、だって)」


「(うん)」


「(へ 、えへへっ)」


「(ふふふ)」






【――――――――――――・・・♡】


52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/07(木) 21:07:17.58 ID:CkJdm4Eg0

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・あれ?



「・・・・・・・・・・・・え」

「しっ・・・・・・・・・・・・」





・・・・なに、あいつら。

こんな時間に、こんなところで。





「・・・・・・・・・ふふ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん」





なにやってんだろ、いったい・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




くす、くす、くす。 いいもの、見つけちゃった。

楽しみだなあ、くすくす。




わたしにあんなことして、ただじゃすませないんだから!!


62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:33:21.43 ID:HHtyoIn80

キーン コーン  キーン コーン ・・・


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」



ザワザワザワ ガヤガヤガヤ



「「・・・・・・・・・・・・」」

「これ何?」「えーと・・・」「へえ」



《 通 告 》


《 放課後 上記構内区域に立ち入った生徒がいるとの報告がありました》

《 上記内は管理区域です みだりに立ち入らないようにして下さい 》

《 心当たりのある生徒は すみやかに生活指導部まで名乗り出るように 》



「誰だろ」「やだねー」「うん」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」ドクン ドクン

加藤「(・・・・・・・・・黒木さん、放課後サイゼに)」

黒木「(う、うん)」ゴクリ。





南「( ひ ひ ひ ひ ひ )」ニタリ


63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:33:59.50 ID:HHtyoIn80

    イ ラ ッ シ ャ イ マ セ ー


 オフタリサマデスカ コチラヘドウゾー…




黒木「加藤さん、そ、その」ゴクゴク

加藤「・・・ごめんなさい、黒木さん」…コクン

黒木「か、加藤さんのせいじゃ」

加藤「無理を言っていたのは、わたし。 本当にごめんなさい」

黒木「そ、それはっ!」

加藤「・・・言い訳を考えておきましょう。 できるだけ早く、名乗り出るの」

黒木「しらばっくれちゃ・・・ ダメか」

加藤「こういう掲示は出した時点で、もうだいたい相手を特定してる」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」

加藤「名乗り出なければ反省していないとみなして、しかるべき処分をとるの」

黒木「やっぱりそうか」ショボン

加藤「大丈夫。 しっかり話し合っておきましょう」ギュッ



「あなたを、この学校にいられなくなんかさせない」



黒木「・・・・・・・・・あれは、その、冗談で」

加藤「荻野先生があなたの携帯見て怒ってたの、わたしも覚えてる」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」


64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:34:42.62 ID:HHtyoIn80

加藤「あなたの言ってたことだって、十分ありうること。 ・・・わたしがバカだった」ギュウ…

黒木「でも、加藤さん。 あなた、生徒会・・・」

加藤「黒木さん、お願い。 わたしを見損なわないで」

黒木「・・・・・・・ごめん」

加藤「いいえ、ごめんなさい。 じゃあ、黒木さん。 まずは・・・」





…… … ────────────── … ……





加藤「じゃあ、黒木さん。 明日、ね」

黒木「うん。 明日の朝、いちばんに」

加藤「・・・絶対、大丈夫だから」

黒木「うん・・・ じゃあ」



テク テク テク ・・・



黒木「・・・・・・」 テク テク



スタ スタ スタ ・・・



加藤「・・・・・・」 スタ スタ


65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:39:06.62 ID:HHtyoIn80

加藤「(・・・帰ったら まずお母さんに 話をする)」スタ スタ スタ



これまでのこと あしたのこと これからのこと。

全部 隠さずに。  ウソをついても無駄。



わたしが無理を言って 黒木さんにつきあってもらったこと。

黒木さんは 配慮を重ねてくれてたことは 必ず伝える。



でも 実際に何を 教えてもらってたかは 絶対に言わない。

それはもう 言い訳をつくってある。 きっと大丈夫。



たぶん お母さんも遠からず 学校に来ることになる。

わたしは どんな処分であっても 甘んじて受ける ―



加藤「(何も 問題は ないわ)」



・・・・・・・・・・・・・・



加藤「(いつも やってること  昨日も 南さんたちの前で したこと)」



・・・・・・・・・・・・・・



加藤「(心を 体と頭から 切り離す)」


66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:39:59.25 ID:HHtyoIn80

大丈夫 ほんの小さいころから ずっとしてきたこと

うまく 『いい子』に なるためのコツ



・・・・・・・・・・・・・・



頭と体だけをつなぐ  心が何を感じようと 無視する

嫌なのも 怖いのも みんな ただの気のせい



思考したことを そのまま行動にうつすだけ  簡単なこと

何ひとつ 問題は無いわ ―



・・・・ コ ワ イ



気のせいよ。 黒木さんは、処分を免れる。

わたしも大事には至らない。 お母さんは悲しむだろうけど。



 コワイ コワイ コワイ



・・・わたしは、なにも感じてない。 なにも気にならない。

わたしには  『わたし』なんて  ないんだから ―





  コ ワ イ ヨ ・ ・ ・


67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:41:46.97 ID:HHtyoIn80

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」トボ トボ トボ



 ・・・ ガ チ ャ 。



黒木「ただいまー」

黒木母「おかえり。 お風呂入んなさい」

黒木「はーい」



  カ ポ ー ン 。



黒木「ふう・・・」 チ ャ プ 。

黒木母「また、加藤さんの娘さんと?」

黒木「うん。 一緒にサイゼ行ってた」

黒木母「そう。 ・・・迷惑かけてないでしょうね」

黒木「いっつも、かけちゃってる」

黒木母「あんたって子は、もう」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」チ ャ ポ …



(迷惑、か。 ほんとに、わたしってやつは・・・)



黒木「・・・・・・・」ゴロ ゴロ

黒木母「あまり遅くならないうちに寝るのよー」

黒木「はーい。 ・・・・・・・・・・・・・・」ゴロン


68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:42:18.38 ID:HHtyoIn80

黒木「・・・・・・・・・・」


[ あなたを、この学校にいられなくなんかさせない ]



黒木「・・・・・・・・・・・・・・加藤さん」ゴロリ



[ 見損なわないで。 ・・・絶対、大丈夫だから ]



黒木「(加藤さんも、意地っ張りだなあ。 もう・・・)」





顔、真っ青だった。 目の下のクマ、隠しきれてなかった。

手だって、声だって、ほんのちょっとだけ震えてた ―





黒木「・・・・大丈夫も、何も」ガバッ!




わたしにいまさら無くすものなんて、ないんだっ!




黒木「おかあさーん。 ・・・・」




バ チ ン !!


69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:42:56.50 ID:HHtyoIn80

キーン コーン カーン

 キーン コーン …




「おはよう」「おはよ、加藤さん」「おはよー」

加藤「・・・おはよう」スタ スタ スタ

「・・・・・」「(どうしたんだろ)」「(なんか、いつもと違う・・・)」

加藤「・・・」 ツカ ツカ ツカ



「(黒木さん・・・)」ソワソワ



キーン コーン カーン・・・



[ …わかりました。 とりあえず、先生がたとお話しをなさい ]

[ わたしも行かなくてはならないようなら、都合を合わせます ]



加藤「(・・・お母さんには話をした。 言い訳も考えた)」

加藤「(あとはふたりで、先生と話をするだけ。 なのに・・・)」



キーン コーン ・・・



加藤「(今日、朝一番で名乗り出るはずだったのに)」ソワソワ

加藤「(まだ教室にも来てない・・・ どういうこと?)」


70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:44:15.76 ID:HHtyoIn80

荻野「はい、みんな席について」 ガ ラ ッ 。

加藤「(もう、朝礼始まっちゃう・・・!)」ソワソワ

荻野「おはよう、みんな。 今日は・・・」

清田「先生、黒木さんが来ていませんけど」

荻野「・・・黒木は、もう連絡が来ています。 少し遅れて、授業に・・・」




 ・・・ カ タ ン 。




「 すみません 先生  急に気分が・・・ 」





《 校長室 》



グズッ  グズ グズ …




黒木「・・・・・・・・・・・・・・」グズ ズビッ・・・

黒木母「今日はほんとうに、うちの智子がまた・・・」

学年主任「い、いえ。 そんな大げさなことでは」

教頭「(・・・これは、何事なのだろう)」

黒木母「ほら、あなたからもちゃんと謝りなさい」

黒木「・・・すびばぜん」ヒック ヒック


71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:44:58.27 ID:HHtyoIn80

教頭「・・・う、うむ」

学年主任「顔を上げなさい、黒木・・・」

黒木「はひ」ズビ ズビ

教頭「・・・・・」学年主任「・・・・・」


(おびえきった表情、ひと目見てそれと分かる青黒くなった平手打ちの跡)

(虐待案件として報告したほうがいいんだろうか・・・)


黒木母「先生がただけではなく、加藤さんにもご迷惑をかけたようで」

学年主任「いえ、あの子らしいことです。 ・・・問題のある行動をしていたわけではないようですし」

教頭「すみやかに名乗り出た以上、処分はしませんので。 ご安心ください」

黒木母「ほんとうに、すみません・・・ ほら、あなたももう一度」

黒木「すびばぜんでぢだ。 わたぢが無理を言っデ、加藤さんにご迷惑を・・・」



 ガ ラ ッ !



加藤「 違 い ま す 」

教頭「んっ?」

学年主任「・・・加藤?!」

黒木母「加藤さん?」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」

加藤「 黒木さん 」カツッ



・・・ ツカ ツカ ツカ


72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:45:29.79 ID:HHtyoIn80

黒木「・・・・・・・・・加藤さん」

加藤「 黒木さん これはいったい どういうこと? 」 カ ツ ッ。

黒木「・・・どういう、こと、って。 べづに・・・」

加藤「 あなたが わたしに 迷惑を?  なぜそんな すぐわかるウソを? 」キッ!



(・・・ほんとうに、どうしたっていうの? 黒木さん)

(そんな付け焼刃のウソついたって、つき通せるわけが・・・)



学年主任「か、加藤。 いったいなんなの?」

加藤「黒木さんが ウソをついているんです ・・・わたしをかばって」

黒木「いいえ・・・ 加藤さんのほうが、わたしをかばって・・・」

加藤「・・・黒木さん。 だからそんな・・・」

教頭「ふうむ・・・」

学年主任「・・・・・・・・・・・・・・」

加藤「・・・先生?」

黒木母「・・・ごめんなさいね、加藤さん。 この子を心配してもらっちゃって」

加藤「え? い、いいえ。 そういうわけでは」

学年主任「・・・加藤はこういう子なんですよ、黒木さん」

加藤「えっ?」

教頭「普段からきみには、いつも苦労をかけてしまってるね」

加藤「・・・そ、そんな! 違うんです、本当です!」


73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:45:57.63 ID:HHtyoIn80

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」

加藤「先生がた、黒木さん! 信じてください!」

黒木「加藤さん・・・・・・・・・・・・・・ いつも」



          ・ ・ ・ ・ ・
「いつも 仲良くしてくれて ありがとうございます 」




加藤「 え っ ― 」

学年主任「うん、うん。 ・・・いい子ね、黒木」

教頭「うん、いい子だ。 黒木も、加藤も」

加藤「・・・・・・いい子・・・・・・?」





                 ・ ・ ・ ・ ・
― 加藤、黒木と仲良くしてあげて。





  バ  ア  ン  !!




「 ば か っ !!!!! 」


74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:46:30.61 ID:HHtyoIn80

学年主任「あ、あっ・・・」

教頭「か、加藤くん」

黒木母「・・・・・・・・・・・・・・」



タッ タッ タッ タッ タ …



教頭「ど、どういうことかね。 きみ・・・」

学年主任「わ、わたしにもちょっと」

黒木「・・・・・・・・・・(これで)」



(これで、よかった・・・)




(・・・)




(のか?)




黒木母「 智 子 」 ‐ ス ッ



ガ シ ッ !



黒木「ぐえっ?!」


75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:48:31.60 ID:HHtyoIn80

学年主任「なっ?! お、お母さんっ!?」



… グ ギ ギ ギ ギ


「うぐ・・・ えっ・・・?!」

「・・・・このバカ・・・・!!」


ギ リ  ギ リ  ギ リ …!



教頭「ちょ、ちょっ・・・ 落ち着いて!!」

黒木「な・・・なっ・・・」

黒木母「あなた、また、余計なことをしたわね・・・?!」

黒木「・・・・・!」

黒木母「違うの!?」ギリッ!

学年主任「お母さん、やりすぎですっ!」

黒木「う、うっ・・・」

黒木母「どうせまた、みんな騙していたんでしょう!」

黒木母「わたしのことも、先生たちも、あの子のことも!!」

黒木「う・・・・・・・・・・・・・・」



 ば か っ ! ! ! ! !



黒木「・・・・・・・・・・・・・・」…シュン

黒木母「とっとと、あやまってらっしゃいっ!!」ドンッ!

黒木「うっ、うん!」タッ!


76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:49:58.02 ID:HHtyoIn80

…タッ タッ タッ タッ タ




「・・・は、はあ、はあっ・・・」




タッ タッ タッ タッ タ …



「(・・・バカ! 黒木さんの、バカ!!)」



(あんなにちゃんと、言い訳考えておいたのに!)

(なんで、なんであんなことするの?!)



タ タ タ タ タ タ



(あんな、余計なこと、しなくたって・・・!)

(バカ! 何考えてるの、バカッ!!!)



タ タ タ タ タ タ …

タ タ タ タ タ タ タ タ ッ !



黒木「加藤さんっ!」シュタタタタ!

加藤「 こ な い で っ !!」タ タ タ …


77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 18:51:35.63 ID:HHtyoIn80

 タ タ タ タ タ


 タッ  タッ  タッ…


「は、はあ、はあ・・・」

「ぜ、ぜっ、はあ、ふう・・・」




 ト  ト  ト  … ト ッ

 … タ  タ   タ ッ



「…は、は、はっ」

「ぜ、は。 ふう、は。 かっ、 加藤・・・さんっ」



 ヒ ュ ウ …


 … サ ワ   サ ワ  サ ワ



「加藤さん・・・ かとう、さん」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「加藤さん、こっち、むいて・・・」

「 な ぜ 」…ギュッ



「 な ぜ   あ ん な こ と を 」


78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:09:07.81 ID:HHtyoIn80

黒木「(・・・やば、本気で怒ってる)」ゴクッ…

加藤「 せっかく ふたりで ちゃんと 話を合わせて おいたのに」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」

加藤「 ど う し て   あ ん な 」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・・・・」…ギュッ



「ダメ、だから…」



加藤「…ダメ?」

黒木「加藤さんが、わたしをかばってくれるのは、嬉しかったんだけど」

加藤「 かばってる わけじゃ… 」

黒木「でも、ダメなんだ。 いずれにせよ、わたしは疑われる」

加藤「!」

黒木「わたしには、前科があるから・・・」

加藤「・・・そ それは」

黒木「加藤さんがわたしを一生懸命かばおうとするほど、余計に疑われたかも」

加藤「・・・・・・・・・・・・・・」

黒木「だから、いっそのこと」

加藤「 そ・・・ それなら なぜ 」

黒木「え?」

加藤「 そうなるって わかってて なんであんなこと してくれたの? 」



黒木さんは、今日もわたしに、教えてくれるんだよね?


79: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:10:23.39 ID:HHtyoIn80

黒木「・・・それは」

加藤「 わたし  バカみたい 」ギュ…



(・・・ふたりで、危ないことしてると思ってたのに)

(危なかったのは、黒木さんだけだったの?!)

(わたし、最初から黒木さんにかばわれていたの?!)



(そんなこともわからないで・・・っ!!)



加藤「・・・悔しいっ!」

黒木「・・・・・・・・・・」

加藤「わたし、くやしい・・・!」ギュウ…

黒木「ごめんなさ・・・」

加藤「 あ や ま ら な い で !!」ギュッ!!



 … ブル  ブルブル …



黒木「加藤、さ…」

加藤「黒木さん、なんで?! じゃあなんで、わたしなんかと仲良くしてくれたの?!」

加藤「あなたばっかり損するってわかってたくせに!!」

加藤「わたしが、もし、わたしが・・・」ギリッ!




「南さんの言う通り、先生に言われてあなたと付き合ってただけだったら、どうするつもりだったの?!」


80: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:11:22.91 ID:HHtyoIn80

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」

加藤「ねえ、黒木さん・・・ どうするつもりだったの!」

加藤「そんなに、そんなに、苦しい思いなんかして・・・」

加藤「わたしが、あなたのこと・・・  最初から好きでもなんでもなかったら・・・」



「そんなの、慣れてる」



加藤「え」

黒木「べつに、そんなの、はじめてなんかじゃない」

黒木「友達のことで、先生からどうのこうの言われるのなんて」



[ ふたりともちょっといい? ]

[ 黒木のこと、よろしくね ]



「・・・加藤さんは、そんな人じゃないって思うけど」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「でも」…ギュ





でも、もしそうでも。

わたしは ―





 ―  ば  か  っ  。


81: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:12:08.10 ID:HHtyoIn80

黒木「え」

加藤「・・・・・・・・・・」 バ ッ



 …  ヒ  シ  ッ  。



黒木「か、かとう、さっ」

加藤「・・・・・」…ギュッ



  ギ ュ ウ …



黒木「く、苦し」

加藤「・・・バカ」

黒木「えっ」

加藤「バカ、バカ、バカッ!」

加藤「そんなわけないじゃない!! 先生に言われたからだなんて!!」

加藤「わたし、ほんとに、ほんとうにっ・・・」ガバ!!



 … ギ ュ ウ ウ ウ



黒木「んぐっ」

加藤「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」ギュウウゥ

黒木「ん、ぐぐぐ」

加藤「・・・・・・・・・・・・・・」ギュ~~~


82: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:19:13.97 ID:HHtyoIn80

黒木「(ぐ、ぐるぢい・・・)」ンギュ~

加藤「・・・黒木さん」ギュウッ



信じて! わたしを、信じてっ!

南さんの言ったこと、全部ウソなの!!



黒木「え・・・・・・・・・・・・・・」

加藤「ウソ! あれ全部、ウソ・・・!」グズ…

黒木「・・・・・・・・・・・・・・うん」

加藤「わたし、わたし・・・ あなたのこと・・・」グズッ グズ…

黒木「・・・わかってるよ。 加藤さんはそんな人じゃない」

加藤「じゃ、じゃあっ・・・ なんで、黙っちゃったの!?」

黒木「え?」

加藤「なんで、なんで、明日香は友だちだって、南さんに言ってくれなかったの?!」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」

加藤「わたし・・・ あなたに、嫌われちゃったんだって・・・ 思って・・・」

黒木「ごめん、びっくりして、うまく言えなかった」

加藤「バカ、バカ、ばかっ・・・」…ギュ




「ごめん、なさい・・・」


83: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:19:54.53 ID:HHtyoIn80

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」

加藤「ごめんなさい、ごめんなさいっ・・・」ヒック ヒック

黒木「(・・・加藤さん)」

加藤「ごめん・・・ねえ・・・」グ ズ …

黒木「(やっぱり、わたしはバカだ、アホだ)」

加藤「ぐ・・・ ぐず、うえ・・・ うえええ・・・ん・・・」

黒木「(クズだ。クソゲス野郎だ。 ・・・加藤さんを、こんなにも)」

加藤「ひぐ、ひぐっ・・・ ふぐう・・・」

黒木「(『与えられる立場』? ふざけんな、カスが)」

加藤「う、うぐう・・・ えっ、えっ・・・ え ぇ ぇ っ ・・・」

黒木「(まったく。 ・・・・・・・・・・・・・・)」




(・・・ずっと前、こんなことがあったような気がする)




…ひっく、ひっく、ぐずっ。

お、おねえちゃん。 おねえちゃああん…




黒木「(・・・智貴)」

加藤「バカ、バカ・・・ ふ、ふうっ・・・ ぐう・・・」

黒木「・・・・・・・・・・・・・」…スッ



   ―  ギ ュ ッ 。


84: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:23:52.32 ID:HHtyoIn80

黒木さん、ごめんね、ごめんねっ・・・


あなたばっかり、つらい思いさせて・・・





「・・・ううん。すごく、すっごく楽しかった」

「放課後、いっつも、楽しみにしてた」



ウソ。 わたし、あなたのこと、お人形みたいにして・・・





「加藤さん、わたしのこと、お人形さんみたいにきれいにしてくれた」





・・・それだけじゃない! わたし、あなたを、子どもみたいに思ってた!


子どもなのは、わたしだったのに!





「わたしも加藤さんのこと、お母さんみたいだって思ってたよ」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


85: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:25:04.68 ID:HHtyoIn80

・・・黒木さん。





「なあに?」





わたしたち、友だちで、いいんだよね?





「違ったの?」





・・・ううん。 ありがとう・・・





「わたしも。 ありがとう。 加藤さん」





黒木さん・・・ わたしたち、ともだち・・・ ずっと、ずっと・・・





「うん。 友だち、だね。 ずっと、ずっと」


86: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:26:54.11 ID:HHtyoIn80

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 ヒ ュ ウ ウ ウ …



(・・・なんということだ)



 … サ ワ  サ ワ サ ワ




(木陰の下で 加藤さまが 声を震わせ泣きじゃくっている)

(黒木先輩のひざに 顔をうずめて)



(頭脳明晰 容姿端麗 生徒会の敏腕副会長 幕張校のカリスマが)

(小動物系お姉さまにすがりついて まるで子供のように)



(こんなことが こんなことがあっていいのか)

(こんな 同人誌のようなことが)




「黒木さん・・・ わたしたち、ともだち・・・ ずっと、ずっと・・・」

「うん。 友だち、だね。 ずっと、ずっと」




比留間(うおおおおおおおおおおおおお)プシャー


87: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:29:40.03 ID:HHtyoIn80

     ヒ ュ ウ …


 … サ ワ   サ ワ  サ ワ




黒木「・・・・・・・・・」ナデ ナデ

加藤「・・・・・・・・・」ギュッ

黒木「落ち着いた?」

加藤「うん。 ごめんね」

黒木「いいよ」

加藤「ううん。 制服、汚しちゃった」

黒木「涙しかついてないよ」

加藤「洗わせて」

黒木「・・・わたしは加藤さんに、よだれつけちゃったし」

加藤「・・・・・」

黒木「これで、おあいこだから(とうぶん洗濯しないでおこう)」

加藤「もう・・・」…ギュ



 サラ サラ サラ   …チ チ  チ チ チ ッ



黒木「・・・加藤さん、そろそろ」

加藤「・・・」ジーッ

黒木「加藤さん?」


88: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:30:16.64 ID:HHtyoIn80

加藤「・・・」

黒木「どうかした?」

加藤「メイク、ぐちゃぐちゃになっちゃった」

黒木「メイク拭きあるよ」シュッ

加藤「・・・・・・・・・」ギュ



「メイク落とした顔、見られたくない…」



黒木「え」ドキッ!

加藤「だって、ブサイクだもん・・・・」

黒木「・・・み、見たい」

加藤「黒木さん、きっと笑うでしょ」

黒木「笑わないよ、絶対」

加藤「・・・・・・・・・やっぱり、いや」

黒木「加藤さんのほんとの顔、見たい」

加藤「・・・・・・・・・・・・・・」



 ―  ス  ッ  。



黒木「ありがと、拭くよ」シュッ

加藤「・・・」


89: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:30:58.88 ID:HHtyoIn80

 シュッ   シュッ   シュッ

  キュ  キュ  キュッ



黒木「・・・・・・・・・・・・・・」シュ シュ

加藤「・・・ブスでしょ」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」キュ キュ

加藤「目、細いでしょ。 眉、薄いでしょ」

黒木「・・・・・・・・・・・・・・」

加藤「みっともないよね。 ヘンな顔だよね・・・」

黒木「むちゃくちゃかわいい」

加藤「・・・ウソ」

黒木「すごく綺麗。 素材の差って残酷」

加藤「おだてないで」

黒木「ほんとだってば。 興奮とか欲情とか通りこして、勃起しそう」

加藤「バカ。 えっち。 ヘンタイ」

黒木「うん」ニヤニヤ



 シュッ   シュッ   キュ   キュッ …



加藤「・・・今日の黒木さん、ちょっと意地悪」

黒木「わたしもともと、底意地悪いから」

加藤「知ってる。 ネコかぶってたんでしょ」… ニ コ ッ

黒木「・・・も、もう」


90: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:31:51.64 ID:HHtyoIn80

キーン コーン カーン

 キーン コーン …




黒木「(あれから日をあらためて、再度聞き取りを行うことになった)」

加藤「(黒木さんのお母さんと、今度はわたしのお母さんも立ち会って)」

黒木「・・・悩んでもしょうがない、腹をくくろう」

加藤「ねえ、黒木さん」

黒木「なに?」

加藤「どうしても、ゆずらないつもり?」

黒木「・・・加藤さんは?」

加藤「ガンコなんだから」

黒木「加藤さんこそ。 どうせ疑われるのはわたしなのに」

加藤「先生がたがどう思おうと、わたしは本当のことを言うだけ」

黒木「頑固者」

加藤「ええ」



ダダダダダッ!



加藤「え」

黒木「・・・あの野郎」ムカッ

比留間「せーんぱーーーーーいっ!!」


91: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:56:47.18 ID:HHtyoIn80

加藤「あっ。 比留間、さん?」

黒木「今度は何だ」ウンザリ

比留間「新作ですっ! おあらためを!」

黒木「もう出たのか」

比留間「はい、先日のおふたりの姿にインスピレーションを得ました!」

加藤「えっ」ドキリ

黒木「見てやがったのか」

比留間「ああ、いま思い出しても胸の高鳴りが抑えきれませんっ!」

比留間「小動物と見せかけて実は超肉食のフェレット系お姉さま!」

比留間「気高く美しい牝獣の喉に食らいつき、そのしなやかな肉体を地にはわせ組み伏せ蹂躙する!」

比留間「あああああ、こうしているだけであの時の情景が・・・・・!!」

黒木「そうか、さらばだ」



ビリビリビリビリビリビリッ!!



「あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」



比留間「        」ヒクッ ヒクッ…

黒木「行こう、加藤さん」

加藤「・・・いいの?」

黒木「たぶんこいつ、わかっててやってるから」

比留間「(す・・・ 素敵です・・・ お姉さま・・・)」ビクンビクン


92: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:57:43.29 ID:HHtyoIn80

…… … ────────────── … ……



教頭「・・・間違いないのかね」

黒木「はい」

加藤「…はい」

学年主任「うーん。 でもねえ」

教頭「ふたりの言い分が、真っ向から対立してしまってるなあ」

学年主任「黒木さんは、前回聞いた通りなのね?」

黒木「はい。 加藤さんに、わたしが、無理を言って・・・」…ギュッ



「放課後、恋愛の相談に乗ってもらっていたんです」



黒木母「・・・・・・・・・・・・・・」

黒木「どうしても、気を惹きたい男の子がいて」

黒木「メイクの仕方を教わってるうち、そういうことも教わるようになって」

黒木「いろんなサイトや動画を教えてもらって・・・」

加藤母「・・・・・・・・・・・・・・」

学年主任「ふうん、そう。 でも、加藤は」

加藤「はい。 黒木さんは、わたしをかばっています」ギュ…



「わたしが黒木さんに、恋愛のことを教えてもらっていたんです」


93: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:58:10.16 ID:HHtyoIn80

教頭「ふう、む」

加藤「わたしは男の子とのお付き合いのことなんて、教えられるほど詳しくありません」

加藤「黒木さんはいろいろな本を読んでいて、男女の関係についても詳しかったんです」

黒木「(ラノベやエロゲも含めれば、ウソではないんだよな)」…ムスッ



黒木母「・・・・・・・・・・・・・・」



加藤「だからわたしが無理を言って、黒木さんにいろいろなサイトや動画を見せてもらって」

学年主任「・・それでふたりとも、その相手のことは」

黒木「それだけは勘弁してください」

加藤「相手が誰だろうと、この件についてはあまり関わりがないはずです」



加藤母「・・・・・・・・・・・・・・」



加藤「・・・履歴のチェックもなさいますか」

学年主任「そこまではしなくていいでしょう」

黒木「(工作しておいたけど、ムダになってなにより)」…ホッ

学年主任「お母さまがたのほうからは、なにか」

黒木母「わたしは前回、言いたいことはすべて言ったので」

黒木「(言っただけじゃないだろ)」ヒリヒリ

教頭「加藤さんからは」

加藤「・・・・・・・・・・・・・・明日香」 じ っ 。



「あなたは智子さんが、ウソをついていると言うのですか」


94: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 19:59:44.73 ID:HHtyoIn80

黒木「・・・・・!」ドキッ

加藤「・・・はい」

加藤母「間違いないのですか」

黒木「(・・・お母さんも怖い人だな・・・)」ドキドキ

加藤「・・・間違い、ありません。 黒木さんは、わたしを」

加藤母「わかりました」…スッ



   ガ タ ッ 。



学年主任「加藤さん?」

加藤母「明日香、お立ちなさい」

加藤「はい」…ガタ

加藤母「   」ビュッ!




 パ ン ッ !




加藤「・・・・っ」

黒木「え?!」

黒木母「・・・・・・・・・・・・・・」

教頭「ちょ、ちょっと!」

加藤母「・・・智子さん」

黒木「は、はいっ」ドキッ!


95: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:00:38.84 ID:HHtyoIn80

加藤母「智子さん。 わたしはあなたが嘘をついているとは思いません」

黒木「は、はい・・・」ドキドキ

加藤母「けれど、わたしはこの子の母親です」

加藤「・・・」

加藤母「だからわたしは、この子を信じます。 明日香、黒木さんに謝りなさい」

加藤「黒木さん・・・ すみませんでした」 … ペ コ リ

黒木「そ、そんな」

黒木母「黙りなさい」ゴツッ!

黒木「んごっ?!」

黒木母「加藤さん、お気持ちはわかりました。 でも、この子に責任がないわけではないです」

加藤母「・・・」

黒木母「ほら、しっかり謝んなさい」

黒木「・・・すみませんでした、加藤さん」

加藤「黒木さん。 わたし・・・」

加藤母「明日香。 ・・・先生がた」



「あとは、お任せいたします」



学年主任「は、はあ」

加藤母「どうか存分に」

黒木母「この子はすこし痛い目見たほうがいいんです」

黒木「(もう十分見てる)」ズキズキ

教頭「ううむ」


96: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:02:16.90 ID:HHtyoIn80

黒木「・・・終わった、のかな」

加藤「ひとまずは」



[ ふたりとも、一週間以内に反省文を提出すること ]

[ 提出しなかった場合は、内申書にその旨を記載しますからね ]


[ 特に黒木さん。 あなたは3回目はないと思いなさい ]

[ 生徒会活動のこと? ・・・みんなも暇ではないでしょう、今まで通りこれからも頑張りなさい ]



黒木「・・・はああ、まいった」ゲンナリ

加藤「・・・黒木さん、わたし」

黒木「朝、約束したよ」

加藤「そうだね。 もう、謝らない」

黒木「これでおしまい、うらみっこなし」

黒木母「なに言ってるの」ボカッ!

黒木「うぐえ」

黒木母「加藤さん、明日香さん。 本当にご迷惑をおかけして」

加藤母「・・・こちらこそ。 ほんとうに申し訳ないです」

加藤母「この子の無理につき合わせてしまった上に」



「智子さんのお顔を、娘のおもちゃにさせてしまって」


97: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:02:57.01 ID:HHtyoIn80

黒木「そ、そんなことは」

加藤母「明日香があなたにしたメイク、見せてもらいました」

加藤母「あれでは、笑われてしまって当然です」

加藤「・・・・・・・・・・」

加藤母「せめてもの、お詫びに」…カチャ



カチャ カチャ カタン



黒木「え、まさか」

加藤「お母さん?!」

加藤母「・・・智子さん、いいかしら。 ご迷惑でなければ」カチャッ

黒木「いえいえいえいえ! とんでもないです! お願いします!」

黒木母「す、すみませんすみません。 そこまでしていただいて」ペコペコペコ



シュ シュ シュッ



加藤「・・・お母さん、いいの? お仕事以外では、他人へのメイクは絶対しないって・・・」

加藤母「今回は特別です。 明日香、よく見てごらんなさい」



 シュ シュ シュ   キュッ キュッ



加藤「・・・あっ」

黒木「え? わ、わあ・・・!」


98: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:04:42.59 ID:HHtyoIn80

加藤母「・・・何度も言ったことだけれど、あなたはすぐ飾りすぎてしまう」

加藤「・・・」

加藤母「こんなに大きくてきれいな目をごてごてと飾りつける人がありますか」

加藤母「雑誌の通りそのままやればいいというものではないのですよ」



シュ シュ シュ …



加藤母「リップもそう。 智子さん、あなたは口もとても大きくて、セクシーなんです」…キュ

黒木「そ、そんな」

加藤母「だから控えめに、自然に―」キュ キュ キュ

黒木「(・・・おおおおおお!!)」

加藤「す、すごい・・・」

加藤母「あなたは、とても綺麗なんですよ。 智子さん」キュッ キュッ

加藤母「この子よりも、あの雑誌のモデルよりも、ずっと」チョン チョン

黒木「(わ、わっ、わあああ!!)」

加藤母「はい、できあがり」 シ ュ ッ 。




 キラ キラ キラ キラ …




黒木「す、すごっ・・・ 夢みたい」キラキラキラ

加藤母「どうかしら、智子さん」


99: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:06:11.39 ID:HHtyoIn80

黒木「すごいです、すごすぎます・・・」ウルウル

黒木母「(わたしもやってもらいたい・・・)」

黒木「まるでわたしじゃないみたい・・・」グス…

加藤母「智子さん、これがあなたなんですよ」カチャン カチャ

黒木「これが、わたし??」

加藤母「装うとは偽ることでなく、自身の内面を表現することだとわたくしは思っています」…カチャッ

黒木「は、はあ・・・・・・・・・・」

加藤「自身の、内面を。 ・・・・・・・・・・・・・」



やっぱり、間違ってなかった。

わたしと黒木さんは、間違ってなかった ―



黒木「写メとっとこ。 ラインにツイッターにインスタに」ピッピッピッピ

加藤「(黒木さんは自分の可愛さを知ってた。 そして、それを表現する方法を知ってた)」

黒木「全世界に拡散するんだ」ピピピピピ

加藤「(そして ― )」

田中「あ、黒木さん、加藤さん」

田村「(黒木さんのお母さん。 そっくり・・・)」

根元「みんなでお茶しよ、無罪放免祝いだよー・・・」

黒木「ん」クルリ

田村根元田中「        」




「わああああああああ?!」


100: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:08:10.57 ID:HHtyoIn80

黒木「…無罪じゃないんだけどな」キラキラキラ

根元「くっ、くっ、くろぉ?! クロなの!!??」

田中「く、黒木さん。 それ、こないだの?」

黒木「すごいでしょ」ニコニコ

田村「    」ポカーン

黒木「加藤さんのお母さんに、してもらった」ニヤニヤ

根元「う、うそ・・・」

黒木「どうだ参ったか? 笑えるもんなら笑ってみろ」ニター

根元「…参りました。 加藤さん、ごめんなさい」ペコリ

加藤「ううん。 わたしが、下手だっただけ」

加藤母「本当は髪や服も手をつけたいんですけどね」

黒木「お金払うからやってください」ガバッ!

加藤母「・・・・・・・・・・・・・」ジーッ



「よろしければ、うちに来ません?」



黒木「え?!」

加藤母「ただでメイクしてあげるのは、もうこれっきりですけれど」

加藤母「うちにあるものを使って、自分たちでなさる分には構いません」

黒木「い、いいんですか?!」

加藤母「仕事で使っているものはダメですけど、それ以外のものならお貸しします」


101: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:09:34.30 ID:HHtyoIn80

黒木「う、うちにあるものって・・・」ゴクリ

加藤母「まあ、不足ないくらいには。コスメに衣装、ウィッグ、アクセサリー。 それに資料も」

黒木「・・・信じられない・・・ ありがとうございますっ」ガバ

根元「…クロ、いーなー」ションボリ

加藤「ふふ、お友達の方々も、ぜひ」

根元「えっ?! い、いいんですかっ!」

田中「ど、どうしよう」

田村「・・・・・・・・・・・・・・」

根元「行こうよ! 行かなきゃ損・・・ あ、その」

加藤母「ふふ、、損はさせないつもりですよ」

田中「でも、大勢でいいんですか?」

加藤母「ええ、にぎやかにしてもらえると嬉しいわ。 空っぽになってしまうことが多い家ですから」

根元「あ、ありがとうございますっ!」

田中「加藤さん、お邪魔します」

田村「…お邪魔します」

加藤「うん…」ギュッ




(お母さん、ありがとう・・・)


102: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:10:33.67 ID:HHtyoIn80

    イ ラ ッ シ ャ イ マ セ ー


  オセキヘ ゴアンナイ イタシマス

     コチラヘドウゾー…





黒木「(おごってもらうドリンクバーは格別)」ゴクゴク

加藤「・・・みんな、ごめんね」…コクン

田中「ううん。 でも、よかった」

根元「・・・でも、やっぱり加藤さんのお母さんってすごいなー」

黒木「うふふ、そうかしら」バチコーン

根元「こんな気持ち悪いのでも、こんなに綺麗にできるんだもんね」

黒木「うるせー。 でも、メイクってやっぱりすごい」

田村「わたしもしてるんだけど」

黒木「え?!」

田村「目元をちょっとだけ、だけど」

黒木「そ、そうだったんだ」

田中「知らなかったの?」

田村「はじめたの、つい最近だから。 修学旅行の後くらい」

黒木「(言われてみれば、なんか人相変わってたような気が・・・)」


103: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:11:30.30 ID:HHtyoIn80

田中「わたしも楽しみ。 そばかす消してみたい」

黒木「(なんてもったいない)」ズビズビ

田村「真子はそれが可愛いのに」

田中「もう、ゆりったら」

田村「わたしも・・・ 加藤さんに、メイク、教えてほしい」

加藤「・・・田村さん」

根元「みんなで見せっこしよー。 クロには負けないんだから」

黒木「ふふーん。 かかってらっしゃい」

根元「やっぱこのおばちゃんキモい」

黒木「っるせー!」

加藤「ふふふ、わたしだって負けないよ」

黒木「あ、そっちはもう降参します」ブンブンブン

根元「なにそれー」プンスコ

黒木「だって勝負にならないし」

加藤「・・・・・・・・・・」



…そうか。 そうだったんだ。

黒木さん、別によそいきじゃなかったんだ。



根元「クロは加藤さんには甘いんだからなー」

黒木「あ、甘いとかそんなんじゃ」アセアセ



素直で可愛い黒木さんは、よそいきじゃなかった。

これはわたしの前での装い。 内面の表現 ―


104: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:11:59.37 ID:HHtyoIn80

【その夜 加藤家】



 カ チ ャ   カ チ ャ

  ・・・ カ タ ン



加藤母「ごちそうさま。 美味しかったわ」

加藤「えへへ、ありがとう」

加藤母「明日、母さんは先に出てますからね」

加藤「・・・うん。 朝ごはん、ちゃんと食べていってね」

加藤母「朝はおなかが空かないのよ。 美味しいものがあれば別ですけどね」

加藤「もうお母さんったら、子どもみたい。 なにか、作っておくから」

加藤母「ふふ、お願いするわ」




シ ャ ー …



加藤「・・・・・・・・・・」カチャ カチャ


[ よろしければ、うちに来ません? ]


加藤「・・・・・・・・・・」キュッ キュ


[ ありがとうございます! ぜひお願いします!]


加藤「(・・・ああ、楽しみだなあ)」キュッ…


105: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:12:31.55 ID:HHtyoIn80

加藤「(黒木さんたち、家に来るんだ。)」

加藤「(みんなでメイクしあうんだ。 見せあいっこするんだ。)」

加藤「(こんなの、ひさしぶり。 ・・・・・・・・・・)」



[ すごすぎます・・・ わたしじゃないみたい・・・ ]



加藤「(黒木さん、どんなメイクしてあげようかな?)」

加藤「(どんな服着てもらおうかな、どんな髪型にしてあげようかなー)」

加藤「・・・・・・・・・・」



[ 智子さんを、うちの子のオモチャにさせてしまって ]



加藤「・・・わたしってば、黒木さんをまたオモチャにしようとしてる)」

加藤「(悪い子だなぁ。 ・・・でも)」



・・・・・・・・・・黒木さん、可愛いんだもん♪



加藤「・・・ふん、ふん、ふん♪」キュッキュ

加藤母「・・・・・・・・・・」 ニ コ 。




あらあら、鼻歌なんて。

ずいぶんひさしぶりじゃない? 明日香。


106: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:13:53.30 ID:HHtyoIn80

やっぱり、わたしの思った通りだった。

黒木さんは知っていた。 わたしに教えてくれた。



       わ た し
わたしの、『 自 分 』 の在り処。




[ なんで、なんであんなことを! ]

[ お願い、信じて! 黒木さん・・・ ]




悲しかったり、怖かったり。 怒ったり、泣いちゃったり。

黒木さんといっしょにいると、ほんとうにドキドキすることばかり。

それに ―




[ わたしはあれ、気に入ってる。 だから、わたしはあれでいい。 ]

[ 装うとは偽ることでなく、自身の内面を表現すること ]




やっと、見つけた。 わたしの『わたし』。

黒木さんが持っていてくれた。 わたしに返してくれた。



黒木さんは、もっともっと綺麗になる。

あなたの『あなた』がすばらしいんだってことを、わたしは証明してみせる。


107: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/17(日) 20:15:05.52 ID:HHtyoIn80

ちょっと悪い子の黒木さん。

ちょっと意地悪な黒木さん。




ちょっぴりエッチな黒木さん。

とっても美人な、黒木さん。




ちっちゃくて可愛くて照れ屋さんで。

それなのに、わたしよりも、ずっと大人で。




今度は、どんな黒木さんに会えるのかな。

ああ、楽しみだなあ。






「ふん、ふん・・・♪」キュ キュ カチャ

「・・・・・・・・・・」ニッコリ。






明日香、あなたは見つけたのかもしれませんね。 一生の宝物を。

・・・・・・・・・・・・・それとも、毒かしら?  ふふふっ。






※おしまい※





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